ようやくいろいろ納得!
2012年12月11日、オーストラリアのシドニーで、エレクトロニック・アーツのプライベートイベント“EA ASIA SHOWCASE 2012”が行われた。
すでにお伝えしているように、本イベントにはプロデューサーのジェイソン・ヘイバー氏がプレゼンテーションを行ったほか、試遊することもできた。幸いにも同氏へのインタビューの機会を得たので、プレイした感想をぶつけつつ、疑問点などを聞いてみた。
――昨日、プレスイベントで初めてプレイアブルデモを遊んだのですが、見たいデータをすぐ見れて、やりたいことをすぐやれるのが快適でした。こういったアクセスの良さは今回のポイントなんでしょうか?
ジェイソン もちろんです。本作では快適なプレイ体験を提供することを重視しています。データレイヤーが好例ですね。水や犯罪や幸福度といったものがどう分布しているかを単に数字で示すのではなく、視覚的にわかりやすく表示することができます。
――確かに、どこで何が足りてて何が足りてないのか、一発でわかりますね。それと本作は、「汚染は嫌だ」とか「水は必要だよね」とか、ゲームを動かす一個一個のルールは誰でもわかるぐらいシンプルなのに、それが組み合わさると複雑で深みのあるゲームになっているのがいいですよね。
ジェイソン そうなんです。本作のために開発したGlassBox Engineによって、シンプルなルール、単純なデータの動きの積み重ねによって動作する、深みのある街作りを生み出すことができました。
――本作ではシリーズ初のマルチプレイもあります。でもただのオンライン経由のマルチプレイではなく、“マルチシティプレイ”として、ひとりで隣接する複数の街を運営することも可能です。どちらも結構なチャレンジだと思うのですが、どちらの仕組みを先に思いついたんですか?
ジェイソン 基本的に一緒のものなので、どちらが先というのは難しいですね(笑)。我々はずっと、『シムシティ』のマルチプレイを作りたいと考えていました。それを形にする過程で、複数人がそれぞれ街を作るのも、または単独で複数の街を持つのも可能な“マルチシティプレイ”という形になったんです。
――では、マルチプレイで実際どう繋がるのかを教えてください。例えばAさんとBさんがいて、それぞれ適当に場所を選んで別々に始めて街を作っているとしますよね。もう全然お互いに繋がりのない場所なわけです。このふたりが「あぁ、あの人が『シムシティ』で遊んでるんだったら一緒にやりたいな」って思った時、このふたつの街は繋がるんでしょうか?
ジェイソン まずは基本的な話から説明させてください。本作には“リージョン”(地域)というものがあります。あなたの好きなようにリージョン内に複数の街を建設していってもいいですし、他の誰かが入ってこれるようにオープンな設定にしておくことも、「このリージョンで一緒にやろうよ」と友達を招待することもできます。ただ、もう別のリージョンで始まっているものを合体させることはできません。
――となると、先ほどのようなケースだと、どちらかが一回データを捨ててやり直さなきゃいけないんでしょうか?
ジェイソン というわけでもないんです。プレイヤーが一度にプレイできるリージョンは最大10個あります。なので、途中までプレイしたものをそれはそれで続けつつ、友達の街があるリージョンで隣街の建設を始めることもできます。もっとも、作りかけの方を放棄してしまい、友だちのいるリージョンで新都市の建設に集中するのも自由です。
――次はマルチプレイ中のデータ的な変化について教えてください。AさんとBさんが隣町でプレイしていて、Aさんが徹夜してメチャクチャゲームを進めている間、Bさんはプレイしなかったとします。本作のマルチプレイでは、物資やシム人なんかが隣町と相互流通しますよね。そこで、Aさんの街の様相が変わったことや、Aさんのプレイした時間の影響を受けて、Bさんの街が何らかの影響を受けることはあるんでしょうか? 例えば、ゲームを再開してみたらAさんの街の変化の影響を受けてひどい状態になっていたとか。
ジェイソン プレイしていない間は、街の中のシミュレーションが停止モードに移行します。友達が遊びすぎたおかげで、起きてみたら自分の街が廃墟になっていたなんてことは起こりません。一方で、リージョンという括りで見てみますと、リージョン内ではシムや物資などの流れが起こっています。こういったリージョン全体でのシミュレーションは行われます。
――友達の街の資源に依存していた場合はどうでしょうか? 例えばAさんの膨大な電気をBさんが頼りにしていたのに、一晩の間に考えが変わって、Aさんはギリギリの風力発電を回すだけになっていていたら?
ジェイソン その場合はゲームを再開した際に、すぐに電力不足を示すアイコンに気がつくことでしょう。それで「これは一体何が起こったんだ?」とデータレイヤーに切り替えて調べてみると、隣町からの電力がごっそり減っていることに気がつくわけです。再開時点であなたの街が台無しになってることはありませんが、早急に電力不足に対処しなければいけないでしょうね。
――ひとつ確認させてください。昨日のプレゼンテーション用デモでは天変地異をボタンで発生させていましたが、ランダムでも起こるんでしょうか?
ジェイソン 両方できます。プレイヤーが「もうこの街壊しちまえ!」と押すこともできますし、突然起こることもあります。私の息子は天災を見たがって「もう一回トルネード出してよ!」とせがんできますね(笑)。
――ところで、マルチプレイがあるゲームは、βテストを行ったりするものですが……。
ジェイソン えぇと、“何かある”時は公式サイトに掲載するので、随時チェックしてくれるとうれしいですね……。
――答えにくい質問ですいませんでした! 最後に、日本には『シムシティ』シリーズのファンがたくさんいると思うのですが、新作の発売に向けてメッセージをお願いします。
ジェイソン 最初にお話しましたように、本作では物事をシンプルに突き詰めることで、『シムシティ』をプレイしたことがなくてもすぐに楽しめるわかりやすさと、シリーズのファンの皆様にも面白く思って頂けるだろうゲームの深みを同時に実現することができました。GlassBox Engineのおかげで、これまでの歴史を引き継ぎつつ、ゲームとしても視覚的にも新しい『シムシティ』が出来たと思います。ぜひ楽しんで下さい。