日本の本体価格のイメージはつかんでもらえたと思う

 E3開幕前日のカンファレンスで、プレイステーション4(PS4)の本体デザインや多数のタイトルラインアップ、欧米の本体価格などを公表したソニー・コンピュータエンタテインメント。発表は欧米向けの内容だったが、いよいよPS4の全貌が明らかになってきたと言える。それでは、日本では、どのような戦略展開されていくのか? ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジアの河野弘プレジデントに、E3開幕当日に話を聞いた。

■日本での発売時期、本体価格の発表は?

――まずは、さまざまな発表があった、E3開幕前日のカンファレンスの手ごたえから教えてください。
河野弘氏(以下、河野) 僕らはユーザーさん、ソフトメーカーさん、流通さん、メディアさんなど、さまざまなパートナーの皆さんとお付き合いをしていますが、現段階では、とてもポジティブな反応が得られていると感じています。ユーザーの皆さんからの意見を筆頭に、今回は、僕らに何が求められているのかをリストアップして、ひとつひとつ検討して練り込みました。その結果が出たのではないかと思います。

――同日には、マイクロソフトのカンファレンスもありましたが、他社への意識は?
河野 もちろん、まったく意識していない、ということはありませんが、他社の戦略を見たあとで、じゃあウチは……といったことは一切ありません。今回のカンファレンスでとにかく考え抜いたことは、これからの時代に何が求められているのか、引いてはゲーム業界に何が必要なのか、という本質の部分です。僕らの発表にウルトラCはありませんでしたが、期待に応えるための準備は怠らずにしたつもりです。

――いま、ウルトラCはなかったとおっしゃいましたが、欧米PS4の本体価格は、ポジティブな驚きで受け入れられました。カンファレンスでは明言されなかった、日本における発売時期と本体価格についてはいかがでしょう?
河野 いま言えることは、日本では、改めて、しっかりと発表するということです。とは言え、価格帯のイメージは、日本の皆さんにもつかんでいただけたと思います。あの価格に関しては、グループ内でもさまざまな意見がありましたが、最終的には、自分たちの都合ではなく、ユーザーの皆さんに支持が得られるかどうかがいちばん大事なんです。その観点から、みんなが納得して、あの価格に決まっています。

――日本でも、あの価格帯から大きく変わることはないということですね。気になるのは、発表の時期ですが?
河野 これからも大きなイベントが控えていて、8月にはドイツでgamescomがありますが、ここは、欧州向けの発表がメインになると思っています。

――そうなると、やはり9月の東京ゲームショウがターゲットになりますよね。
河野 東京ゲームショウよりも前の段階で発表するのか、それともタイミングを合わせるのか、そこはまだ決めていないんです。ただ、東京ゲームショウがとても大事なイベントであることは言うまでもありません。もちろん、ユーザーの皆さんに満足してもらえる場にしたいと強く思っています。

■PS3、PS Vita、PS4の販売戦略は?

――いまから、とても楽しみです。つぎに、PS4の日本市場における立ち上げかたについてお聞かせください。PS3がまだまだ現役で、PS Vitaも価格改定以降、好調に推移しています。そういった状況の中、どのような戦略でPS4を打ち出していくのでしょうか?
河野 いまおっしゃられた通り、PS3もPS Vitaもまだまだ現役で、元気です。PS3は、発売から7年が経ちましたが、コンスタントにハードが売れていて、多数のタイトルが予定されています。torne(トルネ)、nasne(ナスネ)といっしょに使われている方もとても多いですよね。ですから、PS3からPS4に急激にシフトすることは想定していません。もちろんユーザーニーズによって、PS3からPS4に置き換わることもあるでしょうし、2014年から、北米を皮切りにクラウドサービスが始まり、PS4でPS3タイトルが遊べるようになると、PS4の価値はさらに上がるとも思っています。ただ、いきなりそうなるものではありませんし、新しいハードを発売するから、古いハードから買い換えて、というのはメーカーのエゴ以外の何物でもありませんよね。

――PS3、PS4どちらかだけを積極的に打ち出すような施策はしない、ということですね。
河野 はい。PSファミリー全体の調和を大事にしたいと思っています。そのうえで、PS4は新ハードですから、新しい遊びかたの提案をどんどんしていきます。その部分に興味を持ってもらい、自然に手を伸ばしてもらえるならうれしいですよね。いずれにせよ、PS3がボーンと落ちて、PS4がガーンと伸びる、といったことは考えていません。

――あまり押しつけがましくなく、自然にPS4に興味を持ってほしい、と。
河野 そういうことです。それからPS Vitaに関しては、日本では年間150タイトルの発売を目標にしています。年末に向けて、タイトルはより充実していきますし、さまざまな仕掛けで大きな盛り上がりを作ることは、僕たちの大命題でもあります。PS Vitaは、PS4とも連動しますから、この点もしっかりお伝えしていく必要があります。

■日本のソフトメーカーの存在感

――カンファレンスでは、スクウェア・エニックスの2タイトルを始め、国産タイトルも存在感を発揮しました。この点については?
河野 野村さん(スクウェア・エニックスの野村哲也氏)に出ていただいて、映像が流されて、すばらしい反応がありましたよね。大きな歓声と拍手と笑顔。すごくうれしかったですし、あれは僕らの喜びでもあります。日本のゲームは遅れを取っているとか、言われることもありますけど、そんなことはないと存在感を示せたと感じています。それから、流行に乗ったゲームだけではつまらないですから、いろいろなタイプのゲームを皆さんに提示していきたい。それは、日本のソフトメーカーさんが得意とするところで、これからその存在感はもっと増していくと思っています。

――確かにそうです。期待したいところです。
河野 一方のプラットフォーマーには、ゲーム専用機で遊べるゲームは、ここまでスゴいんだ、おもしろいんだ、可能性があるんだとユーザーに認識してもらえるよう、アピールする責任があります。一般メディアの皆さんからは、家庭用ゲームの市場はどんどんしぼんでいくのでは? と聞かれることもあります。でも、そうじゃない。新しいプラットフォームが登場する際には、新しい遊びの提案ができます。市場の活性化にもつなげられます。

――ちなみに、ソフトメーカー各社のPS4に対する反応はいかがでしょう?
河野 すごくいいですね。「何か、おもしろいことをやってみたくなるね」と言っていただけています。PS Vitaもそうですが、開発側、エンジニアの皆さんが刺激的に受け止めてくれています。僕らとソフトメーカーさんは一心同体のパートナーですから、その期待に応えられるようにバックアップすることが、僕らの務めでもあります。

――また、カンファレンスでは、PlayStation Plusのサービス拡充についても言及していました。日本でも、同様にサービスを強化していくのでしょうか?
河野 そうなります。今年これから、かなり充実させていきたいと思っています。イメージとしては、PSフォーマットのファンクラブのような色合い。メンバーの皆さんに直接働きかけて、喜んでいただけるようなモノにしたいんです。過去の名作にスポットライトを当てる役割を担ったり、いち早く遊んでもらえる新作も出てくると思います。ほかにも、日本市場に適したサービスを展開して、皆さんに満足してもらいたいと考えています。

――中古対策、ネットワークへの接続に対して、積極的なアプローチを見せて、ポジティブな反響がありました。このあたりの戦略について、日本では?
河野 日本も基本方針は同じで、とくに物理メディアに対してはそうなります。

――シークレットにされていた本体デザインについて、河野さんのご感想は?
河野 個人的な感想ですが、長く使われるモノですから、飽きられるのはよくないですし、奇をてらうのもよくない。ただ、エッジは必要不可欠で、今回は、そこが効いていると思います。デザイナーのこだわりに応えるために、エンジニアが相当がんばったんじゃないかな。デザイナー、エンジニア双方のがんばりで形になった本体デザインだと感じています。

――最後に、新ハードPS4に期待している日本のゲームファンに、メッセージをお願いします。
河野 プレイステーションが、プレイステーションらしくあリ続けることが大事だと思っているんです。新しくて、ワクワクするような体験ができるハードにPS4はなりますし、ユーザーの皆さんの顔が見えるようなサービスも展開していきます。引き続き、ご期待ください。