歴代楽曲を歌い上げるコンサートツアーに多くのファンが感激
2013年6月23日(日)、東京・新宿の日本青年館にてアーティスト・吉岡亜衣加のコンサート“吉岡亜衣加コンサートツアー2013 薄桜鬼 歌響の宴”の東京公演が開催された。同コンサートは人気アドベンチャーゲーム『薄桜鬼』シリーズの楽曲のみで構成されているという、これまで『薄桜鬼』シリーズの主題歌やエンディング曲などを歌ってきた吉岡ならではの内容となっており、会場には9割を越えるほどの女性ファンが詰めかけ、吉岡の歌声が描き出す作品世界に身を委ねた。
薄い幕に桜の舞う映像が流れるとコンサートはスタート。ドラム、ギター、ベース、キーボードという構成の生バンドをバックに従えて、白いドレスに身を包んだ吉岡が悠々とした姿で登場。『光彼方』を歌い上げる。“薄桜鬼 歌響の宴”というタイトルのとおり、ステージ後方のスクリーンには、楽曲に関連した『薄桜鬼』シリーズの映像が映し出される。特徴的なファルセットを響かせながら、曲の世界を歌で広げて行く吉岡。続いてアップテンポの楽曲『闇の彼方まで』を披露すると、それまで座ってサイリュームを振っていた会場のファンに「いっしょに立って盛り上がりますか!」と声をかけ、一体感を作り出す。
曲が終わると「亜衣加さーん!」という声が会場から響く中、さらに畳み掛けるように『遙かな稲妻』を披露した吉岡。「今日は皆さん、“吉岡亜衣加コンサートツアー2013 薄桜鬼 歌響の宴”東京公演にお越し下さいましてありがとうございます! いちばん最初の静岡公演が中止になってしまって、本当に私も残念でした。本当にすみませんでした。でも、この東京公演すごくすごく楽しみにしてきましたので、ぜひ皆さん楽しんでいってください!」と、コンサートスタッフの中心人物の急病で中止になってしまった静岡公演の中止をお詫びしつつ、東京公演をファンといっしょに作り上げることを決意し、深々とお辞儀。そして、ここからはしっとりとしたバラード曲『夢待ちの季節』、『花びらの刻』、『時の栞』、『夕凪に願いを』を披露。温かい歌声で会場を癒していく。『夕凪に願いを』では、スクリーンに夕暮れの水面が映し出され、曲の世界を鮮明に描き出した。
MCでは女子トークをしたいという吉岡。「夏と言えば海!」という吉岡は、会場に集まった女性ファンに“どういう男子にときめくのか?”という質問を2択で投げかける。ひとつは“むきむきのゴリマッチョ”、もうひとつは“しゅっとした細マッチョ”。これをより鮮明なイメージにするために「『薄桜鬼』で例えると、ゴリマッチョが新八っつぁん(永倉新八)、細マッチョは斎藤一さんでもいいんですけど、私的にいちばんしっくりきたのが左之さん(原田左之助)でどう?」と吉岡。どちらを選ぶかで会場がざわざわとざわめく中、拍手でどちらを推すか聞いてみると圧倒的な差で“細マッチョ”が人気。これには吉岡も「吉岡さん、海に行ったら左之さん体型の人を探して、さらし巻いてくださいって頼んでみるわ(笑)」と語り、会場の笑いを誘った。
各作品のオープニング曲が続いたところで、続いてはエンディング曲を交えた構成に。独特な節回しが特徴的な『太陽が生まれる場所』を披露すると、『紅い蜃気楼』を紅く染まったステージで朗々と歌い上げる吉岡。さらに、ドラムが存在感を見せる楽曲『風遙か』、スローテンポのバラード『ココニイル~虚空の果て~』と続けざまに披露。同曲では切ない歌声を響かせながらも、サビの最後では笑顔で語りかけるように歌い上げ、会場を温かい空気で満たした。
吉岡やバンドメンバーが一旦ステージから去ると、会場の幕も閉じていく。その閉じた幕に“薄桜鬼 歌響の宴”について語る吉岡の映像が映し出される。2012年に開催された“薄桜鬼 歌響の宴”が自身初のホールコンサートであり、不安と緊張でいっぱいだったという吉岡。しかしバンドメンバーやスタッフ、コンサートの開催を心待ちにしてくれていたファンに支えられ、まっすぐに真剣につき進むことができたという。『薄桜鬼』という作品を通して素敵な仲間に巡り会えたという吉岡は、ファンに語りかける。「みんなで作り上げましょう。今日しか作れない“歌響の宴”という世界を」。
再びステージに登場した吉岡は、青いドレスに衣装を替え、グランドピアノの前に腰をかける。そして伴奏をしながら『ねえ、もしも2人が…』を披露。やさしい歌声が会場中に広がる。「ピアノ弾いちゃった♪」とおどける吉岡だったが、「このコンサートをするに当たって、何か私もひとつ挑戦したいなと思って弾き語りをしてみました」と語ると会場から鳴り止まない拍手が浴びせられ、「わー、うれしい!」と喜びをあらわにした。
続いてはアコースティックコーナーへ。『光の蝶』ではこぼした絵の具のような、万華鏡のような、極彩色の蝶の羽根のような照明が吉岡を照らす中、吉岡が歌声を響かせると、アコースティックギターとグランドピアノの調べがやさしいメロディーを奏でる。さらに『悠久の夜明け』ではアコースティックになったことで吉岡の歌声がより鮮明に。想いを込めて歌い上げる吉岡に温かい拍手が送られた。
「(『薄桜鬼』という作品が)たくさんの出会いを持って来てくれたと感じています。この会場に来てくれた皆さんも、本当にその出会いのひとつだなと噛み締めています」と語った吉岡。ここで重大発表があると宣言。会場の「おおおお?」という声に「その“おお?”っていうのいいね! 期待を煽るね!」と上機嫌の吉岡から発表されたのはふたつ。ひとつは2013年8月21日に『劇場版 薄桜鬼』のシングルCDが発売されるというもの。そしてもうひとつは同じく2013年8月21日に5thオリジナルアルバム『ひだまりの中で』が発売されるというものだった。デビュー当時から映画の主題歌を歌いたいと願っていたという吉岡は興奮気味にこの発表をファンに報告。「はにい(8月21日)の日! ハニーって覚えてね」と語りかけた。
いよいよライブは終盤。ラストナンバーに向けて畳み掛けていく。『暁闇』で会場のファンが立ち上がりいっしょに盛り上がると、休みなく『天ノ華』を披露。さらに『決戦ノ刻』では、ライトセーバーのようなサイリュームを手に取りファンを煽りつつ、間奏では殺陣も披露。マニピュレーターの坂知学を切り伏せると、さらにギタリストの福田真一朗もいっしょに成敗し、会場を沸かせた。そしてここでバンドメンバーの紹介。ドラムの矢吹正則、ベースの染川裕紀、ギターの福田真一朗、マニピュレーターの坂知学、バンドマスターでありキーボードを担当する岩瀬聡志を紹介すると、続けて『十六夜涙』を会場のファンに笑顔を振りまきながら歌い上げる。ラストナンバー『舞風』では、会場からも「キャ―――――――!」と声が上がり、会場のボルテージも吉岡のテンションも一気に駆け上がる。大きな身振りと手振りで会場を煽り、満足そうな笑顔を見せながら同曲を歌い上げた吉岡。「最後みんなでいっしょに飛ぼうか! せーの!」と言ってファンとジャンプをし、曲を締めると「よくできました!(笑)」と満面の笑みを残し、ライブは一旦幕を閉じる。
会場からのアンコールに応えて再登場した吉岡は、ライブTシャツとマフラータオル、ライブグッズのシュシュとサイリュームを手にし、ショートパンツという出で立ちで『風色ステップ』を披露。サイリュームを左右に振りながら笑顔で会場のファンとのひと時を楽しんだ吉岡は、各会場で行ったスタンプラリーについてトーク。「東京をイメージしたイラストを吉岡亜衣加画伯が腕をふるって描きました」といい、さらにバンドメンバーも同じテーマでイラストを描いたということで、そのイラストをクイズ形式で披露。矢吹の描いたスカイツリーや、坂の描いた東京都、岩瀬の描いた東京タワーなどは見事会場のファンにも伝わり正解者が続出したが、染川の“たくさんの人々”と福田の“ナベツネ(渡邊恒雄氏)”はまったく回答者が出ず。これに吉岡も「事件、事件!(笑)」とバンドメンバーをイジり、会場は笑顔で包まれた。
アンコール2曲目は『夢ノ浮舟』。イベントで考えたという振り付けをファンとともにやりたいという吉岡が、振り付けを「ちょっとダサいかもしれないけど許して(笑)」と語りながら実践してみると会場からは失笑が漏れる。しかし、「顔を作れば、怖くない。みんながいれば恥ずかしくない!」と押しきり、同曲を披露。高音を伸ばして会場を魅了しつつ、ファンといっしょに自身考案の振り付けを楽しむと「すごいキレがありました(笑)」とコメント。そしてアンコールラストナンバーとして披露するのは、自身のデビュー曲でもある『はらり』。吉岡の高音とやさしい歌声という彼女の特徴をどちらも堪能できる代表的なナンバーだ。満面の笑みで同曲を歌い上げた吉岡は、最後にバンドメンバーと手をつなぎ「ありがとうございましたー!」とファンに挨拶。鳴り止まない拍手の中、「また、コンサートで皆さんとお会いできるようにがんばりますので、これからもよろしくお願いいたします! 本日は本当にありがとうございました!!」と深々とお辞儀をした吉岡は、会場のファンに向けて手を振りながら笑顔でステージを後にした。
■“吉岡亜衣加コンサートツアー2013 薄桜鬼 歌響の宴”セットリスト
01. 光彼方(PSP用ソフト『薄桜鬼 黎明録 ポータブル』OP)
02. 闇の彼方まで(PSP用ソフト『薄桜鬼 ポータブル』OP)
03. 遙かな稲妻(PS3用ソフト『薄桜鬼 黎明録 名残草』)
04. 夢待ちの季節(アプリ『薄桜鬼 懐古録』OP)
05. 花びらの刻(PS2用ソフト『薄桜鬼 随想録』OP)
06. 時の栞(PSP用ソフト『薄桜鬼 随想録 ポータブル』OP)
07. 夕凪に願いを(PS3用ソフト『薄桜鬼 巡想録』随想録ED)
08. 太陽が生まれる場所(PSP用ソフト『薄桜鬼 〜幕末無双録〜』ED)
09. 紅い蜃気楼(PS3用ソフト『薄桜鬼 巡想録』OP)
10. 風遙か(PS2用ソフト『薄桜鬼 黎明録』OP)
11. ココニイル~虚空の果て~(PS2用ソフト『薄桜鬼 新選組奇譚』ED)
12. ねぇ、もしも2人が…(PSP用ソフト『薄桜鬼 遊戯録』ED)
13. 光の蝶(PSP用ソフト『薄桜鬼 随想録 ポータブル』ED)
14. 悠久の夜明け(PSP用ソフト『薄桜鬼 黎明録 ポータブル』ED)
15. 暁闇(PSP用ソフト『裏語 薄桜鬼』OP)
16. 天ノ華(テレビアニメ『薄桜鬼』ドラマCDテーマソング)
17. 決戦ノ刻(PSP用ソフト『薄桜鬼 〜幕末無双録〜』挿入歌)
18. 十六夜涙(テレビアニメ『薄桜鬼』OP)
19. 舞風(テレビアニメ『薄桜鬼 碧血録』OP)
【ENCORE】
En01. 風色ステップ(ニンテンドーDS用ソフト『薄桜鬼 遊戯録 DS』OP)
En02. 夢ノ浮舟(OVA『薄桜鬼 雪華録』OP)
En03. はらり(PS2用ソフト『薄桜鬼 新選組奇譚』OP)