週刊ファミ通のニュースページ“エクスプレス”で連載中のゲームに関連した著名人へのインタビューコーナー“Face”。誌面スペースの都合などからカットした部分を網羅した完全版をファミ通.comでお届け。今回のゲストは、アーティストのDECO*27(デコ・ニーナ)さんです。

DECO*27(デコ・ニーナ):『初音ミク アンド フューチャー スターズ プロジェクト ミライ』【週刊ファミ通Face完全版】_04

今週のお題
初音ミク アンド フューチャー スターズ プロジェクト ミライ
ニンテンドー3DS セガ 2012年3月8日発売 6090円[税込]

動画投稿サイトなどで人気のキャラクター“初音ミク”たちの楽曲が楽しめるリズムアクションゲーム。グッドスマイルカンパニーの人気フィギュア“ねんどろいど”デザインのミクたちが踊る新規映像や、オリジナルPVを3D化したものなど、バリエーション豊かな映像を収録している。

夢を持ってがんばる人に聴いてもらいたい曲です

DECO*27(デコ・ニーナ):『初音ミク アンド フューチャー スターズ プロジェクト ミライ』【週刊ファミ通Face完全版】_01
アーティスト
DECO*27(デコ・ニーナ)

2008年より、動画投稿サイトにて歌声合成技術“VOCALOID(ボーカロイド)”を利用して作った楽曲を発表し始め、注目を集める。現在は、柴咲コウを始め、他アーティストへの楽曲提供やプロデュースも
行う。最新シングルCD『ゆめゆめ』(ラバーストラップ付き初回生産限定盤2,100円[税込])を2012年4月18日にリリース予定。

 セガより2012年3月8日に発売されたニンテンドー3DS用ソフト『初音ミク アンド フューチャー スターズ プロジェクト ミライ』。本作は、「初音ミク」を始めとする、歌声合成技術VOCALOID(ボーカロイド)対応ソフトを用いて作られた人気楽曲を、3D映像とともに楽しめるリズムアクションゲームだ。今回のゲストは、本作のオープニングテーマ曲「ゆめゆめ」を手掛けたアーティストのDECO*27(デコ・ニーナ)さん。「ゆめゆめ」のコンセプトや、ボーカロイドを使用しての曲作りに対する思いなどを聞いた。

――「ゆめゆめ」の制作はどのように進められたのでしょうか。
DECO*27 最初に、セガさんから「聴いた人が元気になったり、希望を持てたりするような曲にしてほしい」とリクエストされまして。そのとき浮かんだ、明るいバンドサウンドのイメージをもとに、メロディー作りを進めました。歌詞は、“ミライ”や“トビラ”と言った、ゲームにまつわるキーワードを散りばめて書きました。

――この「ゆめゆめ」について、DECO*27さんがとくに気に入っているところはどこですか?
DECO*27 メロディーについては、転調が多いところが気に入っています。歌詞は、“夢”というものを、自分のそばにいてくれる可視の存在にして書いた点が気に入っていますね。夢をひとつ叶えて、新しい夢が見えてきたとき、叶え終わった夢とはサヨナラになってしまう。でもその叶えた夢は、がんばっているいまのあなたを見てくれているよ……そんなメッセージを込めています。

――「ゆめゆめ」のPVにも、可視化された夢が出てきますが、PVのキャラクターデザイン・絵コンテを担当したakkaさん、制作を担当した森井ケンシロウさんに、何かDECO*27さんからリクエストはされたのでしょうか?
DECO*27 いえ、何も出していないですね。僕の意見より、おふたりが曲を聴いたときのイメージを大事にしたかったので。「ゆめゆめ」に限らず、PVを作っていただくときは、先に曲の第一印象でアイデアを出していただくことにしています。僕の曲と、PVの作り手の方のイメージが、おもしろい化学反応を起こしてくれるのに期待しています。

――では、「ゆめゆめ」のPVを観ての感想を教えてください。
DECO*27 めちゃめちゃかわいかったです。ちっちゃい小学生のミクと、まんなかの女子高生のミクと、おっきい社会人のミクがいて。未来の自分の姿をして、夢が応援しにきてくれた……という、歌詞の意味を反映した内容になっていて、とてもうれしく思いました。

――「ゆめゆめ」のリズムゲームはもう遊ばれましたか?
DECO*27 はい。自分の曲ながら、プレイしていてとても楽しかったです。ボタンを押すだけでいっぱいいっぱいで、PVはあまり観られなかったんですけど(笑)。ゲームはもともと大好きなので、これからガンガン遊びたいと思います。

DECO*27(デコ・ニーナ):『初音ミク アンド フューチャー スターズ プロジェクト ミライ』【週刊ファミ通Face完全版】_02
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――ところで、DECO*27さんは、ボーカロイドの曲も、現実のボーカリストの曲も書かれていますが、DECO*27さんにとって、このふたつに違いはあるでしょうか。
DECO*27 以前までは、違いを意識して作っていたんです。ボーカロイドは、いい意味で声に感情が乗らないですし、声の高低も制限されていない。逆に、そうでないのが人間
のボーカルのよさで、曲のイメージに合わせて使い分けてきました。でも「ゆめゆめ」は、ボーカロイドの声の質を残したまま、かわいい女の子が歌っているようなイメージで作りました。

――それは、DECO*27さんの中で何か変化があったからですか?
DECO*27 “ねんどろいど”デザインのミクを見たときに、人間味を持たせたほうが合うと思ったんです。プレイする皆さんの胸にも響くんじゃないか、と。

――そもそも、なぜボーカロイドで曲を作ろうと思ったのか、伺ってもいいでしょうか。
DECO*27 Google ChromeのCM曲「Tell Your World」を手掛けていることでも有名な、livetuneのkzさんが動画投稿サイトにアップしていた「Packaged」を、友人にすすめられて聴いたのがきっかけです。そのときに初めてボーカロイドの存在を知って、「自分が作った曲を歌ってもらったらどうなるんだろう」という強い興味がわいて。それから、ボーカロイドでの曲作りを始めました。最初は男である自分のキーで歌わせてしまって、ミクがすごく低い声でうめいていたりしたんですが(笑)、だんだん女性ボーカルのキーもわかってきて。自分の新しい曲作りの形を教えてくれたという点で、ボーカロイドにはとても感謝しています。

――DECO*27さんは、「初音ミク」以外のボーカロイドソフトも使用していますが、どのように使い分けているのですか?
DECO*27 どのボーカロイドソフトを使うかは、曲を作ってから考えるんです。その曲にいちばん合ったソフトを使うようにしています。

――最新バージョンのエンジン“ボーカロイド3”が昨年発売され、新しいボーカロイドソフトも多数登場しましたが、使ってみたいと思うソフトはありますか?
DECO*27 いろいろな種類のソフトが発表されているので、まだあまりチェックできていないのですが、気になるものもあるのでぜひ試してみたいなと思っています。

――では、これからもボーカロイドの曲を書かれるつもりなのですね。
DECO*27 「ゆめゆめ」が久しぶりのボーカロイド曲だったので、「もうボーカロイド曲は作らないかと思っていた」と言われたりもしたのですが、そんなことはないです。今後もボーカロイドとボーカリスト、両方の曲を作っていくつもりです。

――DECO*27さんが作るこれからの曲に期待しています。それでは、読者にメッセージをお願いします。
DECO*27 夢を持ってがんばっている人が、息抜きでゲームをプレイしたときに、元気になれるような曲を書きました。ぜひ楽しんで聴いて、プレイしてください。