世界最強チームが決定!
アークシステムワークスのアーケード版対戦格闘ゲーム『ブレイブルー コンティニュアムシフトII』の最新バージョン(家庭用は『ブレイブルー コンティニュアムシフト エクステンド』に相当)を使用した全国大会“ぶるれぼ”の決勝大会が、2012年3月24日にディファ有明(東京)で開催された。
優勝は、前評判どおりの実力を発揮したチーム“サウスタウン”の3人(南選手、ソウジ選手、ヒマ選手)が輝き、賞金100万円と特別称号を獲得した。また、大会では『ブレイブルー コンティニュアムシフト エクステンド』のオープニングテーマを歌うアーティスト飛蘭(フェイラン)さんによるミニライブや新作発表が行われたスペシャルステージも実施。ここでは、同イベントの模様をお伝えしよう。
新作発表も行われたスペシャルステージ
まず最初に、トーナメントの合間に行われたスペシャルステージの模様をリポートする。スペシャルステージには、司会のコーリー氏に「重大なお知らせがあるそうです」と紹介された『ブレイブルー』シリーズのプロデューサー森利道氏が登場。そして、森氏は「これまでアークシステムワークスは、『ギルティギア』、『ブレイブルー』、『ペルソナ4』とさまざまな対戦格闘ゲームに挑戦してきましたが、つぎのステップとしてまったく新しいコンテンツに挑戦します」と開発中の最新作『XBLAZE(エクスブレイズ)(仮題)』の映像を紹介した。こちらの速報記事でもお伝えしたとおり、『XBLAZE(エクスブレイズ)(仮題)』は、アドベンチャーProject第1弾で「今後アドベンチャーシリーズをどんどん出していきたい」と森氏は意気込みを語った。また、『ブレイブルー』シリーズについても「“ぶるふぇす”でおもしろいものが見られるかも!?」と、今後開催される予定のイベント“ぶるふぇす”での新作発表を臭わす発言も飛び出していた。
新作発表のあと、家庭用『ブレイブルー コンティニュアムシフトエクステンド』のオープニングテーマを歌うアーティスト飛蘭(フェイラン)さんのミニライブが行われた。「今日はみなさんを応援にきました」とのコメントどおりの力強い歌声で『蒼穹の光』と『Dead END』の2曲を披露し、会場を大いに盛り上げていた。
数々の名勝負を生んだ本戦トーナメント
ぶるれぼの予選は、全国61店舗と北米、特別大会で行われ、延べ1100チーム以上、約3500名が参加。この激戦を勝ち抜いた63チームと、当日予選を勝ち抜いた全64チームによる決勝トーナメントが実施された。対戦は、3人1チームの勝ち抜き戦で、2ラウンド先取の試合を先に3勝したチームが勝利。予選店舗で使用したキャラクターを使用、チーム内のキャラクター重複は不可、先鋒、中堅、大将の入れ替えは試合ごとに変更可能となっている。
トーナメント一回戦は組み合わせの関係上、同地区同士の潰し合いがほとんどなく、“東西最強バング”対決や“東西最強ハクメン”対決など、各地域の有名プレイヤー同士の対決が実現し、地域の意地を懸けた言わば“地域対抗戦”のような盛り上がりを見せていた。また、一回戦こそ優勝候補に挙げられていた強豪チームが順当に勝ち上がったものの、二回戦以降は、事前に行われた優勝チーム予想で上位に食い込んでいた“千客万来@立川二軍”(優勝予想2位)、“魔王復活の儀”(優勝予想3位)、そして、“闘劇2011”優勝者“コナン”選手を擁する“にんにく黄卵健康家族”などの強豪チームが、ベスト8に残れず敗退する波乱も起きた。今回の大会は優勝候補といえども油断の許されない、実力の拮抗したきびしいトーナメントとなっていたようだ。
激戦を勝ち上がってベスト8に残ったのは、サウスタウン、わぁいオリーブオイルあかりオリーブオイル大好き、アルカード家、西日暮里勢の日常、個人情報@立川八軍、乾神一擲@立川五軍、画竜点晴、円周率は3ではなく3.14です!!の8チーム。ゲスト解説の“客”氏はベスト8に残ったメンツを見て「名前が売れているだけではなく、ものすごくやり込んでおり、本当に実力のあるチーム」と解説。
そんな実力派のチーム揃いのベスト8で記者の印象に残ったのは、乾神一擲@立川五軍と個人情報@立川八軍の対決。どちらも『ギルティギア』時代からアークシステムワークスの格闘ゲームの対戦が盛んな立川(東京)でゲームをやり込んでいるプレイヤーのチームだ。客氏によると「立川五軍は、『ギルティギア』時代から立川でゲームをやり込む古参プレイヤー中心のチーム」で、「立川八軍は、『ブレイブルー』から立川に通うようになり、最近急激に力をつけている若手プレイヤーで組んだチーム」とのこと。つまり、この組み合わせは名門立川の最強を決める新旧対決になるというわけだ。解説を務める本作のプランナー“パチ”(関根)氏の「この対決のポイントは?」という問いかけに対して客氏は、「今大会で猛威を振るっているキャラクター“アラクネ”の使い手、ふも選手を倒せるかにかかっています」と分析。
注目の集まる先鋒戦で立川五軍は、いきなりふも選手を投入。対する立川八軍は客氏にエースとして名前を挙げられた、たけやま選手(ノエル)が迎え撃つ。しかし、たけやま選手はふも選手の前にあえなく敗退。「やはりアラクネは止められないのか?」という空気に会場が包まれたが、中堅のたこす選手(ハクメン)が見事にふも選手を止め、最後は18歳の若手プレイヤーりゅうせい選手(カルル)が立川五軍の大将アキラ選手(テイガ―)を封殺し、立川対決に決着をつけた。
ベスト4に駒を進めたのは、“関東のラスボス”と言われるソウジ選手(アラクネ)擁するサウスタウン、ベスト8戦をエリオ選手(アラクネ)の3タテで勝ち上がったアルカード家、立川対決を制した個人情報@立川八軍、ソウジ選手と双璧を成すプレイヤーテツ選手率いる画竜点晴の4チームで、「サウスタウンと画竜点晴は『ブレイブルー』初期から活躍する古参プレイヤー中心のチームで、アルカード家と立川八軍は若手プレイヤー中心のチーム。ベスト4では新旧プレイヤーのぶつかり合いが楽しみ」とパチ氏はベスト4の注目ポイントを解説。
ベスト4第1試合は、サウスタウン対アルカード家の組み合わせ。ベスト4からゲスト解説として登場した立川五軍のアキラ選手は「ソウジ選手(アラクネ)が倒れたときにほかのメンバーがどうフォローするか?」とソウジ選手以外のがんばりをポイントに挙げていた。
注目の先鋒戦は、アルカード家のヒナ選手(ヴァルケンハイン)とサウスタウンの南選手(バング)。パチ氏に「立ち回りがすごくうまい」と評価されたヒナ選手が南選手を寄せ付けず先鋒戦を制する。これに対してサウスタウンは早くも“関東のラスボス”ソウジ選手を投入。ヴァルケンハインとアラクネというキャラクターの組み合わせについてパチ氏は「ヴァルケンハインは機動力があるのでアラクネに近づきやすい」と語り、ソウジ選手の撃破を期待されたが、ソウジ選手は機動力を活かしたヒナ選手のラッシュを精度の高いガードや“投げ抜け”で凌ぎ、“烙印”(特定条件を満たすと発動し、相手に“蟲”をつけて試合を有利にするアラクネの技)を発動させてからラッシュでヒナ選手を撃破した。続いてアルカード家は、中堅の呉羽選手(レイチェル)がソウジ選手を迎え撃つ。レイチェルは“風”を利用した機動力が持ち味のキャラクターで「アラクネ側は続けてラッシュを仕掛けるのが難しいはず」(パチ氏)とのことだったが、攻めにくさもなんのその、ソウジ選手は烙印を発動してからのラッシュで一気に呉羽選手を沈めてしまった。残されたアルカード家の大将エリオ選手(アラクネ)は、ベスト8戦で3タテを決めるほどの実力者で「アラクネ同キャラはソウジ選手もやりずらいのでは?」と、実況のかみちゃん氏の言うとおり、お互い烙印を発動されないように、牽制中心で時間を贅沢に使った立ち回りを展開。その結果、1ラウンド目は時間ギリギリで勝負が決まり、2ラウンド目はタイムアップになるなど、展開の速い『ブレイブルー』とは思えないじっくり時間をかけた試合となった。この対決の勝負を分けたのもやはり烙印だった。ソウジ選手は烙印の性質を完璧に把握しているのか、相手に烙印を発動されても最小限のダメージでラッシュを切り抜け、自身が烙印を発動した際は大ダメージを与えるというやり込みの差を見せつけて、“アラクネ頂上決戦”を制しチームを決勝進出へと導いた。
準決勝第2試合は、個人情報@立川八軍対画竜点晴の組み合わせ。「立川八軍の使用キャラクターに対してバング(石田選手)は相性が悪いので、テツ選手(タオカカ)とR-1選手(ノエル)のがんばりにかかっていますね」とメンバーの奮起を期待したぶるれぼ応援団長ことレン氏。その期待どおり、先鋒として登場したテツ選手(タオカカ)が、ソウジ選手と双璧をなすというその実力を存分に発揮。なんと立川八軍を一気に3タテして決勝進出を決める結果に。
最強チームが決定する運命の決勝戦。「優勝候補がしっかり最後まで残りましたね」(かみちゃん氏)。「大会には魔物がつきものですが、しっかり“2強”と呼ばれたチームが残ったのはすごい」(パチ氏)と、解説陣は注目されながらも勝ち上がった2チームを称えていた。一方、ゲスト解説のアキラ氏は「ソウジ選手とテツ選手の対決がカギになると思うので、ふたりをどこに配置するか? というチーム戦略に注目したい」と冷静に分析。さらに、「R-1選手(ノエル)は、大会前にソウジ選手と相当対戦している」と、画竜点晴がソウジ選手の対策を立ててきていることを強調した。
注目の第1試合は、サウスタウンの南選手(バング)と画竜点晴の石田選手(バング)が激突。準決勝まで緊張のためか動きの硬かった南選手だったが、先鋒戦では大技“ディスト―ションドライブ”を要所で決めるなど、思いきりのいい判断で流れをつかみ石田選手に競り勝った。
画竜点晴は、中堅にR-1選手(ノエル)ではなくテツ選手(タオカカ)を投入し、早くもエースのカードを切ることに。第2試合は、お互いに機動力の高いキャラクター同士の対決となった。めまぐるしく動くふたりだったが、テツ選手は「見えてる」とばかりに要所でジャンプ攻撃を的確に迎撃し、そこからのコンボで流れを作って1ラウンド目を先取。続く2ラウンド目もテツ選手が先に相手を捕まえて、ディスト―ションドライブを絡めた決めて南選手を圧倒した。
第3試合、サウスタウンが投入したのはヒマ選手(ヴァルケンハイン)。サウスタウンとしては、ソウジ選手のアラクネがタオカカに相性が悪いため、絶対負けられない1戦。一方、画竜点晴としてはこの1戦に勝利すれば優勝をぐっと引き寄せられる戦い。そんなチームの勝敗を左右する試合は、本大会のベストバウトとも呼べる1戦になった。1ラウンド目は、お互いが機動力を活かして動き回り、相手の隙を伺う展開。テツ選手が先に相手を捕まえて先制するもヒマ選手の反撃を受けてなかなかペースをつかめない。勝負に出たヒマ選手は、渾身の“昇りジャンプC攻撃”でテツ選手のガードを崩して1ラウンド目を取る。続く2ラウンド目、またもテツ選手が先にヒマ選手を捉える。今度はペースをつかみ、画面端に追い込んでコンボを叩き込み、一気に体力を9割ほど奪ってラウンドを取り返す。そして迎えた3ラウンド目、相手を先に捕まえたのはヒマ選手だったが、テツ選手も得意の対空攻撃からのコンボを決めるなど、一進一退の攻防をくり広げる。ラウンド終盤、お互い体力が少なくなり、緊張が高まったところでテツ選手は、ヒマ選手を画面端へ追い込むことに成功。タオカカが分身を呼び出す大技“ほぼ二匹になる!”を発動し、テツ選手のタオカカが2匹に分身して猛ラッシュを仕掛ける。これには会場の誰もがテツ選手の勝利を確信したことだったろう。しかし、ヒマ選手はこの猛ラッシュを神懸かり的なガードで耐え、さらにガードを崩そうとするテツ選手の投げも抜け、すかさずヒマ選手が反撃を決めて勝負あり! 会場から大歓声があがる名勝負となった。
あとがない画竜点晴は、秘密兵器R-1(ノエル)が大将として登場。第3試合の興奮冷めやらぬまま開始された第4試合。ヒマ選手は、機動力を活かして動き回りつつも、要所で“立ちC攻撃”をバラ巻いてノエルの出鼻をくじき、ノエルの動きを止めたところで、高速の“中段攻撃”や“下段攻撃”でガードを崩すという戦法がうまくハマり、最後は大技ディストーションドライブを決めてラウンド2-1で勝利し、チームを優勝へ導いた。
大会後の表彰式でぶるれぼを企画したパチ氏は「一生懸命プレイしている人を見ると心を動かされますね。ぶるれぼを企画して本当によかった」と試合に感動した様子で話、「『ブレイブルー』はこれで終わりじゃない、つぎに期待してくれ」と会場のファンに向かって力強くコメント。続いて森氏は「キャーキャー言いながら見ていました」と興奮した様子で「本命が優勝することってなかなかありませんよね。“やり込みは裏切らない”という言葉が身にしみました」と続けた。そして「ぶるれぼは、最高のプレイヤーと最高のお客さんに支えられた最高の大会でした。」とファンに感謝を述べ、最後に「ぶるれぼはぜひもう1度開催したい」と次回大会を予告して大会を締めくくった。
記事担当:豊泉三兄弟(次男)