最新作の主人公は若かりし日のデーモン ベアード
日本マイクロソフトより2013年3月21日発売予定のXbox 360用ソフト『Gears of War: Judgment(ギアーズ オブ ウォー: ジャッジメント)』は、いわずとしれた『ギアーズ オブ ウォー』シリーズの最新作。まずは『Gears of War: Judgment』の内容に触れる前に、簡単にシリーズ三部作について紹介しよう。
1作目『ギアーズ オブ ウォー』は海外では2006年末に登場、日本では翌2007年初頭にリリースされた。舞台は地球によく似た惑星セラ。主人公のマーカス フェニックスを操作して、地底より現れた敵対種族・ローカストと戦いをくり広げるストーリーが展開する。アクションシューティングとしての高い完成度、最先端のグラフィックレベルなどが話題を呼び、大ヒットを記録した。その後、当然のように続編が制作され、じつに三部作にわたってマーカスたちの激しい戦いが描かれた。
さて、最新作『Gears of War: Judgment』はというと、シリーズ三部作の約15年前が舞台。突如として地底からローカストが出現した直後の物語が描かれる。いわばシリーズの“原点”を知ることができる作品となっている。
ちなみに『Gears of War: Judgment』の主人公は、シリーズ三部作でマーカスの盟友として活躍したデーモン ベアード。プレイヤーは、ベアード率いるキロ部隊の決死の戦いを体験していくことになる。
過激に戦い ハイスコアを目指せ
『Gears of War: Judgment』のキャンペーンモード(シングルプレイ)は、キロ部隊の4名がCOG軍の兵士に連行されている状況からスタートする。彼らはどうやら軍規違反を犯したらしく、これから軍法裁判にかけられる。そのときの証言をプレイヤーが追体験していくという形式だ。
さっそく基本システムから紹介しよう。おなじみの三人称視点シューティングというスタイルは変わっていない。Aボタンでカバーおよびジャンプアクション、左トリガーで照準の狙いをつけ、右トリガーで射撃するといった基本操作はこれまでのシリーズ作品と同様だ。
ただし、このほかの操作方法はかなり変更されているので注意してほしい。グレネードを投げるのはLBボタン、タスク(目的)表示は方向パッドの上、武器チェンジはYボタンといったように変わっており、シリーズ経験者はまず操作方法を確認しておく必要があるだろう。
追加された新システムもいくつかあり、、まずはスコアについて。『Gears of War: Judgment』では敵を倒した数、ヘッドショットの回数、処刑の回数などに応じてスコアゲージが上昇し、逆に倒される(ダウンする)とゲージが減少する。このスコアゲージに応じて、セクションのクリアー時にスターが入手できる(最大3つ)という仕組みになっている。
もうひとつの注目システムは“機密情報”。マップのどこかにある巨大なクリムゾンオーメンを調べると、機密情報を開示するのか、そのまま封印するのかを選べる。“開示”を選んだ場合、一部の敵が強化されたり、新しい破壊目標が設置されたりと、戦いは格段に厳しさを増すことになる。ただ、一方ではスコアを獲得しやすくなるというメリットもあり、ハイリスク・ハイリターンの新システムといえる。
何回プレイしても戦闘が楽しい!その理由は?
実際にキャンペーンモードをプレイしてみると、敵の出現頻度やマップのレイアウトといったレベルデザインがこれまでのシリーズ作品とは大きく異なっていることに衝撃を受けた。非常に濃い戦闘をテンポよく楽しめるように、改善されている印象だ。
詳しく説明すると、これまでのシリーズ作品では戦闘の後に少し移動して、敵を発見したらまた戦闘、この流れをくり返すシーン構成が多かった。それに対して、『Gears of War: Judgment』では少し狭めのマップに大勢の敵が何回も出現し、息のつけない戦闘を生き延びて、ローカストを全滅させればクリアーとなるセクションが多いようだ。移動のみのシーンが少なく、ひとつひとつのセクションは短時間でクリアー可能。しかし、濃い戦闘体験が凝縮されているため、非常にテンポよくゲームプレイが楽しめる。敵が波状攻撃を仕掛けてきたり、タレットを設置して迎え撃ったりと、『ギアーズ』ファンにはおなじみの協力プレイモード“Horde(ホード)”に近い感覚もある。シングルプレイで倒される(ダウンする)と味方が蘇生してくれるのも、頻繁にゲームオーバーになって中断しないですむため、集中力が途切れない要因となっている。
くり返しプレイしても楽しめるように、さまざまな仕掛けが用意されている点も注目したい。本作ではプレイするたびに敵の種類や出現するタイミング、出現場所などが変化する“スマート・スポーン・システム(S3)”を採用している。これまでのシリーズ作品では、敵があまりに強くて突破できないポイントがあれば、出現場所や配置、戦い方を覚えて的確に対処することが攻略のカギとなった。だが本作では敵の出現パターンが変わってしまうため、この攻略法はあまり通用しない。その局面に応じた瞬時の判断力や適応力が要求される。リトライであっても緊張感溢れる戦闘が展開することになり、難度が高くなればなるほど攻略には苦労することになるだろう。
さらにスターを獲得する楽しさも見逃せない。集められる要素はすべて集めたくなるのが、ゲーマーの性(さが)というもの。クリアー済みのセクションはいつでも再度プレイできるので、スターを3つ獲得できなかったセクションに再チャレンジして、コンプリートを目指すやりこみ要素にも熱くなれそうだ。スターは難易度別に色が異なるため、腕に自信のあるプレイヤーなら最高難度の完全獲得を目標にしてほしい。
追加ミッション“顛末”は『ギアーズ オブ ウォー 3』の知られざる戦い
『Gears of War: Judgment』はシリーズ三部作の15年前が舞台となっているが、じつは異なる時代が舞台になっている“顛末”というミッションも登場する。こちらは『ギアーズ オブ ウォー 3』で、マーカスたちと別行動を行っていたベアードの物語が描かれる。いわば『ギアーズ オブ ウォー 3』のサイドミッションといえる内容だ。ゲームシステムは『ギアーズ オブ ウォー 3』に近く、本編のミッション(“審判”)とは異なりスコアや機密情報といった要素は登場しない。
この“顛末”は、“審判”のミッションでスターを40個以上獲得すると選択できるようになる仕組み。なお、物語自体は『ギアーズ オブ ウォー 3』だけではなく、“審判”(『Gears of War: Judgment』)にも少なからず関係している。ストーリーを隅々まで堪能するには、先に“審判”をクリアーしておくほうが望ましいだろう。
マルチプレイはクラス制を採用したOverRunに注目!
『ギアーズ オブ ウォー』シリーズのもうひとつの魅力といえば、日々過熱するオンラインマルチプレイ。ただし、この原稿を執筆している時点では、まだゲームが発売されていないため、あくまでもテストプレイの範囲内で感じたことを紹介したいと思う。
まずは対戦だが、Domination(ドミネーション)やTeam Deathmatch(チームデスマッチ)といった定番のルールに加えて、新ルール“OverRun(オーバーラン)”が追加された。これは最大10人のプレイヤーがCOG軍とローカスト軍の両軍に分かれて、拠点を巡って争うチーム戦。ローカスト軍は拠点の破壊を目指し、一方のCOG軍は防衛することが目的だ。ローカスト軍が拠点を3つ破壊するかタイムオーバーで1戦目終了となり、攻守交代して2戦目へ。相手チームより早い時間で拠点を破壊したチームが勝者となる。
OverRunについて注目してほしいポイントは、シリーズ初となるクラス制を採用していることだ。COG軍のプレイヤーはセントリーガンを設置したり防衛設備を修理できるエンジニア、ライフを回復するキュアグレネードを装備しているメディックなど4つのクラスが存在し、クラスごとに異なる戦略性を楽しめる。なお、ローカスト軍のほうは8種類の中から操作キャラクターを選択可能。ただし、上位キャラクター(4種類)に限り、選択するためには戦闘で獲得したポイントが必要となる。『ギアーズ オブ ウォー 3』に登場した“Beast(ビースト)”に近いシステムとなっている。
『ギアーズ』シリーズの協力プレイモードとしては“Horde”がおなじみだが、『Gears of War: Judgment』では“Survival(サバイバル)”が採用されている。これは最大5人のプレイヤー(COG軍)が力を合わせて、波状攻撃を仕掛けてくるローカスト軍から拠点を守り抜くことが目的だ。OverRunと同じくクラス制を採用しているため、各クラスで異なる戦い方やクラスの特長を生かしたチームの連携を強く実感することができる。
シリーズの根幹は揺るがさず、完成度は高く
『ギアーズ オブ ウォー』シリーズは作品を重ねるたびにアクションシューティングとしての熟成度を増し、三部作の完結によってひとつの完成形に到達した(と個人的には思っている)。そこで最新作『Gears of War: Judgment』では、シリーズの本質的な部分は変えることなく、思い切った改善点やマイナーチェンジによって、大ヒットシリーズの宿命ともいえるマンネリ化からの脱却を目指したと思われる。戦闘はさらに刺激的になったが、一方で気軽に遊べるようにもなったことで、さらに完成度の高い作品に仕上がっている。
個人的には『ギアーズ オブ ウォー』シリーズはすべてフレンドといっしょに楽しんできたため、最新作でもオンライン協力プレイが楽しみで仕方がない。ソワソワしつつ発売日を指折り数えたいと思う。
■著者紹介 喫茶板東
ファミ通Xbox 360で海外ゲームマニアックス、実績解除愛好会などを担当していたフリーライター。ベアードと聞いたら、真っ先に「かまうなベアード!」という名セリフを思い出すのは筆者だけでしょうか。
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