早くも3作目! でも遊んだことはありますか?
日本では2011年の夏と秋に続けてリリースされた『Dance Central』と『Dance Central 2』。そして今年、2012年10月18日には『Dance Central 3』の完全日本語版が海外とほぼ同時期にリリースされることとなり、個人的にはじつにうれしい状況なのである。
しかし! 日本ではKinectがあまり普及していないため、読者の中にも本シリーズをプレイしたことがない方が少なからずいらっしゃるのではないだろうか。仮に興味があったとしても、「いきなり『3』からプレイして大丈夫?」などと心配されている方もいるはず。また、『1』や『2』のおもしろさを知っている方の中にも、「別に前の2本だけでいいや」と、考えている方もいらっしゃるかもしれない。確かに、『Dance Central』から『2』への進化はすばらしいものだった。それだけに、筆者も『3』は手堅い作りの続編だろうと(勝手に)予想していた。だが実際にプレイしてみると、『Dance Central 3』の遊びやすさ、そして進化は、予想を遥かに超えるものであった!


未経験者でもダンスの楽しさにたどり着ける!
さて、まずは『Dance Central』シリーズ未経験の方に、簡単なゲーム内容の説明から。本作は、画面に表示されるダンサーの動き(ムーブ)を正確にマネることで、初心者でも気軽に踊れるダンスゲームだ。Kinect センサーの認識能力とダンスゲームの相性はすばらしく、正しいムーブと間違ったムーブが瞬時に、そして正確に判定されるので、プレイヤーは効率よく練習することができる。ダンスのムーブも、豪華な収録曲にぴったりの本格的なものだ。とはいえ、ゲームの難易度を低く設定すれば、ある程度は甘く判定してくれるので、ダンスを踊ったことがない人でも楽しく遊ぶことができる。また、お手本となるダンサーの動きをゆっくり表示できたり、自分の動きを録画してお手本と並べてチェックできるなど、とても親切なプラクティスモードも用意されている。
……と、ダンスに少しでも興味がある人なら、ここまでの説明だけでもかなり魅力的なソフトであることが理解していただけたと思う。だが、『1』と『2』をスルーした方の多くは、「ダンスなんて自分には関係ないもの」と思っているのではないだろうか。
だが『Dance Central 3』には、ダンス経験のまったくないない人が、「リズムに乗って体を動かす楽しさ」を感じるまでの筋道がちゃんと用意されている。たとえば、『3』で新たに加わった”ストライクポーズ”のルールもそのひとつ。遊びかたは、画面のダンサーのポーズをつぎつぎにマネしていくというシンプルなもの。これなら、リズムに合わせて動くのが苦手な人だけでなく、小さなお子さんやお年寄りの方でも、ポーズをマネする楽しさや体を動かす気持ちよさを味わえる。事前に練習しなくても簡単にプレイできるので、家に遊びに来た友人や家族、親戚の子どもなどを誘いやすいのもポイント。


また、決まったムーブを踊るのではなく、曲のリズムにノって体を動かすだけで遊べる”キープ ザ ビート”のルールも画期的だ。初心者なら、曲に合わせてなんとなく体を揺らすだけでもいいし、ある程度踊れる人なら自由にムーブをくり出してもオーケー。体力やダンスの技量を問わず、誰もがいっしょに遊べるルールなのである。
これらのルールで体を動かしたり、リズムにノることに慣れてから、いちばん基本的なルール”パフォーマンス”をプレイしてみよう。きっと「ダンスは誰でも気軽に楽しめるもの」であることを実感できるはずだ。『Dance Central 3』は、初心者の入門に最適なだけでなく、シリーズ経験者が周りの人を誘っていっしょに遊ぶのにもピッタリな内容である!


経験者にとっても新たな驚きが
では初心者以外にはあまり魅力がないのかといえば、もちろんそんなことはない。本作で新たに追加されたルールやモードには、経験者にとっても魅力的なものがしっかり用意されている。
そのひとつが”メイク ユア ムーブ”。これは、ふたりで交互にオリジナルのムーブを作り、どちらが上手く踊れるか競うものだ。プレイヤーの動きがそのままお手本になるのは、Kinectのゲームをよくプレイしている筆者にとっても新鮮な経験。しかも作成したムーブを実際に踊るときも、ふつうにプレイしているときと同じようにムーブの成功具合まで判定されるのだから、もう驚くしかない。
またひとりでも遊べるストーリーモードは、より物語性が強いものにパワーアップ。スターを集める以外にも「パワームーブ」の収集という新たな目的が設けられている。『2』には登場しなかったマッコイ、デア、オブリオといったキャラクターたちも復活し、第一作目からプレイしている者としては懐かしい限り。とくにオブリオは
悪の天才・タン博士に洗脳されている雰囲気で、強力なライバルとして立ちはだかることになる。


ゼロが1に変わる喜びを感じよう!
ちなみに、筆者はもともとダンスを踊ったこともなければ、洋楽にすごく詳しいというわけでもない。それだけに『Dance Central』シリーズをここまで楽しめるようになったことは、自分にとっても意外な出来事だったりする。だが本シリーズの制作側は、これまでダンスに縁のなかった人もターゲットと考えているそうで、じつに細やかなフォローをゲームの中に用意している。
これまでダンスに縁のなかったプレイヤーが、それなりに踊れるようになる。ゼロが1に変わる感動は、ダンス経験のある人には絶対に味わえないもの。むしろダンス経験がない人のほうが、『Dance Central』をより新鮮に楽しめるといっても過言ではないだろう。
また、筆者は仕事柄もあり、体を動かす機会が不足しがちなのだが、適度な運動を手軽に、そして楽しく行える点も本作の魅力だと感じている。フィットネスジムに通ったことがある方はご存知だと思うが、エアロバイクやルームランナーでカロリーを消費するのはなかなか退屈なもの。音楽やダンスを楽しみながらそれに匹敵するカロリーを消費できる本作は、体の調子を整えたり、ダイエット目的にも充分に活用できるのである。


シリーズの進化はまだまだ止まらない
というわけで、ダンスの楽しさはごく一部の人のものではなく、誰もが楽しめる普遍的なものであることを教えてくれる本作。ただ、それを味わうにはほんの少しの練習が必要なのだが、『Dance Central 3』はダンスを楽しめるところまでしっかりと導いてくれる。『1』と『2』もこの点はすばらしかったが、『3』はそれをさらに徹底した作品だと感じた。第一作目ですでに完成度が高かった本シリーズだが、まだまだ進化は止まらない。「メイク ユア ムーブ」や「キープ ザ ビート」に触れてみれば、そのことを実感していただけると思う。
余談だが、『1』の曲を『2』にインポートしていたプレイヤーは、『3』でも『1』の曲をプレイすることが可能。毎回インポートし直さなくていいのは地味にうれしい。
■著者紹介:高橋祐介
ゲーム、デジモノ界隈に出没するフリーライター。幼少期からアーケードのガンシューティングや大型筐体ものをプレイして育ったので、体を動かすゲームにも抵抗感なし!
Dance Central 3
メーカー | 日本マイクロソフト |
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対応機種 | X360Xbox 360 |
発売日 | 2012年10月18日発売予定 |
価格 | 5880円[税込] |
ジャンル | ダンス/音楽 |
備考 | 開発元:Harmonix Music Systems, Inc. |