『バロック』ファン大喜びの3時間30分超えイベント!

2012年6月8日、東京・阿佐ヶ谷のASAYAGA LOFT Aで、『バロック オリジナル・サウンドトラック』の再発売を記念したイベント“マルクト・サウンドスケープ”が開催され、『バロック』の企画、ゲームデザインをした米光一成氏、サウンドを担当したベイシスケイプの岩田匡治氏、今回のサントラに収録されたボーカル曲「奇跡のループ」を歌った青木春子氏が出演した。チケットが販売開始から2日間でソールドアウトになったという人気に違わず、会場は満杯に。とくに女性の観客の多さが特徴的だった。イベントは3部制になっており、トータルで3時間を超えるほどのボリュームに。トークあり、ライブありのイベントに、ファンも大喜びのイベントとなっていた。



イベントの中では、『バロック』のサウンド制作がどのようにスタートしたかという話題が披露された。当時、スティングに所属していた米光一成氏は、「社長から“つぎは米光の好きなように作れ”と言われたので、キャラクターのモデルを鬼頭さん(鬼頭栄作氏)にお願いして、サウンドを『トレジャーハンターG』でいっしょにやった岩田さんにお願いしてと、好きなメンバーを揃えたんだよね」と、『バロック』のスタッフがどのように集まったかに言及。
一方の岩田氏は「なんで呼ばれたのかわからない(苦笑)」と言いつつ、「いろいろなインタビューで言っていますが、サウンドもどんなものを作ればいいのかわからなかったんです。それで困っていたら、米光さんからポエムみたいな一文が来たんです」と、当時の秘蔵資料を公開する。


続いて、再発売されたサントラの中から「proto one」を流しつつ、当時の話題に。岩田氏が手探りで作ったという、あまりメロディーらしい旋律のないプロトタイプの曲だが、その曲に対し米光氏は当時、「曲になりすぎですよ」とダメ出しをしたんだとか。岩田氏は、それを受けて「これが曲!? とカルチャーショックを受けて、もう米光さんと話すことは止めて、ひとりで悩もうと思いました(笑)」と決断して、さらなる手探りの中で曲を作っていったという。

第3部では、再発売盤に収録されたボーカル曲「奇跡のループ」の制作秘話に。米光氏、岩田氏、双方ともボーカル曲制作の経験があまりなかったようで、試行錯誤の末に完成した楽曲だという。とくに苦労したのは作詞だったようで、米光氏が暫定的に作った仮の詞を調整するために、米光氏は岩田氏に「歌ってみてよ」とリクエスト。本来ならば、ボーカリストによる仮歌などが作られるのだが、スケジュールに余裕がなかったため、岩田氏が歌うことになってしまう。しかも、深夜に自宅で歌ったため、周囲への迷惑を考えながら押し殺して歌ったとのことで、その曲はのちに「奇跡のループ 地獄編」と名付けられることに。そしてなんと会場で、その「地獄編」を流すことに! 岩田氏が非常に嫌がるなか、「地獄編」が流れると、出だしから会場中が爆笑。岩田氏の暗い声とは対照的に、大盛り上がりとなっていた。

