オンラインモードでは、ゲーマーが世界の動物を救う!?
2013年8月21日~25日(現地時間)、ドイツ・ケルンメッセにて欧州最大のゲームイベントgamescom 2013が開催中だ。
ひと目でそのゲームのことを気に入ってしまった。何の話をしているかというと、Xbox One用ソフト『Zoo Tycoon』のことだ。マイクロソフトによるプレゼンで、ひとたび動物たちのかわいいしぐさに接すると、すっかり心が癒やされてしまったのだ。と、あんまり先走り過ぎるのも何なので、順を追ってプレゼンの内容を説明していくとしよう。ちなみに、プレゼンに出席したのはおふたり。マイクロソフトスタジオのスタジオマネージャ、ヨーク・ニューマン氏と、開発を担当するフロンティアのチーフ・クリエイティブ・オフィサー、ジョニー・ワッツ氏だ。
ご存じの方も多いと思うが、オリジナルの『ズータイクーン』は、2001年にPC向けに発売された動物園経営シミュレーション。その後続編である『ズータイクーン2』なども発売され、ユーザー数は800万人を超える人気作で、ヨーク氏によると、「つぎは出ないのですか?」とよく聞かれたという。そんなユーザーからの要望に応える形で開発されたのが、Xbox One用ソフト『Zoo Tycoon』だ。当初はXbox 360での発売を考えていたが、さらなる要素が入れられるということで、Xbox Oneを待つことにしたという。ニューマン氏によると、Xbox One『Zoo Tycoon』には5つのフィーチャーがあるという。
(1)美しいビジュアル。美麗な動物が描かれている
(2)コントローラーに最適化してのシンプルな操作性
(3)Xbox Liveにおるオンライン機能
(4)コミュニティー要素。何100万人の人と楽しめる
(5)Kinect
『Zoo Tycoon』における最大の目的はひとつ。動物をハッピーにすることだ。動物がハッピーになれば、来場者も訪れ、動物園がより豊かになる。引いては動物がさらにハッピーになりと、よい循環が生まれるのだ。まあ、動物が苦痛にあえいでいるところを見たくはないしね……ということで、いかに動物が快適に過ごせるかが、本作のキモとなる。
今回、動物をさらに身近に感じさせてくれるフィーチャーが、Kinect。たとえば、身振りで動物を呼んだり、Kinectを使ってシャワーを操作して動物を綺麗にしたりと、動物のことを身近に感じられるような趣向が凝らされているのだ。さらにKinectということでいえば、猿マネをするチンパンジーがいて、その猿の前でいろいろな顔をすると、その真似をしてくれるのだという。Xbox Oneならではの美麗なグラフィックと相まって、本当に動物たちが生き生きとして見えるのだ。ちなみに、ニューマン氏とワッツ氏は、ふたりとも博士号を取得しているとのことで、動物の生態に関してはエキスパートである。それだけ『Zoo Tycoon』では、リアルな動物の動きを再現しているのだ。それだけ動きがリアルだと、「動物の生態を勉強するのに役立つのではないか?」と素人ながらに考えてしまうが、まさにその通りで、本作は、動物の知識を得るうえで大いに役立つのだ。「動物園にはふたつの機能があります。“教育”と“動物愛護(保護)”です。架空とは言え、『Zoo Tycoon』は動物園なので、本物の動物園に近い機能を果たしたいと思っていました。それで前作では、“ズービディア”として、動物の情報を紹介していたのですが、極めて好評でした。そこで本作でも、ナショナルジオグラフィックとコラボして、動物情報を取り入れることにしたんです」(ワッツ氏)と、そこはかとなく博士らしいコメント。
そして、オンライン要素。本作では、オンラインプレイにはふたつの楽しみかたがある。ひとつは友だちといっしょに動物園を作れるモード。もうひとつが“コミュニティーチャレンジ”というらしい。「先日、悲しいことに実際にアフリカで密猟者がサイに殺されました。ゲームを購入してくれたファンに、そういったニュースを伝えて、“サイを10000匹にしましょう”という運動をすると、実際にマイクロソフトがそのための援助をしてくれるというのが“コミュニティーチャレンジ”です」(ワッツ氏)。5年間をかけて、マイクロソフトに納得してもらったらしい。「ゲーマーが動物を救えるという運動になっているので、とても誇らしいです」とワッツ氏。
一方のマルチプレイは最大4人まで参加可能。こちらは友だちといっしょに動物園を作れるというモードだ。プレイヤーどうしでは、同じ時間にオンラインに入ってマルチプレイを楽しむこともできれば、友だちが作っておいたデータをクラウドからダウンロードして、自分の動物園に反映させるといったこともできる。いわゆるクラウドの活用だ。実際のところ、ニューマン氏の住んでいるところ(アメリカ)とワッツ氏の住んでいるところ(イギリス)では時間差があるので、こういった楽しみかたをけっこうしているらしい。世界中の友だちといっしょに動物園を作り上げられるというから、何やらロマンがあって楽しい。
「『Zoo Tycoon』の動物園は世界中でもっとも美しく、最大規模を誇ります」とニューマン氏。「平均的な動物園の規模は、200メートル×200メートルくらいですが、この動物園は2000メートル×2000メートルのサイズまで作れます。さらに、種にして100種、最大5000頭まで動物を入れられる」とのこと。動物だけではなくて、エンターテインメント施設の設置なども可能で、セクションごとのテーマ分けも可能なのだという。
話が少し前後してしまったが、本作で楽しめるゲームモードは3つ。自由に動物園作りが楽しめる“フリーフォーム”と、与えられた問題を15分~20分で解決していく“チャレンジモード”、そして、資金繰りなどをしながら動物を運営してく“キャンペーン”だ。気軽に動物との交流を楽しみたいユーザーから、がっつりシミュレーションを楽しみたいユーザーまで、幅広い楽しみかたができるようになっているようだ。
『Zoo Tycoon』は、海外ではXbox Oneのロンチタイトルとして予定されているらしい。FPSやアクションが華やかなりし昨今にあって、“動物愛”に溢れる本作は、断固プッシュしたくなる1作だ。