2013年4月15日、東京都のベルサール汐留でゲームエンジン“Unity”の技術カンファレンス“Unite Japan”が開幕。初日に行われた“Unity for Wii U”に関するセッションの模様を紹介する。

Unity for Wii Uの実演デモを披露

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 最初に登壇したのは、このカンファレンスの主催を務めるユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの大前広樹氏。今年3月、ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス 2013において発表されたWii U 向けの新しい開発環境“Unity for Wii U”の紹介が行われた。

 「Wii U に最新のUnityを提供する」という目的で誕生したUnity for Wii U。この開発環境を使えば、Wii U 向けゲームがUnity上で開発できるようになるだけでなく、Wii U GamePadやWii リモコン、そのほかのWii U のさまざまな機能・周辺機器に対応する。Unityのバージョンアップとほとんどタイムラグのないように、Unity for Wii U も更新されるという。
 そして、基本的にWii U の登録開発者であれば、無料で提供される。もちろん無料だからといって機能が制限されることもない。

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 さて、実際にUnity for Wii U はどのような開発環境なのだろうか。
 まずグラフィックに関しては、Wii Uと同様にDirectX 10世代のレンダリング機能をサポートする。アニメーションや物理計算、オーディオ、パーティクルシステムなど、Unity 4.1以降の機能はすべて利用可能。そのうえ本家のUnityではまだ未実装の機能について、Unity for Wii Uが先に実装されることもあるという。Unity 4 ベースの機能は、すべて基本実装されていると考えていいようだ。また、エディター上でゲームを実行・編集できるUnityの強みも健在。
 さらにWii U GamePad 対応に関しては、カメラを配置するだけでWii U GamePadの出力表示を設定できるというシンプルな仕様に。実際に大前氏による実演デモが披露されたが、ほんの数回の操作で通常のモニターと同じ画面を表示することも、別の場所や角度の視点を表示することもできるようだ。
 このほかWii U向けに任天堂から提供されているフレンドプレゼンスやMiiverse、ボイスチャットなどの機能も、ソースコード付きでネイティブプラグインによるサポートが予定されている。この点については、「今後の機能拡張や更新に対応しやすい」、「カスタマイズしやすい」といったメリットがアピールされていた。

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▲Unity for Wii Uに標準搭載されているサンプルゲーム『AngryBots』を例に、カメラを追加してWii U GamePadのスクリーンに別の映像を表示する手順を実演。
▲実演デモは提供中のベータ版で行われたが、マスター版は5月からのリリースを予定しているとのこと。
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 続いて、任天堂で開発環境コーディネーターを務める島田健嗣氏が登壇。会場のゲーム開発者に向けて、Wii Uというゲームハードの紹介。そしてWii Uでゲームを開発することのメリットが説明された。
 内容はゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス 2013のセッションと重複する部分が多かったが、とくに強調されていたのはスマートフォンやタブレット端末向けのゲームとWii U GamePadの親和性の高さ。Unity for Wii Uによる移植が簡単であることは大前氏から紹介されていたが、さらにWii U GamePadのボタンやキーにアサインすることでゲームが新しい魅力を持つ可能性が示された。そのまま移植するだけでなく、「もう一手間」を加える例としてマルチスクリーン機能やMiiverseの活用が挙げられ、会場のゲーム開発者に向けてWii Uの魅力を強くアピールした印象だ。

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 この直後のセッションでも、もうひとつの任天堂が提供する新しい開発環境“Nintendo Web Framework”が紹介されている。こちらもゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス 2013で行われたセッションとほぼ同じ内容で、Unityとは関係がないものの日本国内のゲーム開発者に向けてWii Uへの参入を呼びかける形となった。任天堂はUnite Japan 2013のメインスポンサーでもあり、Unityコミュニティに大きな期待を持っていることは間違いないようだ。

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