植松伸夫氏の初の執筆作品「Blik-0(ブリコ)1946」の発表会が開催! 『初音ミク』が歌う曲もある!?【TGS2013】

東京ゲームショウ2013の開催初日となる2013年9月19日、作曲家の植松伸夫氏が物語と音楽を書いた電子絵本「Blik-0(ブリコ)1946」に関するトークイベントが行われた。

●3年以上の時を経て世間に公開された「Blik-0(ブリコ)1946」とは?

 2013年9月19日~9月22日の期間、千葉県の幕張メッセで開催されている“東京ゲームショウ2013”(19日、20日はビジネスデイ)。開催初日となる2013年9月19日、『ファイナルファンタジー』シリーズなどで知られる作曲家の植松伸夫氏が物語と音楽を書いた電子絵本「Blik-0(ブリコ)1946」(以下、「Blik-0」)に関するトークイベントが行われた。

 このイベントは、アメリカでローカライズやマーケティング、デジタルパブリッシングを行っているアクティル社が主催。世界中のメディアが訪れた。

 「Blik-0」は、人間の心を持ったロボットの心温まる物語。apple端末用のiBooks版と、Kindle端末・アプリ用のKindle版があり、どちらも日本語バージョンと英語バージョンが用意されている。Kindle版は、アプリの都合で音楽が収録されていないものの、iTunesで配信されている「Blik-0 1946サウンドトラック」と合わせて聴けば、物語と音楽をいっしょに楽しめる。

 植松氏が「Blik-0」のために書いた曲は3曲。その中には、なんと『初音ミク』が歌っている曲も! 会場では、ミクの歌声が心にしんみり響く曲「近すぎて近すぎて」が流れており、記者も聴き入ってしまった。

 なお、iBooks版は音源再生の不具合のため、現在配信されていない。不具合が解消されしだい配信予定なので、お楽しみに。

※「Blik-0」の購入方法などについては→こちら

 トークイベントでは、「Blik-0」の物語と音楽を手掛けた植松氏と、イラストを手掛けたドッグイヤー・レコーズ(植松氏のレコードレーベル)の小川洋輝氏、「Blik-0」プロデューサーの北條元彦氏(ヒットメーカー)が、本作の魅力を語った。ここでは、トークの内容をピックアップしてお届け。


▲右から植松氏、小川氏、北條氏。

――植松さんは、どうして「Blik-0」を書こうと思ったのですか?
植松 もともと、物語を書いて発表するつもりは、毛頭なかったんです。僕と小川は、よくふたりでDistant Worlds(『ファイナルファンタジー』のオーケストラコンサート)に参加するために海外に行くんですが、飛行機やホテルで過ごす時間、「やることがないので、物語でも書いてみようかな?」と思ったのが始まりです。小川がイラストを描くことは知っていたので、ストーリーが出来てきたころに、「こんな話を書いてみたんだけど、イラストを試しに描いてみて?」と頼んだんです。それがもう3年以上前の話で、その段階でほとんど完成していたんですが、売るつもりは本当になかったので、そのままお蔵入りして。正直、忘れてたぐらいだったんです(笑)。それから、去年の暮れか今年の初めぐらいに、ヒットメーカーの北條さんと焼肉を食べにいったとき、「電子書籍のアイデアはありませんか?」と言われて、そこで「Blik-0」のことを思い出して。その段階では、物語とイラストはありましたが、音楽がなかったので、それから曲を書いて、完成させました。それが、「Blik-0」の3年半の物語です。


――まずは「Blik-0」の物語を書いてから、曲を書かれたのですね。
植松 ゲームを作るときは、プロデューサーやディレクターから「(この曲は)違う」って注文されたりするんですけど、今回は自分が世界観とストーリーを作ったので、音楽はつけやすかったですね。

――物語のコンセプトを教えてください。
植松 「ケンカもいさかいもない世の中っていいな」と思うんですけど、人間には感情がある以上、いがみ合うこともあるし、傷つくこともある。それでも相手を思いやる心さえあれば、なんとか仲のいい世界を作り出せるんじゃないかな、という思いを、ロボットに託しました。

――“Blik-0”という名前の由来は?
植松 ブリキのロボットなので、“Blik”。それから、日本語の名前は、最後に“お”を付けることが多いんです。僕の名前も“のぶお”ですし。それで、日本風に“お”を付けて、“Blik-0”にしました。

――つぎの執筆作品を発表する予定はありますか?
植松 北條さんと、いくつか企画を進めています。すぐ出来そうな感じのものもありますよ。


――今回、「Blik-0」のイラストは小川さんが手掛けていますが、小川さんがプロジェクトに参加することになった経緯をあらためて教えてください。
小川 ふだん、植松さんとは仕事のやり取りをしているんですが、たまに不思議なメールが来るんです。“アースバウンド パパス”(植松氏のバンド)のマスコットキャラクターについて、「宇宙人が日本に来て、音楽に出会って遊ぶという想定なので、宇宙人を描いて」って言われたり。「Blik-0」のときは、突然メールが来て、「Blik-0」のストーリーが始まって、最後に「さて、Blik-0はどんな形でしょう? 絵で答えなさい」って(笑)。人間って、クイズを出されると燃えるんですよね。いろいろ想像しながら描いて、最終的にシンプルなロボットになりました。

――ブリコを描く際に、とくに意識したポイントを教えてください。
小川 イラスト全体に言える話なのですが、「Blik-0」を買ってくださる方は、“植松さんの作品”として買われると思ったので、描いたものをできるだけ植松さんに見てもらい、植松さんのフィルターを通ったものにするよう心がけました。


――北條さんは、植松さん・小川さんといっしょに「Blik-0」を手掛けてみて、いかがでしたか?
北條 植松さんも小川さんも、ものすごくやさしくて、夢がたくさんある方です。植松さんのアルバム「植松伸夫の10ショート・ストーリーズ」(2010年発売)を聴いたとき、作品からやさしさが溢れていると思いまして、そのやさしさ、心と心のつながりを全世界に届けられたらいいなと思い、このプロジェクトをスタートさせました。

――電子書籍を選んだ理由は?
植松 電子書籍ですと、音楽が流せますからね。とはいえ、電子書籍の音楽はまだまだこれからで。物語に沿って音楽を展開させられればいいんですけど、技術的に難しく、ジレンマはあるんですけど……。紙の本にも興味はあるんですが、売れ行き次第だね(笑)。

――曲を書くときは、読書の妨げにならないものにすることを意識されたんですか?
植松 じつは、読みながら聴いてもらおうという意識はあんまりないんですね。というのも、僕が、音楽を聴きながら何かをすることができない人間なんです。「Blik-0」には、オープニングと、エンディングと、ブリコが悩んでるときの3曲が入っていますが、物語を真剣に読みたいときは、音量を絞っていてください(笑)。


▲トークイベント後は、植松氏とのサイン会が開催。『ブルードラゴン』のジャケットや、『ファイナルファンタジーVI』のソフト(スーパーファミコン版!)にサインをしてもらう人も!