実機プレイデモも公開
現地時間の2012年4月3日~4日、イタリアのローマにて、欧米メディアに向けたカプコンのプライベートイベント“CAPTIVATE 2012”が開催された。本記事では、CAPTIVATEで行われた発表の中から『バイオハザード6』のプレゼンテーションの模様をお届けしよう。
エグゼクティブプロデューサーの小林裕幸氏、ディレクターの佐々木栄一郎氏、プロデューサーの平林良章氏の3人が揃って登場した、『バイオハザード6』のプレゼンテーション。最初に、「スペシャルなトレーラーを用意しました」という平林氏の言葉を合図にトレーラーが放映される。その最後で発売日が2012年10月4日(北米と欧州は2012年10月2日)に前倒されるという驚きの発表がなされると、メディアからは「ワオ……」という驚きの声が上がり、会場は大きな拍手に包まれた。発売を早めたことについて小林氏は、「『バイオハザード6』を発表して大きな反響をいただいた中で、発売がまだ先だね、という声もいただきました。そこで、開発チームと相談して、何とか発売を早めることができました」と語った。
続いて、“『バイオハザード6』とは”ということについての説明が入る。まずは本作の概要について、小林氏は以下のように語った。「社内150人、社外を合わせると600人以上のスタッフで開発を行うという、かなりの規模です。壮大なボリューム感があるホラーエンターテインメントを提供するべく、ドラマチックな展開を用意しています。“その先にある恐怖”ということで、先に進むと何があるのかわからない恐怖が『バイオハザード』の特徴ですが、それに加えて皆さんが見たことのない、新たな恐怖をお届けしたいと思います。圧倒的なボリューム、圧倒的なアクションと、皆さんをあっと言わせる内容のものをお見せしたいですね」。
シナリオについては平林氏が語る。本作はレオン、クリス、そしてついに素性が判明した“第3の男”ジェイク・ミューラーの3人が主人公になる、3つのストーリーが展開。それぞれのシナリオは独立しており、単独で最後まで遊べるようになっているという。トレーラーの最後では、クリスとレオンが対立する場面が描かれていたが、彼らの物語は交錯していくとのことだ。その後は、各キャラクターのストーリーラインについて、佐々木氏が詳しく解説を行った。
本作のメインとなる舞台は、中国にある蘭祥(ランシャン)という都市。それぞれの主人公たちは、さまざまな道のりを経て蘭祥にたどり着くことになる。レオン編の最初の舞台は、アメリカのトールオークス。アメリカの大統領がバイオテロ撲滅の声明を出そうとするが、その会場がバイオテロに巻き込まれてしまう。テロにより、大統領はゾンビ化。その大統領をレオンが撃ち殺すというショッキングなシーンから物語は始まるのだ。大統領の護衛をしていたヘレナはレオンに、みずからがテロの元凶だという衝撃的な告白をする。大統領暗殺の容疑者となったふたりは、追われながらも真相究明を果たすため、ヘレナとともに行動を開始する。
トールオークスの事件と時を同じくして、蘭祥でもバイオテロが起こる。そのテロに対処するために現れたのが、クリス率いるBSAAの面々だ。佐々木氏によると、「一見いつものクリスのように見えるが、じつはこの作戦の半年前に、東欧である作戦に従事していました。この事件は、クリスの価値観を変えるような大きな出来事です。クリスがいつもとはちょっと違った状態で中国の大事件に挑む、というところに注目してほしいですね」とのこと。また、クリスと行動をともにするのは、BSAA北米支部に所属する若きスナイパーのピアーズ・ニヴァンス。思慮深く明るい性格で、彼もまた半年前の作戦に参加していたという。
ジェイク編はレオンの事件とクリスの事件からさかのぼること半年前、東欧のイドニア共和国で始まる。紛争地域のイドニアで、彼は傭兵として戦っていた。そんな彼の前に、アメリカのエージェントを名乗る女性が表れる。その彼女こそが、『バイオハザード2』で登場したシェリー・バーキンだ。彼女は、ジェイクこそが世界を救う存在であること、そして自分といっしょに来てほしいと語るのだ。ジェイクは動じず、金さえもらえればいいと言い放ち、シェリーとともに戦場を脱出する。なぜ彼が傭兵をやっていたのか? その理由について佐々木氏は、「母親を守るためにお金が必要だった」と語る。ジェイクには現在、父親がいない。じつは彼の父親というのは、シリーズに登場した重要人物であるアルバート・ウェスカーなのだ。佐々木氏は続けて、「ウェスカーの呪われた血を受け継ぐ男のジェイクと、『2』で“G”を埋めこまれたシェリーという、特別なふたりが行動をともにするという点がおもしろいかなと思います」と述べた。ちなみにこのふたり、性格は正反対。荒んだ性格のジェイクと母性に溢れたシェリーというこのコンビが、どう動いていくのかに注目とのことだ。
シナリオの説明後、話はクリーチャーに及ぶ。ナンバリングタイトルとしては久しぶりにゾンビが登場することも本作の特徴だが、今回のゾンビは生前に持っていた武器を使って襲いかかってきたり、ダッシュやジャンプを行うほど素早いという。また、ゾンビと対を成す重要なクリーチャーとして“ジュアヴォ”も登場。ジュアヴォは武器を使って襲ってくることに加えて、傷が再生するという特性を持つ手強い敵だ。「攻撃して再生しない場合でも、部位が変異して襲いかかってくるので、油断できないクリーチャーです」と小林氏。
このゾンビとジュアヴォに影響しているのが、C-ウイルスと呼ばれる新種のウイルス。これまでに存在した“t”や“G”とは違い、この新ウイルスはいろいろなものに影響を与えるとのこと。さらに、サナギの存在も特筆すべきだろう。C-ウイルスの影響でサナギが生まれ、そこから新たなクリーチャーが出現するとのことだ。
また、佐々木氏からはゲームシステムについての解説もなされた。佐々木氏は、「プレイヤーが感じる恐怖、興奮、感動といった感情を、できる限りゲームプレイの中で、リアルタイムに感じてもらうことを大事にしている」と説明。そのため、通常であればデモで表現するようなシーンでも、シームレスに表現しているとのことだ。また、戦闘アクションについても、『バイオハザード6』は大きく様変わりしている。歩きながらの射撃やリロードが可能になったほか、飛び退いて攻撃を回避したり寝転がって撃ったりと、さまざまなアクションが行えるのだ。こうした新アクションは佐々木氏いわく、「ストレスフリーに遊んでもらうためであり、それと同時に、新しい恐怖体験を生み出すためのもの」だという。寝転がって撃っていると、ゾンビが上から覆いかぶさってくる、といったシチュエーションもあるようだ。
ここからは、お待ちかねの実機プレイデモ。『バイオハザード6』リードゲームデザイナーの田岡氏のプレイにより、レオン編の序盤が披露された。レオン編の冒頭のストーリーは、先ほど佐々木氏が述べた通り。ゾンビ化した大統領がヘレナに襲いかかろうとした瞬間、レオンが大統領に向けて発砲。その後、『バイオハザード4』でレオンのオペレーターを務めたハニガンからレオンに連絡が入り、彼は各地でバイオテロが発生することを知る。
デモシーンが終わり、プレイ画面へ。ゲームは『バイオハザード4』から採用されている、TPS(三人称視点シューティング)で進行。入れるドアがある場所には白いドアのマークが表示されるなど、遊びやすさが増している印象を受けた。また、シリーズが誇る美麗なグラフィックにも磨きがかかっており、『バイオハザード5』よりもさらに美しくなっていると感じた。
さて、田岡氏が操るレオンは追っ手から逃れるために、バイオテロが起きた建物から脱出しようとする。しばらく進むと、彼らの前を影のようなものが横切った。この瞬間、画面上に“影を追え”とミッションが表示される。影を追いつつ走っていくと、目の前にはメガネをかけたスーツ姿の男性がいた。レオンとヘレナは、数少ない生存者である彼といっしょに脱出を目指す。
建物の中は薄暗く、電気も使えそうにない。レオンはヘッドライトを装着し、暗がりを進んでいく。佐々木氏いわく、本作は探索要素にも力を入れており、たとえば同じ場所を往復するときでも、行きと帰りで異なる演出がなされる場合があるという。
レオンたちが男性と行動し始めてしばらく経ったところで、男性が突然咳き込み始める。佐々木氏によると、大学の職員である彼は、霧を見たと言っているという。この“霧”というのが本作のキーワードになるようで、咳き込んでいる理由を想像してみるといい、と語っていた。
無音だった建物の中には、いつしかピアノの音色が鳴り響くようになっていた。一行は音が鳴っていたと思われる部屋を突き止め、意を決して中に突入する。しかし、ピアノの前には誰も座っていない……。そうレオンたちが確認したそのとき、部屋の脇からひとりの女性が飛び出してきた。出血した腹部を押さえて苦しそうな表情を浮かべる彼女は、どうやら男性が探していた人のようだ。男性は女性を抱え、よろよろと歩き出す。
そうしてエレベーターに乗ったとき、女性は咳き込みだし、しばらく苦しんだ後、事切れてしまった……。男性は泣き崩れる……とその瞬間、部屋の明かりが消えてしまう。暗がりの中ではビチャビチャと、何か液体を吐くような音だけが響く。そして明かりが戻った瞬間、女性はゾンビへと変わっていた。女性は牙をむき、レオンに襲いかかってくる。レオンが組み付かれると、ここでアナログスティックを回すような画面表示が出現。一定の場所でスティックをうまく倒すことで振りほどけるようだ。見事振りほどくことに成功すると、ヘレナがゾンビと化した女性にトドメを刺す。
エレベーターの扉が開くと、目の前には大量のゾンビの姿が。映画『ゾンビ』を彷彿とさせるシーンに、会場からは大きな歓声が上がった。ゾンビを蹴散らし、周囲を確認すると、どうやら駐車場らしき場所であることがわかる。辺りにはサイレンが鳴り響いている。ここで再びゾンビとの戦闘へ。銃を構えると残弾数などのインターフェースが画面右下に表示される。また、スタミナゲージか何かだろうか、敵を殴ると減り、時間が経つと回復するゲージも確認できた。ここではレオンが寝転びながら銃を撃つという新アクションも披露。寝転んだまま後ずさりもできるようだが、寝転んだ状態ではゾンビに覆いかぶさられるなど、リスクが少なからずあるようだった。攻撃面のアクションでは、そのほかにもナイフを敵に突き刺したり、蹴りをくり出すなど、多彩な行動を取っていた。
ここで、回復アイテムについても佐々木氏から説明がなされる。『バイオハザード5』ではハーブをスプレー状で使用したが、本作ではタブレットを採用。ハーブをタブレットに変換しておくことで、ゲーム中にワンボタンで回復できるということだ。
短いデモシーンを挟んだ後、画面を上下に分割してのCo-op(協力)プレイに移行。レオン編では、ほかのプレイヤーがパートナーのヘレナを操作することができる。ヘレナは美しい外見にもかかわらず、飛び蹴りや肘打ちなどを放つなど、ダイナミックな動きが特徴的なキャラクターだ。今回のCo-opプレイは平林氏によると、ネットワークプレイ時に、ふたり目のプレイヤーが好きなタイミングで参加できるようになったという。また、キャラクターを左後方から見るか右後方から見るかについても自由に変えられるとのこと。これらの変更により、遊びやすさが増していると言えるだろう。なお、体力などが表示されたインターフェースのデザインは、キャラクターによって異なるようだ。
これからどんな展開があるのか、とメディアは画面を見守っていたが、ここで平林氏からストップがかかり、プレイデモは終了。メディアからは、再び大きな拍手が起こった。と、ここで小林氏からもうひとつサプライズ発表が。なんと、『バイオハザード4』や『バイオハザード5』で好評を博した“マーセナリーズ”モードは、ゲームをクリアーしなくても最初から遊べるということだ。ただ、小林氏いわく、「レオン、クリス、ジェイクのストーリーを遊んでからプレイしてもらえると、開発側としてはうれしい」とのこと。小林氏は続けて、「いろいろな想像を膨らませながら今後の情報を期待してください」と語り、プレゼンテーションを終えた。
ちなみに、CAPTIVATEに訪れたメディアには、血のようなペンキがついた白いパーカーがプレゼントされた。このパーカーはどうやら、トールオークス大学のものらしい。パーカーのポケットにはさらに、女性がパーカーを着用している写真と、ノートの切れ端と思しきものに書かれた手紙が入っていた。この手紙を翻訳すると、以下のような内容になる。「愛してる。いままでも、そしてこれからも。天国で会おう。マークより」。この手紙の意味は果たして……。なお、公開されたトレーラーには、謎の黒髪の女性の姿も見られた。彼女は何者なのか? これらについては、続報に期待しておこう。
バイオハザード6
メーカー | カプコン |
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対応機種 | PS3プレイステーション3 / X360Xbox 360 / PCWindows |
発売日 | 2012年10月4日発売予定 |
価格 | 各7990円[税込] |
ジャンル | アクション・アドベンチャー / ホラー |
備考 | ※PC版の発売日、価格は未定 |