力を合わせりゃ国際空港もできる!
米時間の2012年6月7日に閉幕したE3 2012。会期中にご紹介しきれなかった各社タイトルの最新情報を引き続きお伝えする。
エレクトロニック・アーツのブースでは、待望の新生『シムシティ』のプレゼンテーションがクローズドシアター方式で行われていた。注目は本シリーズ初となるマルチプレイ要素だ。果たしてどうやって実現しているのか?
カギとなっているのは、本作のために作られたデータドリブン型のゲームエンジン“Glassbox”。詳細はGDC 2012での講演をまとめたものを掲載しているのでそちらを見て欲しい。
基本的には、土地やヒト、クルマなどが持つデータ形式を細かく定義して、そこに格納されるさまざまな物資やヒトが街を動かしていく。このエリアにはどんな物資がいくつあって、あと幾つ格納できるのかといったデータがつねに記録されているのだが、それは話をプレイヤーの街全体に拡大しても同じだ。
本作のマルチプレイは、すべてのデータをつねに記録しておくことで、プレイヤー間のコラボレーションを非同期に実現している。すべてはデータの行き来で決まるのだから、ターンに縛られたり、友達がいま遊んでいるかいないかなんて気にしなくていい!
本作をマルチプレイで遊ぶと、プレイヤーの街の端っこに、一緒にプレイしている友達の街に繋がる道路などが伸びているのがわかるだろう。ここがまさに自分の街と友達の街を繋ぐ接点となる。たとえば電気が足りない時、友達の街に十分な電気があれば、そこに電線を這わせることで、友達の街の余った電気の供給を受けられる。
やってくるのは電気だけじゃない。たとえばスタジアムとホテルを設置してみると、それは観光資源となり、友達の街から観光客がやってくる。友達の街から何人が来て、また何人が去っていっているのかは注目しておくべき数字だ。
もちろん悪影響も与えられるが、もっと協力することもできる。たとえば国際空港。足りない物資を「あ、それ俺が作るよ」と提供し合うことで、はじめて大事業をなすことができるのだ。
本作では、プレイヤーは自分の街の“データ”がどう動いているのか、画面を切り替えてひと目でチェックすることができる。たとえば治安なら、街の建物に落書きが増えてきて「おかしいな?」と思ったらCrime Mapに切り替えればいい。治安の悪い部分を赤く表示してくれるので、警察署を置かなければいけないのがどこかすぐにわかる。同じように、水がどう配分されているか、土壌の汚染はどうなっているのか、電気が行き渡っていないのはどの地域なのかといったことが、3D画面上ですぐに図示できるのだ。
グラフィック的には、すぐ遠くの物がボケるのでミニチュア感が際立っていて、結構かわいい。自分の丹精こめた街が、友達の街と繋がるワクワクした感じは、相手を叩き潰すマルチプレイ対戦とも、一緒に共通のゲームを遊ぶ協力プレイとも異なる、唯一無二の体験となるのではないだろうか。