新たなゲームエンジンで従来作とは一線を画する『シムシティ』

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 エレクトロニック・アーツは、2012年4月19日と20日(現地時間)、イギリスのロンドンにてプレスを対象に、今後発売する新作のプレゼンテーションや実機デモなどを行う“EU SHOW CASE”を開催した。

 出展されたおもなタイトルは日本でも発売が決定したばかりの『メダル オブ オナー ウォーファイター』や『クライシス3』、『バトルフィールド3』のダウンロードコンテンツ“Close Quarters”など。ここでは、10年振りにシリーズ最新作の発表があった『シムシティ』(PC用ソフト。日本国内では2013年に発売予定)のプレゼンテーションの模様についてお届けしよう。

 プレゼンを行ったのは、開発を手掛けるMaxisのバイスプレジデント&GMのBret Berry氏。『シムシティ』はMaxis独自のエンジン、“GlassBoxエンジン”を採用しており、建造物のグラフィックはリアルで壮大かつ大規模な都市のデザインも可能になるなど、ゲームの基盤がガラリと生まれ変っている。また、今回はシムやクルマなどは“エージェント”と呼ばれ、個々がさまざまな形で影響を及ぼし合うことになるという(下記インタビュー参照)。

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 ゲームのスケール感に圧倒され気後れしそうだが、シムたちやクルマなどは人形やおもちゃのような見た目で親しみやすく、インターフェースもシンプルでわかりやすそうなところは、従来の『シムシティ』と変わらず。初めての人でもすんなり入っていけそうなゲームデザインとなっている。

 プレイデモも行われ、まず、ファンからの要望があったという“曲線の道”の作成シーンや電力供給のために石炭を使った火力発電所を建設する様子などが披露。本作では建造物のアップグレードも可能となっており、火力発電所をさらにアップグレードさせると、街の大部分に電力が供給されるようになった。だが、それによって大気汚染の危険が高まり……。また、しばらくするとファイアーパターンのクルマ(いかにもワルな感じ)がどこからともなく登場。あるビルで停車したかと思うと、なんとそのビルに放火。そこで消防署を建てて消火にあたらせる、なんてシーンも。

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 続いてBret氏は、本作の大きな特徴であるマルチプレイモードについても言及。本作では友だちといっしょに都市を作ったり、複数人と共同でプロジェクトを達成したり、気候変動や再生可能資源の調査自然災害など、地球規模の問題に取り組むことも可能になっているという。また、グローバルマーケットが用意され、ユーザーどうしてのやり取りも可能になるとのことだ。続報は今後発表されるだろうが、もう少し突っ込んだ内容はBretプロデューサーへのインタビュー(下記)をご覧いただきたい。

プレイヤーどうしで影響を及ぼし合い変化が楽しめる

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――最初にBret Berryさんご自身について質問させてください。これまでどんな仕事をされてきたんですか?

Bret Berry 1988年から100本近くのゲーム制作に関わってきたよ。

――ずっとMaxisで開発に携わってきたんですか?

Bret いえ、じつはMaxisに入ってからまだ3ヵ月半なんですよ(笑)。それまではコンサルタントとして、無料オンラインゲームのサポートをしたこともあるし、その前にはセガにいたこともあるんだ。

――ご自身は、これまでにどのくらい『シムシティ』シリーズを遊んでこられたのですか?

Bret アミガ版を遊びすぎて、手にケガをしたくらいさ(笑)。

――では、改めて『シムシティ』についておうかがいします。今回の『シムシティ』では、住民や乗り物などを“エージェント”と呼んでいますが、“エージェント”とはどういったものなんでしょう?

Bret エージェントは、このゲームの中で“つぎに何をするか考えるもの”を指すんだ。住民や乗り物もエージェントだし、電力などもエージェントの一種だね。たとえば住民は、自分の人生があって仕事をするために就職しようとする。仕事がなければデモをするかもしれないし、ホームレスになるかもしれない。または、お金があれば買い物をするかもしれない。そういう“つぎの行動を考えるもの”がエージェントなんだ。

――これまでの『シムシティ』と、今回の『シムシティ』で大きく違うポイントは?

Bret マルチプレイと、シミュレーションエンジンの“GlassBox”の採用だね。あと、電力といったデータの動きが見えるのもそうかな。

――オンラインでマルチプレイができますが、たとえば石炭が出やすい街と出にくい街といった、プレイヤーごとの街の違いはあるのでしょうか?

Bret まさに、その通りだ。人によって街にある資源が異なるよ。

――マルチプレイとオフラインのソロプレイで、それぞれに街を用意する必要があるのでしょうか?

Bret インターネットにつながったPCなら自然とオンラインになっているから、街を区別する必要はないよ。

――マルチプレイでほかの人の街とつながる場合、知人とだけつなげたり、見知らぬ人ともつなげたりと選ぶことはできるのでしょうか?

Bret それはプレイヤーが選べるよ。自分で地域を作って、知人だけが入れるようにしたり、もしくは誰でも入れるものにしたりという選択ができるんだ。あとは、自分で複数の街を作って、それらをつなげた自分の街だけの地域というものも作れるね。

――マルチプレイにはメリットがたくさんあるようですが、デメリットはあるのでしょうか?

Bret いや、デメリットはないよ。だから、みんなでつなげて楽しんでほしいね。

――マルチプレイでは、ひとつの目標に向かってみんなで協力するのでしょうか?

Bret そうなればうれしいけど、プレイ方法は各自の自由だね。それぞれが自分の街を発展させてもいいし、みんなの街でコラボレーションして、ひとつの目標に向かっていくということもあるんだ。

――目標は、ソロプレイとマルチプレイで違うと?

Bret それぞれに用意されているから、両方を同時にこなしていくこともできるね。

――暴走した住民の車がマンションを火事にするといった、ユニークなエージェントがいましたが、ああいったエージェントはほかにもいるのでしょうか?

Bret 今日は詳しくは言えないんだけど、ほかにもいるので楽しみにしてほしいね。

――『シムシティ』シリーズにあった鉄道などの概念はありますか?

Bret 交通機関としては存在するけど、詳しくは続報を待ってほしい。

――現在はPC用に開発が進められていますが、今後コンシューマゲーム機に出す予定はありますか?

Bret 予定はまだないね。可能ならば出したいと思っているけど、いまはPC版の開発に全力投球をしているよ。

――では最後に、読者にメッセージをお願いします。

Bret いままでの『シムシティ』のファンの方にアピールできるように開発を進めているのはもちろん、今回初めて遊ぶ人にも楽しんでもらえるものになっているので、みんなで楽しんでほしいよ。

――日本のファンも楽しみにしています。

Bret ありがとう! 期待して待っていてください。

 ゲームエンジンが大幅な進化を遂げ、マルチプレイ要素も追加。従来のシリーズから一新されたことで、ナンバリングではなく『シムシティ』と名付けられた本作。要求される必要最低限のPCスペックはなるべく低く抑えたいとのことなので、発売されたら新たな『シムシティ』をぜひ体験してみよう。