軌跡と展望――シューティングの現在と未来

 ケイブより2012年5月24日に発売予定の『虫姫さま』。同作のアーケード版開発当時のエピソードや、同社の最新作『怒首領蜂最大往生』の話題も交えながら、HD化して生まれ変わった『虫姫さま』の魅力に迫る、開発者インタビューをお届け! 

『虫姫さま』クリエイターインタビュー よりぬきファミ通Xbox 360【5月号】  _01
■発売元:ケイブ
■ジャンル:縦スクロールシューティング
■発売日:2012年5月24日発売予定
■価格:7140円[税込]
■そのほか:限定版:9240円[税込](虫姫さまアレンジCD同梱)、初回生産特典として虫姫さまVer1.5HDがダウンロードできるシリアルコードを付属

最後のパッケージタイトル!? 『虫姫さま』を選んだ理由

『虫姫さま』クリエイターインタビュー よりぬきファミ通Xbox 360【5月号】  _02
『虫姫さま』クリエイターインタビュー よりぬきファミ通Xbox 360【5月号】  _03
執行役員
池田恒基氏
本作に深くは携わっていないが、アーケード版の『虫姫さま』『虫姫さまVer1.5』を開発。『デススマイルズⅡX』以来、本誌には約2年ぶりの登場となる。
執行役員兼プロデューサー
浅田 誠氏
ケイブがリリースするXbox 360タイトルのすべてに携わるプロデューサー。昨年は『インスタントブレイン』で、本格アドベンチャーゲームにも挑戦。

──このタイミングで『虫姫さま』を作ることが決まった理由は?

池田 Xbox 360で開発を始めた当初は『デススマイルズ』が一番人気で、そのつぎが『虫姫さま』シリーズでした。それでより新しい『虫姫さまふたり』を先に出したのですが、『虫姫さま』も投下しておくべきタイトルだろうという判断です。

浅田 優先順位の問題もあって、このタイミングで出すことになったんですよね。

池田 もともとは、すべてのシューティングを移植しようという流れだったんです。

浅田 ただ、現行機のパッケージソフトとしては、おそらくこれが最後のタイトルになると思います。

──それは、前号のストラテジー企画でもおっしゃられていましたね。

浅田 Xbox 360も7年目ですし、今世代のハードではラストだと認識しています。でもまさか『デススマイルズ』を発売してから、4ヵ月ないし半年に1本ずつリリースってのを3年も続けるとは思いませんでした(笑)。地獄のスケジュールですよね。やっと終わったと思ったら、すぐにつぎの受注会が来るのでツラかったです。

──『虫姫さま』はケイブにとって、どんな位置づけのシリーズでしょう。

池田 原点回帰を目指したシンプルの路線です。私が以前にいた、東亜プランのようなシューティングゲームを作ろうというコンセプトが根底にあります。ただ、ケイブとして作ってきたものは弾幕系ばかりだったので、東亜プラン系だけだと危ない。そこで味付けの違うふたつのモードを作ることになったんです。さらに、ちょうど基板が変わるタイミングでもあったので、いままでに見たことがないような弾幕のモードも入れようということでできたのがウルトラです。オリジナルとマニアックはどちらが初心者向けということはなくて、難易度はそれほど変わらないんですが、ウルトラだけは完全に別軸にありますね。

浅田 『虫姫さま』というネーミングは、ウチにしてはストレートですよね。

池田 そうかな。世界観に合わせた結果ですが、決まるまでに紆余曲折あったし、タイトル名をチームメンバーに言ったときに「えっ!?」て驚かれました。だからやっぱり変わっているとは思うけどね(笑)。

──世界観も個性的ですね。

池田 いちばん最初は、じつは完全にミリタリーものだったんですよ。東亜プランのイメージでもあるし、当時はキャラクター色の強いシューティングが中心だったので、もっとふつうのシューティングにしようという企画意図がありました。私の企画書にも自機は戦闘機でと、一度はそれに決まったんですが、同じタイミングに『雷電』の新作が出るらしいという情報が入ってきて。それで世界観をガラリと変えたんですよね(笑)。

──なるほど、そうだったんですか。

池田 これは勝てないかも、と思って聞いた瞬間に変えました。それで当時の広報に相談して、上がってきた世界観でいくことになりました。最初はお姫様というよりも、ハンター寄りのかっこいい女戦士だったんですけど、虫たちのお姫さまという設定が決まって、そのままタイトルにつながっています。

──武器アイテムを取り分けるシステムも、東亜プラン系を連想させますね。

池田 まさに意識しています。そもそも武器を選択するというシステムも、最初はなかったんですよ。『究極タイガー』の武器が必ず赤で始まるように、デフォルトの武器が決まっていたんですね。でも、ロケテストのアンケートを見ると、「欲しい武器が最初から持てないのはおかしい!」とユーザーさんから大合唱でした。弊社のタイトルは自機選択が基本だったせいだと思うんですが、大不評だったためにつぎの日に武器選択を実装しました(笑)。

──実際に発売されてからのインカムや人気はいかがでしたか。

池田 ロケテストの結果がよくて、おかげさまでそれなりの枚数は出ましたね。あとで解禁されたウルトラモードで、さらにすごいインカムが入りました。

──一部のコアプレイヤーがガンガンやっていたという感じでしょうか。

池田 いままでなかった弾幕が話題になったようです。ちなみに、ウルトラの開放には内部でのクリアカウントのような数値の条件があります。だから解禁されるタイミングは店舗によってバラバラです。うまい人が多い店やお客さんがいっぱいいる店は早く解禁される仕組みで、念のためにすぐに開放できる隠しコマンドも用意しておきました。それでついにある店で解禁されたんですが、ものすごい話題になると同時に、全国のオペレーターからいっせいに苦情が来ました(笑)。「なんであの店だけなんだ」って。それで隠しコマンドを書いた紙を急いで全国のお店にFAXしたんですが、このときにインカムがすごく上がって、基板の追加発注もバッと来たんですね。アーケードゲームとしてはあまりないパターンの売れかたをして、オペレーターのあいだでも評価は上々だったと思います。

──『虫姫さま』で使われた新基板は、いつまで使われたのですか。

浅田 いまも使っています。微妙にチップとかは変わっていますけど。最新作の『怒首領蜂最大往生』も同じ基板です。

池田 『デススマイルズII』だけは3Dに対応した新基板だったんですが、ほかのアーケード作品はすべてこれですね。

 この後のインタビュー後半では、Xbox 360版での追加要素や『虫姫さま』シリーズのこれから、そしてケイブシューティングのこれから、「いま仕込んでいるおもしろいこと」など、ファン必読な内容となっている。続きは3月30日発売のファミ通Xbox 360 5月号をチェックしてほしい!

●表紙:『ドラゴンズドグマ
本誌読者にも非常に人気が高いこのタイトルが表紙! 5月24日発売予定の『ドラゴンズドグマ』は誌面でも最新情報を掲載。ディレクター伊津野英昭氏のインタビューもあり!

●特別付録1:『Kinect スター・ウォーズ』 "オーラ・シング" ダウンロードコード
4月5日発売のKinect専用ゲーム『Kinect スター・ウォーズ』の"ジェダイ デスティニー"モードで使用可能なキャラクターのダウンロードコードが本誌だけの特別付録で入手可能!そのキャラクターは"オーラ・シング"。『エピソード1/ファントムメナス』に登場した賞金稼ぎだ。このチャンスを逃すな!
※本コードは、2012年4月5日よりご使用いただけます。

●特別付録2:NINJA GAIDEN 3 攻略ガイドブック
3月22日発売『NINJA GAIDEN 3』を本誌では特別付録で徹底攻略!敵キャラクター別に倒し方を伝授、NINJA TRIALSもミッションごとにその攻略法をお届け!

●特集:日本人クリエイターによるKinectの作りかた
日本マイクロソフトより、Xbox LIVE アーケードでKinectタイトルが3本リリース。どれも日本の開発スタジオによる、日本人クリエイターのゲームだ。Kinect専用ゲームとして、どのような経緯で各タイトルは生まれたのか……。タイトルごとプロデューサーとディレクターに出席していただき、Kinectへの熱き思いを語ってもらった!

●新作&攻略ゲーム
アサシン クリード III
バーチャファイター5 ファイナルショーダウン
DiRT Showdown
バイオハザード6
重鉄騎
ロボティクス・ノーツ
ロリポップチェーンソー
バイオハザード オペレーション・ラクーンシティ
Kinectラッシュ:ディズニー/ピクサーアドベンチャー
ゴーストリコン フューチャー ソルジャー
マックスアナーキー
虫姫さま
ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ
マックス・ペイン3
モンスターハンター フロンティア オンライン
ルートダブル - Before Crime * After Days -
Kinect スター・ウォーズ
ストリートファイター×(クロス)鉄拳
マスエフェクト3
ほか

●連載
Valhalla FREAKS [板垣伴信]
Highスペックマシン;Lowスペックマン [志倉千代丸]
海外ゲームマニアックス
実績解除愛好会
ほか