『ソニック』シリーズ10周年記念タイトルが現代に甦る!
セガを代表する世界的な人気キャラクターであるソニック。2D横スクロールアクションだったメガドライブ版から3Dになって2作目、ドリームキャストでソニックシリーズ10周年のメモリアルイヤーとなる2001年にリリースされた『ソニックアドベンチャー2』がPSNとXBLAに登場した。
ソニックと聞いて誰もが思い浮かべるのは、超高速のスピード感だろう。とくに、「広大な3D空間を高速で走りつつ複数のルートから最速コースを見つけ出す」というプレイ感覚は、前作にあたる『ソニックアドベンチャー』で基礎を作り上げ、本作で確固たるものとした印象だ。実際、ソニックステージのスピード感や操作感は、近年のシリーズ作と比べても遜色ないものとなっている。
ちなみに、本作のストーリーを思いきりザックリと説明すると……シリーズを少しでも知っている人にとってはもはやおなじみともいえるが、Dr.エッグマンの悪巧みをソニックたちが阻止する、というもの。現在にいたるまで変わることのない『ソニック』シリーズの王道、まさに様式美だ。ストーリーそのものも、ステージの合間合間にイベントシーンが挿入されるシンプルなスタイルで進んでいく。アクションゲームとして集中して遊ぶのに適したスタイルといえるだろう。
▲グラフィックはHD化されてクオリティーアップ。プレイしたことのある人も新鮮な気持ちで楽しめる。
キャラクターごとに違った操作システム
▲ヒーローサイドとダークサイド、ふたつの陣営から同じ時間軸のストーリーを追っていく。
本作ならではの特徴は、ストーリーに「ヒーロー」「ダーク」のふたつのサイドが用意されている点。ヒーローサイドではソニック、テイルス、ナックルズの3人、ダークサイドではシャドウ、エッグマン、ルージュの3人を操作してプレイする。プレイするキャラクターはステージごとに固定で、それぞれソニックとシャドウ、テイルスとエッグマン、ナックルズとルージュは操作方法が統一されている。逆にいうと、3組でまったく違ったシステムのゲームを遊ぶことができるようになっているのが大きなポイントといえる。
ソニックとシャドウのステージでは、シリーズおなじみのハイスピードアクションをプレイする。ボードで坂を滑走したり、画面奥から迫ってくる暴走トラックから逃げるなど、いまではおなじみとなったシーンが多数登場。レールを使ったグラインドは、本作から登場している。1回目のプレイではそのスピード感も相まって、自分がどのルートを進んでいるか、どちらが早く進めるかなどは、ほとんど理解できないと思うが、何度も挑戦しているうちにだんだんステージの全体像が見えてくる。このステージデザインの妙は、さすがソニックチーム! とうならせてくれる。
▲この疾走感は『ソニック』シリーズならでは。少しの操作ミスが命取りになるのもおなじみの感覚だ。
テイルスとエッグマンのステージはアクションシューティング。バルカンとロックオンミサイルで敵を倒しながらステージを進んでいく。敵を全滅させて扉を開いたり、狭い足場を連続で飛び移っていくなど、スタンダードな3Dアクションといった趣だ。こちらもナックルズたちと同様、じっくりとステージを進んでいくスタイルとなっている。
▲基本的には敵を倒すことでルートを開拓して進んでいく。大量の敵をホーミングミサイルで吹っ飛ばす爽快感も。
ナックルズ/ルージュは探索アクション。ステージ内に隠されたカオスエメラルドの欠片やカギを3つ探し出すのが目的で、滑空したり穴を掘ったりと、ギミックが豊富なのが特徴だ。ステージ内で見ることができるヒントと、目的のアイテムに近づくと反応するセンサーを頼りに進んでいくのだが、隠し場所は毎回変化する。ヒントがかなり断片的なのでじっくりとステージ内を確認しながら探索を行ったほうが、タイムを縮めることができるだろう。
前のテイルスたちのステージとこのステージでは、筆者はソニックステージのスピード感に引きずられて、適当に飛び回りながら進んだせいで、相当にクリアーするのに時間がかかってしまった。大きくゲーム性の違うステージが交互に現れる本作ならではの注意点……だと思うのだが、筆者のプレイが雑なだけなのかもしれないので、実際にプレイして感じ取ってほしいところだ。
▲ヒントを頼りに、じっくりと探索を行っていく。マップのつながりや周囲の状況をしっかりと覚えないとタイヘンだ。
ボリューム満点のやりこみ要素
本作では、ゲーム開始時にはあまり行えるアクションは多くないが、キャラクターごとにステージにレベルアップアイテムが隠されていて、それを獲得することでできることが増えていく。ソニックは連続したリングを伝って高速移動できるライトダッシュができるようになったり、ナックルズなら地面を掘ったり、硬い鉄のコンテナを破壊できるようになるのだ。このパワーアップが、ストーリーの進行に合わせて追加されるだけではなく、序盤のステージでも、能力を獲得しておくことで新たなルートや隠しアイテムが発見できる点がおもしろい。各ステージのボリュームもこのパワーアップによるルート変化に耐えられるだけの広さがあるので、毎回新鮮な気持ちでプレイすることが可能なのだ。
ステージの目標も、ひとつのステージに“ゴールを目指せ”、“リングを100個集めろ”など複数用意されている。目的が違えば、同じキャラ/ステージでもプレイ内容が変わるので、幅の広いプレイバリューを得ることができるのだ。高ランククリアーを目指すには、それぞれの要素がステージ内にどのように配置されているかをしっかりと把握し、ショートカットや隠しルートなどの攻略方法を見つけていく必要があり、難易度はかなり高め。「10年前のゲームだから」とタカをくくっていたら痛い目を見るので(むしろ「だからこそ」というべきか)、しっかりと腰を据えて楽しんでほしい。
また、本編とは別に、マスコットキャラクターのチャオを育成する”チャオガーデン”も用意されている。卵からかえったチャオに、ステージ中に入手できるアイテムや動物を与えることで、パラメーターや見た目、性格が変化。バリエーション豊かなチャオの成長を楽しむことができる。育てたチャオにレースをさせることもできるが、ガーデン内を動き回っているチャオをのんびり眺めているだけでも楽しく、癒される。
▲レベルアップによって移動可能なルートが増えるなど、やりこみ要素は満載、クリアー後もやりこみ要素は満載。チャオの育成ものんびりと楽しめる。
骨太アクションを楽しみたい人にオススメ
HD化はされているものの、グラフィックはもちろん現在の最新タイトルからは見劣りする。とはいえプレイの感覚──キャラクターの移動にかかる微妙な慣性やカメラワークなどは、現在の『ソニック』と比べてもなんら遜色ないクオリティーとなっている。11年前の時点で3Dソニックの基礎は完成されていたといっても過言ではないだろう。そのため、当時プレイしたことのない人は、『ソニック』シリーズの新作のつもりで遊んでも、まったく問題ない。筆者は、当時シリーズ10周年記念の限定版を購入してプレイしていたのだが、11年ぶりということでかなりの部分を忘れていて、そういう意味では”懐かしい”よりも”新鮮”な印象でプレイできた。そうしてプレイしているうちに、後半ステージで当時心を折られかけたことも思い出してきて、ついついムキになってくり返しプレイしてしまった……。
本作の、とくにソニックステージのスピード感は、『ソニックワールドアドベンチャー』など、近年の『ソニック』の原点ともいうべきもの。とはいえ、落下によるミスが多めなのは、古いゲームなのである程度は仕方がないところだろう。ミスをくり返しながらコースを覚えて、タイムを縮めていくのはやりがいがあるし、くり返しプレイしようという気にさせてくれるだけのボリュームと魅力は、いまでも十分に感じられると思う。なお、タイトルに『2』とあるが、前作とストーリー的なつながりはないので、本作だけをプレイしてもまったく問題ない。が、『1』もプレイステーションネットワーク、Xbox LIVE アーケードでリリースされているので興味のある方はプレイしてみよう。
■著者紹介 黒鉄タカスエ
ファミ通Xbox 360、月刊アルカディアほかで活動中のライター兼編集・デザイン屋。久々に当時を思い出そうとドリームキャストを引っ張り出したら、起動しなくなっていて泣いた。実家に保管してある予備の本体を送ってもらわないと……。
ソニックアドベンチャー2
メーカー |
セガ |
対応機種 |
PS3プレイステーション3 / X360Xbox 360 |
発売日 |
2012年10月4日(プレイステーション 3)、10月5日(Xbox 360) |
価格 |
1000円[税込](プレイステーション 3)/800マイクロソフトポイント(Xbox 360) |
ジャンル |
ハイスピード3Dアクション |
備考 |
プレイステーションネットワーク/Xbox LIVE アーケードにてダウンロード配信 |