メインキャスト陣が熱く語る
コーエーテクモゲームスから2013年3月28日に発売予定のPSP(プレイステーション・ポータブル)用ソフト『下天の華』。同作のメインキャラクターの声を担当するキャスト陣へのインタビューの後編をお届けする。
※前編は(こちら)
【松風雅也さん(織田信長役)】
――アフレコを終えての感想をお願いします。
松風雅也(以下、松風) 精も根も尽き果てましたが、楽しく収録させていただきました。
――織田信長を演じる上で、苦労したところや難しかったところはありましたか?
松風 歴史ものなので一人称を“余”と言うんですけど、いままで生きてきた中で自分のことを“余”と言ったことがなかったので言いづらかったです。初めて言う言葉も多かったのでたいへんでした。
――松風さんが演じられた織田信長の魅力を教えてください。
松風 初期設定がぶっちぎりでかっこいいですよね。時代も時代ですし、志でしっかり生きている人なので、史実に基づいた部分と生き様と見た目でパーフェクトな人だと思います。あとは、リアルでいたら衣装がふかふかで気持ちいいと思います(笑)。
――演じていて、織田信長とご自身の共通点はありましたか?
松風 レベルは違いますが、気持ちはかなり近いと思います。信長は刹那的っぽいんですけど超前向きなんですよ。劇中でも敦盛が何度が登場するのですが、“死んじゃえ~”みたいな話ではなく、限られた命をどれだけ光って生きていくかというところはすごく共感できますね。
――演じる前と後で織田信長のイメージは変わりましたか?
松風 今回を機に故信長さんを調べたんですけど、調べれば調べるほど今回の信長とは違うなと感じました。新しい信長だったのですっと役に入り込めました。
――主人公と織田信長の恋愛をひと言で表すなら何になりますか?
松風 “運命”。ふたりとも使命があって出会っているので、この言葉通りだと思います。
――恋愛の見どころはどこですか?
松風 各キャラクターとつじつまがすごく合うようになっているところが素晴らしいなと思いました。徳川家康とか羽柴秀吉がいる中で恋をしている場合ではないんですけど、本筋と恋愛がうまく混じるようにできているんですよ。僕のことを恋愛対象として見なくても武将・信長として、こういうセリフを言うだろうなという整合性も取れていますし、そこが見どころだと思います。
――織田信長以外で気になるキャラクターはいましたか?
松風 いい意味では羽柴秀吉と森蘭丸。いろいろな意味で気になるのは明智光秀と織田信行です。この4人は演じてみたいなと思いました。徳川家康は演じなくてもいいかな(笑)。台本を読んでいてすごくわくわくしました。
――主人公のくノ一はどんな女の子だと思いますか?
松風 つらい経験をしたり、不幸な境遇だったと思いますが、意外に素直ないい子でした(笑)。変身が得意なくノ一なんですけど、お地蔵さんに化けたときは好きな子がお地蔵さんになっちゃって嫌でした。
――主人公は忍であることをまわりの人に秘密にしていますが、松風さんのいまだから言える秘密や、ここだけで明かせる秘密があれば教えてください。
松風 主人公のくノ一のことをすぐ好きになってしまって、心を開きすぎという理由で収録中にNGを出したことですね(笑)。僕は一国一城の主で世界を見据えているようなこともしている人なので、“いくら好きだからといって、くノ一に心を開きすぎ”とスタッフさんに直されましたね(笑)。
――主人公が忍ということで、もし忍術が使えるとしたら何を使ってみたいですか?
松風 ベタに手裏剣です。きちっと投げられるようになれば藤岡弘さんと仲よくなれますしね(笑)。藤岡弘さんと手裏剣談義をしたいです。
――では、最後に読者へメッセージをお願いします。
松風 皆さんご存じの個性的でステキな戦国武将たちとおもいっきり恋愛が楽しめると思います。いま僕たちは一生懸命『下天の華』の世界を作り上げていますので、その世界でおもいっきり楽しんでいただきたいなと思います。


【森久保祥太郎さん(羽柴秀吉役)】
――アフレコを終えての感想をお願いします。
森久保祥太郎(以下、森久保) 僕が演じさせていただいた羽柴秀吉が明るくて気持ちのいい性格のキャラクターでしたので、終始気持ちよく収録できました。
――羽柴秀吉を演じる上で、苦労したところや難しかったところはありましたか?
森久保 そういう時代ならではの言い回しには苦労しましたね。とくに“家康殿”というのがすごく言いにくかったです。単体ならいいんですけど、 “家康殿の○○”というセリフになるとたいへんでしたね。なんで“殿”をつけなきゃいけないんだみたいな(笑)。
――森久保さんが演じられた羽柴秀吉の魅力を教えてください。
森久保 明るくて豪快で女の人が大好きというオーラがすごく出ているんですけど、その分裏表がない人だなという感じがしました。僕のイメージだと7割8割ぐらいは“なんだこの調子のいいヤツは”と思われるような秀吉なんですけど、そんな中でもふと相手を気遣うひと言を言ったり、余裕があっておどけてみせているけど、時折みせるやさしさが魅力なんだなと思います。
――演じていて、羽柴秀吉とご自身の共通点はありましたか?
森久保 僕は10ある内の1か2だけは譲れない、と熱くなる性格なので、それ以外のことは大勢に影響がなかったり、誰かに迷惑をかけていなければ、楽しくやろうよというような感じで日々を過ごしていますので、そこが似ていると思います。おどけていてもまわりを見ているところは共通点としてあるかもですね。
――演じる前と後で羽柴秀吉のイメージは変わりましたか?
森久保 僕がイメージしていた歴史上の秀吉は“猿”と言われているぐらいこぢんまりとしていて、頭がきれるエピソードがたくさんあるだけに、悪い言いかたをするとこずるいと言うか、機転であの時代を切り抜いてきた人だと思っています。今回演じさせていただいた秀吉は、そういう部分もあるんですけど、より男としての魅力、男臭さが豪快なので、新たな秀吉像を楽しめました。
――羽柴秀吉以外で気になるキャラクターはいましたか?
森久保 まだ、ほかのキャラクターの音声を聞いていないのでみんな気になりますが、とくに気になるのは、徳川家康と織田信長ですね。ほかの武将はすごくキャラクターが濃くて、秀吉はドノーマルだと思っていたので、最初はあまり注目されないと思いますが、後からクセになるタイプです(笑)。濃いキャラクターを先にいっておいて、“やっぱりこの人が安心する”というのが秀吉だと思うので、存分にほかの濃い人たちにいってもらって、最後にお口直しで秀吉にきてもらえるといいと思います。
――主人公が忍ということで、もし忍術が使えるとしたら何を使ってみたいですか?
森久保 “変わり身の術”ですね。1時間ぐらいゲームの収録を交代してもらえたら便利ですよね(笑)。ゲームの収録は長いのでふたりいれば、いいスペックのまま収録できるんじゃないかなと思います(笑)。
――主人公は忍であることをまわりの人に秘密にしていますが、森久保さんのいまだから言える秘密や、ここだけで明かせる秘密があれば教えてください。
森久保 何年か前まで“何フェチですか?”と聞かれたときに、“足フェチです”と答えていたんですけど、そこからしばらく“足フェチ”を遠ざかって、最近は“姿勢フェチ”と話していたんですけど、じつはまた“足フェチ”に戻りつつあることですね(笑)。
――では、最後に読者へメッセージをお願いします。
森久保 『ネオロマンス』シリーズに初参戦しますが、いちばん気になっていることは、この作品を皆さんが気に入ってもらえるかということ。皆さんが抱えた秘密を悪いことにはしませんので、登場してくる男たちに頼って何度もドラマを楽しんでください。
【島﨑信長さん(森蘭丸役)】
――アフレコを終えての感想をお願いします。
島﨑信長(以下、島﨑) すごく楽しかったです。蘭丸も含めて一本筋の通った男たちの話なんですけど、作品もしっかりどっしりと筋が通った作品でしたので、演じる上でもやりやすく、楽しかったのでよかったなと。あと、甘い台詞いっぱい言ったなぁと(笑)。
――森蘭丸を演じる上で、苦労したところや難しかったところはありましたか?
島﨑 役作りの面では苦戦はしませんでしたが、“光秀殿の信長様への”といったふだんは言わない言葉遣いが出てくるので苦心しました。
――島﨑さんが演じられた森蘭丸の魅力を教えてください。
島﨑 本当に真っすぐ過ぎるくらい真っすぐで純粋で誠実。信長様のために全力で尽くすというキャラクターです。まわりが成熟したキャラクターだったり、ひとクセもふたクセもあるようなキャラクターなのに対して蘭丸は未熟というか、若者、若造な部分がすごくあります。真っすぐ過ぎて空回りしてしまったり、恋愛に関してもものすごくうぶで、主人公(プレイヤー)への気持ちの自覚が遅かったり、すぐ照れてしまったりするので、攻略し甲斐があるキャラクターだと思います。蘭丸の成長の変化にも注目してほしいです。
――演じていて、森蘭丸とご自身の共通点はありましたか?
島﨑 よくまわりから真面目やお芝居への気持ちが暑苦しいとか、空回りしていると言われるので、そこが似ているのかもしれません。この業界にも明智光秀や羽柴秀吉のような先輩がたくさんいらっしゃるので、そういう意味では蘭丸は声優業界の中の僕なので、感情移入や重ね合わせる部分が多かったです。
――印象に残っているシーンを教えてください。
島﨑 シーンというよりも全体を通してですが、蘭丸は主人公の笑顔が大好きなんです。「あなたの微笑みからあなたの心が表れています」というようなセリフがあったり、こっちが恥ずかしくなるくらい、蘭丸は主人公の笑顔や微笑みが大好きというのが随所に出てきます。僕自身も楽しそうにうれしそうにしている顔はステキだなと思うので、主人公の笑顔がステキなんだろうなと想像しながら演じました。
――演じる前と後で森蘭丸のイメージは変わりましたか?
島﨑 織田信長を慕っていることは変わらないのですが、“愚直で真っすぐ。でも融通が利かないくらい素直”ではなく、老獪な部分もあるイメージでした。『下天の華』の蘭丸は、筋が通り過ぎるというくらいんお男だったので演じていて好感が持てました。
――主人公と森蘭丸の恋愛をひと言で表すなら何になりますか?
島﨑 “純愛”かな。完全にふたりとも惚れ合っているし、好き合っているのに、蘭丸も、忍として生きている主人公も恋愛の経験がなく、お互い真っ直ぐすぎてふたりともいまいち気付いていなかったり、鈍かったりするので、“純愛”という言葉がぴったりだと思います。
――森蘭丸以外で気になるキャラクターはいましたか?
島﨑 全員気になるのですが、とくに気になるのは明智光秀と徳川家康です。光秀は蘭丸から見るといい意味で胡散臭いんですよ(笑)。光秀に対しての警戒心や敵意が強く、興味を持っているので、僕自身も光秀は何を考えているのだろう? と感じました。家康に関しては、小野賢章さんが乙女ゲームに出演されるのは珍しい印象なので、家康をどう演じられているのかが気になりましたし、家康のキャラクター設定にも興味があります。気弱な部分があったり、武芸に秀でているのに争いごとを嫌ったりするので、彼にはどんなバックボーンがあるのかが気になりました。
――主人公が忍ということで、もし忍術が使えるとしたら何を使ってみたいですか?
島﨑 いろいろありますよ。基本の基本の“火遁の術”から始まって、“土遁”、“木遁”、“水遁”、“雷遁”と攻撃系の術をすべて使ってみたいですし、“口寄せの術”もやってみたいです。でかいカエルを呼んで、上から“火遁”を吹いたらすごくかっこいいですよね。でも、リアルにほしいのは“分身の術”かな。複数の現場に同時に行けたり、やりたいことを分けてできるので、現実的にいちばんほしいのは“分身の術”ですけど、“火遁”とかで遊びたち気持ちもあります(笑)。
――主人公は忍であることをまわりの人に秘密にしていますが、島﨑さんのいまだから言える秘密や、ここだけで明かせる秘密があれば教えてください。
島﨑 朝がすごく弱いので、“ジリリリリ”とものすごく大きな音が鳴るベルの目覚まし時計を3個持っています。音が鳴ったら起きてベルを止めるんですけど、スヌーズでまた5分後に“ジリリリリ”と鳴るのでまたそれを止めて……ということを1時間以上くり返したことがあります(笑)。あとは、基本的に寝るのが好きなので、20時間ぐらい寝ていたこともあります。
――では、最後に読者へメッセージをお願いします。
島﨑 このインタビューで『下天の華』と森蘭丸、ほかのキャラクターについて、少しでも興味を持ってもらえたら幸いです。この作品、収録していてしっかりどっしりと作っているかが伝わってきました。楽しみにしてくださって間違いありません! 素晴らしい役者陣も揃っていますし、きっとステキな作品になりますので、楽しみにしてください。


【檜山修之さん(百地尚光役)】
――アフレコを終えての感想をお願いします。
檜山修之(以下、檜山) ふつうの声優陣から見れば当たり前のことかもしれませんが、僕からしてみると今回はあまり声を張ることがなく、淡々とした演技をさせていただきました(笑)。女性向けの恋愛アドベンチャーゲームでは、熱いというかおバカなキャラクターを担当することが多いのですが、百地はこのジャンルのゲームとしては王道なキャラクターなんじゃないかなと思います。
――百地尚光を演じる上で、苦労したところや難しかったところはありましたか?
檜山 ふだんやり慣れている檜山のフィールドとは少し違ったので、そういった意味ではいろいろ探りつつ演じました。いつもとは違う感触を持っています。
――檜山さんが演じられた百地尚光の魅力を教えてください。
檜山 本作のキャラクター陣の中で年長者というポジションなので、主人公よりもかなり大人目線で保護者的なところが魅力だと思います。
――演じていて、百地尚光とご自身の共通点はありましたか?
檜山 共通点ですか!? 正直あまりないですね。年齢設定から見ても百地は僕よりひとまわりも下なのに、こいつのほうが大人だなという感じですし、しいて言えば声が似ているかな(笑)。
――キャラクターデザインを初めてご覧になられたときの印象を教えてください。
檜山 さきほども言いましたように、メインキャストの中で年長者というポジションも知っていたので“渋いな”と。
――百地尚光以外で気になるキャラクターはいましたか?
檜山 僕は歴史が大好きでとくにこの時代は好物なので、史実も資料として知っていますから、武将たちが本作でどういう風に料理されているのかが気になりますね。そういう意味で百地尚光はオリジナルキャラクターなので、ほかのキャラクターたちを演じた声優陣が少しうらやましいなと思いました。
――檜山さんは百地尚光と友だちになれると思いますか?
檜山 絶対になれないですね(笑)。彼は任務のためなら人としての情も切り捨てる、という考えですから、人付き合いも任務ありきなので表面上のお付き合いしかできないかなと思います(笑)。
――主人公が忍ということで、もし忍術が使えるとしたら何を使ってみたいですか?
檜山 実際にはなかったんじゃないかとも言われていますが“水蜘蛛”ですね。あとは凧に乗って空を飛んでみたいですね。
――主人公は忍であることをまわりの人に秘密にしていますが、檜山さんのいまだから言える秘密や、ここだけで明かせる秘密があれば教えてください。
檜山 ないですね。ヘタに秘密を暴露してしまうと軽犯罪になっちゃいますから(笑)。
――では、最後に読者へメッセージをお願いします。
檜山 女性向け恋愛アドベンチャーゲームで物静かな役は久しぶりだと思います。僕のファンの皆さまからは、好意的な意味で“うるさい”、“(ゲームの)ボリュームを下げました”という感想をよくいただくのですが、今回はボリュームを上げていただいてけっこうですので、ボリュームを上げてヘッドホンを使って楽しんでいただければと思います。


【岡本寛志さん(織田信行役)】
――アフレコを終えての感想をお願いします。
岡本寛志(以下、岡本) たいへんな部分もありましたが、楽しく収録させていただきました。主人公と会話をしているときの信行のやさしさだったり、好青年を保つのが難しく、信行の心情の変化を演じるのに苦労しましたが、その分やり甲斐がありました。
――岡本さんが演じられた織田信行の魅力を教えてください。
岡本 誰とでも話せるような人柄のよさですね。信長とは兄弟なのですが、圧倒的なカリスマ性のある信長とは対照的に、人当たりのよさややさしさ、人に嫌な思いをさせないような気遣いができるところが彼の魅力かなと思います。
――演じていて、織田信行とご自身の共通点はありましたか?
岡本 さきほど信長という信行の兄のことを出しましたが、信行は自分の直接の兄弟ではなくても強烈な存在感があったり、自分よりも優れている人がいる中で、一歩引くと言いますか、影になりがちなので、コンプレックスのようなものを抱いているんだろなと感じました。そういうところもあり、いちばん親近感が湧いたキャラクターですね。
――印象に残っているシーンを教えてください。
岡本 小動物など弱い存在を思いやるシーンですね。あとは、主人公が変化の術でいろいろなものに化けるのですが、“これはないだろう”というものに化けるところですね(笑)。
――本作での織田信長と信行の関係性を教えてください。
岡本 歴史や日本史に興味がないわけではないので、自分の中で織田信行に関する知識は多少ありましたが、『下天の華』ではけっこう仲よくやっているんだなという意外性がありました。信長とふつうに会話をしていたり、“貴様(信行)のことはわかっている”というような信長もセリフもあるところが、この作品ならではだと思いました。
――織田信行以外で気になるキャラクターはいましたか?
岡本 やはり織田信長ですね。信行の物語の中ですごく重要、大切だと思ったキャラクターなのと、松風雅也さんがどのように演じてくださるのかがすごく気になります。
――主人公が忍ということで、もし忍術が使えるとしたら何を使ってみたいですか?
岡本 主人公は化けるのがすごく得意なので“変化の術”ですね。事務所の大先輩に化けて現場に行って、まわりの皆さんの反応を体感してみたいです(笑)。
――主人公は忍であることをまわりの人に秘密にしていますが、岡本さんのいまだから言える秘密や、ここだけで明かせる秘密があれば教えてください。
岡本 僕はウサギを飼っているのですが、じつはペット禁止のアパートに住んでいることです(汗)。
――では、最後に読者へメッセージをお願いします。
岡本 歴史上の名立たる武将が登場しますが、史実とは違ったストーリー展開がとても魅力で、武将たちもプレイヤーの皆さんの心を鷲掴みにするようなかっこよさ、妖しさを持つ魅力溢れるキャラクターです。戦国の中で生きるという体験とともに、錚々たる武将たちと恋愛を楽しめるという、とてもステキな作品になっていますので、一度と言わずに何度もプレイしてすべてのキャラクターを攻略してほしいと思います。

