Miiverseがこれまでにないおもしろさを作り出す!
2012年6月5日~7日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスのコンベンションセンターにて開催中の世界最大のゲームの見本市、E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2012。開催初日の2012年6月5日、任天堂のラウンドテーブルが行われた。
任天堂ラウンドテーブルは、日中に行われたカンファレンスの内容を受け、新たなハードやタイトルに関するより詳細な情報が語られるという催し。宮本茂氏が登壇するのが恒例だったが、今回は、Wii Uソフトウェアプロデューサーの江口勝也氏が登場した。
「皆さん、任天堂ブースで『Nintendo Land』は遊んでくださいましたか? Takamaru's Ninja Castle(鷹丸の手裏剣道場)では、こんなふうに手裏剣を飛ばせましたか?」と、紙製の手裏剣を来場者席に飛ばすというユーモア溢れる挨拶を行った江口氏。『Nintendo Land』は、これまでのマルチプレイとは違う、Wii U GamePadを持った人が特別な役割を果たす、非対称な(アシンメトリー)ゲームプレイを目指したと語った。
ここで、E3 2012でプレイ可能な『Nintendo Land』のアトラクションの中で、カンファレンスでは詳しく解説されなかったものの映像が公開された。
■Animal Crossing: Sweet Day(どうぶつの森 キャンディー祭り)
江口氏のお気に入りのアトラクションのひとつであるという“Animal Crossing: Sweet Day”。Wiiリモコンを持ったプレイヤーたちはキャンディーを集める人、Wii U GamePadを持ったプレイヤーは、ほかのプレイヤーを捕まえる門番となる。Wiiリモコンのプレイヤーたちが50の果実をすべて集めれば門番の負け、門番がほかのプレイヤーを3回捕まえれば門番の勝ちとなる。
■Donkey Kong's Crash Course(ドンキーコングのクラッシュコース)
Wii U GamePadを傾けて滑車を走らせ、コースを進むゲーム。そーっと傾けるか、豪快に傾けるべきか、適切な方法を選べるかが攻略のカギ。このアトラクションは、ヘビーゲーマーな任天堂スタッフに非常に人気だとか。
■The Legend of Zelda: Battle Quest(ゼルダの伝説 バトルクエスト)
任天堂ブースで遊べるコースとは違うコースが披露されたThe Legend of Zelda: Battle Quest。じつは、今回ブースで試遊可能なアトラクションのコースは、2コース目の前半と3コース目の後半をつないだものだという。この段階では、まだボスは手ごわいものではない。江口氏は「コースは2、3種類では終わらないことがわかっていただけるはず」と、本アトラクションのボリュームに対し自信をのぞかせた。
また、本アトラクションはマルチプレイだけでなく、ひとりプレイも可能。コースの仕掛けや敵の配置は、ひとりプレイ用に調整されたものになるという。ひとつのコースでも、マルチプレイとひとりプレイ、ふたつの楽しみ方があるとのことだ。
江口氏は、「The Legend of Zelda: Battle Quest以外にも、マルチプレイもひとりプレイも可能なアトラクションがある」と述べる。「中には、ひとつのアトラクションで、協力プレイ、対戦プレイ、ひとりでの冒険が楽しめるものもある」とか。また、ひとりプレイに対応していないものでも、少ない人数で遊ぶか、多い人数で遊ぶかで、ルールが違ったり、コースが違うステージが用意されていたりするので、飽きることなく楽しめるという。「Wii U GamePadを使った遊び……ということで、簡単な遊びしか入っていないと思われるかもしれませんが、これまでご紹介してきたように、各アトラクションはかなり力を入れて作っています」と、ヘビーユーザーでも楽しめることがアピールされた。
続いて披露されたのは、『Nintendo Land』の広場。中央には本作の顔ともいえるシンボルタワーがある。プレイヤーのMiiのそばに浮いている、ディスプレイに顔がついたキャラクターはナビゲーター役で、まだ名前はないが、スタッフのあいだでは“看板娘”と呼ばれているとか。
広場にあるさまざまなオブジェは、“コイン”と交換することで手に入る。コインは、アトラクションをクリアーすると手に入り、ある条件を満たしてクリアーすると、さらにボーナスとして多くもらえるそうだ。
また、本作のMiiverseは、この広場の中で感じられるような形で作られている。広場内を歩き回っているMiiたちは、すべて本作で遊んでいる世界中のプレイヤーたち。Miiをタッチすれば、彼らがどの国の人で、どれだけのコインやオブジェを持っているかがわかるそうだ。
「このMiiverseを利用すれば、だれでも簡単にフレンドを作ることができます」と江口氏は語る。Miiのコメントを読めば、その人が本当にそのゲームをプレイしているのかがわかるので、ちゃんとゲームを遊んでいる人だけを選んでフレンドになることができるという。ネタバレで不快な気持ちになることがないような仕組みも用意しているとのことで、たとえばプレイヤーがコメントを発信するときに「ネタバレです」と自己申告できたり、ほかのプレイヤーがネタバレしていたら、「これはネタバレです」と任天堂に知らせることができたりするとのことだ。ネタバレ禁止の設定にしておけば、ネタバレ以外のコメントだけが表示される。
『どうぶつの森』のプロデューサーでもある江口氏は、「『どうぶつの森』ユーザーの方で、「いっしょにゲームを遊ぶ友だちがいないので、ゲームを100パーセント楽しめていないんです」とおっしゃる方がいらっしゃるのは事実です。そのような方々にフレンド作りを楽しんでいただきたいと思い、このようなMiiverseを作りました」とコメント。「また、『どうぶつの森』では、信頼していない人に村に来られるのはちょっと抵抗がありますよね。信頼したうえでフレンドになりたい、その要望に応えられるシステムになっていると思います」と、どのようにして本作のMiiverseを作っていったかを語った。
新しいマルチプレイの形を実現する『New SUPER MARIO BROS. U』
『Nintendo Land』に関するプレゼンが終わったところで、任天堂の手塚卓志氏が登場。『New SUPER MARIO BROS. U』について解説した。
手塚氏は、「Wii Uになって『マリオ』のどこがいちばん変わったか……それはMiiverseです。Miiverseは、Wii Uの本体機能のソーシャル掲示板だと思っている方が多いかもしれませんが、それだけではありません。Miiverseはいろいろなゲームで使われ、ゲームごとに使われかたが変わるのです」と、Miiverseの重要性を語った。
では、具体的にMiiverseを使って、本作では何ができるのか? プレイヤーは、コース中で何度も何度もダウンしてしまったとき、「あなたのいまの気持ちを書いてください」とコメントを求められる。また、すべてのスターコインを集めたり、ダメージを受けずにクリアーしたりと、エクセレントなプレイができたときも、コメントが求められる。
それらのコメント・メッセージは、本体機能の中のMiiverseで見られるのはもちろん、本作の場合、ゲーム内でも見ることができるのだ。
具体的には、プレイ中にダウンしてしまったとき、同じところでダウンしたほかのプレイヤーのコメントが見られる。また、下の画面で紹介しているように、ワールドマップ上に、エクセレントなプレイをした人のメッセージが表示される。「Miiverseをどう使うかは、ゲームデザインしだい」(手塚氏)。知らない人だけれども、同じ『マリオ』を遊んでいる人が、なんとなく共感しながら楽しめる……それが本作におけるMiiverseの楽しみかたなのだ。
手塚氏は、「手助けは、遊ぶ人たちの息が合っていないとできないのです。日本には餅つきというものがありまして、やることはそれぞれ違うんですが、おいしいお餅が作れるかは、息が合っているかにかかっているんですね」と、このブーストモードを餅つきにたとえて解説。「ここに足場を置いてくれ!」と声を掛け合いながらやるのがおすすめで、この足場を使い、いかに早くクリアーできるかに挑戦してみるのも楽しみかたのひとつとのことだ。
Q&Aコーナー
――『Nintendo Land』の本体同梱版は発売されますか?
江口 正直に言いまして、私にもわかりません。Wiiと『Wii Sports』のような関係にしたいと思ってはいますが……。北米では同梱版が発売され、日本では発売されない、もしくはその逆などのパターンも考えられます。
――Miiverseにはネタバレを避ける機能があるとのことですが、ほかにも、ポジティブではない言葉を避ける機能はありますか?
江口 もちろんあります。人を怖がらせる言葉が見えると、安心してコミュニケーションできませんので。そのような仕組みは積極的に導入していきたいと思っています。
――WiiとWii Uのターゲットは同じですか?
江口 同じかといえば、そうです。というのも、Wiiは5歳から95歳の方まで、皆さんに遊んでいただけるように作りました。ただ、Wii Uはそのコンセプトをさらにパワーアップさせています。任天堂はカジュアルなユーザーをターゲットにしていると思われがちですが、ヘビーなユーザーの皆さんももちろんターゲットです。また、サードパーティーの方々に、「自分たちのお客様のためにWii Uでゲームを作りたい」と思っていただけるようなハードになっていると思います。
――Wii U GamePadが同時に2台まで接続できるようになるとのことですが、その場合、フレームレートは落ちるのでしょうか。
江口 2台のWii U GamePadを接続すると、ハードに負担がかかることは確かです。その代わり、新たな楽しみが生まれます。画面の数を増やして楽しいゲームを作るとき、かならずしもすべての画面にハイクオリティーな絵を出す必要があるというわけではありませんし。あまりにもグラフィックのクオリティーを追及しすぎると、ハードの価格が高くなり、皆さんに買っていただけなくなるのでは、という懸念もあります。
――WiiのゲームのセーブデータやWiiウェア、バーチャルコンソールは、Wii Uに移せますか?
江口 はい。いままでご購入いただいたソフトなどは、移せる仕組みにしています。
――NFC機能については、どんな使いかたを考えています?
江口 ここでお話してしまったら、後々発表したときに驚いていただけなくなるので……(笑)。要らないものは実装しませんので、ちゃんとおもしろいものを作ります。また、ゲーム以外でも、お買いものなどがしやすくなるのではと思います。
――手塚さんに伺いたいのですが、同時に複数の『マリオ』のゲームを作るとき、どうしてネタ切れにならないのですか? また、ニンテンドー3DSとWii Uの『マリオ』に連動要素はありますか?
手塚 ふたつの『マリオ』を作っているのは、別のスタッフたちなんです。各チームのクリエイティブがあるので、ネタ切れの心配はありませんね。横スクロールの『マリオ』については、各ハードに対し、1作品作っているんです。そのハードの特徴を最大限に活かすということを考えて。“作りつくす”ということを、ずっと行ってきていますので、遊ぶ皆さんには、ぜひ“遊びつくす”ということを行っていただきたいですね。連動については、いまのところ予定はありません。ニンテンドー3DSの『New Super Mario Bros. 2』については、2012年6月6日(現地時間)のプレゼンテーションをご覧ください。