スクウェア・エニックス 安藤氏×間氏ソーシャルゲーム対談完全版

スクウェア・エニックスのソーシャルゲームをプロデュースしている安藤武博氏と、間一朗氏が、ソーシャルゲームについて語る。週刊ファミ通2013年2月7日号に掲載された対談の完全版をお届け!

 さまざまな大手ゲームメーカーが本腰を入れて取り組んでいるソーシャルゲーム。スクウェア・エニックスも例外ではなく、『ファイナルファンタジー』(以下、『FF』)ブランドを冠した『FFブリゲイド』や『FFアートニクス』を始め、『拡散性ミリオンアーサー』などの新規タイトルでも、ソーシャルゲームの分野に意欲的に取り組んでいる。今回、スクウェア・エニックスのソーシャルゲームをプロデュースする、安藤武博氏と間一朗氏のおふたりに、現在サービス中のソーシャルゲームから、ソーシャルゲームが抱える課題点まで、幅広い話題をおふたりに語っていただいた。
※本インタビューは、週刊ファミ通2013年2月7日号(2013年1月24日発売)に掲載されたものの完全版となります。


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安藤武博氏(写真右)
Ando Takehiro
『ケイオスリングス』シリーズなどの、スマートフォン用作品を多数手掛けるプロデューサー。『拡散性ミリオンアーサー』、『ロード オブ ヴァーミリオン 煉』、『エンペラーズ サガ』などのソーシャルゲームを統括している。

間一朗氏(写真左)
Hazama Ichiro
『FFブリゲイド』と『FFアートニクス』、『すばらしきこのせかい LIVE Remix』のプロデューサー。『シアトリズムFF』でもプロデューサーを務めている。

●『FFブリゲイド』一周年を迎え

――おふたりは、これまでいっしょにお仕事されたことはありますか?

安藤 のっけから盛り上がらなくてすみませんが、まったくないんですよ(笑)。

 一切ね(笑)。でも、「いっしょにやろう」という話をもらったことはあって。自分の中では、まだ生きているんだけど……。

安藤 あれ。あの話、生きてます?

 うん。なので、これから接点があるかもしれません(笑)。

安藤 いきなり曖昧な話ですみません(笑)。

――期待しています(笑)。間さんが手掛ける『FFブリゲイド』が、サービス開始から一周年を迎えましたが、ご感想はいかがですか?

 感想……。うーん、わからないんです。今日寝て明日起きたら、じつはサービスイン前日だったとしても驚かないくらい、毎日お祭り騒ぎで怒涛のようにやってきたので、一周年の実感がまったくないんですよ。

安藤 『FFブリゲイド』って、開発中とサービス後でクオリティーがまったく違うタイトルだったんですよね。結論から言うと、2012年の名作のひとつだと思います。

 ありがとうございます(笑)。

安藤 似たシステムのソーシャルゲームが多いなかで、『FFブリゲイド』はとてもチャレンジングな新しいシステムを作っていたんです。『FF』という冠を持って、当たり前だったガチャをなくしたり、複雑なシステムを導入しても、複雑に感じさせないように徐々に門戸を開くようにしたり。それもあって、調整中の段階は要素がバラバラで、「うまくまとまるのかな?」と思ったほどです。でも、実際に遊んで見ると、ジョブや上級職の条件といった概念もあって、『FF』と同じプレイ感覚になっているんですよね。自然と竜騎士を目指して遊んでいるのに気づいたときは、「これ、『FF』だ」って思いましたから(笑)。あと、プレイヤーがランダムに集う飛空艇団のシステムは、後発の作品に大きな影響を与えていますね。ソーシャルゲームには、あまり発明が多くないんですが、これはいろいろと発明のある作品でした。

 安心して手に取れるわかりやすさがソーシャルゲームの魅力ですが、『FFブリゲイド』は奥深くした反面、複雑なゲームになっていたので、不安はあったんです。それが、安藤にも言ってもらったように、おかげさまで評判はよく、その点はホッとしています。先ほど一周年の実感がないという話をしましたが、1年間ずっとドキドキしていましたね。いまも、落ち着いているとは言えません。

――一周年を迎え、リニューアルをされると、うかがいましたが?

 飛空艇団から始まって、1年間でどんどんシステムを拡充していったんですが、そのぶん、要素が散らかってしまった部分もあるんですね。これ以上広げると、おもしろさが細分化してしまい、より複雑になってしまう。それもあって、今回のリニューアルではガラっと変えようと思います。

安藤 それは、削ぎ落とす方向ですか?

 いや、土台から変えていくイメージで。『FFXI』でアペンドディスクが発表されたときって、テンションが上がりましたよね。それをソーシャルゲームでも味わえるように、今年はこうする、来年はこうする、と盛り上げられたらいいなと思います。

安藤 ゲーム屋の腕の見せどころですね。

 そうなんだよね。”FFブリゲイド アトルガンの秘宝”って名前じゃないけど(笑)、ああいう新しいサブタイトルのついたロゴを見るとワクワクするんです。そういう楽しさを出していきたいと思います。

――一方で、『FFアートニクス』は、非常にオーソドックスな内容になっていますね。

 『FFブリゲイド』とは、ものすごいコントラストをつけたいと思っています。「つぎは何が来るんだろう?」と、おもちゃ箱をひっくり返したような予想のつかない『FFブリゲイド』に対して、『FF』キャラクターの魅力を前面に押し出した、いわば王道で勝負したいと考えたのが、『FFアートニクス』です。新たに覚えるものも少ないですし、初心者の人にも安心して遊んでいただけると思います。

安藤 まったく違うゲームですよね。

 いまは、ね。まずは、ゆっくり着実にお客様に楽しんでもらえるものを。そのうえで、もちろんバージョンアップはしっかりと行なって参りますので、ぜひ楽しみにしてください。


●人気作のソーシャル化

――安藤さんは、昨年数々のゲームを出していましたが、その中でも『エンペラーズ サガ』を手掛けた感想はいかがですか?

安藤 たいへんでしたよ(笑)。僕らは原則的にオリジナルタイトルを担当する部門なんですが、それがひょんなことから『サガ』を担当させてもらうことになって。『FF』も『ドラゴンクエスト』も『サガ』も、どれも僕にとっては育ててもらったようなゲームで、これらの話をするのも恐れ多いんです(笑)。それをソーシャルゲームにすることは、「戻るも進むも地獄になるんじゃ……」と思っていました。とはいえ、これはチャンスですから、どこまで『サガ』の感覚を出せるかと、最終的にスタッフみんなで『サガ』シリーズをやり直して、「これを入れれば『サガ』になるんじゃないか?」という要素を突き詰めて、それから開発を進めてサービスインしたんです。

――サービスインから4ヵ月ですね。

安藤 まだまだ要素が足りないし、これからもっと追加していくんですが、それでも多くの方に受け入れてもらって、『サガ』ファンの同窓会みたいなコミュニティができあがっているのがうれしいですね。それと、河津(河津秋敏氏。『サガ』シリーズの生みの親)も、「フリーシナリオを入れましょう」と積極的にアイデアを出してくれたりと、チームの一員のようになってくれたことがとても大きいです。でも、間といっしょで大きなブランドのサービスを扱うのはドキドキしていますよ(笑)。

 なるよね(笑)。

――ソーシャルゲームの文法に置き換えつつ、これまでのブランドを守るというのは、どちらもジレンマを感じそうですね。

安藤 コンシューマゲームとソーシャルゲームは、ゲーム開発の文法がまったく違うんですね。ソーシャルゲームのように手軽にしつつも、求められるのはコンシューマ並みの内容だったりするので、ハードルは高いです。でも、『エンペラーズ サガ』の場合、シナリオを作っている、とちぼり(とちぼり木氏。『FF零式』などのシナリオも担当)が『サガ』シリーズでおなじみの雪だるまを扱ったイベントのシナリオを書いているんですが、彼が「ソーシャルゲームのシナリオで、初めて泣かせてみせる!」と意気込んでいたんです。いわゆるランキング系のイベントなんですが、上位を目指すものとは別のベクトルで、シナリオの先が見たくてやりたくなるというものはコンシューマに近いので、両者の開発が近くなってきてるなと実感しています。

――コンシューマブランドをソーシャルに持ってくる難しさというのは?

 いま、自身が手掛けているソーシャルゲームは、キャラクターマーチャンダイジング(キャラクターを使ったグッズの商品化計画のこと)に近いのかなと感じています。というのも、既存ブランドのソーシャルゲーム化は、『FF』などの題材の一部分を切り取って最大化するものだと思うんです。たとえば、『FFブリゲイド』も『FFアートニクス』も、そして『シアトリズムFF』もそうなのですが、切り取りかた次第でまったく違う作品になるんですね。そこをいかに独りよがりにならず、お客様の望まれるカタチに切り出せるかが、何より難しいと考えています。

安藤 できることがコンシューマと違いますし、空いている時間を使って遊べるものにしないとダメですよね。携帯の前で何時間も遊んでもらえるわけではありませんし。ですから、そのブランドの本質を見極めないとダメだと思います。『サガ』の場合は、“陣形”と“閃き”と”連携”というポイントは入れなきゃいけないと思っていたんですが、それでも圧倒的に足りていない、さらなる『サガ』らしさはフリーシナリオと音楽です。それらをきちんとソーシャルの文法に置き換えて組み込めれば、もっと『サガ』らしくなるだろうと思います。これもあれもと中途半端に選ぶのではなく、これだと断じないと軸がブレてしまう。でも、25年前のプリミティブ(素朴)な『サガ』を遊んで、「これが『サガ』らしさだ」と分析するのは、難しくもありますが、うちのレジェンドクリエイターの足跡をたどるような感じで、楽しかったですね。


●ソーシャルゲームの課題

――おふたりにソーシャルゲームのいいところと課題点をおうかがいします。まずは、いいところはどこだと思いますか?

 とっつきのよさが最強クラスです。誰もが持っているデバイスで、基本無料で楽しめる。もちろん、とっつきやすい反面、手軽にやめられてしまいもするのですが、それでもまず遊んでいただけるということが、最大の強みであると思います。

安藤 僕も同意見ですね。よく、コンシューマゲームとソーシャルゲームを対立構造にしますが、僕も間も両方遊びますし、携帯電話はみんなが持っていますので、誰もが空いた時間に『FF』や『サガ』ブランドのゲームで手軽に遊べるという状況は、これまでになかったものだと思います。1日で遊ぶ時間は10分かもしれないけど、積み重ねた時間を見てみると、スーパーファミコンで触れた『FF』や『サガ』と同じくらいの時間になっていたりする。テレビゲーム機で遊ぶ時間と日常のあいだを埋めて、よりゲームに接することができるプラットフォームと考えれば、起きてから寝るまで、それこそトイレでもずっとゲームに触れられるという状態は、これまでのゲームの歴史でもっともゲームに触れる時間を作り出していると思います。

――コンシューマゲームのファンが、ソーシャルゲームを遊んでいる実感はありますか?

 具体的な数字は言えませんが、その実感は大いにありますね。たとえば、『FFブリゲイド』の場合は、原作に準拠したイベントを常時展開していますが、人気の高いタイトルを原典としたイベントですと、如実に反応がいいんです。『サガ』も、同窓会ができてるって言うくらいだもんね?

安藤 そうなんですよ。ソーシャルゲームにはプレイヤーどうしで挨拶するとポイントがもらえる仕組みがありますが、それが『エンペラーズ サガ』の場合、定型文の挨拶にならないんですね。『サガ』の思い出を添えて送る人が非常に多い(笑)。『サガ』って、なかなか純粋な新作が出ていないのもあって、『サガ』の集まる場所がなかったと思うんですよね。それで、『エンペラーズ サガ』に集まった人たちが、ゲームボーイ版からシリーズの話をしているんです。でも、年齢の高い人ばかりが集まっているわけでもなく、10代の人もたくさんいるんですね。リメイクされたものならわかるんですが、『ロマンシング サ・ガ2』などの話もいっしょに盛り上がっているので、世代の差があまりなくて。若い人たちがどういうタイミングで、古い作品に触れているのかわからないんですが、ちょっとおもしろいし、うれしいことですね。

――それは、なかなかないおもしろいコミュニティですね。では、ソーシャルゲームの課題点は?

 “コンシューマゲーム”と“ソーシャルゲーム”という、別々のカテゴリーとして語られていることが課題かと思います。と同時に、両者の垣根をどこより早く取り払うことができるのは、ウチ(スクウェア・エニックス)なんじゃないかとも思っています。最初は『FF』や『サガ』といった好きな作品をきっかけに楽しんでもらって、ゆくゆくはしっかりとしたゲーム体験ができるようなタイトルを提供して行くことになるのかなと。だから、さっき安藤が言っていた、シナリオの話はすごく共感できて。シナリオの先が読みたいから、このソーシャルゲームを進めたいというような道すじができないと、夢がないよなーと思うんです。……ソーシャルゲームのメーカーさんと話をしているときに、たまにイラッとすることがあって。「かわいい女の子を出しておけば大丈夫ですよ(笑)」って、本当に言われたりするんですね。

安藤 うんうん。ありますねー。

 それで大丈夫なわけないでしょ!?  でもこんなカンジで、カテゴリーを分けてしまうのは、ユーザーの皆さんではなくて、作り手の側なんですよね。もちろん、作り手の誰もがそうではありませんが、そういう人たちは淘汰されていくと思います。

安藤 うん。そういう人たちには、積極的に退場していただきたいなと思っています(笑)。「『FF』や『サガ』のキャラクターを使えば大丈夫」という話をされることもありますが、そういうことを言われる方には、当社のキャラクターデザイナーたちが、それぞれのキャラクターを考えに考え抜いて描いた造形で、どれだけの世界観とドラマを背負わしているかというのは知らないだろうし、そのやり方や意気込みの重要性はなかなかわかってもらえないだろうなと思います。

――安藤さんが思うソーシャルゲームの課題点は?

安藤 週刊ファミ通を読むゲームファンの方の中には、「どのソーシャルゲームも似ていて同じ」と言う人もいると思います。実際、同じものが溢れ返っていて、そういうゲームを作る人たちの中には、マネのしやすい勝ちパターンを探している人が多いんです。でも、コンシューマゲームでは、そういうマネは絶対悪で、どこかがいいゲームを作ったら、「見返してやる!」という心意気でがんばる人が大半だったわけです。それが、ソーシャルゲームのクリエイターは、「つぎは、何が流行るかな?」とか、「このガチャの仕組みを使おう」といった、おもしろさを置いてきぼりにした発想をする人が多い。それは、ゲームファンにはまったく関係のないことですよね。実際、そういうおもしろさをないがしろにしたゲームは淘汰され、いいものが残り始めていますが、あまりに多くのゲームがマネをしているので、イメージが悪くなっているのがよくないところですね。彼らは、おもしろいエンターテイメントを作るというより、売れているWeb事業だから乗っかっている。ファミコンやスーパーファミコンの時期に、急にゲーム業界に入ってきて、有名作にそっくりなゲームを出すメーカーが多くありましたが、そういったメーカーは消えましたよね。あれと同じことが起こっているんだと思います。

 『パズル&ドラゴンズ』のブームを見たときに、「悔しい」と思うか、「マネしよう」と思うかってことですよね。

安藤 すでにかなり真似したものが出ていますからね。『パズル&ドラゴンズ』開発者の山本さん(山本大介氏。『パズル&ドラゴンズ』プロデューサー)には、「僕はマネしません!」と宣言済みです(笑)。


●模倣の先にある新作

――模倣から抜け出し、チャレンジをするソーシャルゲームも多く出てきていますが、安藤さんも先駆けてそういったチャレンジをされてきましたよね。

安藤 まず模倣から入るのはアーケードやコンシューマと同じで、現在の大手メーカーでさえ、『スペースインベーダー』の見た目を変えただけのものを出していましたからね。それが、『インベーダー』と同じ基板を使って、アクションゲームを出したり、シューティングの正統進化として『ギャラガ』や『ゼビウス』、『グラディウス』といった系譜が生まれていったわけで。昨今のソーシャルゲームで多いカードゲームで言うと、KONAMIさんの『ドラゴンコレクション』が源流になるのかもしれませんが、源流に似たものが濫発されたのが昨年までで、今年からはゲーム黎明期で言う『ドンキーコング』や『パックマン』といったものが出始める年だと思います。

――なるほど。

安藤 じつは僕も模倣は経験しています。というのも、ディー・エヌ・エーさんやグリーさんがヒット作を生み出す秘訣が、当初はまったくわからなかったんです。とくに『怪盗ロワイヤル』のヒットが大きく、それを勉強しようと思い、『ナイツオブクリスタル』というタイトルで、システムを模倣しながらアレンジを加えてサービスをしていたんです。当初は、「僕らでは太刀打ちできないような、新時代のマネタイズ(収益を生み出すシステム構築のこと)があるんじゃないか?」と思った時期もあって。それでやってみた結果、マネタイズは後からでもなんとかなるということがわかったんです。やはり経験してみないとわからないことは多いです。パッケージの大作を作っている人間にとっては、8800円といった値段の作品を無料で遊んでもらうのは怖いでしょうし。でも、いまだからわかるのですが、3年かけて作るような大作は、パッケージの8800円といった金額が3年間の知的生産労働への対価であるということ。一方、ソーシャルゲームはその対価をもらわない代わりに、運営などのサービスへのお金を課金という形でもらっているということなんですね。その構造の違いは、体験してみてやっと理解できたんですが、僕らとしてはその先を考えたい。パッケージソフト並みのクオリティーを誇るソーシャルゲームを作って、それを無料で提供すれば、通常のソーシャルゲームより多くのお客様に広がって、結果的にはさらなる収益が得られるんじゃないかというのが、ウチの部門で立てた仮説なんです。

――では、実際に従来以上におもしろいソーシャルゲームの目が出始めていると。

安藤 出ないと、当然飽きられますからね。

 安藤の部門は、この手法においてはまさしく先駆けですね。対して、我々第一制作部は、少し遅れて、いままさに他社のシステムを学んでいるところです。ただ、この先目指すところは同じですし、これからは、安藤から教わりながら、共闘する時期になってきたんだなと思っています。

安藤 この2年は外に先生がいたんですが、ある程度仕組みはわかったので、これからは社内でお互いのいいところを持ち寄っていく時代になったかなと思います。2年のあいだに、ディー・エヌ・エーさん、グリーさんを始め、いろいろなSAP(ソーシャルアプリケーションプロバイダーの略で、ソーシャルゲーム開発会社のこと)さんに教わりましたが、衝撃的なことだらけでしたからね。スタッフ全員がノートPCを持っていて、全員がコンテンツの数字を変えられるようになっている。分単位でお客様の動きを見ながら、「ここの数字を変えると、ユーザーの動きが跳ねるんです」って実際に目の前でやってみせるわけです。そんな調整のしかた、やったことないですからそれはもうショッキングでした。

――では、これからはその経験を活かした、スクウェア・エニックスならではのソーシャルゲームが出ていくのでしょうか?

 はい。確実に出せると思います。

安藤 そうですね。布石は打っています。ただ、さっき間も言っていましたが、ソーシャルゲームという呼び方に対して、ゲームファンの中で悪いイメージがつきすぎちゃったんですよね。ソーシャルゲームという名前は、もともとはソーシャルネットワークサービスに紐づいたゲームの名称だったのに、単独アプリの『拡散性ミリオンアーサー』もソーシャルゲームと呼んでいるわけです。実際はネットワークゲームを作っている状況に近くて、10年前のMMORPG制作などのノウハウが活きたりするんですね。おそらくZyngaとFacebookの勢いがすごかったことを引きずっているんだと思うんですが、その状況も一気に変わっちゃいましたからね。ですから、何か別の名前をつけたいなと思っています(笑)。オンラインゲームというのもちょっとイメージと違うし、なんだったらもう”ゲーム”でいいかなって(笑)。

 もう垣根はなくなってきていますし。

安藤 クラウド化でゲーム機自体の垣根もなくなるかもしれませんしね。


●おふたりの新作は……

――先ほど言っていた10年前のMMORPGというのは、『疾走、ヤンキー魂。』ですよね。

安藤 はい。『ヤン魂。』です(笑)。

――懐かしいですね(笑)。では、間さんのこれまでの経験で、ソーシャルゲームに活かされたノウハウというのはありますか?

 もともと自分は玩具メーカーに勤めていたのですが、そこから当時のスクウェアに入りまして、入社当初はグッズ制作などを担当していました。ですので、ゲーム作りのノウハウやらは、持ち合わせてはいませんでしたが、逆に『FF』という作品の持つスゴさは、第三者視点で見ることができたかと思います。その自分の大好きなスゴい『FF』を、ある時はグッズに、ある時は映像に、またある時はリズムゲームにとカタチを変えて……。また切り出しかたのハナシになるのですが、そのノウハウは、ソーシャルゲームの制作にも活かせているのではないでしょうか。

――では最後に、今後のおふたりの新作でお話しできるものは?

安藤 新作というほどではないのですが……。『エンペラーズ サガ』の制作を経て、河津秋敏というレジェンドクリエイターが、我々に新作の相談をしてきてくれたんですね。まだ全然詳しい話はしていないんですが、彼の言葉ですごい好きな発言に、「僕が作っていたら“サガ”でいいんじゃないか」というのがあって。だからもし実現したら『サガ』の新作になると思うんです。個人的には、『ロマサガ』の続編を作ってほしいんですが(笑)。本当にできるのであれば、1スクウェアファンとして、プロデュースしたい。僕は、元エニックスの人間なので、単純にスクウェアファンなんですよ(笑)。当時のスクウェアのレジェンドクリエイターによる新作を手掛けるチャンスがもらえたというのは、すごいこと。子どものころのアイドルのような人といっしょに新作を作れるというのは、非常にワクワクしています。スタートもしていませんが、ファミ通読者の人にも楽しみにしてもらえるものになるように、実現させたいですね。

 クリエイターって、ホントもう無茶苦茶な人も多いんですけど(笑)、「あー、こりゃ敵わねーわ」ってくらいの天才も、やっぱりいるんですよね。最初から完成形が見えていたりとか、思考の制限が極端に少なかったりとか。自分も、改めてそういう人たちをサポートする側に回りたいです。あと、やはり新作ではありませんが、自分の方は『FFブリゲイド』のリニューアルが控えています。2012年夏に『FF』25周年を記念して、歴代『FF』の主人公たちと冒険するイベントを配信したのですが、それをまたちょっと違ったカタチでお送りしたりとか、ユーザーの皆さんのリクエストにお応えできるよう、さまざまなバージョンアップを行って参ります。また『FFアートニクス』でも、来月中には、新しい遊びを増やす予定です! ほかにもまだいろいろと考えていますが、その発表はおいおいと(笑)。

――ありがとうございます(笑)。以上で終わりになりますが、まだ話し足りないことはありますか?

 ……いやー、十分ですよ。もう飲みながらしゃべろうよ。ここまで聞いていただいて何だけど、社内で対談ってのもねぇ?(笑)

安藤 今度、スナック行きましょうよ。

 なんでスナック?(笑)

安藤 僕、誰かと飲みに行くと、最後の締めにほぼスナック行くんです(笑)。

 そんなに行くの!? スナックって行ったことない気がするんだよなー。

安藤 スナックはねー。マネタイズが違うんですよ。

 マネタイズ(笑)。

安藤 キャバクラって従量課金制じゃないですか。スナックってだいたい買い切りなんですよ。

一同 (笑)。

安藤 だから、ずっと居られるんです。独特のよさがありますね。あと、カラオケをシェアするっていう……。

 それ、昔からあるカラオケでしょ(笑)。

安藤 そうなんですけど、予想外なことが起こるんですよ。一見さんが入りづらいスナックに行って、扉を開けた瞬間に「ヤバい!」って思うのが好きなんです(笑)。

 スナックって、だいたい入りづらいじゃん(笑)。

安藤 スナックはだいたい常連がいる、リピーター向けの商売なので、一見さんが入りづらいんですが、年末になるとおじいさん、おばあさんのクリスマス会みたいなのをやっていて(笑)。だから、年末に行くと「いまいっぱいだから……」って、おばあさんに断られることがあるんですね(笑)。でも、その後ろで、おじいさんたちが楽しく飲んでるんですよ。その寂しい感覚が、告白してるわけでもないのに振られたみたいでたまらない(笑)。

 おもしろい(笑)。

安藤 でも、店に入るといっしょにカラオケしたり、昔の悪さ自慢を聞けたりして楽しいですよ(笑)。

 じい様の悪さ自慢いいなー(笑)。……この話、何らかの形で記事にできないっすかね?

――よろしければ、そのまま載せますけど?(笑)

安藤 いやー、スナックおもしろいんですよねー。お店ごとに独特のルールがあって。

 よし、スナックで飲もう!(笑)


●緊急ニュース! 『シアトリズムFF』で追加譜面配信決定!

 今回、記事にご登場いただいた、間氏がプロデュースする、『シアトリズム FF』(iOS版)の『閃光』に、開発者が作成した“SPECIAL譜面”の追加が決定(追加は、2013年1月31日の午前中を予定)。iOS版には、ユーザーが作成した譜面をアップロードできる機能が追加されているが、SPECIAL譜面は『シアトリズム FF』の開発者が作ったもので、一風変わったものや、非常に難しいものなど、多彩な内容の譜面になっている。『シアトリズム FF』初心者はもちろん、“究極の譜面”もラクラクにクリアーできるという熟練者もぜひチャレンジしてほしい。なお、『シアトリズム FF』(iOS版)は基本無料だが、『閃光』を遊ぶには楽曲の購入が必要なので、ご注意を。


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