約20名の“劇団ドリームクラブ”を選ぶオーディション
既報の通り、ディースリー・パブリッシャーの恋愛シミュレーションゲーム『ドリームクラブ』が、2013年8月に舞台化されることが決定した。その公演に向け、舞台に出演するホストガールを選ぶオーディションが、先日都内某所で開催された。その模様を少しだけ紹介しよう。
今回のオーディションには、10代から20代を中心に、関東以外でも大阪、神戸、愛知など、合計200名を越える応募が寄せられた。応募者は、すでに舞台などで活躍する女優、声優、グラビアアイドル、雑誌モデル、コスプレイヤーなどさまざま。これまでの選考で約100名に絞られており、今回のオーディションを経て、最終的に20名程度が合格となり、合格者は“劇団ドリームクラブ”を結成。配役は舞台に向けた稽古の中で決めていくとのことだ。
今回のオーディションは、“舞台ドリームクラブ”の演出・深寅芥(みとらあくた)氏、『ドリームクラブ』プロデューサー・岡島信幸氏、ドリームエックスクリエイト代表らが審査員を務め、オーディション参加者に熱い視線を送っていた。オーディションは基本的に5人ひと組で行われ、自己PRタイム、課題曲の歌唱審査、質疑応答、演技審査という順に審査された。まず、簡単な自己紹介とPRをした後、指定された課題曲から1曲を選んでの歌唱力の審査。課題曲は、実際にゲームで使用されている“夢見るCaged Bird”(亜麻音)、“Glory Days”(ナオ)、“時間(とき)のかけら”(るい)という、タイプの異なる3曲が指定され、のびやかな歌唱力を披露する女の子、振り付きで元気に歌う女の子など、それぞれに自分をアピールしていた。
また、演技審査は、深寅氏がみずから書き下ろしたというオリジナルの脚本が用いられた。見学させていただいた回は、亜麻音、雪、玲香、ナオ、魅杏が登場するもので、深寅氏から指名されたホストガール役で、しっかりとした演技を披露していたぞ。
▲オーディションは5人ひと組で、質疑応答や課題曲の披露などが行われた。
▲特技を披露する参加者や……。
▲振り付きの課題曲に代表もノリノリ。
▲勢いに乗った代表が、演技指導する場面も。
▲しかし、我を忘れて暴走モードに突入。
舞台の成功のカギを握るキーマン3人にインタビュー
▲左から、深寅芥氏、岡島信幸プロデューサー、ドリームエックスクリエイト代表。
オーディションでは審査員も務めていた、演出の深寅氏、岡島プロデューサー、そしてドリームエックスクリエイト代表という3人のキーマンに、まだ全貌が明らかにされていない“舞台ドリームクラブ”について、インタビューを敢行した。
--『ドリームクラブ』の舞台をやろうと思ったきっかけは何ですか?
深寅 私はこれまでに“空間ゼリー”という女性だけの劇団や、ハロープロジェクトの演出や演技指導をやっていたのですが、女性やアイドルの演出に実績のある自分のキャリアを活かせる原作がないか、と考えていました。そのときに出会ったのが、『ドリームクラブ』という作品なんです。
岡島 最初は、まさか『ドリームクラブ』に舞台化のお話をいただけるとは思っていなかったので、たいへん光栄なお話でした。それと同時に、『ドリームクラブ』は2Dの絵が3Dのようにリアルに動くのを目指した“2.5D”という表現方法だったのに対し、今度は3D、本当の実写になるということで、『ドリームクラブ』のファンの人たちがどのように受け取ってくれるのか、それも興味がありますね。
代表(岡島氏に耳打ち) フッフッフ、『ドリームクラブ』は、2Dだろうが3Dだろうが“ヌケ”はないので万全だよ。100%、感動作になるのは間違いないぞ。
--今回の舞台は、どのようなストーリーになるのですか?
岡島 じつは僕も全然知らないので、楽しみにしているんですよ。
深寅 ストーリーは、僕が複数の脚本家に依頼をしているところです。その中で、選りすぐった脚本を舞台化しようと思っています。
代表 今回のステージに男性がいるかどうかはまだ分からないが、もしいるとしたら、それはきっとピュアな男性諸君の代表に違いないだろうよ。きっと感情移入できるはずだ!!!
岡島 どんなジャンルの話になるか、まだ決まっていないんですよね? 『ドリームクラブ』殺人事件かもしれないし(笑)。
--深寅さんは、『ドリームクラブ』についてどんな感想をお持ちですか?
深寅 まず、ひとりひとりのキャラクターの設定が細かいと思いました。楽曲も、キャラクターに合わせたステキなものばかりです。それに、店内でのコスチュームも魅力的ですが、店外でホストガールが着ている私服にも細かい設定があります。そういったところも活かしていきたいと思っています。
--もしかして、舞台でコスチュームチェンジができるのですか?
深寅 店内がどうなるか、店外のシーンがあるかのは決まっていませんが、私服も含め、ゲームの設定を大切にしたいと思っています。
代表(岡島氏に耳打ち) じゃ、“裸エプロン”だな……(ボソッ)。
深寅 “温泉シーン”もですよね(笑)。
代表(岡島氏に耳打ち) “貝殻ビキニ”もみたいなぁ……(ボソッ)。
深寅 (笑)。まずはキャラクターの設定をしっかりと活かしていきたいですね。もちろん、“ドリームクラブ”というお店も活かしたいと思います。
岡島 チケットは、ピュアな心を持っていないと買えないですよね?
深寅 はい(笑)。ゲームでは本命のホストガール以外に、ほかのホストガールと仲よくなっていないとトゥルーエンドに行かないのですが、そういった設定も活かしたいと思っています。
--ちなみに深寅さんが好きなホストガールは誰ですか?
深寅 スタイルを取るか、性格を取るか、悩むところですね(笑)。
代表 それは、とてもピュアな意見だと思うぞ。
深寅 スタイルで選ぶと、やはり“るい”先生ですね。性格だと、“ノノノ”かな。ほかには、見た目では(笑)“亜麻音”。ピュアなお嬢様系が好きなんです。
--オーディションの感想はいかがですか?
岡島 声のキャスティングのオーディションはありますが、こういう経験は初めてで、振り付きで歌ったり、演技を勉強している方々ばかりで、感心しながら見ていました。この子はホストガールの“○○”に合いそうだな、と思いながら。
代表 フフフ。オーディションは、ピュアな目で見ていたよ。
深寅 オーディションを一般公募にしてもらったのは僕からのお願いです。ゲームでは、プレイヤーが初めてのお客さんになることが多いのですが、だんだんと親密になっていく感覚が大事だと感じました。ですから、舞台に馴れている人を出すよりも、むしろたどたどしい感じが出たほうがいい。“劇団ドリームクラブ”と名乗らせていただくのもチームプレイや仲間意識を考えてのことで、見る側もそれにリンクして楽しんでもらえればいいなと思っています。
--ちなみに、今回のオーディション合格者が、新作の『ドリームクラブ5号店(仮)』に出演したりしますか?
代表 オイオイ。そんな重要なことを、こんなところで明かせるわけがないだろう?
--では、最後にメッセージをお願いします。
深寅 代表が目指していた“2.5次元”のゲームを、実際にプレイして、触れて、感じた部分があって、今回舞台化したいと思いました。舞台の魅力は、“コピーをすることができないもの”ところにあります。いわば、アナログ中のアナログで、劇場の中でしか提供できないものです。今回の舞台も、たくさんの原作のファンやお芝居が好きな方に、“ドリームクラブ”という、同じ劇場、空間にいるという“空気”を感じ取っていただける作品にできればと思っています。
岡島 僕は代表の言ったことを実行する立場なので、深寅さんの言われた“演出家魂”とうまく折り合いがつくようにがんばりたいと思います。誠心誠意調整します(笑)。
代表 舞台に対する思いは、全部深寅クンに言われてしまったな。“me too”だ。そういえば、代表役のオーディションはどうなっているのかな?
深寅 いや、オーディションは必要ないですよ(笑)。
代表 へっ? 出ていいの……?
▲『ドリームクラブ』もしっかりやり込んでいる、演出の深寅芥氏。
▲代表は、岡島プロデューサーに耳打ちしながらの取材対応。