森Pが家庭用オリジナル要素を語る!

『ブレイブルー クロノファンタズマ』森プロデューサーが新キャラクターのカグラ&テルミを語る!_06
アークシステムワークス
プロデューサー
森利道氏

 アークシステムワークスより2013年10月24日に発売予定のプレイステーション3用ソフト『ブレイブルー クロノファンタズマ』。本作の開発を統括する森利道プロデューサーにインタビューを実施。新キャラクターやストーリーモードなど、気になる家庭用オリジナル要素について語っていただいたぞ。

■稼動中のアーケード版の反響は?

――2012年11月より稼動中のアーケード版の反響はいかがでしょうか?

森利道(以下、森) すごくいいですよ。今回は、新システムとして“オーバードライブ”を導入したり、ゲームスピードを上げてみたりと、ゲームシステムを大きく変えたのですが、プレイヤーの皆さんに受け入れてもらえたという実感があります。

――受け入れられた要因はどこにあるのでしょうか?

 第1作目『カラミティートリガー』(『CT』)の流れを汲むシステムが長く続いていましたので、そういった部分に少なからず飽きがきていたと思うんです。そのタイミングでのシステム一新ということがひとつ。もうひとつは、オーバードライブを導入したことによって逆転要素が生まれるなど、ゲーム性が尖ってより奥深いものになったからだと思います。オーバードライブに関しては、開発スタッフの予想を超える使い方も出てきているようです。個人的にも尖ったゲーム性が好きなので、オーバードライブに関しては満足しています。

――“ARC REVOLUTION CUP(アークレボリューションカップ)”、通称“あーくれぼ”の予選大会でも、オーバードライブを使ったコンボで大逆転する場面が多く見られました。

 僕が求めていたものは、まさにそれなんです。相性の悪いキャラクターとの対戦では、どうしても劣勢を強いられてしまいますが、オーバードライブの導入によって以前よりも一発逆転を狙える可能性が増したんです。それに、オーバードライブは単純な攻撃力強化などではなく、キャラクターの特性を活かす形での強化ということもよかったんじゃないでしょうか。

――オーバードライブの導入で戦略の幅が広がったのではないでしょうか?

 そうなんです。“ハクメン”を例に挙げると、一発逆転用のコンボに使う人もいれば、早めに発動して“固有ゲージ”を溜める人もいる。使用キャラクターはもちろん、自分のバトルスタイルや対戦相手、試合の状況などによっても変わってきますし、そういった意味ではうまくプレイヤーの可能性を広げられたと思っています。これで家庭用が発売されてさらに研究が進めば、新しい使い方が開発されると思いますので、今後のプレイヤーのやり込みをすごく楽しみにしています。

――アマネ、アズラエル、バレット、イザヨイといった新キャラクターの反響はいかがでしょうか?

 いままでのシリーズでいちばんいいと思います。女性人気で言えば、アマネがバツグンにいいですね。美少年好きといういかにもな設定のキャラクターですけど、声優の石田さんの演技も相まってすごく評判がいいですよ。

――アマネはバトルスタイルも特徴的ですよね。

 アマネは、「ドリルでガリガリ体力を削るキャラクターにしたい」と開発スタッフに投げたのですが、がんばって調整してくれました。レベル3のドリルなんて「ドー!」と、一気に体力を削って一瞬で決着がつくじゃないですか。あれが決まったときの爽快感にハマっている人が多いんだと思いますよ。

――確かにドリルの削りは気持ちいいですよね。それでは、アズラエルやバレットについてはいかがでしょうか?

 アズラエルに関しては、“ブラックホークスティンガー”のぶん殴った感がすごく気持ちいいと評判ですね。豪快な打撃で一気に決着をつけるというわかりやすいコンセプトを実現できたキャラクターです。バレットは、見た目のムチムチ感が好評で、男性ファンの支持がすごいですよ。投げコンボも爽快ですし。

――イザヨイについてはいかがでしょうか?

 見た目のキャッチーさがあったので、発表直後の反響はすごかったですね。技がすごくかっこいいいので、もう少し強さ的なインパクトがあってもよかったかなと。

――『クロノファンタズマ』は、ついにストーリーが進むということで注目されていましたが、アーケード版をプレイしたファンからの反響はいかがでしょうか?

 「家庭用をお待ちしています」という意見が多かったですね(笑)。じつはアーケード版では、物語が完結していないんです。でも、ファンの方は、家庭用のストーリーモードで完結することを予想していたみたいなんですよね。

――確かに「それでどうなるの!?」という感じ終わっていますよね。スタッフロールの最後もココノエが意味深なセリフをしゃべっていた気がしますが……?

 てへ(笑)。

――「てへ」って(笑)。ストーリーの内容についての反響はいかがでしたか?

 今回はアーケード版にキャラクターごとのエンディングを用意したので、ストーリーファンの方にも好評でした。すごくヒーローしているジンがとくに好評でしたね。あとは、小説版のオリジナルキャラクターであるセリカを登場させたところも反響が大きかったです。でも「それで!?」という感じになっているのですが……。そのあたりは家庭用のストーリーモードに期待していただければ。

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カグラ=ムツキ

■大剣を自在に操る新キャラクターカグラとは?

――家庭用の新キャラクターとして、カグラとテルミが発表されました。それぞれがどんなキャラクターなのか教えていただけますか?

 まず、カグラは、『クロノファンタズマ』のアーケード版に名前だけ登場したキャラクターです。どんなキャラクターかというと、『ブレイブルー』にはいなかったポジティブな性格で、ストーリーを引っ張っていく役割を担っています。自分で設定を考えていて、「こいつまっすぐでかっこいいな」と思うところがたくさんあったので、プレイヤーの受けはいいはずですよ。

――バトルでは、どういったタイプのキャラクターになるのでしょうか?

 『ブレイブルー』では初となる、 “溜めコマンド”の必殺技を中心に構成されたキャラクターというのがコンセプトです。そのため、カグラの必殺技はすべて溜めコマンドで、飛び道具と対空技の2種類しかありません。

――すごくシンプルでわかりやすそうなキャラクターですね。

 キャラクター固有のゲージもありませんので、シンプルで使いやすいと思います。必殺技も出しやすく、格闘ゲーム初心者でも遊びやすいキャラクターに仕上げるつもりです。

――カグラの武器は何を使うのでしょうか?

 メチャクチャデカイ大剣を使います。必殺技が溜めコマンドのため、大剣を使った通常技はリーチを長くしてあります。動き回る相手を大剣でバキバキ叩き落とすイメージですね。

――キャラクター固有の特殊技“ドライブ”は、どのような仕様になっているのでしょうか?

 カグラのドライブは“構え”です。ドライブのボタンを押すと構えを取って、そこからさまざまな技に派生していくんです。構えは、立ち、しゃがみ、空中など、複数種類あり、そこから各ボタンに対応した技をくり出せるので、派生技のバリエーションはかなりあります。ただ、いったん構えを経由しなければ派生技を出せないため、その隙をいかにフォローするかがポイントになると思います。

――構えの使い方でプレイヤーの個性が出そうですね。

 そうですね。バリエーション豊かな構えを使い分けて戦う以外にも、飛び道具とリーチの長い打撃技でジャンプを誘い、対空必殺技で迎撃するというようなスタイルも可能です。どう使い分けるかによって戦略の幅が広がると思いますよ。

――では、機動力はいかほどでしょうか?

 溜めコマンド系のキャラクターなので、機動力は抑えてあります。最初はカルルのようなステップするタイプのダッシュにしようと思ったのですが、走れないときびしかったため、ゆっくりですが走ります。

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ユウキ=テルミ

■物語のカギを握る存在テルミとは?

――それではつぎに、テルミについてお聞かせください。

 今回のストーリーモードは、“クロノファンタズマ編”、“六英雄編”、“第七機関編”の3つで構成されているのですが、テルミはおもに六英雄編に登場するキャラクターです。テルミは、ストーリー上とても重要な役割を担っているため、どういった立ち位置なのかを話してしまうとネタバレになってしまうので、残念ながら詳細は教えられません。

――ストーリーの核心に迫ってしまうということですね。

 はい。物語の真相を知っている人物なので、ぜひストーリーモードを遊んでその目で確かめていただきたいと思います。

――では、テルミのバトルスタイルについてうかがわせてください。ハザマに憑依していたということで、彼と性能が似ているのでしょうか?

 性能はまったく違います。テルミは、“ディストーションドライブ”(超必殺技)をガンガン使って、とにかく派手に立ち回るというのがキャラクターコンセプトです。そのため、必殺技よりもディストーションドライブを多く持っています。

――それは新しいですね。ただ、ディストーションドライブの発動にはヒートゲージが必要になるので、ガンガン使うのは難しいのではないでしょうか?

 テルミのドライブには、ヒートゲージを溜めやすい特性を持たせています。そのため、ドライブをうまく活用すれば、ディストーションドライブはもちろん、“ラピッドキャンセル”や“クラッシュトリガー”といったヒートゲージを必要とするシステムも積極的に使っていけますので、非常に自由度の高いキャラクターになると思います。

――なるほど。では、ハザマのように“ウロボロス”は使わないのでしょうか?

 ウロボロスは必殺技のときなどにしか使いません。あまり使い過ぎると、ハザマといっしょになってしまいますからね。そのため通常技のリーチは短めで、殴る蹴るのドSなキャラクターになっていますよ。動きが速いですし、もしかしたらハザマより使いやすいかもしれませんね。女性プレイヤーにも扱いやすいキャラクターに仕上がる予定です。

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ストーリーモードには、小説版のオリジナルキャラクターであるセリカも登場する。

■30時間以上遊べるストーリーモード

――『ブレイブルー』は格闘ゲームでありながら、アドベンチャーゲームのように楽しめるストーリーモードが収録されているのも魅力です。今回のストーリーモードは、どういった形になるのでしょうか?

 さきほども言いましたが、ストーリーモードは、クロノファンタズマ編をメインに、六英雄編と第七機関編というシナリオを用意してあります。今回は小説版に関連する話しも多いので、「小説を読んでいないからわからない」となってしまうことを避けるために、六英雄編には小説版のストーリーも入っています。

――それはすごいですね。ひとつのシナリオのボリュームはどのくらいあるのでしょうか?

 ボリュームはものすごいですよ。メインシナリオで10時間。六英雄編と第七機関は、それぞれ5時間程度を予定しています。3つのシナリオを終えると遊べる“トゥルーシナリオ”も含めれば、全部で30時間以上のボリュームがあります。下手なアドベンチャーゲームより断然遊べると思いますよ。

――凄まじいボリュームですね。

 はい。自分でシナリオを書いたのですが、当初予定していたよりも大幅に増えてしまいました。今回は物語を進めるということが大前提としてあったので、お話も相当盛り上がりますよ。

――操作するキャラクターはラグナのみでしょうか?

 メインはラグナですが、ジンであったりノエルであったりと、状況によって変わります。使ったことのないキャラクターもいるかと思いますので、簡単操作が可能な“スタイリッシュモード”でのプレイをオススメします。また、ストーリーモードには各キャラクターにフィーチャーしたシーンを用意してありますので、自分の好きなキャラクターがどこで活躍するのかを楽しみにしていただければ。

――シナリオの分岐は用意されているのでしょうか?

 もちろん、ギャグルートなども用意してあります。しかし、基本的にはまっすぐ進んでいく1本道のシナリオになっています。

――これだけボリュームがあるということは、物語もかなり核心に迫っていくのでしょうか?

 はい。「イカルガで何が起きたのか?」、「ジンが何を見たのか?」など、小説版を含め、『ブレイブルー』シリーズで謎とされている要素の7、8割の真相が明らかになります。

――ファンとしては見逃せないですね。

 じつは、シナリオは一度書き直しているんですよ。「これじゃあおもしろくない。書き直し!」という感じで。そのあとしばらく眠れなくなっちゃいましたが(笑)。なぜ書き直したかというと、物語のオチは決まっていたのですがそこに至るまでの盛り上げ方に迷ってしまったんです。ただ、最終的には自分でも納得いくものに仕上げましたので、ぜひ最後までプレイしていただきたいですね。

――かなり力の入ったシナリオになっていそうですね。ちなみに、今回はオープニングのアニメや主題歌は用意されているのでしょうか?

 もちろんありますよ。シリーズを通して行ってきたことはしっかりと入っています。ご安心ください。発表はもう少し先になると思いますが、みなさんのご期待に沿えるようなアニメに仕上げます。


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ゲームモードはカテゴリーごとに表示され、より見やすくなっている。

■好評のチャレンジ&チュートリアルは健在!

――『ブレイブルー』は、基本が学べる“チュートリアル”やコンボ練習が行える“チャレンジ”もシリーズを通して好評ですよね。今回はどのような形になっているのでしょうか?

 今回のチュートリアルは、初級、中級、上級など、複数の項目に分かれていて、それぞれべつのキャラクターが教えてくれるようになっています。まだ具体的には言えませんが、最初は“素人っぽい女性”、つぎが“3人娘”、そして“統制機構の人”、最後は“姫様”と、お題が難しくなるにつれてきびしい人になっていきます(笑)。

――隠しているようで、わかる人にはわかりそうな言い方ですね(笑)。セリフはフルボイスですか?

 はい。フルボイスになっていますので、声優ファンの方にも楽しんでもらえるはずです。

――それでは、チャレンジモードはいかがでしょうか?

 基本的にはこれまで通り、お題として出されるコンボに挑戦していく形です。カグラとテルミといった新キャラクターを含めたすべてのキャラクターに対応しています。テルミに関しては予約特典になっていますので、予約購入していただければいきなりテルミを使用して遊べます。

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■コミュニケーションを重視したネットワークモード

――格闘ゲームということで、もっとも注目されるであろうネットワークモードはいかがですか?

 スタッフ一同メチャメチャ気合いを入れて作っています。

――そんなにですか!?

 はい。快適なオンライン対戦は前作ですでに実現していますので、本作ではプレイヤーどうしのコミュニケーションという部分に注力して、大幅に仕様を変更しています。まず、ネットワークモードには、世界マップのような“ワールド”があり、そこにカグツチやイカルガといった『ブレイブルー』の世界をモチーフにした“階層都市”(ロビー)が並んでおり、その中に入って対戦を行います。イメージとしては、アドホックパーティーに近いですね。

――プレイヤーは、自分のアバターを操作して対戦に入る形でしょうか?

 はい。ドット絵で描かれたキャラクターを操作して、ふたりが対戦台に座るとすぐに通信対戦が行える仕組みです。もちろん、対戦の前後には、チャットなどを使ってコミュニケーションを取ることも可能です。

――『ブレイブルー』の対戦台が設置されているゲームセンターみたいですね。

 まさにその通りです。ゲームセンターで順番待ちをしながらワイワイ遊ぶのと同じように、友だちと対戦やチャットを行ってコミュニケーションを取りながら盛り上がってほしいですね。もちろん、わざわざロビーに行きたくないという人のために、前作で好評をいただいた“プレイヤーマッチ”や“ランクマッチ”といったモードも用意してあります。

――ネットワークモードがかなり充実しているようですが、ネットワークを使った大会やキャンペーンを行う予定はありますか?

 できたらいいとは思いますが、そういったものはまずはアーケードで行いたいと考えています。

■定番のゲームモードはもちろん収録

――そのほかのゲームモードについてはいかがでしょうか?

 前作で好評だったモードはひと通り入っていますし、新しく用語集も加わっています。恒例のギャラリーモードでは、今回もさまざまな作家さんにイラストを描いていただきました。今回は僕がゲームのかなり細かい部分までチェックしていますので、どのモードも納得のいくものに仕上がると思います。まだ大きな声で言えませんが、今回は隠しモードも……。

――え!?

 それは発売後のお楽しみということで(笑)。

――何10時間も遊べるストーリーモードに、ゲームを学べるチュートリアルやチャレンジモード、みんなで遊べるネットワークモード、そして、ひとりでやり込めるモードも数多くありますし、かつてないボリュームになりそうですね。

 史上最大ボリュームの格闘ゲームにするつもりで作っていますからね。

――それだけボリュームがすごいと、開発状況が心配になってしまいます。現状では何%くらいでしょうか?

 現時点では35%くらいですね。やはり、ネットワークモードに時間がかかっている状態です。それでも各素材は出来上がっていますので、開発は順調に進んでいると言えます。

――発売後のダウンロードコンテンツの予定は?

 もちろん用意する予定です。続報をお待ちください。

――それでは最後にファンへのメッセージをいただけますか?

 シリーズ最大のボリュームになっていますので、ぜひ手にとっていただきたいと思います。絶対に買って損をしないものを、全スタッフが尽力していますので、どうぞよろしくお願いします。また、あっと驚くような情報がまだまだありますので、今後の続報にも注目してほしいです。

■『ブレイブルー クロノファンタズマ』特設サイトがオープン

 ファミ通.com内に本作の特設サイト(→こちら)がオープン。2013年10月の発売まで、ゲームの最新情報やスタッフインタビューなどを随時更新していく予定だ。また、同特設サイトの宣伝にご協力いただくキャンペーンが、公開初日に早くも目標を達成。壁紙の公開に向けて準備を進めているので、そちらもお楽しみに。


ブレイブルー クロノファンタズマ
メーカー アークシステムワークス
対応機種 PS3プレイステーション3
発売日 2013年10月24日発売予定
価格 7140円[税込]
ジャンル アクション・アドベンチャー / 格闘
備考 リミテッドボックスは10290円[税込]、プロデューサー:森 利道