NTTドコモがソーシャルゲーム事業に参入を発表、"dゲーム"のすべてを知るキーマンにインタビュー

週刊ファミ通2012年11月8日号(2012年10月25日発売)の“巻頭特集1”で掲載しているNTTドコモ担当者へのインタビュー記事をお届け。

●重要なのはdマーケットの中でお客様が充足できるかどうか

 10月11日、NTTドコモがソーシャルゲーム事業への参入を発表した。同社がスマートフォン向けに展開中の"dマーケット"を拡充し、スマートフォン及びフィーチャーフォンで遊べるソーシャルゲームを提供する"dゲーム"を追加。さらに、日用品などの通信販売を行う新サービス"dショッピング"も開始される。dゲームでは、KONAMIやスクウェア・エニックス、セガ、バンダイナムコゲームスといったゲームメーカーとの協業により、ソーシャルゲームを中心に厳選されたゲームをドコモが提供していく予定で、ドコモ以外のキャリアでも利用が可能だ。ドコモが新たに開拓するソーシャルゲーム事業の展望とは? dゲームのキーマンであるNTTドコモ スマートコミュニケーションサービス部 ネットサービス企画担当課長 渡辺英樹氏に話を聞いた。


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NTTドコモ
スマートコミュニケーションサービス部 ネットサービス企画担当課長
渡辺英樹氏

──最初に、"dマーケット"の中に、"dゲーム"と"dショッピング"が追加されることになった経緯をお聞かせください。

渡辺英樹氏(以下、渡辺) まず我々の取り組みに、dメニューとdマーケットというものがあります。今回のdゲームとdショッピングは、dマーケット上での展開です。dメニューはiモードを継承したもので、いわゆるドコモのプラットフォーム事業になります。一方、dマーケットではドコモがサービサーとなり、動画、音楽、書籍などのデジタルコンテンツを直営し、各市場を活性化していくことがおもな目的です。その中で、お客様からのニーズが高いゲームと通販のサービスを、今回dマーケットに追加することになりました。

──ゲームの中でもソーシャルゲームを中心に置いた理由は?

渡辺 ライトユーザーでも遊びやすく、 たくさんの人が集まって楽しめるもの。また、あまりゲームをやっていない方も触れていただけるような簡単なものとして、ソーシャルゲームがいいだろうと。加えて、時代の変化と同時に、ソーシャル性のあるものが多くの方から好評を得ていることもあり、お客様のニーズに応えるとなると、必然的にソーシャルゲームが答えとなりました。

──それでは、今後コアなゲームを提供する可能性は低いのでしょうか?

渡辺 順番論の話だと思います。一般の方たちに多く使っていただきたいのがdマーケットになりますので、まずはライトなゲームを揃え、多くのお客様にご利用いただくことが前提にあります。そこから、「もっとコアなゲームをやりたい」というニーズも出てくると思いますので、お客様の状況をよく見ながら、コンテンツを拡大していきたいと考えています。

──具体的に、どのようなタイトルを提供していきたいとお考えですか?

渡辺 我々は、ソーシャルプラットフォーマーではありません。dマーケットという世界のひとつとしてdゲームを追加します。重要なのは、dマーケットの中でお客様が充足できるかどうかということ。お客様が満足し、「もっとこういうゲームが欲しい」という声が挙がれば、当然検討しなくてはいけませんし、状況を見ながら少しずつラインアップを増やしていくイメージです。

──それは、業界大手のディー・エヌ・エー(DeNA)やグリーのビジネスとは、意味合いがまったく違うということですね。

渡辺 はい。dゲームは、ドコモが提供主体の、いわゆる直営型サービス提供会社のモデルです。直営スタイルですから、お客様のニーズに合った安心・安全なものを提供していき、サービスを広げていくことを目指しています。ディー・エヌ・エーさんやグリーさんは、ゲームをキーに、ソーシャルプラットフォーマーとして、いろいろなゲームメーカーをオープンに受け入れて市場を拡大していますが、我々の目的は、dマーケット上でゲームを楽しんでいただくこと。競合だとは思っていなくて、モデルが違うものと考えています。ですので、ディー・エヌ・エーさんやグリーさんとは、共存共栄と言いますか、お互いにソーシャルゲーム市場を大きくしていく関係だと考えています。

──なるほど。ドコモオリジナルタイトルを含め、dゲームで提供されるゲームは、ドコモと各ゲームメーカーが独自で開発し、運営されていくのでしょうか?

渡辺 基本的なスタンスとして、我々が大事にしている安心・安全の基準と、ゲームメーカーさんの基準をすり合わせて、細かくチューニングしながら作っています。

──それは、MobageやGREEで提供されているゲームと同じタイトル名でも、内部的な基準が違うということですか?

渡辺 結果論的には同じになるかもしれませんが、すでにほかで提供されているタイトルでも、ライトユーザーにとってもう少し改善したほうがいいというものに関しては、ゲームメーカーさんと協議してチューニングしています。

──今後、大手ゲームメーカーのタイトルを提供する予定はありますか?

渡辺 お客様のニーズと協業パートナーとの話し合いの中で、必要であれば検討していきます。戦略的にIPを出すことはあまり考えておらず、お客様のニーズを先に汲み取っていくというよりは、ニーズがあればそれに応えていくというスタイルです。

──そこが、ゲームで収益を上げていくプラットフォーマーとは違う部分なんですね。

渡辺 我々がプラットフォーマーであれば、dゲームのサービス開始時に、100タイトルとか1000タイトルを用意しました! という風になるかもしれませんが、15タイトルですから(笑)。数ではなく、中身を精査する。ジャンルによってタイトルの数が偏るようなマネージメントをするつもりはありません。同じようなジャンルのゲームが複数あっても、ユーザーさんは混乱するだけですから、全体的なバランスを見ながら各ゲームメーカーさんと話し合っていきます。


●dゲームをきっかけにdマーケットを楽しんでほしい

──dゲームは、ドコモキャリア以外のスマートフォン、フィーチャーフォンからでも利用できますが、これは、通信キャリアとしては非常に珍しいサービスですよね?

渡辺 ソーシャルゲームは多くのお客様がプレイすることが前提にありますから、他キャリアのお客様もプレイしていないと成り立たないということで、dゲームに関してはマルチキャリア対応になりました。ゲームは基本料・登録料無料で、アイテム課金制が中心になります。ドコモキャリアでの課金に関しては、"dコイン"や"ドコモポイント"で行えます。また、他キャリアではクレジットカードとWebMoney(ウェブマネー)での支払いになります。お客様の要望を見ながら、他キャリアの決済サービスの対応についても検討していきたいと考えています。ただ、我々だけの話ではないので、各キャリアさんと相談しながらになります。

──dゲームによって、ソーシャルゲーム業界や市場にどのような変化が起こる、または起こしたいと考えていますか?

渡辺 まずは、動画や電子書籍を見ているdマーケットユーザーと、MobageやGREEのユーザーではない人たちが、ゲームに触れる機会を作ることですね。そして、dゲームをきっかけに、dマーケットにある動画、音楽、書籍、アニメといった、さまざまなコンテンツサービスを利用してほしいですね。

──最後に、ゲームファンへ向けて、メッセージをお願いします。

渡辺 我々は、急速に広がりを見せるスマートフォン市場で、ドコモの強みであるお客様との接点を活かして、サービス・ラインアップを拡充し、スマートフォンによる便利で充実した暮らし(スマートライフ)の実現に向けて、新たな価値を創造し、新しい市場を創出したいと考えています。その一環としてまず、dゲームとdショッピングを追加することになりました。まだサービスは始まっていませんが、dゲームではお客様のニーズに合った安心・安全なゲームを出していきたいと考えています。dゲームを入り口に、新たな価値創造や市場創出に向けて進化していくdマーケット全体を、楽しんでいただきたいと思います。


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<スマートフォンを楽しく便利に使えるdメニュー&dマーケット>
NTTドコモは、ドコモユーザーがスマートフォンを楽しく便利に利用できる、ふたつのサービスを提供している。ひとつは、コンテンツプロバイダーが提供する多様なコンテンツや、ドコモならではのサービスを簡単に探すことができる、ポータルサイトの"dメニュー"。もうひとつは、ドコモ直営のコンテンツマーケット"dマーケット"で、電子書籍や音楽、動画アニメといった、豊富なラインアップのデジタルコンテンツを楽しめる。

<dゲームとは?>
11月下旬より提供開始となる"dマーケット"の新たなサービス。大手ゲームメーカーと協業し、ドコモオリジナルの新作を含め、良質なゲームを安心・安全に配慮しながら提供する。サービス開始と同時に配信されるタイトルは、15タイトルを予定。
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