Metro UIはボカロPデビューも強力サポート!?――Windows Developer Day2日目基調講演をリポート

日本マイクロソフトは2012年4月25日、Windows 7の後継OSとして開発中のWindows 8で採用するプラットフォーム“Metro UI”の全貌を、アプリケーション開発者を対対象にいち早く紹介する“Windows Developer Day”の2日目を、都内にあるザ・プリンス パークタワー東京でWindows Developer Dayを開催した。

●“Metroスタイル”のデモ満載! ごく近い未来のアプリケーションはこうなる!?

 日本マイクロソフトは2012年4月25日、Windows 7の後継OSとして開発中のWindows 8で採用するプラットフォーム“Metro UI”の全貌を、アプリケーション開発者を対対象にいち早く紹介する“Windows Developer Day”の2日目を、都内にあるザ・プリンス パークタワー東京でWindows Developer Dayを開催した。
 前日に行われた1日目では、Windows8の概要と、Metro UIを使ったデモなどが披露されたが(詳細は【コチラ】)、2日目ではより実践的に、Windows8を用いたアプリケーション開発のデモなども含めて、多彩なデモとともに、Metroスタイルのアプリケーションの魅力がアピールされた。
 この日のセッションは、まず下の映像からスタートした。

▲映像に合わせて、ギターとバイオリンがライブでセッション。すばらしいオープニングに、会場からは惜しみない拍手が送られた。

 この日のメインスピーカーは、日本マイクロソフト 執行役デベロッパー&プラットフォーム統括本部長の大場章弘氏。大場氏は、Metroスタイルのアプリケーションは、ユーザーにとってまったく新しい体験をもたらす一方で、開発者にとっては、従来培ってきた開発スキルを活かし、慣れ親しんだ開発言語で開発ができるものであることを説明。同時に、PCやモバイル、タブレットに留まらず、あらゆるデバイスとの親和性が高く、極めて大きな可能性を秘めていることも強調した。
 そしてここからは、その“可能性”を具体的に示すデモンストレーションがつぎつぎと披露されていった。

 ひとつ目のデモは、冒頭に披露された、日本マイクロソフトの公式キャラクター“クラウディア・窓辺”のPVに関するものだ。デモンストレーターとして登場した日本マイクロソフト テクニカルソリューション エバンジェリストの西脇資哲氏の説明によると、じつはこの映像は、ニコニコ動画などで有名な、まさたかP氏とELECTROCUTICA(エレクトロキューティカ)の合作で、Metro UIとクラウド機能を使って作り上げたものなのだという。その工程がどんなものであったのかが、実際にMetroスタイルの“VOCALOID3”や“MMD”といったアプリケーションを使ってデモンストレーションされていった。

▲まずはデスクトップスタイルの“MMD”と“VOCALOID3”を操作してみせている様子。Kinect for Windowsを利用してダンスの振り付けデータを取り込む様子も披露された。

▲Metro版“VOCALOID”を使った操作デモ。音声ファイルをインポートし、“netぼかりす”を利用してボーカロイドの音声に変換する工程が実演された。“netぼかりす”は、YAMAHAのサーバー上で音声データがボーカロイドの音声に変換されるクラウド型サービスだ。

 続けて西脇氏は、Metroスタイルでアプリケーションを楽しむ様子を、多彩なアプリケーションを例に挙げながら、つぎつぎと披露していった。ちなみに、前段のデモでは、動画をニコニコ動画にアップし、それを視聴しつつコメントを付けるところまでが実演されたが、そこで使われたMetroスタイルのニコニコ動画アプリケーションも、わずか1週間で制作されたとのこと。開発の経緯と成果物は、2012年4月28日から開催されるニコニコ超会議にて披露されるという。

▲カードゲームタイプの、いわゆるソーシャルゲームとして、『幕末SPIRITS』、『SEATTLE QUEST』が紹介された。これらはいずれも、HTML、あるいはHTML5と、JavaScriptとCSSで作られた、Webアプリケーションベースのゲーム。つまり、現在ソーシャルゲームの開発者たちが利用しているテクノロジーで、そのままMetroスタイルのアプリケーション開発が可能だということだ。

▲Metro UIは、電子書籍との親和性も抜群だ。コミックアプリ“地球書店”では、単純に拡大・縮小するのではなく、情報の詳細度を変える“セマンティックズーム”を駆使して、快適に購入操作やコミック閲覧をする様子が披露された。“セマンティックズーム”はHTMLとJavaScriptを使ってコントロールすることが可能で、開発者は、この仕組みをうまく活用することで、より使いやすいアプリケーションを開発することができるようになるという。

▲携帯専用放送局“BeeTV”のMetro UI版。マルチタスクのアプリケーションを横に並べる“スナップ”を利用して、“BeeTV”の音楽クリップを再生しつつ、“地球書店”でコミックを閲覧する、といった使いかたも実演された。

 西脇氏によるデモンストレーションが終わると、再び大場氏が登場。大場氏は、ここまで紹介されてきたような多彩なアプリケーションが、すでに数多くのデベロッパーによって開発されていることを明かすとともに、Windows8、そしてMetroスタイルのアプリケーション開発が非常に容易であることを強調した。

 続けて、開発の容易性を具体的に解説するために、日本マイクロソフト デベロッパー エバンジェリストの高橋忍氏が登壇し、Visual Studio 11 Betaを使用してのデモンストレーションを行った。

▲RSSリーダーの作成を実演。テンプレートを使わずブランクからの制作で、逐一解説を入れながらのデモだったが、わずか10分程度で完成。

▲こちらはVisual Studio 11 Betaを使って、グラフィックのデバッグをしてみた様子。デバッグモードでアプリケーションを実行中にスクリーンショットを撮ると、そのjpeg画像から、指定した位置のポリゴン数など膨大な情報を得ることができる。

 つぎに、Metro UIとマルチデバイス、クラウドを活用した新しいサービスの例が紹介された。ひとつは、オンラインで映画の前売り券を購入できるサービス“ムビチケ”。ムビチケはすでにPCで運用中のサービスだが、ここではMetro UI版のプロトタイプが披露された。ステージに登場したムビチケの代表取締役社長、高木文郎氏は、「今回はWindows Phone版から移植をしたわけですが、開発者からは非常に移植が簡単だったと聞きました」と、ここまでのデモで強調されていた、開発の容易性を裏付けるエピソードを披露。さらに、観たい映画を選ぶ楽しさが、Metro UIによってより増幅されることを説明した。

 続いて披露されたのは、“楽天レシピ”と“楽天市場”のMetro UI版だ。ここでは楽天の取締役 常務執行役員の安武弘晃氏が登壇。すでにPCなどで非常に人気のある“楽天”のサービスだが、Metro UIによって、より魅力的なサービスとなることを、実演とともにアピールした。

 そしてこの日最後に披露されたのは、“もしもソフト「もしもカフェ店長がソフトをつくったら?」”と題した映像だ。

 動画を見ると一目瞭然のことと思うが、カフェの店長が、Metroスタイルのアプリケーションを使った新しい顧客サービスを考案し、制作したら……? という、ちょっとしたドラマとなっている。これは面白法人カヤックが制作したフィクション映像だ。Kinect for Windowsで来客を感知すると、旗が飛び出て、足下にメッセージが表示されたり、看板にメニューが表示されたり……大場氏は、こうしたMetroスタイルのアプリケーションを利用した仕組みも、簡単に制作できると語る。
 最後に大場氏は、Metroスタイルアプリケーションの普及に向けて、マイクロソフトが開発者支援施策を強力に推進していくことを説明。具体的には、“Go Metro”と題して、以下の施策を実施するという。なお“Go Metro”の詳細や今後の予定は、公式Facebookページを通じてアナウンスされていくとのことだ。

【オンライン】
■MSDNオンライン:
Metroスタイルのアプリケーションに関する技術情報ポータルを設置し、日本マイクロソフトによる公式技術情報を提供する。
■Globalization Factory:
開発したアプリケーションを海外でも提供できるよう、日本語のアプリケーションを各国の言語に対応させるための支援を行う。2012年夏よりオンライン上で展開予定。
【オフライン】
■Developer Campセミナー:
Metroスタイルの概要、デザイン、開発実践のフェーズに沿って学習可能なセミナーを全国7箇所で開催する。
■ハンズオントレーニング:
Developer Campセミナーの受講者を対象に、PCを使って操作しながらMetroスタイルアプリケーションをステップ バイ ステップで開発するトレーニングを提供する。
■Application Excellence Lab:
開発したアプリケーションとソースコードを日本マイクロソフトのエンジニアとともに検証するラボを設置する。Metroスタイルのデザインやガイドラインに沿って実装されているかどうかを事前に検証できる。
■IE Compatibility Lab:
Internet Explorer 10上の表示およびWebサイト上での動作検証を実施する互換性ラボを設置する。Webサイト上の互換性を日本マイクロソフトのエンジニアが検証する。
【コミュニティ】
■学生向けのフェローシッププログラム:
Metroスタイルアプリケーションの学生開発者を育成するため、フェローシッププログラムを開始する。トレーニングやディスカッションにより、Metroスタイルアプリケーション開発の知識と経験を深めることができる。
■Microsoft AnswersやMSDNフォーラムの提供:
オンライン上での情報交換の場を提供する。

 以上、2日間に分けて行われた基調講演は、Metro UIの先進性をアピールするのはもちろん、開発者向けの講演とあって、当然ながら開発のしやすさと、開発を支援する体制が充実していることを強調する内容となった。いまや特定のデバイスのみでアプリケーションを利用する時代は終わろうとしており、複数のデバイスを想定したアプリケーション開発は不可欠となりつつある。そうした新しい世代のアプリケーション開発に向けて万全の体制が整ったことを強く訴えかけたWindows8とMetro UIに対して、アプリケーション開発者たちはどんな姿勢で臨むのか? その答えは、遠からずさまざまな製品やサービスとなって現れるだろう。