PS4は“プレイステーション”全体としての楽しめる機能を多数搭載【TGS 2013】

PS4の設計に携わったソニー・コンピュータエンタテインメント SVP 兼 第1事業部 事業部長の伊藤雅康氏に話をうかがった。

●本体、コントローラーも細部に至るまでこだわり抜いて開発

 いよいよ本日2013年9月21日より、一般公開も始まった東京ゲームショウ2013。ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジアブースで注目のプレイステーション4も展示、プレイアブルタイトルも多数出展されている。ここでは、そのPS4の設計に携わったソニー・コンピュータエンタテインメント SVP 兼 第1事業部 事業部長の伊藤雅康氏に話をうかがった。
 伊藤氏は1986年ソニー株式会社入社、オーディオ事業本部AS事業部(当時)配属。その後、2000年に株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントに入社し、技術本部設計部(当時)へ。PS2、PS3の設計担当として開発に携わり、2007年9月SVP(設計担当)就任。2010年、据置型ハードウェアの設計を担当する第1事業部 事業部長に就任し、PS4の開発の陣頭指揮にあたった人物だ。

ソニー・コンピュータエンタテインメント SVP 兼 第一事業部 事業部長 伊藤雅康氏。

――PS4は2月にニューヨークで発表され、E3 2013(北米最大級のゲームイベント)、gamescom 2013(欧州最大級のゲームイベント)でも、たいへんな盛り上がりでした。

伊藤 欧米に関しては、その地域で求められるものを中心にアナウンスすることを意識しました。それは搭載されている機能・性能に較べて価格が安いということであったり、豊富なローンチタイトルであったりということなのですが。ローンチタイトルは、いままでのローンチと比べても圧倒的に多いタイトルを準備できています。それらが好意的に受け止められていることの大きな要因なのかなと思います。ただ、日本は欧米、アジアより発売を少し遅らせるということで、どう受け止められるか不安でした。実際、発表後はいろいろ厳しい意見もいただきましたが、SCEJAブースには多くの人が足を運んでいただけているようで、少し安心としました。

――ローンチタイトルが多いというのは、開発しやすいハードということを裏付けていますね。

伊藤 PS4の開発時は、デベロッパーさんに開発しやすい環境を整えて、たくさんのタイトルをPS4で出してもらおう、ということは重視しました。ローンチ時からそのコンセプトが実現できたと思っています。

――開発で苦労した点は?

伊藤 PS4はいかに安く、お求めやすい価格で提供できるかというのも大きな目標でした。たとえ、すばらしいハードを作ったとしても、高価だとなかなか手を出しづらいですよね。とは言え、性能も高くないと受け入れてもらえない。そのあたりのバランスは苦労しました。

――デザインもプレイステーションらしい、特徴的なものになっています。

伊藤 デザイナーが数パターンのデザインを考え、最終的にいまのデザインが採用されたわけですが、プレイステーションのDNAを持ち、とくにPS2の面影がありつつ、新しさも感じるデザインで私自身とても気に入っています。

――PS4の開発にあたって伊藤さんがこだわったポイントは?

伊藤 USB端子は3.0を採用してほしいと言いました。最近では当たり前になってきましたが、開発当時はUSB 2.0が主流でした。ですがPS4発売時はUSB 3.0が主流になっているという予測があったのと、USB 3.0にこだわったもうひとつの大きな理由は、PlayStation Cameraです。PlayStation Cameraの接続端子は専用の形状はしているのですが、企画自体はUSB 3.0で、2.0だとPlayStation Cameraで想定していた解像度が実現できないんです。

――USB 3.0によってPlayStation Cameraの解像度が実現できていると。

伊藤 そうなんです。あとは、PlayStation Appです。この時代、据え置き機であっても、スマホやタブレットなどを使って外からつながる、ということも重要だと思いますので。

――PlayStation Appを使えば、外からスマホやタブレットでゲーム自体もプレイすることは可能なのでしょうか?

伊藤 操作入力など、PS4コントローラーと大きく違いますので、ゲームをフルでプレイするということは難しいかもしれませんが、たとえば、アイテムのやり取りや簡単な操作などはできると思います。PlayStation Appを作り手側がどう活かしてくれるか、というところは我々としても楽しみのひとつです。

――コントローラーもかなり進化していますね。

伊藤 コントローラーに関してはかなり試行錯誤しました。ユーザーテストを何度も繰り返し、そのフィードバックを受けて、細かく調整しました。

――L・Rボタンの押し込み具合も変わりました。

伊藤 そこはかなりデリケートに調整した部分です。ここはデベロッパーさんからも多くの意見をいただき、傾きの度数なども調整して改善していきました。材質などもいちから見直し、コントローラーの裏面の膨らみも調整し、ホールド感を増すように、そして持っていても疲れない形状を目指しました。

――個人的にはヘッドフォン端子はうれしい点でした。スマホなどで使う1メートルクラスのイヤホンなども使えますし、とくに深夜にプレイする際は家族に気を使わなくてもいいですし(笑)。あと、ライトバーも新しい要素のひとつですね。

伊藤 DUALSHOCK 3のときは、1Pから4Pまでのコントローラーがわかるインジケーターがありましたが、今回はどんな形がオシャレかなと考えて色で識別できるようにしようと。つぎにゲームでも使えないかなと思い、たとえば、HPが減ったときに赤く警告するようなこともできるようにしました。 

――タッチパッド採用も大きな変化ですよね。

伊藤 PS Vitaも意識して、タッチパッドを付けてみたいなとは思っていました。PS Vita TVではDUALSHOCK 4も使えるようになりますし、いろいろ使いかたに可能性が広がると思います。

――本体に先駆けて、コントローラーのカラーバリエーションが先行してラインアップされる、というのはいままでにない展開ですが。

伊藤 それについては、マーケティング側から強いリクエストがあったのです。

――気が早いですが、本体のカラーバリエーションも楽しみです。デザインは、そういったことも考慮されているのですか?

伊藤 多少は意識はしますが、最初からカラーバリエーションありきだと、デザインの幅を狭めてしまうので、まずは自由にデザインしてもらい、「(カラーバリエーションを想定して)ここはこうしてほしい」といったリクエストをデザイナーとはやり取りはしました。

――ところで、同じ時期にXbox Oneも発売されます。同ハードの印象は?

伊藤 我々はPS4ではゲームに特化しよう、ということでやってきていますが、Xbox Oneはエンターテインメント機器として考えている、という印象ですね。その発想はAVメーカーのソニーとして我々も持っていないわけではないのですが(笑)。

――CD再生機能が備わっていないのはゲームに特化する、という発想が要因なのですか?

伊藤 PS4は、基本的にはネットワークにつなげていろいろなコンテンツを楽しんでいただきたい、という発想があります。音楽に関してはMusic Unlimitedを通じて楽しんでいただければと思います。また、個人が撮影した写真や動画なども、クラウドに保存して、そこから楽しんでいただく。ネットワークをつなげることで、PS4はその真価を発揮するんです。

――PS4はPS Vita、PS Vita TVでリモートプレイもできますし、PS4を中心に“プレイステーション”の世界が広がっていきそうですね。

伊藤 そうですね。これからもどんどん進化させていく予定です。PS3でもリモートプレイでも可能ですが、PS4ではシステムでフルサポートしているので、より快適にご利用いただけると思います。SCEJAブースではリモートプレイもお試しいただけるので、ぜひ体験していただければと思います。

――PS Vita TVでのリモートプレイの場合、モニターにはHDで出力されるのですか?

伊藤 720pで出力できるよう、開発中です。

――基調講演では、ハウス社長が2013年度の販売見込みを500万台とアナウンスしました。これは、生産体制が順調に整っているという意味だとも取れます。日本の発売日もそれなりの台数が確保できそうですね。

伊藤 問題ないと思います。発売が遅れたうえに台数が足りないと怒られてしますので、そこはがんばりたいと思います。

――では、東京ゲームショウに来場される方、加えてPS4を楽しみに待っている方にひと言お願いします。

伊藤 PS4の発売を楽しみにされている日本のユーザーの皆さんには、ほかのリージョンより発売が少し遅れて申し訳なく思っています。PS4では、PS4ならではの楽しみかた、プレイステーション全体としての楽しめる機能を多数搭載していますので、ぜひ楽しみに待っていただければと思います。