KickStarter締め切り間近! αテストに参加したいヒトはお早めに!
先週サンフランシスコで行われたGDC 2013(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス 2013)会期中に、『ウルティマ』シリーズで知られる伝説的クリエイター、リチャード・ギャリオット氏にインタビュー。最新作『Shroud of the Avatar』(以下、SotA)について聞いた。
すでに一度ご紹介しているが、本作はギャリオット氏の新スタジオPortalariumで開発している新作RPGタイトル。オンラインプレイをベースにしつつも、オフラインプレイも可能な設計になっており、PC、Mac、Linuxをプラットフォームに、2014年のリリースを目指している。
現在、クラウドファンディングサイトのKickStarterで日本時間4月7日午後11時57分まで出資募集が行われており、今年末にはKickStarterの出資者向けのαテストも行われる予定だ。
――KickStarterですでにプロジェクトが動いていますが、現在までの感想を。(※インタビューは米時間の3月28日に行われた)
リチャード・ギャリオット(以下、ギャリオット) とても満足しているよ。KickStarterでは最初と最後に伸びがあるから、これから追加のゴール(編注:一定額を超えたごとに追加実装項目を約束する文化がある)を設定して、プレイヤーに楽しいものを届けられればと思う。
――あなたは『ウルティマ』シリーズで知られる伝説的なクリエイターですが、久しぶりにインディー開発者という立場に帰ってきました。それについてはどうですか?
ギャリオット この業界には3つの大きな流れがあったと思う。まずはソロゲーム。これは20年ぐらい続いた。次はマルチプレイのオンラインゲームで、新たなメーカーが次々と生まれた。そしてF2P(基本プレイ無料)のモバイルゲームなどだ。
しかし業界が成熟していくにつれて、開発者とプレイヤーの距離は離れてきてしまった。自分もセールス面を見るような仕事をするようになってしまったしね。
自分が手掛けてきたタイトルの中で成功したのは『ウルティマ4』と『ウルティマ7』と『ウルティマオンライン』だと考えているが、こういったタイトルでは、ビジネスパートナーと議論しながら、自分たちの作りたいものを作ることがうまくできた。
逆に『ウルティマ8』や『Tabula Rasa』が上手く行かなかったのは、もちろん自分に責任があるのだが、コンセプトは良かったものの、セールスやPRの人々からの意見を反映させすぎたのも要因のひとつだったのではないかと思っている。その点KickStarterではプレイヤーが本当に欲しいものを把握して、ゲームに反映していけるというのがいい。
――あなたは長年RPGを進化させてきましたが、今回またRPGタイトルに取り組もうと思ったのはなぜですか?
ギャリオット 長年RPGを作り続けてきたので少し休もうかという考えがあったのだが、もう十分休んだのでルーツに戻ってこようと思ったんだ。
今回のタイトルでは自分が手掛けてきたものの中で3つの気に入っているものを取り入れている。まずは『ウルティマ4』の人を惹きつけるスタイル。そして『ウルティマ7』のインタラクティブな世界。そして『ウルティマオンライン』の非戦闘系でも生きていけるオープンワールドだ。
SotAでは、そういったものを進化させること、そしてストーリーを重視したコンテンツをMMOではない形で再現することを狙っている。これは新しいタイプのゲームになると思うんだ。友達や知らない人と一緒に遊ぶオンラインのゲームでありながら、(ソロのRPGのように)プレイヤーが特別な存在であることを実感できるようにしたい。
『ウルティマ』では、1から9ではいいストーリーがあった。『ウルティマオンライン』ではマルチプレイがあったが、さきほど言ったような形でのストーリーは難しかった。このふたつの世界のスタイルをひとつにすること。それが今回の目標だ。
――SotAのビジネスモデルはどうなるのでしょうか? パッケージで買うのか、月額課金なのか、あるいはF2Pだったりするのか、それともそれぞれのミックスなのか……。
ギャリオット いい質問だ。現在のところSotAはダウンロード販売をメインに予定している。月額課金やソーシャルゲームスタイルの少額課金はない。
また一度出したら終了というわけではなく、各エピソードで販売する形となる。各エピソードのパッケージには、物理的なアイテムも付属する。例えばこのマップ(冒頭の写真で持っているもの)は第1章のものなんだ。
――クラス(職業)制ではないゲームデザインにするそうですが、キャラクターカスタマイズについて重要なスキルシステムについても聞かせてください。また『ウルティマオンライン』のように木の人形を殴り続けなければいけないのでしょうか? それと、途中からスキルを変更することはできますか?
ギャリオット まず『ウルティマオンライン』のいい部分は受け継ごうと思っていて、それはキャラクターの特性をいつでもシフトできるようにすることだ。多くのRPGにありがちな「戦士になろうか、魔法使いになろうか……?」といった悩みは無用にしたい。
つまらないくり返しの作業もなくしたくて、経験値を集めてレベルアップしたら、スキルポイントが手に入る。これを振り分けていけばよくて、『ウルティマオンライン』と通常のRPGとのいいとこ取りにできればいいと考えている。
――非戦闘系はどうでしょうか? 延々と木こりとして生きることもできるんでしょうか?
ギャリオット もちろんだ。我々は、戦闘用のスキルツリーと非戦闘用のスキルツリーを同じように重要に考えている。
まずは戦闘系だと、近接攻撃、遠距離攻撃、攻撃魔法、ヒーラー系の4つがある。非戦闘系だと採掘、精錬、鍛冶、農業、採集、料理といったものがある。KickStarterの追加ゴールのひとつにはペット系のスキルもあるし、今後も広げて行きたいと思っている。
――例えば鍛冶屋を極めるメリットはなんでしょう? 自分で着て戦闘しにいくというのも考えられますが……商業面では?
ギャリオット ゲームは通常オンラインでプレイするが(オフラインモードも可能)、誰かがやったことというのはゲーム世界に反映される。キミが鍛冶屋なら、キミのショップは誰からでも見られるし、キミが作った装備を私が買うことができる。
――本当にソロRPGとオンラインRPGがミックスされた経験ができそうですね。
ギャリオット そう。SotAはいつでもストーリーのあるソロRPGのようででもあるし、いつでもMMORPGのようでもあるんだ。
第1章の地図を見て欲しい。これは大体『ウルティマ』シリーズのどれかの世界と同じぐらいのサイズで、40時間ぐらいのゲームプレイができるし、ほかのプレイヤーとの関わりや非戦闘系の職業をマスターするとなればもっとかかる。
第2章以降では、別の大陸が登場する形になる。これは最初に中心となる大陸であって、ほかの大陸が追加されたら行ったり来たりもできる。
――サーバーについてはどうなるんでしょう? ローカライズは?
ギャリオット まだちょっと悩んでいて、サーバーを分けてしまうと言語や地域が違う人が会えなくなる。かといって特定の言語や地域の人が集まって遊ぶのはそれはそれでいい点があるから、ちょっとまだ検討中だね。
『ウルティマ』シリーズの歴史で、日本とヨーロッパとアメリカは同じように重要だった。公式な決定ではないのだが、特にドイツと日本はローカライズ対象として重要な言語・地域だと考えている。
――では最後に、日本のロード・ブリティッシュの配下にメッセージをお願いします!
ギャリオット まず最初に日本のプレイヤーの皆さんに言いたいのは、これまでの支持に本当に感謝しているということ。SotAは皆さんの期待に応えた本当に楽しんで長く遊べるものにしたいと思っているし、そのために、ローカライズやゲームをどうやって提供するかといった部分についても検討を進めて、一番手にとってもらいやすい方向でお届けすることに尽力していくよ。