【『マインクラフトXbox360 edition』珍物件探訪】第9回:誰もがよく知る一軒家! こんにちは、ぼく野比家!

Xbox LIVE アーケードで配信中の『マインクラフトXbox360 edition』。この連載では、同作をきっかけに『マインクラフト』の世界へどっぷりと浸かることとなったライターの夢崎が、さまざまな“珍物件”を作り上げていく様子をお届けする。

~前回までのあらすじ~
近代的な建物としてマンションを完成させた我々は、ひさびさに再現系をやってみたくなるが……。(→第8回はこちら


●再現チャレンジ第2弾! 野比家を隅々まで徹底解剖

 第2回(→記事はこちら)の『かまいたちの夜』のペンション・シュプールの再現は、制作前にまず間取りの謎がイロイロとあって苦労したのだが、今回は単に「好きな作品の建物の中をうろついてみたい」という理由から、『ドラえもん』の野比家をチョイス。野比家の間取りについてはファンのあいだでは常識となっているし、名作マンガの間取りを研究した本も出ている。ある程度『ドラえもん』について知っていれば不明な点は少なく、間取り的には謎は少ない物件なので、作ること自体はペンション・シュプールよりもラクそうだった。

 というわけで、できたのが、こちら!


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▲ンガグクッ。









 ただいま、不適切な画像があったことをお詫びいたします。
 というわけで、気を取り直して、こちら!


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▲楳図かずおの家に対抗できそうなカラーリングだが、経年劣化で色が暗くなりさえすれば……。

▲飛び石も再現。ものすごい位置から羊が見つめる。

 何より目立つ屋根の色はアニメ版準拠。家を取り囲むブロック塀や、玄関までの飛び石の再現も、まずまず。ドアを開けると……。


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▲ガチャッ……。

 玄関。
 遊びに行こうとしたら「宿題は、やったの?」とママに呼び止められる場所であり、抜け出そうとしたらママが長電話している場所であり……って、基本的にママが妨害行為をしてくる場所というイメージが強いのは、なぜだろう。それ以外にも、『ドラえもん』の玄関シーンの頻度は異常といってもいいほどのレベルなので、なじみの深い場所だ。……正面の黒いブツは何かって? 黒電話に決まってるだろう。バカには四角いブロックにしか見えない素材で作っておいたんだけど、君、もしかして……。


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▲玄関の横にヒッソリと存在する扉をくぐると……。

▲原作でも、数えるほどしか確認できない客間。

 玄関の左手すぐのところに、客間への入り口があることはあまり知られていない。ここにお客が通されるのは極めてまれなケースで、ほとんどはテレビがあるほうの和室の居間に通される。この隣りが居間、そして階段を挟んだところに両親の寝室があり、右手側にはトイレと風呂。突き当たりは台所となっている。


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▲台所。よくよく考えると、野比家は食事中にテレビを観ない家庭なのだなと気づく。意外に厳しい?

▲のび太が水泳の練習のために浴槽を巨大化している印象しかない風呂。

 台所の床のカラーはアニメ版準拠。テーブルが白いのは、テーブルクロスを意識してのもの。冷蔵庫がいい感じなのだが、アニメ版では薄い緑色だった気がする。

 それでは、階段を上がって2階へ行ってみよう。


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 さて、今回作ってみて初めて気づいたのだが、この階段には野比家唯一にして最大の謎がある。上の写真ではわからないが、間取り図上では1階と2階をつなぐ階段にしては、あまりにも角度が急なのである。

 間取り図では、階段が占めるスペースは約1畳分。だが、タタミ1畳の長さで1階から2階を階段で結ぼうとすると、角度がえらいことになる。
「思い描いた間取り図に、根本的な間違いがあるのではないか……。」
 そう思い、影山明仁著『名作マンガの間取り』(ソフトバンク・クリエイティブ刊)を購入してチェックしてみた。

 この本によると、「見たまま描くと、階段がハシゴみたいになっちゃう」と、やはり同じ悩みにブチ当たっていたようだ。「どうにか完成したのがこの間取り」と書かれた図を見てみると、なるほど、一見矛盾なくまとめられた間取り図に見えるが、階段の長さは、やはり1畳分。

 畳にも種類があるため、一概には言えないが、1畳の長さは約182センチである。1階から2階を結ぶ直線階段が約182センチ。これは、まずありえない。実際、仮にそんな階段があったとしたら、どんな角度になるか。

 家庭用の階段とは微妙に異なるとは思うが、マンションの階段を使って調べてみた。1段の高さが約20センチ、踏み面(足を乗せる場所)の奥行きが26センチだった。1階分の高さは14段で、これは約280センチにあたる。マンションの階段は踊り場があるので曲がっているが、野比家の階段は直線。26センチを14段で直線にすると、長さは364センチになる。


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▲ドラえもんの場合、身長の約4分の1が段差である。

 364センチ。ちょうど182センチの2倍……ということは、実際には1階から2階に上がるには、2畳分の長さが必要。280センチ目を2階の床の高さとすると、踏み面の奥行き26センチ、高さ35センチの階段を8段上がる計算になる。高さ35センチというと、もはやタワー型パソコンひとつ分であり、アスレチックにもほどがあるレベル。踏み台昇降でも、もう少し慈悲深い。古い木造家屋は、たまにスゴい角度の階段があるが、それを踏まえてもチャレンジャブル建築すぎる。人間でもこのザマなのに、ドラえもんの短足でどうやって上り下りするんだ。


 各部屋の広さをちょっとずついじってみたりもしたが、どうしても辻褄が合わない。困り果てた私は、昔に買った「ぼくドラえもん」という雑誌の付録にのび太の家のペーパークラフトがあったことに気づき、部屋を引っくり返して探し当て、組み立ててみた。


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 最初に断っておくが、写真の画質がひどいのは私のせいではない。小型化していない、まだ文字通りのスティック形状だったころのメモリースティック、しかも64MBのしか読み込まないというワガママボディを持つ、もはや骨董品レベルのデジカメで撮影しているから仕方ない。バッテリーの残り時間が55分と出た10分後にバッテリー切れになる隠し機能付きだ。ドラえも~ん、ふつうのデジカメ出して~。

 写真ではわかりづらいかとは思うが、このペーパークラフトでも、階段は1畳分となっている。小学館お墨付きの超公式雑誌なので、信用に値するものだろう。ペーパークラフトの性質上、階段は紙を斜めにして表現しているだけなので、段差の高さ問題はそこまで露見していない。

 なお、さすが公式というべきか、このペーパークラフトでは『名作マンガの間取り』では描かれていなかった、両親の寝室奥にある廊下も描かれている。突き当りがちょっとした物置になっている廊下は、作中ときどき登場するのだが、その位置は謎だったので、ノドに引っかかっていた小骨がとれた感じだ。


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▲向かい側にはパパの書斎があるが、原作同様、フスマで閉じてミステリアスな部屋に。

 2階。
 マンガ版ののび太の部屋は、タタミの部屋なのにドアが洋式という前衛的な作りだったが、アニメ版ではフスマになっており、一般的にはこちらの印象のほうが強いのではないかと思う……ので、フスマにした。アニメのドラえもんを見ていた人には、このフスマのカラーリングが頑張っているのがわかると思う。現在放映されている新声優版の『ドラえもん』では、どうなっているかは知らないが……。

 上の写真を見ると気づくと思うが、階段の長さが十分にとれないことから、部屋の入り口の前にフライング気味に階段が来ている。これ以上、部屋を奥へズラすと、外観がその分ハミ出してしまうので、ここは妥協するしかない。

マインクラフト』における階段は、じつはもともと、かなり急だったりする。
 つぎの写真を見てほしい。


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▲何気に初登場。

 これは『マインクラフト』の主人公・スティーブ。ふだんは主観視点なので姿が見えないが、実際はこんなオッサンだ。

 画面中央のアイテム欄がジャマで見づらいが、階段の高さとスティーブを比較してみると、階段の1段の高さが、スティーブの膝より少し上にあるのがわかると思う。こんなレゴブロックみたいな図体で膝より高い階段をスーッと上り下りしているわけだが、これを見る限り、1段は35センチどころか40センチ程度はある。

 つまり、1段がこれだけ高い階段でも、部屋の真ん前に階段が来てしまうわけで、野比家の階段、どんだけだよというのがわかっていただけるかと思う。


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▲のび太の部屋。いろいろと苦しいが、心眼で頑張ってほしい。

▲ドラえも~ん!……は、留守のようだ。

 というわけで、のび太の部屋。畳はいい色がなく、この色のせいで部屋が暗く見えてしまっているくらいだが、この緑色以外には蛍光の黄緑色しかないため、選択肢はなかった。右の写真は、ドラえもんの寝床でもある押し入れ。押し入れ感の再現度が光る。


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▲この世界には釣竿があるので、このように"おざしきつりぼり"も可能。

 これまでの物件は、すべてチュートリアルワールドで作ってきたのだが、初期のチュートリアルワールドにはサトウキビが存在せず、サトウキビを加工して作られる紙、さらに紙で作る本などがすべて作れない状態。なので、画面左にある茶色い物体を本棚と認識するには、見る者の並外れた想像力に頼るしかない。

 右にあるも同様だ。『マインクラフト』はとにかく小物に弱い。ゆえに、そこが工夫のしどころでもあるが、事務机をこのスペースで再現するのは、目でピーナッツを噛むくらいにミッションインポッシブルすぎた。まあ、その勢いで1秒間にまばたきを16回くらいすれば、そのうち事務机に見えてこないこともない。見えた後は、眼科に行ったほうがいい。

 そして、その机の手前にへばり付いているのは何だと思われるかもしれないが、これは引き出しだ。ご存知の通り、のび太の机の引き出しはタイムマシンの搭乗口になっている。それを再現するには、床に穴を開けるダイナミック工法しかなかったのだ。

 穴を降りると、暗黒界へのゲートを利用してタイムマシンへ降り立てるようになっているのだが、その弊害が真下に位置する居間に少し出てしまっている。


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!?

 これが、1階の紹介時にあえて紹介しなかった居間。なんかもう、見なかったことにするしかない。左目を瞑って、右手で右目を隠すと、異変に気づかなくて済む。部屋の左隅にあるのは、どんなに故障してもママがチョップで直してしまうアレだ。

 では、のび太の部屋に戻って、例の引き出しに入ってみよう……。


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▲あやしく光る紫色のゲートをくぐると……。

▲時空間に停車するタイムマシンの雄姿。

 タイムマシンが置いてある謎の時空感を出すため、周囲を黒曜石で覆い、青ウールで時間の流れ的な何かを表している。たいまつは時計を表しているのだが、事務机が見えた人の中で100人に1人くらいは気づいてくれるだろう。あと、タイムマシンがやたらサイケデリックな色合いに見えるが、こう見えても原作に忠実。

 タイムマシンを見ると、子供のころに戻りたくなるときがある。ドラえもんが出すひみつ道具にはすべて夢があるが、なかでもとくに秘密基地系が好きだった。

 『のび太と竜の騎士』では、のび太が0点の答案を隠そうと「どこでもホール」で地底の空洞を捜していたら、おそろしく広大な地下空洞を見つけてしまうことから物語は始まる。地底空洞を改造して自分だけの部屋を作ったり、スネ夫やジャイアン、しずかちゃんたちと、大人のジャマが入らない遊び場として堪能する。『ドラえもん』では時折、こういった「子供たちだけの空間」を作り出す話が出てくるが、当時、子供心にも「描いてる人は大人なのに、子供がいちばん欲しい物をわかっているなぁ」と感心したものだ。

 モニターの中でだけとはいえ、あのころの願望を叶えてくれるのが『マインクラフト』だ。地底を自由に掘り進んで自分だけの部屋を作ることもできるし、予想以上の大空洞を探検していくこともできる。フレンドがいれば、よりいっそう楽しくなる点も同じだ。

 『マインクラフト』は、大人のために作られたタイムマシンのようでもある。子供のころには考えもしなかった、自由で未来的なゲーム。その中で、あのころの夢だった自分だけの秘密基地を作ることができる。ブロックをいじっているあいだだけは、タイムマシンで過去へ遡っているようなものなのかもしれない。

 ……と、こうして原稿を書いていても、建造物いじりで「ここはもうちょっと、こう……」とディテールにこだわり始め、ハッと気づけば締切が迫っていたりする。

 そんなときには別の意味で「ああッ、タイムマシンが欲しいッ!」……と思うのだった。


~おまけ~
 というわけで、タイムマシンに乗って未来から仕入れてきたひみつ道具を、ほんのちょっぴり紹介しよう。皆さんは、これらが何の道具かわかるだろうか。答えは次回!


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次回予告
次回、最終回! 俺はようやく登り始めたばかりだからな……この果てしなく遠いマイクラ坂をよ……。


■著者紹介 夢崎
ファミ通Xbox 360で実績システムについて書いたり、二次元ドリームマガジン(キルタイムコミュニケーション刊)で変なゲームの記事を書いたりしているフリーライター。「ひみつ道具をひとつだけ手に入れられるとしたら、どれがいい?」と聞かれたら「ソノウソホント。すべての道具は、これで作り出せるから」と即答する、おとなげない大人。


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