第4回 "男の子心"が止まらないっ!

そんなこんなで『STARHAWK(スターホーク)』の話です。
さて、皆さんご存じとは思いますが、2012年3月9日にパブリックβ版で大型アップデートが実施され、武器や乗り物やマップ、さらにシステム面でもさまざまな要素が追加されました。何より目玉なのは、オンライン対戦が最大32人に対応したことです。
最初に感想を書いちゃいますが、コレがまたおもしろい! といっても、これまでの対戦がつまらなかったというわけではなく、また新たな楽しみを生み出しているように思えます。ひとことで言うと、ゲーム展開がよりダイナミックになった気がするのです。
たとえばあるとき、マップは広大な"ダスト(ラージ)"、ルールは"キャプチャー・ザ・フラッグ"。自分が参戦したチームの仲間たちが、ゲーム開始直後に始めたのは要塞作りでした。安易に敵陣に攻め入るメンバーはほとんどおらず、皆黙々と自軍のフラッグの周囲に防御壁や自動銃座を張り巡らし、それに隣接するように補給バンカーやロンチパッドを設営していきます。
どのプレイヤーも慣れているのか、まあキレイに作っていくんですよ。ガレージなんかも、戦闘車両のレーザーバックの向きがしっかり敵陣の方に向くように計算されていたり、谷間の絶妙な場所に防御壁があり、それがちゃんとゲートになっている。見事な都市計画。一方で、敵陣営も同じことをしているようでして、しばらくは交戦がない状態が続きます。将棋で言うと、序盤で互いが穴熊を作っているような状況でしょうか。
「建物作りのどこがダイナミックなんだ?」と、本作を知らない人は思うかもしれませんが、大勢の仲間たちが協力して、ものすごいスピードで堅牢な要塞を作り上げるんですよ。これがダイナミックでなくて、なんなんですか。気がつけば、大概の乗り物や武器は、スタート直後の自陣営ですぐに用意できる状態になっていました。まるで1階がショッピングモールのマンションに住んだような気分です。
そのころになると、誰が言いだすでもなくレーザーバックや可変型ロボのホークが、敵陣に向かってつぎつぎに出撃し始めます。いよいよ攻勢に打って出る時期になったようです。自分も慌ててロンチパッドでホークを呼びだしたところと、駆けつけた味方に乗り逃げされました。また呼び出すと、また味方が乗り逃げ。呼び出す、乗り逃げ。いや、結果的に味方の助けにはなってるからいいんですが、なんか基地に取り残された整備員になったかのようで、少し寂しくなります。
ようやく乗り逃げされずにホークに乗り込むと、とりあえず状況確認。敵のホークと空中戦に興じている味方もいますが、どうやらほとんどは敵陣へ攻め込んでいるようです。ならばと自分も敵フラッグへ一直線! ……即撃墜! そりゃまあ、敵陣営も自軍と同様にしっかり要塞を築き上げてるわけですから、当然の結果です。
復活後、再びホークに乗り、今度は敵本陣から少し離れたところに移動し、しばらく味方の動向をうかがってみました。どうやら敵兵と戦いつつ、敵施設の破壊を狙っていることが何となくわかってきます。これはある種の消耗戦ですね。ただし、施設の建造スピードが尋常じゃないので、ものすごく早いスパンで展開する消耗戦です。敵施設を破壊し防衛網を手薄にしたところで、再建する隙を与えずに再び攻め込んでフラッグを奪う、どうやらこんな作戦がうっすらとあるように思えました。
それを証明するかのように、敵本陣の施設が減ったところで、味方のレーザーバッグが現れ、華麗にフラッグを奪い去っていきます。端から見ていて「カッコいいなあ」なんてぼんやり思っていたのですが、ちょうど敵味方の中間地点あたりで突然倒されてしまいました。敵側がすぐにフラッグを回収してこないことからすると、相手のスナイパーによる長距離射撃だったのでしょうか。
そんなおり、自分が何してたかというと、さっき乗っていたホークはとっくの昔に破壊されており、逃げ帰った自陣で新たに追加された乗り物、サイドワインダーを見つけ、よろこび勇んでドライブにくり出していたところでした。図らずも先ほど宙ぶらりんになった敵フラッグとは、意外と近い場所。降って湧いたチャンスに、バヒュンと向かいます。
このサイドワインダー、ひとり乗りで武装もついていないのですが、そのぶん機動性に優れた乗り物になっています。スピードも速く、疾走感はホーク飛行形態に負けないぐらいかと。これで広大な平原を走ると、音楽もあって馬にまたがったカウボーイ気分。
そうこうしているうちに敵フラッグに接近。敵も近くにいるようですが、わずかに早く奪取に成功し、再びサイドワインダーに搭乗。即座に出発するも、後ろからは追跡者による激しい銃撃が襲いかかります。それどころか、敵ホークも現れ自分を狙っています。
もう半ベソになりながら「たーすーけーてー」と叫びつつ自陣に向かっていると、遠くから巨大な何かが迫ってきました。砂埃を舞わせながらこちらに向かってくるのは味方のオックス重戦車! カ、カッチョイイ!
このオックス重戦車も新規追加された乗り物で、スピードこそ遅いものの、強力な大砲を備えています。その大砲による援護のおかげで、なんとかその場の危機を脱した自分。オックス重戦車とすれ違う刹那、敬礼にも似た男の挨拶を交わします。言葉なんか必要ないよな、なあ相棒。
そんな脳内イカスシーンを経て、無事フラッグを自軍に持ち帰ることに成功。結果的にこのランドでは旗の移動がこの1本しかなく、我がチームの勝利に終わりました。自分の印象ですが、32人対戦では、マップが広いこともあってか、フラッグの移動が少ない印象です。
もちろんこれはプレイの一例で、プレイヤー全体のスキルが上がっている状況というのも要因ではあると思いますが、個人的に32人対戦で感じたのは、思っていた以上に混沌とした感じではなく、むしろ戦略的なダイナミズムが増しているということです。全体の流れの中で大きなビルドとバトルのフェーズがあり、さらに各プレイヤーレベルでビルドとバトルの細かいフェーズがある、こんな感じですかね。なんかこうですね、戦場全体がグワングワンと動いているようなダイナミックさなんですよ。
その全体の流れに乗らずに、単身でスパイのようにフラッグを奪うのも、高台に身を潜めてスナイパーに徹するのもプレイヤーの自由です。そしてそういうプレイヤーが、戦局を大きく変えることも、確かにあったりします。それがまたおもしろい!
まあとにかく、百聞はワンプレイにしかず。パブリックβ版の実施期間は2012年3月27日までなので、ちょっとでも気になったのなら、いますぐPlayStation Storeでダウンロードすべきです。無料だし。
さて、次回は……といきたいところですが、さすがにパブリックβ版の終了も近いこともあり、ひとまず今回でこの体験記を終えたいと思います。実施終了まで遊び倒すためじゃないですよ。じゃないですよ。
最後なので、いくつか今後の要望も述べさせてもらいますと、まず経験値を入手する機会がもう少し増えてほしいこと。現状では、敵を倒したり敵施設を破壊したり、たくさん施設を建てたりすると入手できるのですが、もう少し何らかの形で、たとえば味方に間接的な援護をしたときにボーナスが入ったりするとうれしいかなあと。このあたりはシステム的に処理が難しそうですけど。あと、これも自分の腕前に起因する部分なので、少しわがままなお願いではありますが、もう少しレベルが上がるのが楽だといいなーというのはあったりもします。
あとはもう、製品版を見てからのお楽しみな部分でもあるんですが、できれば正式サービススタート後も、新たな建物や乗り物をどんどん増やしてほしいということ。たとえば複数人で動かすロボットや、兵士を砲弾のように打ち出せる人間大砲とか、そんなのが増えると戦況はどう変わるのか、妄想するとワクワクします。ホークが合体するなんてのも熱くね? あ、自分が一定時間巨大化しちゃうビームとかどうよどうよ!
と、いったように、本作はとても"男の子心"をくすぐるゲームなのです。とっくに男の子でなくなったおっさんをもワクワクさせてくれる本作。さらにパワーアップしてるであろう製品版を、いまは心待ちにしたいと思います。



PROFILE
ババダイチ
週刊ファミ通でクロスレビュアーも務めるフリーライター。ゲームは全般的に遊ぶが、うまいというわけではない。好きな落下物は小惑星探査機。
STARHAWK(スターホーク)
メーカー | ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン |
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対応機種 | PS3プレイステーション3 |
発売日 | 2012年5月10日発売予定 |
価格 | 価格未定 |
ジャンル | アクション・シューティング / SF・戦争 |
備考 | PlayStation Network対応 |