連載終了と書籍発売によせて
野島一成氏が、近未来の日本を舞台に描いた小説、『武装中学生 バスケットアーミー』。2013年3月30日に発売された、書籍『03 テロリスト』と『04 友情症候群』をもって完結となった。この書籍発売と完結に際して、野島一成氏よりコメントをいただいた。
『武装中学生 バスケットアーミー』の1年2ヶ月、全75話の長い連載が終了しました。最後までお付き合い頂いた皆様、本当にありがとうございます。
ビジュアルの中心なのに、第1話からしばらく中学生たちが登場せず、中年のおじさんたちが悶々と悩む姿、あるいは、社会情勢の説明などが続き「これはいったいなんだ!?」と思われたのではないでしょうか。一部では「武装中年」と呼ばれていたとか。さもありなん、ですよね。しかし、この大人たちの動きと社会を描き込まねば、中学生たちの姿が浮かびあがらない、と考えていました。そんなことを思いつつも、「早くトウコを出さねば! もっと出さねば」と焦っていたことを覚えています。
そして、やっとトウコたちの出番だ、と思うと、彼女たちは一致団結しているわけでも、仲良しグループでもない。共通の思想があるわけでもない。逃げなくてはならないのに、事態が悪化しないと積極的に動かないという──まったく、なんて連中を中心に置いてしまったんだ、と過去の自分を呪ったこともあります。しかし、だからこそできたこの“武装中学生”だったとも思っています。私が書きたかったのは2026年の日本に生きる人々の姿だったのだと、今、改めて考えています。
さて、ここで書籍版での改変について触れさせてください。書籍版はウェブ連載の75話を全4冊にまとめ、1冊につき4枚の挿絵と、4巻の最後に短いエピローグを加えたものです。さらに、内容も少々──巻によってはかなり書き換えてあります。多くの人物、組織が動き回るために構成が複雑になったところを整理しました。時間軸が分かりにくい部分を再構成しました。説明過剰な部分を削り、不足気味だった部分を補いました。それは登場人物の言動にも及んでいます。連載中に起こった現実の事件や変化に触れて私自身の考えが変わってしまった部分まで手を入れさせていただいています。加えて、小さな声で言いますが、明らかな事実誤認の訂正も……。ともあれ、連載をお楽しみいただいた皆さんの再読にも耐えうる内容になったのではないか、と自負しています。
1、2巻はすでに各書店にありますし、3、4巻も発売中です。ぜひ、手にとっていただければ、と切に思う次第であります。
ええと……この書籍が売れると、武装中学生関連の世界をますます広げることができまして、使わなかったアイディアを放出することができるので、私はとてもうれしいです。こんなに長い連載だったのに、様々な事情とその時々の判断があったにせよ、書かなかったことの方が多いな、と思っている自分に驚いています(笑)。
皆様、今後とも、武装中学生ワールドを宜しくお願い致します。お手数でなければ、まだ知らない人にどしどし教えてあげてください!
野島一成
新宿、福島を舞台にした武装中学生“事件”、完結
発売中 定価:1,050円[税込]
発売中 定価:1,050円[税込]
ドラマCDを同梱した特装版も同時発売
発売中 価格:3,000円[税込]
ドラマCD DISC1:ヨウジ編/DISC2:アン編 同梱
発売中 価格:3,000円[税込]
ドラマCD DISC1:サトシ編/DISC2:タロウ編 同梱
小説発売記念! 野島一成氏サイン入り本をプレゼント
小説発売と完結を記念して、『武装中学生 バスケットアーミー』通常版の全4巻セットを、著者の野島一成氏サインを入れて、抽選で3名様にプレゼント! 下記フォームに必要事項を記入して、応募してください。締切は、2013年4月7日(日)の23:59分まで。当選者の発表は、賞品の発送をもって代えさせていただきます。賞品の発送は、4月中旬~下旬を予定しています。
武装中学生 バスケットアーミー ストーリーイントロダクション
2026年8月、富士演習場――
名取トウコが所属する
私立東都防衛学院中等部三年二組は、
担当教官である神谷指導のもと、
夏季総合演習の最中にあった。
その過酷な訓練も、いよいよ最終日。
トウコたちを労う神谷は、
「最新兵器研究」と題した“課外授業”を提案する。
そして……事件は起こる。
何者かによる突然の襲撃。
響き渡る銃声、怒号、断末魔、
血の海に崩れ落ちる――。
前代未聞の事件をきっかけに
世間から「武装中学生」と揶揄される
15歳の少年少女たち。
そんな少年少女たちの未来を奪い去ろうと、
襲撃者たちの影が忍び寄る……。