本日(2012年1月21日)より、3Dアニメーション『ドットハック セカイの向こうに』が全国劇場公開スタートとなった。東京・テアトル新宿で行われた、監督の松山洋氏と、桜庭ななみほか主要キャストが登場した初日舞台挨拶の模様をリポートしよう。

●ついに全国劇場公開! 満員御礼の初日の様子は?

 本日(2012年1月21日)より、3Dアニメーション『ドットハック セカイの向こうに』(以下、『セカイの向こうに』)が全国劇場公開スタートとなった。東京・テアトル新宿で行われた、監督の松山洋氏と、桜庭ななみほか主要キャストが登場した初日舞台挨拶の模様をリポートしよう。

▲初回の上演は即座に完売となった。
▲売店も『セカイの向こうに』一色に。
▲“まことさんクリームソーダ”なるドリンクも。劇中に登場する情報収集ロボ“まことさん”をイメージしたもので、「オンラインゲーム“THE WORLD”と現実世界が溶け合う様子をアイスとソーダで表現しました」(説明文より)とのこと。
▲映画のパンフレットのほか、各種グッズや、『.hack//G.U.』完全設定資料集などを販売しているコーナーも。
▲映画の設定資料が公開されているスペースもあった。

 舞台挨拶が行われたのは、1回目の上演終了後。満員の観客からの大きな歓声に迎えられて、本作の監督を務めたサイバーコネクトツーの松山洋氏と、主人公の有城そら役を演じた桜庭ななみ、田中翔役の松坂桃李、岡野智彦役の田中圭がステージに登場した。4人それぞれが、集まった観客への感謝の言葉を述べた後、司会者からの質問に答える形でのトークショーが披露された。

▲松山氏は、「おもしろかったですか?」の問いかけに対して帰ってきた、場内からの割れんばかりの拍手に、「おもしろいと言ってもらうために作りました。本当にありがとうございます」と満面の笑みを浮かべていた。
▲桜庭ななみさん。
▲松坂桃李さん。
▲田中圭さん。

――桜庭さんがアニメ映画のヒロイン役を演じるのは(『サマーウォーズ』に続いて)2作目ですが、今回はいかがでしたか?

桜庭 前回もたくさんの反省点があったので、それをつなげていけたらと思ったのですが、やはり何度やらせていただいても、アニメのアフレコは難しいなと思いました。とくに今回はキャラクターの動きが細かくて、口の動きもすごくリアルだし、それにあわせるのが難しかったです。

――松坂さんはアニメの収録は初めてだと思いますが、いかがでしたか?

松坂 やはり、いつもやっている芝居と違って、声だけで表現しなければいけないというのは初めての経験で、そこが難しかったです。あとはテンションですね。ぼそぼそと喋るキャラクターなので、「もっとテンションを下げて!」と監督に何度も指示をされました。

――田中さんもアニメの収録は初めてですよね?

田中 はい、すごく楽しかったです。最初は普段の芝居と違って不慣れだし、難しいなと思いましたが、今回演じたのが、ゲームの中のキャラクターではなく、リアルのほうの、日常の男の子の役だったんですね。顔や表情がリアルに作られていたので、気持ちを合わせやすくて、そこはやりやすかったかなと思います。

松山 智彦役の田中さんは、もともと智彦のイメージにピッタリだからこの役をお願いしたのですが、本当に収録にいらっしゃった瞬間から智彦のイメージピッタリで。収録が始まってからも、ほとんどリテイクがなかったです。指示を出すディレクタールームから見ていて、「本当にそこに智彦がいるね!」って話していました。

田中 そうなんですか? 智彦は14歳なんですけど……大丈夫ですか?(笑)

松山 (笑)。田中さんはそれくらいリテイクが少なかったんです。松坂さんは、普段とは違うテンションのキャラクターだったので、もうちょっと下げて、もうちょっと! ……と。「シンケンレッドよりももうちょっと下げて!」と、これは実際に言いました(笑)。
(※編集部注:松坂さんは『侍戦隊シンケンジャー』のシンケンレッド役を演じた)
でも、いちばんたいへんだったのはたぶん桜庭さんかな。桜庭さんには、中学生のそらちゃんと、ゲーム内のカイトも演じてもらいましたし、主演ですし、台詞も多かったですからね。収録には日数もかかりましたし、リテイクの回数も……ちょっとだけ多かったよね。それに、いまのCGって高精細なんですよ。松坂さんの田中翔はボソボソしゃべるので、口元があまり動かないのですが、そらちゃんは等身大の中学生で、表情も豊かだし、口がよく動くんですね。それにピッタリ合わせていただく必要があったので、それもたいへんだったと思います。後半はガッツで乗り切ってもらったところがありますね。

桜庭 そうですね。ガッツでがんばりました(笑)。口の動き……本当に細かくて、そこもこの映画のいいところだと思いますが、難しかったです。

――皆さんは劇中でゲームに夢中な中学生を演じていますが、それぞれが14歳のころに夢中だったもの、ハマっていたものはなんですか?

桜庭 私は毎日部活をやっていました。テニス部だったので、真っ黒な女の子でしたね。日焼け止めも塗っていなかったので、本当に真っ黒で……靴下を脱いでも履いているみたいな……そんな感じでした(笑)。

松坂 僕は14歳のころは漫画家になりたくて、よく自分の見ていたマンガのキャラを写して描いてみたりしていましたね。でも今年の正月に、実家に帰ったときに、当時絵を描いていたジャポニカ学習帳を引っ張り出してみたのですが、まぁヘタクソなんですよ(笑)。やっぱり自分には才能はなかったんだな、と再確認しました。当時好きだったマンガは『稲中卓球部』や『地獄先生ぬ~べ~』などですね。あと、部活ではバスケットボールをやっていました。そのころは背が低かったのですが、部活の終わりごろにグッと背が伸びたんです。なので、ポジションはフォワードからセンターまでいろいろやりました。

田中 僕も部活はバスケットボール部でした。バスケをやりながら『稲中』を読んでいたほうですね(笑)。14歳のころは本当にバスケに夢中で、バスケがやりたくて高校受験がない学校を選んだくらいだったので、ずっとバスケをやっていました。いまでもやっていたというか、またやり始めたのですが、毎回やるたびに筋肉痛になりながらがんばっています(笑)。

松坂 僕も早朝にやったりしていますよ。でもひとりなので、すごく寂しいんですけど(笑)。

桜庭 私もバスケやりますよ。同じ事務所の子たちとやって、一番最初にゴールを決めた人が、いちばん決められなかった人に、物マネとかの罰ゲームをやらせる、という(笑)。

――監督はいかがでしたか?

松山 え、それいりますか? 私の話はいらないでしょう(笑)。まあいいですけど。ウソっぽく聞こえると思いますが、私も中学高校とバスケ部だったんです。そして、少年ジャンプで漫画家になりたいと思っていたので、ずーっと絵を描いていました。そのころハマっていたのは『魔神英雄伝ワタル』です。

松坂 それ、僕もアニメ専門チャンネルで見ていましたよ(笑)。

――劇中では、ふたりの魅力的な男の子が登場しますが、桜庭さん個人としてはどちらが好みですか?

桜庭 ふたりともすごく魅力的で……。岡野君はいっしょにいて楽しくておもしろくて、気を遣わずにいられる存在ですよね。田中君は……って、田中(圭)さんのことじゃないですよ(笑)。コレ、収録中にも本当に困ったんですよ。そらちゃんは「田中ぁ!」なんて呼び捨てにするんですが、そのたびに隣にいる田中(圭)さんに申し訳ないな、って(笑)。その田中(翔)君も物知りでステキですよね。……本当に選べないです、ふたりとも魅力的なので。

――では男性陣は、もし自分自身が告白する場合、直接告白するタイプか、電話やメールで告白するタイプが教えていただけますか?

松坂 僕は直接言いますね。呼び出しとかは、電話でするかもしれませんが、言うときは直接言います。メールだと、返信を待っているあいだがすごくドキドキするじゃないですか(笑)。

田中 僕も直接言います。でも、言おうと思って、向こうも言われる、って予感があって……という状態から、3時間言えなかったことがあります(笑)。途中で、「もういっか、言わないで」なんて気分にもなりましたけど。でも意を決して言うわけです……何の話をしてるんでしょうか(笑)。

――監督にお聞きします。今回キャラクターを作るうえでもっともこだわったのはどんなところですか?

松山 本作のテーマでもあるのですが、『.hack』は“あいまいな境界性”というものをテーマとして持っています。誰が好き、誰が嫌い、こいつはこういうやつ……って、そんなに世の中はわかりやすくできていませんよね。そらちゃんも、田中くんも、智彦も、みんな簡単じゃなくて、ちょっとずついびつなんですよ。台詞まわしとかちょっとした仕草、各キャラのクセ、夢中なもの、家族構成まで、掘り下げて設定を作って、キャストの方々にも、それを見ていただいたうえで演技をしてもらいました。ですので、設定にはすごくこだわりましたね。

――皆さんが次回、声優に挑戦するとしたら、どんな役を演じたいですか?

桜庭 私は2作品とも普通の女の子の役だったので、もしつぎにチャレンジできるとしたら、人間ではない……今回登場したまことさんみたいなキャラクターにチャレンジしたいです。もし次回作を作るなら、私、まことさんをやります!(笑)

松山 まことさんなら口パクがないからね(笑)。

桜庭 そうなんですよ! そうなんです! よろしくお願いします(笑)。

松坂 僕は今回ボソボソと喋るキャラクターだったので。つぎは人間じゃない、それこそ悪の大魔王とか、動物とかをやってみたいですね。アニメーションでは、普通のお芝居ではできないことができますから。そこに挑戦してみたいです。

松山 ……みなさん人間を避けて通ろうとされるんですね(笑)。

桜庭 口があるからですよ!(笑)

田中 僕は今回、現場でずっと問い続けていた疑問があるんです。ゲームパートのキャラクターは、本職の声優さんたちが、画面を見ながら「たぁ!」とか「よしっ!」とか演じているんですよね。僕があれをやったら、絶対も体もいっしょに動いてしまうんだけど、なんでみんな動かないで演じられるんだろう、って。つぎの機会には、僕も動かないでできるのかっていうのを試してみたいです(笑)。

松山 桜庭さんはゲームパートのキャラクターも演じていましたけど、微動だにせず、という感じで演じていましたよね。

桜庭 そうですね。私はずっと直立してやっていました。ああいうかけ声を出すコツは、殻を破ることだと思います(笑)。

松山 スケールでかくなりましたね(笑)。実際、いろんなパターンを収録させてもらいましたよね。もっと長いパターン、短いパターン、とか。通常の収録が終わった後にも、バリエーションを録らせてもらったり。本当にガッツの収録だったと思います。

――最後に、今日この映画を見に来てくれた観客の皆さんにメッセージをお願いします。

桜庭 皆さん、今日は本当にありがとうございました。この作品を観てもらって、何かを感じてもらえたらうれしいです。

松坂 今日は本当にありがとうございました。僕は、劇中で田中翔が言う、「僕たちは、思ってる以上につながってるのかもしれない」という言葉すごく好きで。確かにそうだな、って思うところがたくさんあります。皆さんも、この映画をいろんな人たちにつなげていってもらえたらうれしいです。

田中 今日という日を迎えられたことが本当にうれしいです。最初に収録が始まったときには、震災もあって、延期を繰り返したりもしました。それが完成して、これだけの人が集まってくれて。松坂さんがいうように、つながったらいいなと思います。あと、最近とても寒くなったので、風邪などをひかないように気をつけてくださいね。

松山 『セカイの向こうに』は、脚本から始まって、完成まで丸4年という月日をかけて、数多くの関係者が一丸となって作ってきた作品です。私個人としても、『.hack』プロジェクト10年の夢がかなったと思っています。こうやって、日本全国の映画館で楽しんでもらえることを夢見てやってきましたので。これを活かして、またつぎの作品に取り組みたいと思います。まずつぎはゲームを作っていますが、また映像作品も作るつもりです。桜庭さんには、つぎは『ドットハック』でアカデミー賞を取ってほしいと思っています(笑)。


『ドットハック セカイの向こうに』

オンラインゲーム『THE WORLD(ザ・ワールド)』を通じて知る、気づかなかった恋心と気づけなかった自分自身。意を決して新たな<セカイ>に飛び込むことで、思春期の中学生の女の子・有城そらが、危機が迫るこの<世界>を救うことにもなる――。
メディアミックスで熱い支持を受けてきた『.hack(ドットハック)』シリーズの最新作。劇場用3DCG アニメーションとなった今回は、最先端のフル3DCGで現実の世界とゲームの世界が作り出され、少女の成長と冒険が描き出されています。『.hack(ドットハック)』を初めて知る人でも楽しめる、完全オリジナル青春SFストーリーに仕上がっています。
その映像にリアルな手触りを与えるのは、桜庭ななみ、松坂桃李、田中圭という人気・実力ともに高い注目の俳優陣。
舞台となるのは、少しだけ先の未来。そして最新の3DCG。そこで覚える思い。主人公のそら同様に、新たなセカイと世界に映画を通じて触れる“接続物語(アクセスストーリー)”の誕生です!