いまインディーズのクラフトゲームが熱い!

 2012年5月にXbox LIVEアーケードで配信され、日本でも知名度を大きく上げた『Minecraft: Xbox 360 Edition』。ブロックを積み重ねて世界を作るという、新たなゲームジャンルを確立させた傑作だ。本作から、この手のゲームにハマった人も多いと思う。

 『テトリス』が登場したあとに落ちモノパズルゲームが多数登場したように、『Minecraft』後も同様の作品がいくつか登場している。そのなかでも注目を集めたのが『Terraria』だ。Re-Logicが開発し、2011年5月にSteamで配信がスタートしたPCのインディーズゲームで、まれに“2D版マインクラフト”なんて表現をされる。実際のところはどんなゲームなのか、果たして“マインクラフター”たちには楽しめるのか、インプレッションをお届けしよう。

鉱石を求めて掘りまくれ! 探索2Dアクション『Terraria』インプレッション_01
▲レトロ風味あふれるドット絵が目に付く2Dアクションゲームの『Terraria』。WASDキーで移動、マウスでカーソル移動という、FPSに似た操作形態だ。

ブロックを組み合わせて自宅を建設するのだ

 『Terraria』は2Dのスクロールアクションゲーム。世界は土や石、鉱石などさまざまなブロックで構成されており、このブロックをある程度自由に切り崩して地形をカスタマイズできる。ブロックを再配置して建造物を作成することも可能だ。また、ブロックを材料にアイテムを作る要素もある。これらのクラフト要素を活用しながら、世界を探索することが目的だ。

 ゲームスタート時、主人公が持っているのはCopper Shortsword(銅の剣)、Copper Pickaxe(銅のツルハシ)、Lazy Copper Axe(銅の斧)の3種類。まず行いたいのは、拠点となる自宅の建設だ。

 地上にはいたるところに樹木が点在しており、斧で切り倒すことで木のブロックを入手できる。このブロックを積み重ねて、家らしきモノを作り上げるのだ。木以外の土や石などを使ってもいいし、自然に見つかった洞窟を利用するのもあり。

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▲地上には木が生えており、斧で何回か叩くと切り倒して木のブロックを入手できる。種であるAcorn(ドングリ)が出てくることも。

 外枠を組みあげたら、今度はWork Bench(作業台)を作成し、家に設置する。Work Benchは、作れるアイテムが大幅に増える設置物。これで壁や扉を作り、さきほどの家の枠組みに設置して、拠点(らしきもの)が完成だ。

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▲平地に木のブロックを積み上げて、家の外枠を作る。美観もへったくれもないが、とりあえずはこれでいいのだ!
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▲メニュー画面からアイテムを作ることも可能。初期状態では数点しか作れないが、近くにWork Benchがあれば作成できる種類が大幅に増える。作成できるアイテムの種類を増やせる設置物は、ほかにも多数存在する。
▲拠点が完成。本作には昼夜の概念が存在し、夜になると多くのモンスターが登場する。そのため、より安全に過ごせる拠点は必須なのだ。

 なお、広さが一定以上ある、周囲がブロックで囲まれている、壁が存在する、イスが置かれているなど、一定の条件を満たした拠点は“住居”となり、NPCが住み着く、復活地点に設定できる、といったメリットが発生する。ゲームを進めて一定の条件を満たすと、新たなNPCが現れる仕組みだ。

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▲ゲームを進めると住居にNPCがどんどん住み着く。アイテムを売ってくれるNPCも存在する。

レアな素材のために、掘って掘って掘りまくれ!

 一息付ける場所が完成したら、いよいよ冒険に乗り出すときだ。序盤の目的は、銅や鉄、金といった鉱石の発見。これらを材料に新たな道具や装備を作り、主人公を強化していくのだ。

 探索の基本は、とりあえず地中に向かって掘ること! 光が届かない場所では真っ暗闇になってしまうので、適所にTorch(たいまつ)を配置しながら進んでいく。ある程度探索したら拠点に戻ってアイテムを保管する、というサイクルでゲームを進めるため、帰り道のことも考えながら掘ることが大切だ。たとえば穴を掘るときは階段状に掘ったり、巨大な空洞であれば土や石を設置して足場を作る、といった具合。

 また本作のマップは非常に広いため、遠出するほど拠点に戻るのは大変になる。そのため、ある程度掘り進んだ場所に新たな拠点を作っていくのも有効だ。

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▲地下に掘り進んでいくと、天然の洞窟を発見することも。石や土で足場を作り、ダンジョンをカスタマイズしていくのがとても楽しい。
▲モンスターを対処しつつ、拠点を作成。『Minecraft』とはまた違った、緊張感あふれるクラフト要素が楽しめる。

 この探索のサイクルは非常におもしろい。地下に掘り進むほどおどろおどろしい雰囲気になり、またモンスターも強力になるため、緊張感は増大。だが深い場所ほど貴重な鉱石が見つかるため、発見できたときは非常に興奮する。このリスクとリターンのバランスが、じつによくできているのだ。

 また、探索は地中に向かって進むだけではない。本作にはスタンダードな森林をはじめ、砂で埋め尽くされた砂漠、うっそうとした木が生い茂るジャングルなど、さまざまなエリアが存在する。これらの場所の探索には危険を伴うが、そのエリアにしかいないモンスターを倒せば、貴重な素材を入手できるのだ。

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▲地底の最深部は地獄のようなエリア。溶岩の中に謎の建造物が点在する。強力なモンスターが登場する危険地帯だが、ここでしか入手できないアイテムも。
▲砂漠やジャングルなど、多彩なエリアが存在。このようなダンジョンでは、まれに宝箱が見つかることも。

鉄や金で装備を作り、主人公を強化!

 金や銀といった鉱石を使って、新たな装備や道具を作ることが可能だ。たとえばSilver Ore(銀鉱石)は、Furnace(炉)でSilver Bar(銀の延べ棒)にすることができ、これを材料にAnvil(金床)で銀のツルハシや鎧を作ることができる。

 ツルハシや斧などの道具は、貴重な鉱石を材料にしたものほど性能が上がる。銅より銀、銀より金のツルハシのほうが早く掘れるため、より効率的に探索が行える。また上位の素材も入手できるようになる。たとえば金のツルハシを入手すると、隕石やDemoniteといった鉱石が掘れるため、さらに高性能の装備や道具を作れるようになるわけだ。武器や防具も同様に、貴重な鉱石を使った装備のほうが性能が高い。

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▲地中にはさまざまな鉱石が存在する。これらを入手することが探索の目的のひとつだ。
▲入手した鉱石をもとに、さまざまな道具や素材を作ることが可能。これをくり返して主人公を強化していく。

 また主人公自身の能力も強化できる。冒険中、まれに巨大なハートが見つかることがあり、使用すると体力の上限が20増える。また夜間に落ちる流れ星を10個集めてMana Crystalを作成し、使用すると、魔法を使うときに使用するマナの上限値が20増える。

 このように、主人公を強化していく育成の楽しさも本作の魅力。危険なエリアを探索して素材を集め、主人公を強化するという、育成要素と探索要素が密接に結びついているため、最後まで探索に意味があるゲームデザインになっているのだ。

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▲深夜にはまれにFallen Star(落ちた流れ星)が見つかることも。これを集めるとManaの上限値を増やせる。

多彩なアクションが楽しめるバトル要素

 バトルアクションの豊富さも大きな特徴だ。本作では、短剣、長剣に加えて映画『スター・ウォーズ』のライトセーバーのような剣、ブーメランや弓矢、さらには銃など、さまざまな武器が登場する。たとえば剣ひとつとっても、武器によって攻撃力はもちろん、攻撃速度や攻撃範囲が大きく異なる。武器によってアクションが大きく異なるため、状況によって武器を使い分けて戦う楽しさが味わえるのだ。

 特殊なアクセサリーを装備することで、アクションのバリエーションを増やすことも可能。“落下ダメージを無効化”、“2段ジャンプが可能になる”などの効果が存在するので、ゲームを進めるにしたがって行えるアクションの幅が広がっていく。バトルはもちろん、探索時でも役立つだろう。

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▲武器のバリエーションは非常に豊富。この特殊なブーメランは、遠距離攻撃が可能なだけでなく、周囲をほんのり照らす特殊効果も併せ持つ。
▲アクセサリーや道具は、さまざまな効果を持つ。このIvy Whipは、ロープを壁に引っかけて移動できる便利な道具だ。

 また特定の場所ではボスが登場したり、大量のゴブリンが自宅へ押し寄せてくるなど、バトル関連のイベントも非常に多い。とくにボスは巨大かつ強力で、装備を調えていても苦戦は必須。そのぶん、撃破できたときの達成感は非常に大きい。ボスを倒すことで新たな素材を入手できたり、新たなエリアへ行けるといった、ゲーム的なメリットもある。

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▲特定の条件を満たすとボスが登場。巨大な目玉のようなボス“Eye of Cthulhu”は空中を浮遊しているため、遠距離攻撃できる武器で戦いたい。

『Minecraft』とは異なる魅力を持つ傑作

 冒頭で述べたように、よく『Minecraft』と比較される本作。だが実際にプレイしてみて、本作の主軸は探索とバトルであると感じた。開発のきっかけこそ『Minecraft』のようなクラフト要素だったかもしれないが、探索とバトル要素はしっかりと練り込まれており、オリジナリティーを確立している。この楽しさは、本作ならではだ。

 もちろんクラフト要素もしっかりと作られてはいるが、2Dと3Dによる違いのためか、個人的には建設のおもしろさは『Minecraft』に軍配が上がると感じた。

 というわけで、『Minecraft』の探索に魅力を感じ、もっと濃いバトルを楽しみたい、という人には間違いなくオススメできる作品。往年の2Dアクションが好きな人も、バッチリ楽しめる傑作だ。PCゲームに慣れていない人はちょっと操作に戸惑うかもしれないが、ぜひともチャレンジしてもらいたい。マルチプレイにも対応しているので、友達といっしょに購入してみるのもいいだろう。

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▲あるボスを倒すとハードモードに突入。ユニコーンを始め、ファンタジーな敵が登場するエリアが現れる。ファンシーな外観とは裏腹に、どの敵も異常に強力。



著者紹介 喫茶板東
ファミ通Xbox 360で海外ゲームマニアックス、実績解除愛好会などを担当するフリーライター。本作はインディーズゲームのため、価格も9.99ドルと休め。Steamでは定期的に値引きセールを行っているので、その機会を狙うのもアリですよ。