最初からきちんと1本『FF』が入っています――『ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア』プロデューサー兼ディレクター吉田直樹氏インタビュー【gamescom 2013】

2013年8月21日~25日(現地時間)、ドイツ・ケルンにて開催されている欧州最大級のゲームイベント“gamescom 2013”。その会場で『ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア』プロデューサー兼ディレクター吉田直樹氏への合同インタビューが行われた。

●エンドロールは最後の最後まで観てください(吉田氏)

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『ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア』
プロデューサー兼ディレクター
吉田直樹氏

 2013年8月21日~25日(現地時間)、ドイツ・ケルンにて開催されている欧州最大級のゲームイベント“gamescom 2013”。その会場で『ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア』プロデューサー兼ディレクター吉田直樹氏への合同インタビューが行われた。いよいよサービスイン目前となった『新生FFXIV』について、βテストの結果や今後の展望などについても語られた本インタビュー。ここからはその内容をお届けする。

――先日行われたβ4ではサーバーの増設が相次ぎましたが、これはやはり想定以上の数のプレイヤーがβ4に参加したということでしょうか?
吉田 状況を見てあれだけの速度でサーバーを追加できたということは、僕たちも当然準備はしていたわけです。ですが、正直に言うとあそこまでサーバーを追加することになったのは想定以上でした。もちろんうれしい想定外ですけれど。やや特殊な条件だったのは、例えば1サーバーあたり5000人をさばけると設定していても、それは幅広いレベル帯にプレイヤーが分散していることを想定しているわけです。ですが、βテストでは多くの人が最初から始めて、レベルキャップも20でしたので、どうしても低レベル帯のフィールドに人が集まってしまう。ですので、5000人というラインを少し下げていたということがあります。そのままデータを正式サービスに移行するので、いわゆる過疎サーバーができないように慎重に見ていたのですが、皆さんが熱心に遊んでくれたこともあり、結果としてサーバーの増設となりました。キャラクターの作成制限なども実施させていただきましたが、大きなトラブルもなくてよかったと思っています。

――β4でレベルキャップの20に到達した人はどのくらいいたのでしょうか?
吉田 正確な数字はまだ確認できていないのですが、1/3強くらいの人が1クラスをレベル20まで上げている感じですね。もちろんいろいろなところを見て回っていてほとんどレベルが上がっていない人もいますし、バトルクラスを全部20にしている人もいます。皆さんそれぞれのペースで楽しんで頂いているようで、そういう意味ではMMOらしいスタートが切れたのかなとも思っています。

――公表された同時接続者数(15万人以上)から見て、新規プレイヤーがかなり多いと思います。レガシープレイヤーとの比率はどのくらいになっていますか。
吉田 レガシーの定義にもよってしまうので、現状では新規の方が圧倒的だという言い方をさせていただいています。ただ、『旧FFXIV』でアカウントを持っていた方のカムバック率も、β3からβ4でかなり伸びてきているという状況でもあります。

――β4で「タンクが少ないです」という呼びかけをされていましたが、ロールの比率はどんな感じだったのでしょう。
吉田 実はタンクが少ないというより、レガシープレイヤーの皆さんがほぼ巴術士をやっていたのが要因なんです(笑)。コンテンツファインダーではレガシーワールドも含めてマッチングするので、巴術士=アタッカーが多くなってしまい、ほかのロールもかなりいるのに不足するという状況が生まれてしまったんです。正式サービス後は、コンテンツ攻略などでレガシープレイヤーの皆さんも鍛えていたクラスに戻るでしょうし、状況は落ち着くと思います。

――β4でMMOを初めて遊んだ、という方も多かったのではと思うのですが、そういうプレイヤーからはどんな意見が寄せられていますか。
吉田 多かったのは「MMOってもっと難しいものだと思っていた」というご意見ですね。これは本当にありがたいですし、嬉しいです。

──β4テストでは対人戦のテストも行われましたが、十分なデータが取れましたか? また、吉田さんが考えている対人戦に近いものができそうでしょうか。
吉田 今回僕たちが見たかったのは、どのくらいのラグが出るのかという部分でした。やはりサーバー上と見た目の画のズレというのは対人戦では非常に大事な要素ですし、今回はそれが0.5秒くらいズレているというデータが取れました。そこを2.1までに修正して最適化します。対人戦に関しては初めての方も多かったようで、例えば「寝かされたら何もできない」といってもそれはPvPでは当たり前なわけです(笑)。そこを装備やアビリティでどう解決していくかというのがPvPの楽しみのひとつなのですが、僕たちとしてはそういうことを浸透させるためにどう導いていくか、というのは課題ですね。

――新しいダンジョンのムービーが公開されました。その中に以前あったダンジョンも含まれていましたが、見た目だけでなく攻略人数なども変わっているのですか?
吉田 今回のムービーで出させていただいたダンジョンは、ほとんどが4人用です。ひとつだけ8人用ですね。“邪教排撃 古城アムダプール”はレベル50を超えたダンジョンです。4人用ですがかなり難しいので、相当全滅すると思います(笑)。『旧FFXIV』のダンジョンも『新生FFXIV』に合わせてギミックや難易度などすべて調整して、対応レベルも違いますね。


――ハイレベルなダンジョンになると、例えば作戦を話し合ったり、終わった後に少し話したりする時間の余裕がなくなってしまうのでは、という不安があります。
吉田 『新生FFXIV』のコンテンツでは、プレイヤーから手を出さなければ基本的に敵は襲ってこないので、戦う前に作戦会議ができますし、ボスの前はこの先がボス戦だとわかるようにしていますので、作戦を練ることはできます。攻略終了後もゲートから外に出なければ挨拶する時間はあるので、大丈夫だと思いますよ。

──F.A.T.E.はどのくらいの規模まで広がっていく予定ですか。
吉田 「解き放たれし脅威」という動画を公開しましたが、そのなかにいるベヒーモスとオーディンはF.A.T.E.です。ベヒーモスは受注型、オーディンはプレイヤー側はまったくコントロールできない突発型ですが、あのふたつがやろうとしている頂点です。どちらも相当な強敵になっています。ここからバリエーションは増やしていくと思いますが、複雑にしてしまうのは違うかなと。複雑なことはアライアンスコンテンツでやろうと思っていますので、まずはクリスタルタワーに期待してください。マップチェックも終わっていますし、2.1でリリースさせていただきます。

――クリスタルタワーと言えば古代の民の迷宮の存在などはどうなるのでしょう。
吉田 あります。ですので、タワーに入るまでがそもそも大変だと思います(笑)。まずはそこからだと思っていてください。やはりやるからには忠実に、かつエオルゼアになじむように作っています。


――コレクターズエディションのDVDのように、『新生FFXIV』から始めた人が『旧FFXIV』のストーリーを見られるようなコンテンツを用意する予定はありますか?
吉田 『FFXIV-2』を作ったわけではないので、そういったものがないと『旧FFXIV』のストーリーがわからないというのはナシだと思っています。『新生FFXIV』をエンドロールが流れるまでプレイしてもらえれば、どんなお話だったかはわかるように作っています。ちょうど話が出たのでここでぜひプレイヤーの方にお伝えしたいのが、エンドロールを最後の最後まで観てくださいね、ということです。単なるロールでは終わっていませんので。今後のパッチのストーリーに大きく関わるエピソードもあります。ぜひ最後までご覧ください。

――エンドロールはどういう状況に到達すると観られるのでしょうか?
吉田 やはり『ファイナルファンタジー』シリーズの最新作として、ちゃんと自分は冒険の大きな目的を達成したぞ、というタイミングで流れます。あまり言うとネタバレになってしまうので詳しくは話せませんが、「あっ、『FF』を1本クリアーしたな」という感触は持っていただけると思います。で、その先の秘密がエンドロールにあると。

――どんどん広がっていくわけですね。
吉田 そうですね。むしろ「俺たちの戦いはこれからだ!」的な(笑)、そういう山場は作っているので、ずっと『FF』の新しいストーリーを味わっていけるんだな、と思っていただければと。何ヵ月も先にいかないとひと区切りつかないものにはしていません。2.0の時点で詰め込んでいますので、楽しんでいただければと思います。


FF吉田さん/DSC_0037

――今回のgamescom2013で『新生FFXIV』を遊んだ人たちの反応はいかがですか?
吉田 『旧FFXIV』から遊んでいるという方も、新規で始めたという方も、ステージやブースに来ていただいているようで、会場でも「楽しみにしています」と声をかけられたり、反応はいいと思いますよ。ドイツはPCゲームが盛んでMMOに知識のある人も多い国ですが、いいインパクトを与えられているようです。「こんなビジュアルで、あんな巨大なボスとバンバン戦えるMMOは見たことがない」といった感想もいただいています。

――欧州のプレイヤー数はどのくらいなのでしょうか?
吉田 どの時点での数字かというのが難しのですが、日本とほぼ同じくらいですね。一番多いのは北米のプレイヤーで、日本の2倍くらいいます。

――北米のプレイヤーはそんなにいるんですね。
吉田 北米の方って、ストレートなんですよね。ダメなものはダメ。いいものはいい。やってみておもしろければ遊ぶし、つまらなかったらやらない。そして『新生FFXIV』になって「あいつらがんばったな」と(笑)。はっきり表れたのが、β4の終了直後からAmazonでの購入数の伸びが尋常ではなかったことですね。逆に日本の方はまだ様子見されている方もいらっしゃると思うのですが、β4後にPS3のダウンロード版の予約が過去最大数になったとSCEさんから聞いています。どちらも僕たちとしては勇気づけられました。

――北米、欧州、日本、国によって好まれる種族の違いはありますか?
吉田 まず全体ではララフェルの人気が高いです。みんなが「可愛い」と言ってくれます。ミコッテは国によって人気にバラつきがありますね。フランスはルガディン♀やエレゼンが人気です。ララフェルが不変で、それ以外は違う感じでしょうか(笑)。あとは、自分のやりたいロールに合わせた見た目を選ぶという人が欧米では多いですね。タンクをやりたいからルガディン、というように。

――新しく入った種族の人気はどうですか?
吉田 やはり高いですね。オスッテはいわずもがな、という感じで(笑)。

――“未知の採集”という仕様を導入した経緯を教えてください。
吉田 場所を選んで採集していれば欲しい物が採れるというのが基本としてありますが、つねに固定されたテーブルで、となると波がなくて飽きてしまうと思うんです。また、バトルコンテンツを繰り返して得られるリワードに匹敵するような物を作れるハイレシピを用意しようとした時に、当然それがいつでもどこでも採れるようなもので作れてしまっては、経済が破綻してしまいますよね。そのバランス調整のためと、ギャザラーが「何か見たことのない物が採れた!」という発見と驚きのためですね。

――マーケットが用意されましたが、実装してみていかがでしたか?
吉田 やはりレベル20キャップでは、マーケットは使わないですね(笑)。そもそもレベル20でマーケットを使わないといけないようなゲームに意図的にしていないですからね。今後はバトルコンテンツでかなりアイテムが消費されると思いますし、2クラス目、3クラス目の育成もあります。そこでクラフターにチャンスが出てくるんじゃないかなと。そのあたりの需要を見ていって勝機をつかんでほしいですね。

――会場でも『旧FFXIV』のネール(・ヴァン・ダーナス)のコスプレをしている人などを見かけますが、将来的に例えばガレマール帝国の武器などが手に入ったりすることはあるのでしょうか?
吉田 帝国出身のシドがいて、魔導技術はいろいろ持っているので、いずれ帝国とのエピソードが落ち着いてその先に進んだときに、活かせればいいなと思っています。帝国の武器は人気もありますからね。ただ、例えばネールの武器を出すにはあれを使えるクラスがないといけないわけで(笑)、そのあたりも考えながらですね。


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──『FFXIII』とのコラボでライトニングや彼女の衣装が登場しますが、ほかのタイトルの世界観を取り込むときに苦労したことはありますか。
吉田 苦労ではないですが、ライトニングがライトニングサーガの中のどのタイミングでエオルゼアに来て、それがライトニングの人生の中でどんな意味があったのかはちゃんと決めて作っています。通して『FF』のファンでいてくださっている方が見ると「なるほどね」となるようにしています。そこは僕はこだわっているところで、例えば『FFVII』のエアリスは、あのシーンがあってこそですよね。彼女の人生があそこで止まっているからこそエアリスなんです。ですので、エアリスがエオルゼアに来ることはありえません。『FF』の世界がちゃんと意味を持つように考えているので、なんでもかんでも出てくるということはありえません。マウントで登場する魔導アーマーも、かなりストーリーに絡んでくるものです。ぜひお楽しみに。

――PS4版を待っているという方も多いと思います。お話しできる範囲で進捗状況などを教えていただけますか。
吉田 きちんと進んでいます。そして、皆さんが思っているよりも早いリリースになると思います(笑)。PS3版をプレイする方がPS4に移った時に、「PS3でやっていてよかったな」と思うような移行サービスも考えています。まずはPS3、『新生FFXIV』と『ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIII』の2本の『FF』で、現世代機を締めていただければと思います(笑)。

――最後に、さきほどおっしゃられていたように、日本ではまだ様子見という方もいると思います、そういった方たち、そしてファンへのメッセージをお願いします。
吉田 そうですね、欧米のメディアの方はすごくストレートなので、よく「『旧FFXIV』をプレイして、二度とスクウェア・エニックスのゲームは買わない、『FF』はやらない、そう決めた人に吉田さんは何て言いますか?」ということを質問されます。ですが、それだけ好きだったからこそそこまで嫌いになってしまった人に対して、嫌われている僕たちから何かを言っても、それがどれだけ真摯なものでも、そう簡単には受け入れられないと思います。僕たちができることは、新しく始める人、『旧FFXIV』から引き続き応援してくれている人、『新生FFXIV』を機に戻ってきてくれた人たちに「おもしろい」と言ってもらって、その言葉を聞いて信じてもらうことしかありません。「このゲームは最高だ」とプレイしている人に言ってもらえるものを真っ直ぐに作ることしかできない。様子見は大いにしていただいていいです。警戒するのも当然だと思います。もし友だちに誘われたら、敷居も低いですし、気が向いたときに遊んでいただけたら、僕たちは幸せです。