上に立つ資格があるのかないのか。このゲームでわかる!?
2013年6月11日~13日(米国時間)、アメリカ・ロサンゼルスで開催されている世界最大級のゲーム見本市E3 2013(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ 2013)。任天堂ブースにて試遊できた『ピクミン3』(2013年7月13日発売予定)のプレイリポートをお届けする。
発売までついにあと1ヵ月近くとなった『ピクミン3』。シリーズ作としては、2004年に発売された『ピクミン2』以来で、約9年ぶりの新作となる。今回は、前作までの主人公だったオリマーに代わり、アルフ、チャーリー、ブリトニーの3人が主人公。本来は、3人の主人公を交替させながら進めていくのだが、E3の試遊版では主人公を交替させることはできず、アルフを操作してプレイすることになった。なお、プレイできたモードは、ミッションモードの“Collect Treasure”という、一定時間でどれだけのスコアが稼げるかを追求する内容。このモードだから主人公が交替できないのかはわからないが、交替はせずとも、本作では主人公の使いかたがカギとなるのは変わらない。
まずは『ピクミン』のシリーズで共通する内容をざっくり説明しておこう。主人公のアルフたちがピクミンを引っこ抜いて仲間にし、彼らに命令を与えて原生生物などを倒しつつ、さまざまなものを集めて宇宙船に回収するという内容である。要するに引っこ抜いたピクミンにうまく命令をしていくゲームなのだが、彼らをうまくコントロールするのが、本当に難しい……。と言っても、操作が難しいというわけではなく、彼らに的確に命令を与えるのが難しいのだ。「あっちのイチゴを持ち運びつつ、こっちの壁を破壊しといてー。あ、でも人数的にはイチゴは少なくていいので、壁をいい感じに多めにねー」と言葉で言えればいいものの、当然ながらピクミンたちに“いい感じ”なんてニュアンスは伝わらず、Wiiリモコンなどで的確な説明をすることになる。だが、それがうまくいかない場合、時間の管理はできず、ピクミンたちは命令されるまでその場に留まるという、典型的なぼんくら上司と成り果ててしまうわけで。要するに、どこにどれだけのピクミンを送り込むか、ということをつねに考えながら、その先の展開も見据えた指示を与えないといけないわけだ。なんてことを書いていると、ちょっとビジネスの“how to”みたいな感じになるが、本作をプレイしていると、本当に人材の使いかたがうまくなる気がしてくる。
改めて、今回E3で体験できた新作の説明をしよう。前述の“Collect Treasure”を始めると、アルフのそばには、チャーリーとブリトニーの姿が。彼らもピクミンのように投げられるのだが、投げてもとくに何かをしてくれるわけではない。ところが、投げた先に埋まったピクミンがいると、一心不乱にピクミンを抜いてくれるではないか! “Collect Treasure”では時間が決まっており、ピクミンは要所要所で埋まっているものを引き抜いて増やすことになる。しかし、埋まっている場所が離れた高台だったりと、そこまで自分で行くと時間がかかるような場所にあることが多い。そこで、チャーリーやブリトニーを投げて、ピクミンを抜かせつつ、自分は別の場所へ向かうことになるのだ。
チャーリーとブリトニーを投げ飛ばしつつ、自分は手持ちのピクミンとイチゴやリンゴを回収して、敵と戦っていく。そんな中で『3』から初登場の岩ピクミンや羽ピクミンと遭遇。ピクミンはもともと赤は炎に、黄色は電気に、青は水に強いのだが、岩ピクミンや羽ピクミンはそういった特徴とは大きく異なり、岩は固い身体でガラスなどの壁を壊せるし(攻撃力も強い)、羽は空を飛んで高低差を無視した働きなどができる。……となると、岩ピクミンで壁を壊し、赤、黄、青ピクミンでものを運び、羽ピクミンで高いところにあるものを回収するという、それぞれの特徴を活かした指示を出せば効率が非常にいいのである。いわば、それができる上司。しかし、実際は壁を壊すのに岩ピクミンに混じって赤ピクミンを投げ、ものを運ぶのに羽ピクミンと赤ピクミンを混ぜてしまい、けっきょく地上から運ぶしかないという、特徴を活かしきれないボンクラ上司のできあがりである。挙句の果てには、そのあいだ、チャーリーとブリトニーはピクミンを抜いたまま放置されたまま。ボンクラどころか上司失格ものである。
……でも、くり返しプレイしていくうちに、投げるピクミンを切り替えるボタンを使いこなせるようになり、Wii U GamePadに表示されたマップで、チャーリーとブリトニーがどこで待機しているかがわかってくると、ふとした瞬間に脳内でうまくいくルートが見え始めるのだ。「右の橋を開通させつつ、奥のアイテムを回収すれば、宇宙船に戻るときにチャーリーとブリトニーのピクミンも呼び戻せる!」と! この瞬間が最高に気持ちよく、「俺、デキる男!」と思ってしまうのもしょうがない。しかも、そう思えるほどの上達も、試遊の短時間にできたわけだから、感動だ。
ちなみに今回は、ヌンチャク+Wiiリモコンプラスで操作したが、Wii U GamePadだけでもプレイ可能。逆にヌンチャク+Wiiリモコンプラスで、Wii U GamePadを地図表示だけに使えば、友人にマップを見ながらルートなどをナビゲートしてもらうこともできる。
今回は、試遊の短い時間でのプレイだったが、実際にはストーリーモードでじっくりコツコツ進める楽しみかたも可能だ。3人の主人公の切り替え例などは、任天堂のホームページにある動画(→こちら)で、宮本茂氏が説明をしているので、本作が気になっている人はチェックするといいだろう。日本ではまもなく2013年7月13日に発売される『ピクミン3』。一度に複数の同時をこなしながら解決していく快感は、なかなかほかのゲームでは味わえない類のものだ。シリーズ未経験者はもちろん、前作までを遊んだ人も主人公が増えることで新たな体験ができるだろう。前作からの比較と言えば、やはりHD画質の恩恵が大きい。ピクミンはかわいいキャラクターだとしても、周囲の世界はリアルな自然を描いているだけに、リアルに描かれている背景と、その中で生きるピクミンたち生き物のギャップは、HD画質になってこそより活きるものだ。Wii Uユーザーならば、待望のシリーズ新作を、ぜひ遊んでほしい。
(C)2013 Nintendo ※画面は開発中のものです。