『GOD EATER』中二病のまっただ中にいる人に好まれる中二的キャラ表現とは!? 【CEDEC 2012】

CEDEC 2012でバンダイナムコスタジオ 第1開発本部 ビジュアルアート部門 VA3部 アニメーション1課 課長補佐 / リードアニメーター河野紀子氏が行った“ユーザーに中二キャラクターとしての認知に成功したアニメーション・メソッド ~ゴッドイーターから贈るフィジカル中二論~”。そもそも“中ニ”とは!?

●中二キャラとは!? そのキャラに命を吹き込む手法とは!?

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▲河野紀子氏。この出で立ちからして、ご本人も……!?

 2012年8月20日から、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で、ゲーム開発者向け会議“コンピュータエンターテインメントデベロッパーズカンファレンス2012”(CEDEC 2012)が開催されている。ここでは、8月21日に同イベントのショートセッションとして、バンダイナムコスタジオ 第1開発本部 ビジュアルアート部門 VA3部 アニメーション1課 課長補佐 / リードアニメーター河野紀子氏が行った“ユーザーに中二キャラクターとしての認知に成功したアニメーション・メソッド ~ゴッドイーターから贈るフィジカル中二論~”の内容を紹介しよう。

 『GOD EATER(ゴッドイーター)』では、体の各部位の動かしかた、筋肉のテンションを感情表現のロジックに従ってデザインすることで“中二”らしいキャラを実現することができたという。“中二”と堂々と銘打たれた本セッションは、会場からの笑いも起こり、とてもユニークなものとなった。果たして中二を表現するロジックとは……。

 まず、河野氏はどういったキッカケでそういう手法を考案したかについて、『GOD EATER』制作時の状況を説明。当時、河野氏は『GOD EATER』のカットシーン制作から開発に携わることになるが、アートディレクターからは、制作期間があまりないため、少ない演技で、さらにかっこいいポーズでキャラ表現をしてほしい、というオーダーを受けたという。


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■“かっこいい”とは?

 “かっこいい”とひと口で言っても、人それぞれで感じかたは違うもの。そこで河野氏は、『GOD EATER』で“かっこいい”表現を考えた場合、同作のメインターゲットである中高生が“かっこいい”と思える表現(中二キャラクター)を考えたという。では、中二キャラクターとは? →中二病のまっただ中にいる人にものすごく好まれるキャラクター。では、中二病とは? →思春期と青年期(14歳~18歳が多い)に発症する症例、と分析。さらに河野氏は、中二病の症例は下記の6つに行動に分けられると述べた(河野氏にも覚えがあり、「心が痛い」ともコメント)。

・もう自分は大人だとアピールしたい(うまくもないコーヒーを飲み始める。洋楽を聴き始める等)
・自分は社会規制に怯まない強い存在だとアピールしたい(林間学校に来てまでタバコを吸う。髪の色をスプレーで変えてみる等)
・独立心と依存した現実との葛藤(自分の家族を友だちに見られたくない。母親に「どこに行くの?」と聞かれて「外」)
・いままでの自分に疑問を持ち、これまでと違うことをする(本当の親友探しを始める。ちょっとしたウケ狙いのキーホルダーを買いたくなる等) 
・やればできると思う(曲も作れないのに作詞。『DQ』や『FF』にハマり、ゲームプログラマーを目指すが、考えられることは続編のちょっとしたイベントやストーリーやアイテムだけ)
・他人より物事の本質を分かっていると思いたい(売れたバンドを「売れる前から知っている」とムキになる。急にラーメンの美味しい・美味しくないを言い出す等)'


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 6つの症例を見てみると、中二病は大別するとふたつの心理から起因していることがわかったという河野氏。そのふたつとは、“大人であることの主張(承認要求)”と“自分探し(自己同一性)”。

 以上を踏まえ、河野氏は中二病の人が好む中二キャラクターは、“共感、自己投影し、憧れられるキャラクター”で、『GOD EATER』では、“中二病の人が共感、自己投影し、憧れられるかっこよさ”を目指せばいいのでは、との結論に至る。


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■ポーズで中二キャラを表現するには?

 では、“中二病の人が共感、自己投影し、憧れられるかっこよさ”を、どうキャラクター性に落とし込めばいいのか。
 「人の行動と姿勢は、その人の内面が映し出されたもの」(河野)。その傾向を独自にまとめたアニメーション・メソッド(論理的に体系づけた方法などの意)を用いてキャラクターの違いを表現したという。そのポイントが今回は3つ紹介された。

ポイント1:相手へ意識の強さの表現
視線や頭や体の向きなどで、その人の意識の強さがわかる


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▲右の写真ほど、相手に関心が高めっている姿勢。

ポイント2:オープン・ポジションとクローズド・ポジション
受け入れ、開放の姿勢(腕や足が開いている)→オープン・ポジション
拒絶や防御の姿勢(腕組みや脚組)→クローズド・ポジション


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ポイント3:性別による違い
男らしさ、女らしさを表現する際、男性なら力を外向きに開放、拡散するイメージ、女性は逆に力を内向きに閉じたイメージを実践すると、個性を損なわずに男性らしさ女性らしさが表現できる。


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■実際に作ると……

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 上記アニメーション・メソッドの3つのポイントを踏まえ、実際にキャラクターを作ってみると……。まず、相手への意識を示す姿勢は斜め45度くらい(大人であることの主張と他人との馴れ合いは好まないことを表現)、つぎに両脚。自信があるキャラクターの場合は両脚を広げる(だが、相手との馴れ合いは好まない場合はそこそこに)。そして性別が男性の場合は、外向きに関節を広げ、背中を丸め(クローズド・ポジションの表現のひとつ)、片足に重心を乗せる(背中を丸めただけだと下半身が緊張した状態に見えるため)。最後に頭をやや正面に向ける(相手への意識の強さの表現)と……あら不思議! 立派な中二ポーズに!

 最後に、本セッションの内容を思いっきり端折って、けっきょくのところ中二ポーズを表現するポイントだけ知りたい、という人に向けて「くねくねさせればOK!」(河野)とまとめると、会場から笑いと拍手が起こり、本セッションは好評のうちに終了した。


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▲結論としては、こういうこと。