F1マシンを駆る快感
2011年12月17日に発売されたPS Vita用ソフト『F1 2011』は、F1公式レースゲームのシリーズ最新作。2011年のレギュレーションであるDRS(可変式リアウイング)や、KERS(運動エネルギー回収システム)といったシステムはもちろん、2011 FIA FORMULA ONE World Championship(TM)(2011 FIA フォーミュラ1世界選手権)に登場する12チーム、24人のドライバー、19のサーキットが完全収録されている。忠実に再現されたコースはテレビなどで観たことがあるコースそのもので、そこをF1マシンに乗って駆け抜けられるというのは、やはり気持ちがいい。最終コーナーを立ち上がり、アクセル全開でメインスタンド前を疾走。聞こえてくる観客の歓声で、テンションは最高潮だ。
本作にはさまざまなモードがあるが、F1マシンに乗ってコースを走るという感覚は、どのモードでも変わらぬ楽しさなので、この部分に焦点を置いてインプレッションをお届けする。

PS Vitaをステアリング代わりに
本作では、PS Vita特有の機能である背面タッチパッドを使って、シフトアップとシフトダウンができる操作タイプが用意されている。実際のF1マシンではステアリングの裏側にあるパドルによってギアチェンジを行うため、操作タイプを変更すれば似たような操作が体験できる、というわけだ。これを試すべく筆者は、背面タッチパッドの右側をタッチするとシフトアップ、左側をタッチするとシフトダウンとなるCタイプの操作方法を選択して、いざレースへ。
ところが、実際に走っていると思うようにギアチェンジができないことが発覚! 誤解しないでほしいのだが、これは速く走ろうと思えば思うほど、アクセルとなる×ボタンを強く押してしまい、同時にPS Vita本体も強く握り込んでしまう筆者の力みグセが要因である。思わず背面タッチパッドを触ってしまったり、背面タッチパッドでの操作に気を取られてほかの操作が疎かになってしまうというヘタレぶり……。プレイ中の姿を他人に見られると「体が左右に動いているよ」と指摘されるほど、力が入ってしまっているのだ。それほどのめり込める作品なわけだが、それはともかく、上記の理由で、泣く泣く操作タイプを変更することに。筆者と同様のクセを持たないプレイヤーには、実際のF1マシンと同様のギアチェンジが楽しめるCタイプでのプレイをぜひオススメしたい。

初心者にも配慮されたドライビング補助機能
さほどレースゲームが得意ではない筆者は、操作タイプを変更しても思うように走れない日々が続いた。レコードラインを守るようにコース取りをしながら、アクセルにブレーキ、ギアチェンジと、やるべきことが多いと操作が追いつかなくなるのだ。F1ドライバーのすごさに驚くとともに、自分のふがいなさを感じつつ、ドライビング補助機能を利用することにした。これはその名の通り、さまざまなドライビングの操作を設定で個別にアシストしてくれるようにできるシステム。すべての補助機能をオンにするのはなんだか悔しかったので、ギアチェンジのオート化と予測ブレーキングをオンにして再挑戦! すると、コース取りとアクセルワークだけで先頭争いが可能になった。「テレビでF1を観ることはあるが、あまりレースゲームをプレイしない」というプレイヤーでも、存分に楽しめるように配慮されている点は非常にうれしい。補助機能を使うのは少しズルをしている気もしたが、ずっと負け続けるくらいなら、自分にあった補助機能を使って楽しむのがいいだろう。もちろん少しずつ補助を減らしていけば、いずれ補助なしで思うようにクルマを操れるようになるだろう。

上級者のこだわりを受け止める懐の深さ
レース時に行うチューニングは多岐にわたっており、初心者は初期設定のままでも問題ないが、上級者はコースに合わせた自分好みのセッティングに調整可能だ。最初はタイヤの空気圧やキャンバーの調整など、簡単なチューニングしかできないが、レースをこなしていくとサスペンションの強度や、ギア比の微調整、車高やウイングのアングル調整なども行える。これらの細かな項目のおかげで、こだわりがあるプレイヤーも満足がいく走りができるだろう。本物のF1ドライバーが、フリー走行で気になった点をピットで調整、そして再びコースへ出ていき、最高のチューニングを見つける、といったストイックな作業も体験もできる作りになっているのだ。トコトン突き詰めたチューニング内容を、コースごとに丸ごと保存しておける点も地味にありがたい。

自分に合ったモードで遊ぶ
ここからはモードについて少し紹介。手軽に1レースだけ楽しむ“クイックレース”や、1週の最速タイムを狙う“タイムアタック”は、短時間でも簡単にプレイできるため、いつでもどこでもプレイ可能な携帯ゲーム機との相性がいい。ほかにも、多くのモードがあるので、気分や好みに合わせて遊べるだろう。なかでも個人的に好きなのは“キャリア”モードだ。このモードは、とあるチームから「ドライバー採用のテストを行いたい」というメールが届くところからスタートする。テストドライブで目標タイムを上回り、自分の力でシートをつかみ取るのだ。そして、レースでポイントを積み重ねていけば、上位チームからのオファーが来ることもある。そうやって、ひとりのドライバーとして実績を重ね、ワールドチャンピオンを目指す過程を楽しむのだ。オンラインでの対戦プレイも可能なので、長く遊べる1本と言える。
■筆者紹介 ヴァニラ近藤
おもに週刊ファミ通でゲーム攻略を担当しているライター。これまでF1は見る専門だったが、PS Vita購入と同時にF1レースデビュー(ゲーム内で)を果たした。クルマの免許は持っているものの、完全なるペーパードライバー。
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