これ多分、永久にやっちゃうね

超快適に気ままな都市運営! 新生『シムシティ』体験リポート【EA ASC 2012】_01

 2012年12月11日、オーストラリアのシドニーで、エレクトロニック・アーツのプライベートイベント“EA ASIA SHOWCASE 2012”が行われた。
 APAC(アジア太平洋地域)部門が管轄のイベントとして、オーストラリア、ニュージーランドだけでなく、アジア地域のメディアも多数参加。というわけで本誌も取材してきたので、模様をお届けする。

 『シムシティ4』以来久しぶりの新作ということで、ナンバリングを取り払ったセルフタイトルを採用した新生『シムシティ』は、開発元マクシスからプロデューサーのジェイソン・ハイバー氏がプレゼンテーションを行ったほか、チュートリアル付きのプレイアブルデモも楽しめた。

 実はGamescomバージョンとデモの流れは同内容だったらしいのだが、記者はドイツに行っていないのでこれが初プレイアブル体験。GDCに合わせた初発表時に立ち会い、E3や東京ゲームショウでも取材しているのだが、ようやくといった感である。

 一応おさらいしておくと、『シムシティ』は都市経営ゲームである。プレイヤーはゲームをスタートすると、広大なフィールドから好きな場所を選んで街作りをスタートさせる。道路をマウスでペペッと引き、居住・商業・工業の各区画をペタペタっと設定し、水道や電気やらのインフラを整備していくと、やがて人がやってきて、街が大きくなっていく。しばしばオープンワールドゲームが“箱庭ゲーム”と呼ばれるが、『シムシティ』こそ真の箱庭作りっぽいゲームだ。

 でも、好きに施設やインフラを配置したからって、そうそう理想の街作りができるわけじゃない。誰だって公害バリバリの工場地帯の隣には住みたくないし、警察がなくても治安がなんとかなるのは最初だけ。人が集まるだけで水や電気の使用料はあがっていくし、ゴミも増えていく。
 つまり、都市は生き物のようなもので、つねに形を変えていくし、その過程で問題が発生する。だからプレイヤーは数々の問題に対処しつつ、軌道修正を何度も重ねて、理想かつ現実的に機能した街作りを目指すのだ。すでに公開されている動画“ストラテジービデオ”では、更地の状態から街作りをどう行うかが簡潔に示されているので、ぜひチェックしてみてほしい。

 さて、実際にプレイしてみた感想だが、触った感触が実にスムーズ。特に表示レイヤーを切り替えて、電力や水や汚染度やもろもろ一切のデータを一発で視覚的に見られるというのが快適スギ。“不満が出る→その問題に対応するデータレイヤーを表示→状況を把握して対策”という流れの全体がほんの数クリックで可能なのだ。
 画面上の操作やアイコンを煩雑にせずに、見たいもの、やりたいことをすぐに探せ、実行できるので、都市運営の作業ひとつひとつが苦痛にならない。街を作り込めば作り込むほど、こういった作業は何千回、何万回と行うことなので、スムーズかつ直感的に行くのはとてもいいことだ。

超快適に気ままな都市運営! 新生『シムシティ』体験リポート【EA ASC 2012】_03
超快適に気ままな都市運営! 新生『シムシティ』体験リポート【EA ASC 2012】_04
▲壮大な息づくような街が作れる(左)のだけど、それがさらにさまざまなデータを1クリックで可視化(右画像。水の行き渡り具合を示す)できるっつーのが今回のスゴいところ。
超快適に気ままな都市運営! 新生『シムシティ』体験リポート【EA ASC 2012】_02
▲大量輸送機関はヨソの街と繋がる重要なインフラ。

 そう、本作は、なにか最高とか最強を目指すゲームではない。作りたいように作り、遊びたいように遊ぶゲームなんであって、自分が望む街が作れりゃそれでいーのだ。ハイバー氏の流したプレゼンテーション用デモ映像では、実にさまざまな街が例として示された。フツーの街、ものすごいループした高架道路だらけの街、ネオンサインが輝くラスベガスのような街……。
 多分それぞれ、「とりあえず破綻のない堅実な街を作りたい」とか、「ロマンのある道路が欲しいんだ!」とか、「娯楽最強だろ」とか、まぁそれぞれの考えがあってそうなっているんだろう。人それぞれ好みがあって、かつそれを実現できるというのはよろしいことだ。

 そして、それらが同じフィールドに存在し、相互接続されるってのが面白い。本作にはマルチプレイ(マルチシティプレイとしてひとりで複数の街をつなぐこともできる)があり、異なる街が道路や大量輸送機関で繋がれ、人や物資の流れが起きる。ちなみに、先ほどのロマンな高架道路だらけの街の高級住宅の住人たちは、ネオンサインが輝く街に娯楽を求めてでかけ、タクシーで帰ろうとするので大渋滞が起きていた!
(ちなみに、マルチプレイの存在が最初に発表された時に「俺の街を見られたくないよ」って反応を見掛けたけど、「じゃあ繋がなきゃいいんじゃないの」と思いつつも、気持ちはわかる。前述したように、街作りは人それぞれすぎて、ちょっと性癖とか隠したい性格のような部分があるから。

 本作は本当にため息が出るほど惹きこまれてしまう危険なゲームだ。シム人のひとりをクリックしてフォーカスを合わせて、一家の長だろうシム人がどういう経路を通ってどこに通勤しているのかなんかを眺めて「あ、このお父さん(?)工場務めなのね」とかやっているだけでも楽しい。デモでは最後に隕石を降らせてめちゃくちゃにしてたけど、多分実際のプレイでは「チクショー! ちょっといい所まで直すわ!」とか言いながらもう1時間プレイしちゃって、翌日の現実の人生が台無しになるんじゃないかと今から恐ろしい。

 本作は日本では2013年3月7日に発売予定。プラットフォームはPC。本誌では明日インタビューも予定しているので、そちらの内容もご期待頂ければ幸いだ。