世界的にソーシャルゲームの市場は加速している
2012年9月20日から行われた東京ゲームショウ2012。過去最高の入場者数を記録した本イベントにグリーが2年連続で出展した。今回の同社のブースのテーマは“進化”。スマートフォン向けの多彩なジャンルのゲームが30タイトル以上プレイアブル出展され、来場者やメディアなどからも大きな注目を集めていた。その中にあって、その“進化”を体現するかのように、大手家庭用ゲームメーカーのユービーアイソフトが『アサシン クリード ユートピア』というシリーズ最新作を出展していたのだ。
ユービーアイソフトとグリーは2012年2月に共同記者会見を開催。GREE Platform向けにタイトルを提供することを明らかにした。その成果が今回のゲームショウで華開いたというわけだ。今回ユービーアイソフトのCEO、イヴ・ギルモ氏にインタビューをする機会を得た。ユービーアイソフトのGREE Platformを中心とする戦略とは?
――2012年2月にGREEに参入することを発表しました。その経緯から教えていただけますか?
ギルモ 日本でのGREEの成功については数年前から関心を持っていました。著しい成長に興味を持っていたところ、昨年の東京ゲームショウで初めて顔合わせをして、いっしょに何かできればいいな、というところからスタートしました。その後、細かい話が決まっていくうちに、グリーさんも海外に進出したいという想いがあるということもわかり、ユービーアイソフトの中でもとくにメジャーなタイトルでやりたいということになりました。
――日本のモバイル向けのプラットフォームという観点において、GREEのことをどう分析されていましたか?
ギルモ ソーシャルゲームが出てくる前から日本のモバイルゲーム市場は、世界でもっとも進んでいると思っていました。iモードなどを筆頭に、世界のどこよりもインフラやプラットフォーム、ビジネスモデルなどが成熟していると感じていました。そういった日本で現在もっとも成功している会社とできるだけ近い状態で、ビジネスをやりたいなと以前から思っていました。日本市場は世界より1、2年先に進んでいるだけに、日本で流行るものは今後世界でも流行る可能性が高いと思っています。
――日本発のソーシャルゲームは世界でも受け入れられると?
ギルモ 日本のソーシャルゲーム市場はモバイルベースで活性化した市場。一方アメリカやヨーロッパはPCベースでソーシャルゲームが広がりました。今後、スマートフォンが世界的に普及しますから、日本で成功したものを分析し、ノウハウを得られれば、きっと世界中で通用するはずです。
――『アサシン クリード』シリーズを皮切りに、今後御社の人気タイトルが移植されるのでしょうか?
ギルモ ユービーアイソフトはすべてのシリーズをマルチプラットフォームで展開して行く方針ですので、当然そうなると思います。まだ具体的にどれを出すかまでは話をできませんが、GREEに合ったゲームデザイン、システムに改良して出していこうと思っています。全シリーズに関して、各プラットフォームに合うものを作っていく、という方針は家庭用ゲームでも、ソーシャルゲームでも変わりません。
――では、『アサシン クリード ユートピア』はGREEでどのようなゲームになっているのでしょう?
ギルモ 要素としてはバトルとシミュレーションで構成されています。シミュレーション要素で得たポイントを使って、バトルを行い、勢力を拡大するというのが大きな流れです。ときには仲間と協力して勢力を拡大することもあります。『アサシン クリード』シリーズの世界観を崩さないというのが根底にはありますが、モントリオールの開発スタジオとグリーさんの開発陣が密接に連携していて、どういう形が『アサシン クリード』のソーシャルゲームとして最適なのかを模索しながら作っています。
――モントリオールのスタジオも協力しているということであれば、従来のファンもしっかり楽しめそうですね。
ギルモ これまでシリーズを好きだった人も楽しんでいただけると思いますし、新しい発見もあると思います。もちろん、いままで遊んでいなかった人も簡単に遊べて、楽しんでいただける内容になっています。
――今後出てくるタイトルも幅広い人に向けたものになるのでしょうか?
ギルモ ユービーアイソフトのゲームは、どちらかというとコアゲーマーに向けたものが多いですが、モバイルに関しては自分でゲーマーという意識がない人に訴えかけていかなければならないと思っています。そういった意味で、ゲーム内容やシステムはより幅広い人を意識しなければならないですが、各シリーズが持つ世界観などはこれまで同様しっかりと作り込まなければならないと感じています。
――モバイルのソーシャルゲームは世界でさらにブームになりそうですね。
ギルモ すでに世界的にソーシャルゲームの市場は加速している状態です。ゲーム機がなくても遊べるというのは、非常にいいことだと思います。モバイルから我々のゲームのことを知ってもらって、ユービーアイソフトのファンになってもらい、ゆくゆくは家庭用ゲームのほうにも触れてもらいたいですね。それがゲーム市場の拡大につながることになると思っています。
――最後にメッセージをいただけますか?
ギルモ 何よりもソーシャルゲームをやることでゲームユーザーとの距離を縮めたいと思っています。何がうまくいって何がうまくいかないのかをしっかり勉強して、それを糧につぎにつなげ、よい作品を作り続けられるようにしたいと考えています。日本の皆さんもご期待ください。
、日本のユービーアイソフト マーケティングディレクター/辻良尚氏。『アサシン クリード ユートピア』のキーパーソンが集う。