豪華対談が実現
ゲームオンが運営するオンラインFPS『Alliance of Valiant Arms (以下、AVA)』は、世界ボクシング評議会(WBC)スーパーフライ級チャンピオンである佐藤洋太選手の3度目の防衛戦のスポンサードを行うと発表した。
「なぜFPSがボクシング世界戦の協賛を?」と疑問に思う人もいるかもしれないが、どちらも“世界を相手に戦う競技”という共通項がある。『AVA』は世界的な人気を誇るタイトルで、2013年2月に開催された世界大会“Alliance of Valiant Arms International Championship 2013(AIC2013)”では、日本代表クラン(チーム)のDeToNatorが準優勝に輝いた。日本ではトップクラスの実力を誇るDeToNatorだが、世界の頂点に立ったことは一度もない。
参加国のなかでもとくに強敵なのは韓国と台湾の代表。どちらもプロチームであり、個々の実力、連携ともに、ほかの国より頭ひとつ抜けている印象がある。DeToNatorは“AIC2013”では韓国チームを撃破しているので、絶望的な実力差があるわけではないが、なかなか世界の頂点には手が届かない。
その突破口を探るべく、日本のプレイヤーの支援を積極的に行う『AVA』日本運営プロデューサーである井上洋一郎氏は、佐藤洋太選手と『AVA』トッププレイヤーによる対談の場をセットした。世界チャンピオンとして2度も挑戦者を退けている佐藤選手から、勝ち続けることについての心構えやプロとアマの差を聞ければ、世界で戦うためのヒントを見つけ出せるかもしれない。
<<対談出席者>>
協栄ボクシングジム所属のWBCスーパーフライ級チャンピオン。5月3日にはチャンピオンとして敵地タイに乗り込み、自身3度目の防衛戦に挑む。
協栄ボクシングジムに所属する若干17歳のプロボクサーで、若手の注目株。『AVA』プレイヤーということもあり、今回の対談に参加。
『AVA』の実力派クラン、DeToNatorのリーダー。5月3日に実施される国際親善試合“AVAIFM 2013”では、以前の大会で敗戦を喫した台湾チームへのリベンジを誓う。
DeToNatorチームマネージャー。自身ももともとはプレイヤーだったが現在は一線を退き、チームのサポートに注力している。
『AVA』日本運営プロデューサー。プレイヤーたちに世界戦の場数を踏ませるという意味も込めて“AVAIFM 2013”を企画した。
プロフェッショナルとアマチュアの意識の違い
井上 『Alliance of Valiant Arms』(以下、AVA)プロデューサーの井上洋一郎です。本日はよろしくお願いします。『AVA』は対戦がすごい盛り上がりを見せているオンラインゲームで、5月3日には韓国、台湾の代表チームを招いて国際親善試合を行います。世界と戦うという点ではプロボクシングは先駆者です。プロとして戦う心構えを、まだプロとして戦っていない彼ら(Darkよっぴー選手を含む『AVA』プレイヤー)に教えていただきたいと思って、この対談の場を設けさせていただきました。
MaxJam まずは私たちのチーム“DeToNator”を紹介させてください。『AVA』の大会には“爆破モード”と“護衛モード”というふたつの部門があります。日本でいちばん盛んに行われているのは“爆破モード”で、DarkよっぴーはDeToNator爆破部門のリーダーをやっています。僕も以前はプレイヤー側だったんですけど、2011年12月に後楽園ホールで行われた大会で優勝してからは一線を退いて、チームのマネジメントに徹しています。いまはこの子どもたちをまとめて、ゲームオンさんといっしょに、イベントなどを盛り上げていきたいという思いで活動しています。
Darkよっぴー 僕たちDeToNatorはアマチュアとして活動していますが、今後はプロになりたいという意識や目標があります。佐藤選手にも前川選手にもアマチュアの時代があったと思いますが、アマとプロの意識の違いはありましたか?
佐藤 あったと言えばありましたね。やっていることはプロもアマも同じですけど、細かいルールは違くて。負けたくないという気持ちはプロになって大きくなりましたね。
MaxJam プロになるとまわりの環境が変わって、背負うものが増えるじゃないですか。いちおうは自分たちもチームの名前を背負ってますけど、本当にお金や生活がかかっているわけじゃない。仮にプロを目指すとなると、いつかは直面する問題です。その変化を実感したきっかけはなんですか? 「あー、これじゃだめだ!」みたいな。
佐藤 僕はちょっとほかのボクサーとは違う感覚でボクシングをやっていると思うんですよ。遊び感覚というか、おもしろい遊びだと思ってますから。
MaxJam 楽しいから続けられる、それでも負けたくないということですか?
佐藤 もともとは学生のころに、部活としてアマチュアボクシングをやっていました。「できれば負けたくないな」くらいの気持ちで。高校生になってインターハイや国体に出場して、自分なんかが優勝できるわけがないと思っていたんですが、国体では3位になれました。そしたら大学推薦が決まって。まぁ、認められたんですね。それまでは何かに認められることなんてなかったから、悪くない気持ちでした。そのまま流れに乗って大学に行ったんですけど、自分の意思はあまりなかったと思いますね。両親は喜んでくれましたけど。でも、すぐに遊びに夢中になって、ボクシングもやらなくなったんですよ。これじゃいけないなと思って、大学を半年で辞めたんです。それで、「プロになろう」って。ただ、プロになると言っても、でかい決意があったわけじゃないんです。ただ、ボクシングが好きで。大学のころはアマチュアのルールが肌に合わなくてやらなくなったんです。
MaxJam なるほど。
佐藤 アマチュアボクシングは神聖なスポーツみたいな考えかたがあって、しっかりやらなきゃダメなんです。派手に喜ぶのもダメですし、髪が長すぎるのもダメ。それで、プロで自由にやれたらおもしろいだろうなと思ったんですよ。やるからにはチャンピオンになりたいという気持ちはありましたけど、「絶対プロボクサーとして食っていく!」みたいな気持ちはなかったです。で、デビューして、いきなり負けました。やっぱり悔しかったので、それからはストイックにやろうと思いました。デビュー戦後は5連勝できたんですが、7戦目でまた負けたんです。「あんなにやってきたんだから勝ちたい」という気持ちが強すぎて忘れてたんですよ、楽しむことを。それから柔らかく考えるようにしたら、今度はそれがうまくはまりました。
MaxJam 気持ちの切り替えがうまくいったんですね。
佐藤 そもそも、自分の人生を楽しむためにボクシングをチョイスしたわけです。ボクシングのせいで人生が苦しくなるのはおかしいですからね。だから、楽しきゃいいやってスタイルでいこうって、高校生のときの気持ちに戻ったんです。そしたら順当に勝てて日本チャンピオンになって、そのまま世界チャンピオンになっちゃったんですよ。僕としては部活の延長みたいな感覚でやってるだけなので、「プロボクサーってすごいね」とか「まだ仕事も続けてるんだ、偉いね!」とか、褒められたりするのは変な感覚ですね。
MaxJam ふつうにお仕事も続けてるんですか?
佐藤 たまに「ボクシングに集中しなよ」って言われるんですけど、練習は夕方から夜にかけてなので、辞めたら昼間にすることがなくなっちゃうんですよね。話が長くなっちゃいましたね、すみません。
MaxJam いやいやいや、それが聞きたいんですよ! いま、かなりいいこと言ってますよ!(笑)
佐藤 それならよかった。世間様が求める「プロとしての自覚を持ちなさい」という固定観念に縛られるのは窮屈ですよね。すべてを受け入れすぎないのも大切というか、人それぞれのやりかたがあると思うんです。もちろん、プロの意識を持ってプラスになる人は持っていたほうがいいですよ。僕の場合、持ったらマイナスになってしまったんです。
MaxJam その違いは紙一重というか、自分の考えかたひとつで、どっちにも転んでしまうってことですね。
佐藤 ロンドンオリンピックで金メダルを獲った村田選手はアマチュアボクサーですけど、意識は僕以上にプロだと思うし。だからまぁ・・・プロとアマの明確な違いはないと思うんですよ。(※対談は2013年4月3日に実施されました)
MaxJam 自分の気の持ちようで、それがまわりにどう捉えられるかっていう。
井上 自分に合っている方法を選択して、スタイルを確立して、それで表現していくのがプロなのかもしれないんですね。
佐藤 あっ、そうだ。プロとアマのいちばんの違いは、お金を払って見に来てくれる人がいることですね。だから、それなりのものを見せたい、見せなければいけないという気持ちはあります。大晦日の試合(2012年12月31日に行われた2度目の防衛戦)はテレビ放送もあって、会場にもいろんな人が観に来てくれました。大晦日って忙しかったり家でのんびりしたい日ですけど、わざわざ会場まで来てくれて、さらにお金まで払ってくれて。やっぱり楽しませなきゃなって気持ちは湧きますね。これが僕のなかでの“プロ意識”ってやつかもしれません。でも、プロ意識が出てくると、勝率が下がるんですよ。勝ちに徹すると、どうしてもおもしろくない試合になっちゃいますから。「負けたくないけど楽しませたい」っていう葛藤がどこかにあって。
Darkよっぴー わかる気がします。
佐藤 そのときの相手は僕のライバルで、すごく好きなボクサーだったんです。だから、いい試合にしたかったんですけど、全部を考えると線引きは難しかったですね。負けないように自分も楽しんで、お客さんにも楽しんでもらって。そしたら、すごく中途半端なところで線を引いちゃったんですよ。リスクを冒さず、そこそこおもしろくみたいな。プロの考えかたも人それぞれですけど、僕としてはあれはプロらしくはなかったなと。やっぱりお金を払ってもらっている以上、最低でもチケット代ぶんくらいは楽しませたいですよ。その点では大晦日の試合は3000円のチケットだったら、価値は1000円くらいだったかな。
Darkよっぴー 佐藤選手の場合、自分の考えかたを貫いたら強くなれたということですね。
“楽しむ”という大きなキーワード
Darkよっぴー 勝ち続けていくなかで、壁みたいなものを感じたことはありますか?
佐藤 壁ですか。・・・ありましたね。「最近、弱いな。こんなもんかな」と思えてきて、伸びしろが感じられなくなって。ほかのジムの選手とスパーリングしてもやられちゃったり。
MaxJam へぇ~、そういうときってあるものなんですね。
佐藤 好きなボクシングも、弱いとおもしろくないんですよね。強くなるためにツラいことも我慢して必死に練習して・・・ってなると、ボクシングが楽しくなくて練習が億劫になるっていう悪循環になるんです。それで、やめちゃおうかなって思ったときもありました。その壁をどうやって抜けたかって言うと、ジムメイトと仲がよかったから。友だちに会いに行くみたいなもので、何だかんだでジムに来ちゃうんです。せっかく来たから練習でもするかってダラダラ練習を続けてたら、パッと「あっ、こうやればいいんだ」って開けた感じがして、そんなにやられなくなって。勝ちかたが見えてきたら、またおもしろくなりました。(前川龍斗選手に向かって)お前もなんかしゃべれよ。
一同 (笑)
MaxJam DeToNatorの爆破チームのメンバーは5人で、みんな21~23歳くらいなんです。仕事や学生をしながら活動しているんですが、ちょうどそういう壁にぶち当たってて。勝ちたいけど、自分たちがどこまでやれるかわからないという状態で。5人が5人とも、毎日そういう話をしているんです。もちろん、意見の対立もあります。プロや世界一という目標があるなかで、いまのお話はすごくリンクすることが多いなと感じました。ゲームだからみんな楽しくやりたいのは当然です。日本はまだ職業的なプロゲーマーのシステムが整っていないんですが、ヒントをもらえた気がします。非常にグッと来るものがありました。
佐藤 どういうところにグッと来ました?
MaxJam やっぱり“楽しむ”というキーワードに関しては、聞いてて「あっ、なるほどな」と思いましたね。そういうバランスって難しいじゃないですか。やらなきゃいけないことを楽しみたいけど、壁にぶつかってしまう。いまのチーム状態でも、そういう悪循環があったりするんですね。
佐藤 ゲームもそうだと思うんですけど、多少は勝てないとつまんないですよね。どんなにやっても全敗だったら、そのゲームはやりたくないと思いますよ。ただ、自分だけが強すぎてもおもしろくはないですね。
井上 ライバルというか、乗り越えたい相手がいないとモチベーションを維持するのは難しいですよね。
MaxJam やっぱりジムメイトやほかのボクサーの存在は大きいですか?
佐藤 でかいですね、やっぱり。こいつに負けたくないなとか、こいつにはぜんぜん負ける気がしないなとか、こいつとやるときはちょっと遊んでやろうとか。こいつ(前川選手)はいまのライバルだと思うんですよ。末恐ろしい17歳です。正直な話、けっこうマジにやらないとつぶせないんですよ。いまのうちにこいつのメンタルにくさびとか杭を打ち込もうと思ってますからね。
一同 (笑)
佐藤 じゃないと将来的に牙を剥いてくるんじゃないかと思いますよ。たとえば10年後、こいつは27歳で、僕はいま29歳なんで39歳じゃないですか。ふつうにやったら勝てないと思うんですよ。そうなったときでも、いまのうちに叩き込んでおけば頭が上がらないはず(笑)。そう思って、いま本気でつぶしにいってます。まぁ、これは極端な話ですけど、いろいろ考えてボクシングをするのはすごく楽しいんです。このあいだは1分で倒したら、いっちょまえに悔しそうでした。
MaxJam それも愛情ですよね。
佐藤 いや、愛情なんかじゃないですよ。敵です、敵(笑)。でもまぁ、こういう相手がジムにいるのはおもしろいですね。
Darkよっぴー ライバルが身近にいるというのはいいですね。
佐藤 スパーリングの相手とか、予定を組んでスケジュール表に書いておくタイプの選手は多いんですけど、僕はまずジムに来て、そのときにいる人とやる感じですね。
MaxJam スパーリングもガチですか?
佐藤 僕たちはトレーナーに判定をしてもらって、試合形式でやります。龍斗は今度トーナメントに出るんで、そのルールに合わせて4ラウンド形式で。1ラウンド1ポイントみたいな感じで、3ラウンド取れば勝ちっていうルールです。2ラウンド先取した場合、残り2本取られたらドローですよね。僕は1、2と取って、3は捨てて、4を取りに行ったりするんです。こういう遊びのなかでいろいろ発見することもありますよ。
井上 『AVA』というゲームも、毎回毎回戦った結果が出るものなので、勝ちたい気持ちが強い人も多いんです。前川選手も遅くまでやられているみたいですけど、「勝ちたい勝ちたい」と思って朝までやったりとかしているのかなと。
MaxJam 『AVA』にとってはいいことだけど、生活にとっては悪循環(笑)。
井上 中高生も含めて、そういう子もけっこう多くて。対戦ゲームなので、みんなムキになって朝までやるような人が最近は多いです。これで大学を中退したという人もいて・・・ごめんなさいというか。
佐藤 それでいいんじゃないですか? それで自分の生活を崩しちゃうのは本人の責任じゃないですか。(前川選手の)生活がゲームで崩れるのが楽しみですね。
一同 (笑)
佐藤 弱くなってくれたら万々歳ですよ。
MaxJam 先ほど年齢の話が出ましたが、私はいま38歳なんですね。33歳で『AVA』を始めて、FPSのプレイヤーとしては遅い部類に入るんです(注:海外のプロプレイヤーたちのあいだでは、ピークは20代前半と言われている)。37歳のときに日本大会で優勝できて、ジジイがいつまでやってんだみたいな時期もあったんですけど。「衰えを感じてきたからトレーニングをもっとしなきゃ」とか、そういう感覚はありますか?
佐藤 衰えは何も感じないんですよ。いつも、いまがいちばんいいときです。ボクシングにしても私生活にしても、いまがいちばんいいですね。
Darkよっぴー 昔の自分と比べて、「これができなくなった」とかはないですか?
佐藤 ないですね。趣味でスケボーをやっているんですけど、スケボーもいまがいっちばんうまいですよ。
井上 スケボーの大会に出ようとか思います?
佐藤 本当に好きでやってるんで、そういう気持ちはありませんね。楽しくないときはやんないし。仲間と公園に行っても、やる気がしないときはそのへんに座ってずっとしゃべってたり、その自由さが好きなんです。スケボー友だちにも30代後半から40代くらいの人もいますけど、スケボーもけっこうハードなスポーツなんですよ。階段を飛ぶのは無理だなと思ったら、体にやさしい技をやるんです。ボクシングにしてもスケボーにしても、年齢を重ねると小狡さが出るんですよ。そういうプラスの面もあるので、いまはベストなバランスだと思います。
Darkよっぴー そういう面も含めて、いまが最高のときと感じているわけですね。
佐藤 もしかしたら、1年後には「いや、いまが最高」みたいに言ってるかもしれないけど。
Darkよっぴー FPSの場合、歳を取るとどうしても反射神経が落ちると言われていますね。それでガチでやるのを諦めたりとか。仕事とかの関係もあるんですけど。そういう衰えもないですか?
佐藤 まるで感じないですね。ただ、やっぱボクサーって殴られるじゃないですか。殴られるとダメージが蓄積されていって、反射神経が遅くなったり、体のキレが悪くなったりするのはあるらしいです。僕はアウトボクサーっていうディフェンス主体のタイプなんで、そんなに殴られてないんです。龍斗はあと2~3年すればもうね。毎日殴ってダメージを蓄積させてますから(笑)。
前川 (笑いながらうなずく)
井上 佐藤選手がベストな状態のときにもまれているっていうのは楽しいですか。
前川 はい、楽しいですね。
井上 何とか佐藤選手を抜きたいですよね。
前川 はい。
佐藤 もっとしゃべれよ~(笑)。
井上 まだ17歳ですからね。僕が『AVA』のプロデューサーとしてDarkよっぴー選手に初めて会ったのが19歳のときで、それから4年くらい経ちますね。敵に照準を合わせてマウスをクリックするのがFPSの基本動作なので、反射神経がすごく大切です。19歳くらいのとき、この反射神経速度を計測すると、だいたい0.15という数値が出ますが、そこから先は0.18以下に落とすのはたいへんなんです。30歳を過ぎるともう0.20を超えてしまうような状況で、反射神経の衰えを如実に感じてしまうジャンルなんですよ。
佐藤 それは技術や経験でカバーできないんですか?
井上 公式戦は1チーム5人なので、声を出して敵の位置を伝えたり、情報を共有してカバーしていくんです。5人の連携力が重要なんですよ。
佐藤 やっぱり「反応速度は遅いけど連携がやたらとうまい」みたいなプレイヤーもいるんですよね。
Darkよっぴー そうですね。チーム力が高いというか。連携もそうなんですけど、ボクシングと同じでいろいろな戦いかたがあるんです。ズル賢く立ち回っていけば、反応速度が遅くても善戦できます。
佐藤 0.30くらいでも?
Darkよっぴー ぜんぜん戦えますね。有利なポジション、不利なポジションっていうのがあって、有利なポジションを駆使すれば問題ないですよ。
MaxJam 30歳過ぎたら0.20を超えるっていう話がありましたけど、私はまだ0.18とか出せますからね。年齢じゃないっす!(笑) たまにチームのメンバーともタイマンやったりするんですよ。反射速度は負けますけど、撃ち合いのズル賢さと経験でカバーできます。その代わり集中力がね。いままで1時間できたのが、いまは10分まで。ぎゅっと縮まるようにはなったんですけど。
佐藤 たとえば『AVA』の世界で、作戦とかをまったく考えないんだけど反射速度は0.01とか、ものすごい神の域にまで達しているようなプレイヤーはいるんですか?
MaxJam 反射神経が突出している人はときどきいますね。
井上 中学生くらいに多いですね。
MaxJam 若さに任せて。
佐藤 でもやっぱり、考えが足りない人もいると。こいつ(前川選手)ですね、それ(笑)。
井上 ボクシングは12ラウンド戦いますよね。あえて様子見に徹するラウンドがあったり、負けるラウンドがあったり、ペース配分は考えるものですか?
佐藤 頭を使うタイプと、最後までポイント計算しないタイプがいます。ボクシングって「試合が終わるまで自分で計算するな」と、よく言われるんですよ。僕は悪い癖があって、計算してさぼっちゃう。たまに計算ミスして負けちゃう。そういうのって私生活で身についていくものですよね。龍斗にもう少し人生の経験値があれば、ボクシングの経験値も上がっていく。能力はズバ抜けて高いんですけど、そういう駆け引きが苦手。でもまだ17歳ですからね。20歳くらいになったらガラッと変わりますよ。僕としては、ボクサーも多少は遊んでたほうがいいと思います。
MaxJam ボクサーってストイックなイメージがありますけどね。
佐藤 そうするとやっぱり、人生の経験が足りなくて、ボクシングの引き出しも少なくなってしまう。
MaxJam 遊びのなかでいろんな人と知り合うことによって考えかたとか刺激を受けたりとか、そういうことにつながりますよね。
井上 関係者と話をしていると、プレイヤーの引き出しはもっと増やしてほしいという話題は出ます。遊びの幅を広げないとダメだねと。いろんな局面を長い時間戦うので、同じことをやっていると対応されちゃうじゃないですか。だからこそ、引き出しの多さは非常に大事だと思っていて。引き出しを多くするためには、引き出しが多い人たちと多く戦わなきゃいけないということで、国際試合を頻繁に企画しています。日本のなかだけで戦っていると、どうしても戦いかたが均一化されてしまうんですね。佐藤選手が先ほど仰っていたアマチュアボクシングの礼儀や神聖さじゃないですけど、同じスタイルでやるというのが、日本人の気質なのかなと思って。だからこそ、外に出て戦っていくのが本当に大事なことなのかな。やっぱり、いまの環境とは違う刺激を受けるのがすごく大事だと思います。
佐藤 日本人は真面目ですからね。どうしてもセオリーを大事にし過ぎるんです。そうなると対応されやすくなる。いろんなものを柔軟に取り入れるために外国に出ていくっていうのはいいと思いますよ。
井上 海外で修行したことは?
佐藤 僕はないですね。
井上 前川選手は?
前川 あります。
佐藤 こいつはタイでデビュー戦をやって、いま3戦3勝、フィリピンでも1戦1勝です。日本だとプロには17歳以上じゃないとなれないんですけど、タイだともっと若くても大丈夫なんですよ。こいつは15歳でデビューしてるんです。ちょっと生き急いでます(笑)。
井上 早く大人にさせようみたいな。ゲームの運営側としては、選手にもっといろんな環境を提供したいと、改めて思いました。
それぞれの練習スタイル、かける時間
Darkよっぴー 先ほどお仕事をされていると仰っていましたけど、ボクシングとそのほかの時間配分はどうやっていますか? 練習は夕方からなんですよね。
佐藤 昔から練習は夕方スタートだったんで、その流れですね。夜に練習するプロって多いんですよ。みんな夕方まで働いて夜から練習。夜に働いて昼に練習してから寝るってやつもいるんですけど、人間のリズム的に昼は起きてたほうがいい。そういうのもあって、ガソリンスタンドで18歳から働いています。選んだ理由は、7:00から働いて17:00に上がってジムに行くリズムが作りやすかったんで。いまはチャンピオンになったんで、生意気にも7:00~12:00なんですけどね。それでも7:00に出勤するというのが大事です。チャンピオンになったお祝いとして遊びに行っても、6:00には起きなきゃいけないんで、戒めにもなりますよね。いろんなところにお呼ばれして長くなりそうなときも「明日仕事なんで」って帰れます。働いていると都合がいいですよ、お金ももらえますしね(笑)。
井上 6:00に起きて7:00に出社っていうスタイルは18歳のときからですか?
佐藤 そうです。もちろん人並みに休むときもありますけどね。チャンピオンになるまではお金もなくて生活がたいへんだったんで、最低限の収入の目標もありましたけど、それ以外は自由にやってました。
MaxJam ジムはほぼ毎日?
佐藤 月曜から土曜が練習で、日曜が休みです。疲れが溜まっているときは休みますけど、基本は週6日です。
Darkよっぴー だいたい何時間くらいボクシングの練習をするんですか?
佐藤 短いですよ。僕は短期集中型なんで。ほぼスパーリングしかしないと言ってもいいくらい、スパーリング中心で練習してます。
MaxJam 走ったりとかも、あまりしない感じですか?
佐藤 試合前はしっかり走り込みますけど、それ以外はあまり走らないですね。この話は怒られちゃうんで、あんまり・・・。
一同 (笑)
佐藤 キャリア的にベテランの域に入ってきたんで、抑えるところは抑えないと。ボクシングってやっぱりハードなんです。だから、ガッて詰め込んで練習するとバテちゃうんですよ。そこをうまく抜くのは達人の域です(笑)。絶対、疲れは溜めないですよ。
Darkよっぴー 短時間でやるのが佐藤選手にとってのベスト、ということですよね。
佐藤 スパーリングを長いラウンドやると、それだけでかなり消耗しますからね。たとえば、3分を8ラウンドやったとすると、時間にしたらインターバル入れても30分くらいですけど、けっこうキツいんです。そのあとにミットを打ったり、4ラウンドのスパーリングをやったりして、1時間くらいですね。お前はどのくらい?
前川 1時間30分くらいだと思います。
佐藤 たぶん、1時間30分から2時間くらいが平均だと思います。
Darkよっぴー 長い時間をかけるより、効率を重視している感じでしょうか。
佐藤 カロリー消費って言うんですかね。たとえば、世界戦の12ラウンドに合わせた練習をすると、2.5キロとか体重が落ちますよ。いままでのマックスで2.8キロ、3キロ近く落ちたこともあります。それくらい消耗するわけです。長くやり過ぎても疲れるだけですし、ケガをするスポーツですから。あとはまぁ、僕は仕事が固定されてますけど、人間、何かに縛られてないとダレちゃいますから。だから、仕事は大事にしてます。あとは遊び。空いた時間はちゃんと遊ぶ。遊びって言ってもスケボーしかしないから、1日中動いてますね。
MaxJam スケボーが体を動かしている準備体操と言うか、なまらない役目になっているんですかね。
佐藤 とくに、これをやってればなまらないとか、そういう意識があるわけではないですね。ただ、スケボーがないと、なにして遊んでいいかわかんないです。
MaxJam 『AVA』でもやってみたらいかがですか? って、こういうのは井上さんが言わないといけないんじゃないの?(笑)
佐藤 僕、じっとしてらんないんですよ。ふだんはテレビとかまったく見なくて。座ってられないんです。動いてないと。多動症候群だよって言われるくらい。小学生くらいの子どもに多いらしいですよ。
井上 ずっと手を動かすゲームなので、ぜひ『AVA』をやっていただいて・・・。
MaxJam そこに先生がいるじゃないですか。立場が逆転するかもしれないですね。「ちゃんとやってよー」とか言って(笑)。で、「あんなこと言いやがって」って、ジムでやられちゃう。
井上 前川選手は働いてたりするんですか?
前川 はい。PCを使って協栄ジムのお手伝いを。
井上 時間は決まってるんですか?
前川 12:00からです。
井上 夜中の3:00まで『AVA』をやって朝のロードワークをして、11:00起床みたいな感じでしょうか。いっしょにロードワークをされたりするんですか
佐藤 そういうのはいっしょにはしませんね。僕、家が遠いんですよ。こいつはジムの近所なんですけど。朝は仕事がありますしね。僕は走るのは夜派なんですよ。
MaxJam へ~、そうなんですか。ボクシングって朝に走るイメージが何となくありますよね。
佐藤 そういうのが定説っていうか、ふつうって言われてますけど。
井上 もしかして、ジムから走って帰ったりとか?
佐藤 いやいやいやいや! 25キロありますから(笑)。
Darkよっぴー 僕らのチームはいま、僕を含めて5人中4人が社会人なんですね。同じように朝から仕事をして夜に帰ってきて、22:00から24:00くらいまで2時間みっちり練習する感じなんですけど、そういう意味では短期集中型というのは似たタイプかなと。あとはいかに効率を考えながらやるかって感じですね。
井上 佐藤選手の場合、スパーリングをする相手によって引き出しを増やす取り組みだったりとか、テーマを持ちながら練習するんですよね。
佐藤 そうですね。今日はカウンター狙ってみようとか、ちょっと攻撃的に行こうとか。あとはラウンドによって変えていきます。4ラウンドのスパーリングだったら、1ラウンド目は好戦的に、2ラウンド目はディフェンシブに、3ラウンド目はカウンター狙いとか。ただ、ほかのジムの選手だったり、初対面でどんなタイプかわからないときは、とにかくつぶしに行きます。1発目って二度と訪れない瞬間じゃないですか。2回目からは「あっ、この前はこうだったな」って絶対になります。試合は一発勝負ですから、ほかのジムの選手と最初にやるときの感覚はすごく大事なんですよ。このときばっかりは、作戦を試したりしないで、実戦感覚で倒しにいきます。逆に、龍斗とかとはもう何回もやってるんで、ある程度のテーマを持ってやるんです。ふつうにやってると緊張感もなくなりますし、飽きますよ。本当なら毎日違う人とやりたいくらいです。でも、それには限りがあるんで。ゲームのことはよくわからないですけど、5対5なんだったら、毎日違う5人とやったほうがレベルが上がるだろうと思いますね。
Darkよっぴー たしかに、そっちのほうがいろいろ吸収できますね。
佐藤 つねに人が回転してるでしょうし、そのへんはオンラインゲームのほうがやりやすいのかなって。ただ、同じ5人とまたやって、「昨日はここがよかったけど、ここがダメだった」みたいな反省会ができるのもいいとは思いますね。俺と龍斗みたいに回数が過ぎちゃうと、もう何もないですけどね(笑)。
MaxJam 意地と意地のぶつかり合いみたいになってそうですね。
佐藤 たぶんそうですよ。ただの意地。ただの負けず嫌い。
Darkよっぴー 練習のいちばんの目標は引き出しを増やすことですか?
佐藤 う~ん、人それぞれですけど、たとえばスタミナをアップさせるとか。僕はもう試合の1ヵ月前なんで、スタミナ重視の練習をしてるんですけど、試合が決まってないときは、いまスタミナをつけても試合前に風邪とかひいたら意味ないなと思って、引き出しを増やしたり技術的な練習をします。スタミナを増やす練習っていちばんツラいんですよ。同じことを何度も何度もくり返すんで、何も楽しくないです。それでもやんなきゃいけない。1ヵ月前だけは、楽しいボクシングは捨ててツラいことをやります。
Darkよっぴー そういった考えは僕らも活かせるかもしれないですね。僕らは5対5のクラン戦っていう戦いを2時間やって終わるってことが多いんですよ。大会前とかだけじゃなくて、ふだんからそんな感じなんですけど。
佐藤 実戦ってことですか?
Darkよっぴー そうです。実戦が大半なんですよ。たとえば、大会前は連携の練習を中心にして、ふだんは別の練習をするのもいいのかなと感じましたね。
井上 楽しみながら遊びながらやっていくのも大切ですしね。そのうえで5人でのやりかたを見つけていくと。
プロとしてのプライドの持ちかた、プロとしての在りかた
MaxJam 練習方法ってスパーリングとかいろいろありますよね。これはいいなと自分で思っても、トレーナーさんやジムの仲間から「もうちょっとこうしたほうがいいんじゃない?」っていう提案を受けた場合は受け入れますか? それとも「俺はこう思うから」って自分の考えを貫きますか?
佐藤 全部が全部を受け入れるとは限らないですけど、受け入れて自分のなかで噛み砕いて、使えるものは使って使えないものは捨てる、といった感じだと思います。
MaxJam 受け入れる気持ちはつねに持っていると。
佐藤 プライドが高いやつはそういうのは受け入れられないですよね。でも、それって自分の伸び代を自分でつぶしてるだけだと思うんです。そういうプライドはいらないですね。チャンピオンになったら指摘してくれる人が減って、ちょっと悲しいです。
MaxJam もっと言って欲しいみたいな気持ちはどこかにあるんですか?
佐藤 もちろん言われすぎても面倒ですけどね。
井上 前川選手にアドバイスをすることはありますか?
佐藤 けっこうしますよ。言いたがりなんで。
井上 アドバイスを受けて、どうですか?
前川 まずはそのアドバイスどおりにやってみますけど、参考になることもあり、ならないこともあり・・・。
一同 (笑)
Darkよっぴー 自分に合ってるかどうかは別ですもんね。
佐藤 ボクシングって、これをやれば勝てるみたいな定義やセオリーがないんです。俺がたとえば龍斗に「これをやれば勝てるんだから、これを打っとけよ」というのは、いちばんよくないとは思ってます。「こうやったほうがいいんじゃないか」っていう提案のほうがいいですよね。でも、“絶対”っていう言いかたをしちゃうんですよ。「こうしたほうが絶対いいって」って。まぁ、最後に決めるのはこいつですから。“絶対”って重い言葉ですけど、ポロッと使っちゃいますね。
MaxJam さっきの“プライドを捨てる”っていうのは、すごくわかります。僕もいままで生きてきたなかでプライドの高い人をたくさん見てきましたけど、そういう人に限って一定のレベルから伸びなくなる気がします。プライドが高ければ高いほど自分がやってきたことをアピールしたくなると思うんですけど、自分たちはまだ日本でいちばんになっているだけですから。世の中を見たらすごい人っていっぱいいるじゃないですか。なので、そういうプライドは必要ないんじゃないかなと思う派ですね。
佐藤 プライドを持って何かをやるのはかっこいいイメージがありますからね。譲っちゃいけないところはあるのはわかりますけどね。ただ、そういうプライドが高いやつって自分に酔ってるんですよ。「俺はこういうプライドを持ってやってっから」みたいな。はいはい、かっこいいねー、なんつって(笑)。
MaxJam そういうのを倒すとまた気持ちよかったり。
佐藤 まぁ、スッとしますね(笑)。
井上 『AVA』も5年目に入ってて、いろんなチームが優勝して解散して優勝して解散してというのを何度もくり返して。崩れていく人は、何かに固執してたり、自分のこだわりを優先し過ぎていたのかもしれません。
佐藤 ボクシングもまったくいっしょだと思いますよ。自分に期待しすぎているやつは大抵すぐに消えちゃいますね。一回負けただけなのに引退したがるとか。僕も自分にすごい期待してたんで、デビュー戦で負けたのはショックが大きかったですよ。全国大会3位まで行ったんだから、プロになっても通用するって思ってましたもん。「自分ってこの程度なんだ」って自覚して這い上がったから強くなれたと思うんです。そういうきっかけがないままデビューから連続10連勝みたいなやつほど脆いですよ。こいつも心配なんですけどね。
MaxJam メンタルが打たれ強いかどうかはわからないですもんね。
佐藤 なんの話をしてたか忘れちゃいましたね。
MaxJam いやいや、自分たちにはすごいビンビン響いてます。
井上 僕らもプライドや精神的な部分を育てていきたいんです。長いことマネジメントしながら精神的にケアしていく人がいるからこそ、競技として盛り上がってきていると思いますしね。
佐藤 人間、やっぱり自覚が大事ですよ。自分に期待したり、みんなに期待されていると思ってる人ほど、1回負けただけで「みんなの期待を裏切った」とか「俺はこんなもんなのか」って辞めたり腐ったりしますから。
Darkよっぴー FPSでも、大会で負けたからってだけで解散するクランが多いんですよ。
佐藤 プライドが邪魔をしているんですかね。
Darkよっぴー それもあると思います。
MaxJam あとはメンバーに納得がいかないとか。「俺はこれだけやってんのに」っていう不満があると、負けたことで噴出するんですよね。
佐藤 団体でやる難しさですね。
MaxJam 勝ってるときは円満なぶん、負けたときの反動が大きいんでしょうね。全員で負けに向き合えないというか。負けを受け入れてみんなで進めないのが最大の原因かなと。
Darkよっぴー こういう人間関係が、個人戦と団体戦の違いかもしれません。
佐藤 人間って、コミュニティーができると自分より下や敵を作りたがる生き物らしいですからね。その嫌われ者を排除して喜んでいると、その4人のなかでまたひとりが攻撃対象になるっていう。
MaxJam 僕はこのDeToNator以外にもいくつかのクランをマネジメントしていまして、前に比べて大人数が関わるようになってきています。人数が増えると、同じような状態でコミュニティーの維持するのはたいへんですね。4対1の構図じゃなくて、5人がひとつになるためのチャレンジをしています。
井上 ボクシングって基本的には個人競技ですけど、いろんな人が関わってチームを組みますよね。似たような問題って感じますか?
佐藤 僕はジムでは感じてないですね。
井上 では、どうしてうまくいっていると思いますか?
佐藤 何ででしょうね・・・。裏では何かあるかもしれませんよ。けっこう悪口とかも言いますからね(笑)。本当に嫌いなわけじゃなくて、ちょっとした冗談ですけどね。
Darkよっぴー そういう冗談を言い合える仲ということですか?
佐藤 もともとそうだったわけじゃないと思いますよ。ボクシングって個人スポーツですから、仮に苦手な人がいたとしても近づかなきゃいいだけの話ですからね。団体競技だと歩み寄らないといけないじゃないですか。そこはやっぱり違いますよね。高校の部活では「誰々が嫌い」とかありましたけど、いまはプロですから。
井上 プロ意識を持ってやってるからこそ、余計なことはしないんですね。
佐藤 いっしょにやってるとプライベートで遊ぶようにもなりますし。でも、あんまりベタベタはしないですね。
MaxJam 人それぞれのやりかたがあるから、これという正解はないですよね。5人でひとつのチームを作って世界一になるのがいまの目標ですから、いろいろクリアしていかないと。
佐藤 超仲が悪いんだけど異常に強いチームというのも、世界のどこかにいるかもしれませんね。連携するときは最低限のことしか言わないけど個々の能力がすごい高くて。そんなことはないのかなぁ?
MaxJam そこまで来ると職人の域ですね。プロの塊というか。“勝つためだけに5人が集まって作業をしている”という形もアリなような気もします。ただ、いまの日本は技術も環境も成熟していないので、そういうのは受け入れられないでしょうね。
佐藤 国民性もありますもんね。
井上 それでは最後に、それぞれ5月3日のリベンジ戦と防衛戦に向けてのコメントをお願いします。
Darkよっぴー 僕らは5人チームで長いこと戦ってきていますが、どうしても一致団結できていない部分があるのかもしれません。“どうやって目標や気持ちをひとつにまとめるか”というのが、リベンジ戦だけではなくて、今後の僕らにとって大事なことなのかなと思います。
佐藤 僕は5月3日にタイで防衛戦をやるんですけど、タイは自国の選手を勝たせるためにさまざまな妨害をしてくるくらい、アウェイなんです。・・・タイの人は見てないだろうから言っていいよな(笑)。日本人は0勝16敗1引き分けで、これまでには一度も勝った例がないんです。そういう不利な環境でも勝つのが世界チャンピオンだと思っていますし、「日本人をなめるな」という気持ちでやってきますので、ぜひ応援をよろしくお願いします。お互いがんばりましょう。
Darkよっぴー はい、がんばりましょう!
井上 僕らは自覚を胸に戦ってきます。
佐藤 あっ、気に入っていただけました?
MaxJam “自覚”って書いたグッズとか作ろうと思ってるんじゃないですか?
井上 DeToNator全員に用意しようか。
佐藤 自覚が過ぎると自信がないやつに見えますから、そこはうまいバランスでいきましょう。
5月3日に開催される国際親善試合“AVAIFM 2013”にはDarkよっぴー選手も出場する。前回の世界大会で優勝した台湾チーム、つねに優勝候補となる韓国チームを相手に、日本代表がどのような戦いを見せるか、注目したい。
大会当日は会場で直接観戦できるほか、Ustreamとニコニコ生放送でも配信される。詳細は下記の“AVAIFM 2013”公式サイトを確認しよう。