“自分らしさ”が詰め込まれたシングルに
『アイドルマスター』四条貴音役や『黄昏乙女×アムネジア』庚夕子役、『閃乱カグラ SHINOVI VERSUS -少女達の証明-』雪泉役などでおなじみの人気声優・原由実。2012年8月には自身の名義で初のシングルをリリースするなど、アーティストとしての活躍も注目を集めている彼女が、2013年3月27日(水)に待望の2ndシングル『蛍火』を発売する。オリジナルビデオアニメーション『コープスパーティー Tortured Souls -暴虐された魂の呪叫-』のエンディング曲である『蛍火』、自身がパーソナリティーを務めるWebラジオ『原由実の○○ラジオ』のオープニング曲『あふれる想い』に加え、さらにもう1曲を収録した全3曲の2ndシングル。その内容について原が語る囲み取材が行われたので、その模様をお届けする。
半年ぶりにリリースされる待望の2ndシングル
――まずは、2ndシングルが発売になるという話を聞いたときの感想を伺えれば。
原由実(以下、原) 1stシングルの『HANABI』は発売が(2012年)8月だったんですけれど、実際に作っていたのは5月だったんです。だから自分的にはだいぶ期間が空いた印象もあったので、お話をいただけたときはうれしかったですね。1stシングルのときは右も左もわからない部分がすごく多かったんですけれど、『HANABI』を通じていろいろな経験をさせていただいたので、今度は少しでも成長した自分を見せれるといいなと思いました。
――2ndシングルの表題曲である『蛍火』を最初に聴いたときの印象は?
原 すごくキレイな曲だなと思いました。ギターの音はまだ収録前だったんですが、アレンジがかたまった状態のものを聴かせていただいたんです。その時点ですごく美しくて。OVAで発売される『コープスパーティーTS』のエンディングになるということは伺っていたんですけれど、その後、劇場で上映されることやラストが衝撃的だというお話を聞いたときに、作品のラストに流れるのがピッタリな曲だと感じたんです。劇場で曲が流れているのが思い浮かぶようなすごく壮大な曲だなと思いました。
――最初に曲を聴いたときに、いっしょに歌詞も見られたんですか?
原 いえ、曲だけを聴いて、そのあと歌詞をいただきました。歌詞もすごく好きですね。曲と歌詞がすごくリンクしていると感じているんです。歌詞を確認するときに私がいちばん注目しているところが“曲と歌詞がリンクしているか”というところなんですね。その点、この歌詞は曲から想像がつくというか、ホントにリンクしている歌詞だと感じます。歌詞の内容については、最初に読んだ段階ではとても切ない印象を持ったんですけれど、切ないだけじゃなくて前向きな部分のある素敵な歌詞だなと思いました。
――『蛍火』のレコーディングは順調に進んだんでしょうか?
原 じつは私が勘違いをしていて、レコーディングの日程を前日の夜に知ったんです。しかも、そのとき夕方からお仕事があって、家に帰るのがわりと遅くなることがわかっていたんですよ。曲は聴いていたんですけれど練習時間が断然短かったので「やばい! レコーディングが怖いよぉ……」と思ってしまうほどで。でも、この曲が私に合っているからなのか、すごく自然と体になじんで、練習時間が短いわりにぜんぜん苦労せずにレコーディングできたんです。それこそ『HANABI』とか『天ノ紅』のときは、仮歌を歌わせていただいたり、レコーディングで歌った回数も10本以上歌っていたり。私の中では10本も歌うのは多い部類に入るんですけれど、『蛍火』は3本ずつぐらいしか歌っていないんですよ。それでもすごく仕上がりが気に入っています。とはいえ、歌いかたはすごく迷った部分もありました。Aメロをちゃんとハッキリ歌うのか、ささやくように歌うのか、いろいろなパターンで試させていただいて。あとは裏声を使っている部分が、表でも出る音の高さでもあるんですけれど、表で行くか裏でいくか相談させていただきつつ収録をしました。
――『蛍火』に関して、ここに注目してほしいという歌詞はありますか。
原 やっぱり最後の部分ですね。この歌の中で「信じている。。。」という部分がとても大事だと思うので、歌うときもこだわりました。基本的には「オーケーです」と言ってもらえたらつぎの部分を収録するんですけれど、私的にはこの部分が曲の中ですごく大事な部分だと思ったので、「もうちょっと録らせていただいていいですか?」というやり取りはありましたね。それだけこの部分は大事な部分だと感じています。
――歌詞の中にある“。。。”などは、歌うときに意識したりするものですか?
原 意識します。あるのとないのとでは違いますよね。
――“。”と、“。。。”では違うんですか?
原 ぜんぜん違います。やっぱりちょっと余韻を残す感じの印象を与えるんですよね。そのあと余韻が大事になるようなイメージになります。
――なるほど。その後、『蛍火』が完成したものを聴いたときの感想は、いかがでしたか?
原 すごく感動しました。レコーディングのラフの段階で、「すごく自分に合ってる!」と感じたので気に入って音源をお持ち帰りしたんです。なかなかラフの状態のものを持ち帰ることはないんですよ。でも、『蛍火』は自分に合ってるような感覚があってすぐに欲しくなっちゃいまして、「ラフでいいのでいただいてもいいですか?」と伺って、音源をいただきました。その段階で気に入っていたんですけれど、エンジニアさんたちのお力が加わって、さらに耳心地よく響いてくる感じに仕上げてくださっていたので、自分にピッタリな素敵な曲に出会えたな、と感動しました。
――ちなみに、1stシングルのときはお持ち帰りはしなかったんですよね(笑)。
原 しなかったです! いや、違うんです!(笑) お持ち帰りすることのほうが珍しいんです。お仕事で歌を歌わせていただく機会ってすごくたくさんあったんですけれど私がお持ち帰りしたのは、ここ数年で2~3回です。本当に頻度としてはすごく少ないですね。お持ち帰りは1年以上ぶりです(笑)。
――なんだか、ご飯の話にしか聞こえなくなってしまいましたね。
原 ご飯もたまにお持ち帰りさせていただきます(笑)。スタジオでご飯をご用意いただいていたりしたときに、余っていると「原さん、どうぞ」と言っていただけるので、お持ち帰りはさせていただくんですが、この日は『蛍火』の音源でした(笑)。
――お持ち帰りをするほど、どんな部分が気に入ったんでしょう?
原 自分の声質にすごく合っているからか、耳にすーっと入ってくるんです。その感覚ってなかなかないことなんです。この曲を聴くと、テンポであったり、メロディーであったり、アレンジであったり、声の響きかたであったり、そういういろいろな要素が全部ピッタリとハマったっていう感覚になるんですね。自分の声は、こういう系が合うんだということを発見した曲でもあります。
――いままで自分に合うと思っていたのは、バラードではなかったんですか?
原 アップテンポかバラードかと言ったら、バラードのほうが合うとは思っていたんです。でも、個人的に好きだからという理由もあると思うのですが、爽やか明るい系の曲が合うと思っていたんです。だから、こんなにも切ないバラードが合うとは思っていなかったですね。
初めてフルで作詞をした『あふれる想い』
――2曲目の『あふれる想い』ですが、最初に聴いたときの印象は?
原 もともと私がパーソナリティーを務める『はらまる』ラジオのオープニング曲として使っていたBGMだった曲なんですけれども、BGMを作っていただく段階で、いずれ私が歌うという話にはなっていたんです。そのBGMの段階では爽やかでテンポのゆっくりした曲だと思っていました。実際に歌うことになってからアレンジされた曲は、アップテンポめなガールズロックに仕上がっていますね。
――『あふれる想い』では作詞をされていますが、どのように詞を作られたんですか?
原 以前にワンコーラスだけ作詞をさせていただいたことがあったんですけれど、フルでひとりで作詞させていただくのは今回が初めてでした。私はおしゃべりをしたり、言葉で伝えるのがへたくそだなって個人的に思っているんですね。だから作詞作業って私的にはハードルの高い作業だったんです。だから「作詞をしてみる?」というお話をいただいたときは「大丈夫なのかな?」という不安のほうが最初は大きかったです。それで「期間をたっぷりいただけるのであれば、ぜひ挑戦してみたいです」という感じでお話をさせていただきました。結果、期間を1ヵ月ぐらいいただけまして、たっぷり考える時間があったのでとてもありがたかったです。ただ、何から始めたらいいかがわからなかったんです。とりあえず、まずはいただいた音資料をスロー再生にしてメロディーの数を「いち、にぃ、さん、しぃ」と数えるところから始めて(笑)。ノートにたくさんの○ができあがって、こんなにたくさんの○を埋めるのはたいへんだと思ってしまって書き始めるまですごく時間がかかりました。ただ、自分にとって『はらまる』は初のソロラジオであり大事な存在なので、フィクションとかではなく、自分が日頃思っていることを素直に書こうと決めてからは、わりと自分的に動き出せましたね。
−−日頃思っていることというのは、どんなことなんでしょう?
原 自分はまわりの人に支えていただいたり、応援してくださる皆さんがいてくださることが、ホントにありがたいなと強く思っていて、その気持ちを曲に乗せようと思いました。
−−作詞で苦労した部分はありますか?
原 『あふれる想い』は頭サビで始まるんですけれど、最初のブロックが5文字だと思ったんです。そこからメロディーは続いているんですけれど、その5文字が大事だと感じたんですね。それで「5文字でいちばん伝えたいことってなんだろう?」と思ったときに「“ありがとう”しかない!」って思ったんです。それで「ありがとう」と当てはめたあとは、ささささっと書けて。1Aや1Bでは昔のことを振り返ってみたり、2Aや2Bではふだん皆さんがしてくださることを織り交ぜつつ書かせていただきました。アレンジの初期段階で作詞を始めたので、アレンジが変わったことで自分が書いた歌詞が合わなくなったらどうしようって思ったんですけど、そのあたりもすごくピッタリはまって、本当に素敵な仕上がりになったと感じています。苦労した分、この曲に対する思い入れがすごく強いですね。明るい気分になれる曲なので、この曲を聴いて明るい気持ちになってくださったらうれしいなと思います。
――最初の5文字から作り上げたというお話はおもしろいですね。
原 ここが本当に大事だと思ったんです。だから、絶対にそこから作ろうと決めて作詞をしましたね。
――自分のことを支えてくれる人たちへの気持ちを綴ったという感じなんですね。
原 そうですね。じつは去年(2012年)の12月に行われた今井麻美さんのライブにゲストで出演させていただいたときに『あふれる想い』を初披露させていただいたんですけれども、その時点でレコーディングはしていなかったんです。その後、レコーディングの日に2ヵ所ぐらい歌詞が変更になったんですよ。だから、ライブのときは私が書いた歌詞そのままだったんですけれども、レコーディングのときに、こうしたほうが言葉のハマりがいいかも、といった感じで変更になっています。
――ライブの後のファンの反応はいかがでしたか?
原 ライブ後にお手紙などをいただいたのですが、皆さんすごいんです。初めて聴いたのにも関わらず、歌詞の内容がちゃんと届いたんですよ。ふつうだとわからなかったりするじゃないですか。ライブのあいだは、いろいろなことを考えたり、見たりすると思うんです。その中で歌詞で何を言っているかを掴むのってなかなか難しかったりすると思うんですよ。でも、皆さんに歌詞の内容がしっかりと届いたようで、いただいたお手紙の中に、2Aの内容について触れてくださっている方がすごく多くて。“自分たちが直接お手紙を送ったりとか番組宛にメールを送ったことに関して触れてくれていたり、感謝の気持ちを曲にしてくれたことがすごくうれしくて、曲を聴きながら涙が出ました”ということを書いてくださっている方がすごく多くて、皆さんに私の想いが届いたことがすごくうれしかったです。
――それだけ伝わりやすい歌詞を原さんが書かれたということでもありますよね。
原 そうだとうれしいですね。
――音源として完成したものを聴いたときの感想はいかがでしたか?
原 ギターやベースを生で録音しているからか、パワーがさらに増していると感じました。最初にアレンジが上がった時点ではまだ生で演奏した音は入っていなかったのですが、それらの音が加わったことで、さらに元気が出るようなオケになったな、と。自分の歌の乗りかたというのも自然になじんでくるというか、自分っぽいなってすごく思いましたね。作った歌いかたというよりも、すごく自分らしさが出た素敵な仕上がりになったと思っています。
――3曲目は、どんな曲になるんですか?
原 曲は聴かせてもらっているんですけれど、歌詞もまだで、アレンジもまだな状態なんですが、明るい曲ですね。『あふれる想い』よりはテンポはゆっくりな感じ……ですかね?
濱田智之氏(以下、濱田) テンポ的にはほとんど変わらないですね。明るくカッコいい系に若干シフトするかと。アップテンポな曲になりますね。
原 私の好みを取り入れてくださるということだったので、私の好きなバンドの曲を聴いてもらって、「このあたりの、このギターの音色が好きなんです」という感じで意見をお伝えしているんです。ですから、この曲もきっと思い入れがたっぷりな曲に仕上がりそうで、すごく楽しみです。
――シングル全体を通して、どんな雰囲気になりそうですか?
原 “自分”というものがたっぷり入ったシングルになりそうだなと思っています。ホントに自分にピッタリ合った、出会えてよかったと思う表題曲の『蛍火』に、作詞をさせていただいた『あふれる想い』。3曲目も自分の好みを存分に取り入れていただいて作られた曲なので、本当に自分らしいシングルになると思います。ホントにすべての曲を多くの方に聴いていただけたらうれしいなって思います。それぐらい自分的には満足の1枚に仕上がるだろうな、と感じています。
そして今後の展開
――ジャケット撮影もすでに終えられているということですが、どんな雰囲気の写真になりそうですか?
原 ジャケット撮影は、多摩川の近くのスタジオで行いました。私はファッションセンスがなくて、意見を言うこともできないぐらいなので、衣装に関しては完全にお任せしています。ホントに自分で買いにいくときも、すべて店員さん任せなんですよ。自分が持っている服を説明すると店員さんが「これが合いますね」という感じで選んでくださるので、いつも店員さんにお任せしているぐらいで。今回もスタッフさんにお任せして、すごく素敵な感じに仕上げていただきました。最近、私はずっと髪が短かったんですけれど、エクステをつけて髪を長くするという案をいただいたりして、「懐かしいし、すごく新鮮だな」という雰囲気になっています。お洋服も大人っぽさもありつつ、女性らしさもありつつ、でもちょっとロックな感じもありつつの、いろんな要素をひとつの衣装の中に詰め込んだものになっています。ジャケット撮影をしたスタジオもライティングにこだわっていただいて、ちょっとムーディーな、大人な感じの照明で撮っていただきまして、写真をチラ見したら雰囲気のある素敵なものになったかも……と思いました。
――今回、『蛍火』のインストアイベントが東京・大阪合わせて6回。今井さんの『Dear Darling』との合同イベントが、こちらも東京・大阪合わせて4回。全部で合計10回あるということで、どんなお気持ちですか?
原 楽しみですね。今回も私の実家である大阪でイベントができることが、すごくうれしいです。とくにお渡し会や握手会は、それこそ『あふれる想い』で伝えたかった皆さんと、直接お話ができる機会ですから、私的にすごく貴重なことなので楽しみですね。何をお話しようかなとか、皆さん緊張される方もいるとは思うんですけれど、私は皆さんとお話しがしたいんです。結果、ついつい話が長くなってしまうんですけれど(笑)。だいたい時間が押しちゃうので、その後とか余裕があったら多少押しても大丈夫だよという状況がありがたいなと思うぐらい、皆さんとたくさんお話をしたいなって思っています。あとは『蛍火』や3曲目の曲を歌う機会がまだ現時点でないので、皆さんに披露させていただけるのをすごく楽しみにしています。
――先日、『コープスパーティー』のラジオの歌を作れたらと仰られていましたが、今井さんと出せるとなったら、どんな曲にしたいですか?
原 『コープス』は怖い作品なんですけれど、麻美さんも私も、わりと明るいタイプだと思うんですね。作品は怖いけど、ふたりの雰囲気を取り入れたような、明るい感じの曲がいいなと。ふたりで歌っています感が出るような、掛け合いのあるような曲が歌えたら素敵ですね。
――原さんの音楽的な目標をお伺いできれば。
原 私の音楽的な目標…………これを言っちゃったら後に引けなくなるかなって思って、ずっと去年ぐらいから秘めている目標があるんですけど、言っちゃうと後戻りできなくなりそうだから……言えないかなー(笑)。どうしましょう(笑)。言ったほうがいいですか?
――目標ですから、絶対にやらなければいけないものでもないので、言っちゃいましょう。
原 そうですよね。目標ですからね。去年(2012年)、個人的にギターを買っていたりして、私がパーソナリティーを務めている『はらまる』のほうでもギターを弾いたりしているんですけれど、最近になってギター熱が再燃してきたんです。去年の秋ぐらいから家でもけっこう弾くようになりまして。それはなぜかというと作曲がしてみたいんですよ。いまからギターが好きだからってギタリストになれるかって言ったら、たぶん無理なんですけど(笑)。でも、私はギターでの作曲、コードから作っていく作曲というのをいつかやりたいと思っていて。自分で歌う曲を自分で作れたらすごく素敵だなとずっと思っているんです。ですから、チラホラまわりの方たちにも軽ーくお話はしています。ただ、こうやって皆さんに向けて言うのは初めてなので、「まだかまだか」と思わずにですね(笑)、ゆっくりと見守っていただければと思います。叶うと素敵だなっていう、夢みたいなものです。
――ぜひ実現してほしいですね。それでは最後にひと言メッセージをお願いします。
原 どの曲にも思い入れがあって、皆さんに届くといいなと心から思っている3曲ですので、ぜひ多くの方に聴いていただけたらうれしいです。イベントもたくさんありますので、皆さんと楽しい時間が過ごせるように、内容も『HANABI』のときのイベントとはまた違ったことに挑戦したいと、私もいろいろ考えたいと思っていますので、イベントにも参加していただけたらと思います。よろしくお願いします!
■蛍火
発売日:2013年3月27日発売予定
価格:1680円[税込]
発売元/販売元:5pb./メディアファクトリー
【収録曲】
01. 蛍火
02. あふれる想い
03. Spiral Moment
04. 蛍火(instrumental)
05. あふれる想い(instrumental)
06. Spiral Moment(instrumental)