過去最高の濃密さ! 『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』プレイインプレッション

2011年11月23日に発売されたWii用ソフト『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』。シリーズ25周年の今年を締めくくるにふさわしい本作のプレイインプレッションをお届け。

●今度の『ゼルダ』はどうなのか?

 『ゼルダ』シリーズ25周年という節目の年を飾る『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』。『ゼルダ』シリーズの生みの親であり、世界的ゲームクリエイターである宮本茂氏は、本作を「濃密『ゼルダ』」と表現し、「過去最高の『ゼルダ』」とも語っていた。

 とはいえ、限られた情報の中で実態がつかめないプレイヤーの関心事は、以下の3点に集約されると思う。

(1)Wiiリモコンの操作性
(2)学園ドラマ風の物語
(3)本当に“過去最高”なのか?

 今回は、この3つにフォーカスしてプレイインプレッションをお届けしていく。


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▲リンクのホームグラウンドとなる、空に浮かぶ島“スカイロフト”。

▲スカイロフトの住人は、必ず自分専用の鳥“ロフトバード”を持っている。リンクのロフトバードはなぜか赤い。

▲スカイロフトに暮らす、個性豊かなキャラクターたち。

●Wiiモーションプラスって何なの?

 まず、本作はWiiモーションプラス専用となっている。「?」となった方のために説明しておくと、WiiモーションプラスとはWiiリモコンを拡張する周辺機器で、2009年に発売された『Wii Sports Resort』とともに登場。具体的には、従来のWiiリモコンは、振る、突く、引くといった直線的な動きのみに対応していたが、WiiモーションプラスをWiiリモコンに取り付けることで、回転やねじれといった動きも検出可能になった。このことにより、Wiiリモコンの動きをほぼ正確に感知できるほか、ゲーム中のポインティングも、直接画面を狙わなくてもいいようになっている(対応タイトルのみ)。これは、ジャイロセンサーが、“初期位置からどれだけ回転したか”を検出しているからだ。ちなみに、現在販売されているWiiリモコンは、Wiiモーションプラス内蔵のWiiリモコンプラスとなっている。

 前置きが長くなったが、このWiiモーションプラスのおかげでリモコンの精度は飛躍的に向上し、本作においては“剣を振る”というアクションと“アイテムを選択する”というふたつの操作で絶大な効果を発揮している。剣を振るアクションの圧倒的な精度の高さは、「触ってみるとわかる」と心の底から言いたいところだが、そういうわけにもいかないので、その操作感を書き出してみよう。

・リモコンの動きがそのまま画面内のリンクに反映される
・斜めから斬ったり、下から斬り上げなど、思いのまま
・誤動作はほぼない
・動きが反映されるまでの時間差(ラグ)もゼロに等しい

 とにかく、動きがダイレクトにリンクに伝わる感じがものすごい。プレイヤーとリンクがつながっている、真の意味での“リンク(つなぐ)”と言えるだろう。敵のガードの甘い方向から素早く斬り込んだり、切っ先で敵の注意を引きながら急に斬り返すなど、戦闘の組み立てかた、楽しみかたは、明らかに変わった。この“チャンバラ”は本当に楽しい。

 アイテム選択については、Bボタンを押すと円状のアイテム選択のパレットが表示され、Wiiリモコンを傾けて選ぶ。従来のような、画面へWiiリモコンを向けての繊細なポインティング操作を行わなくても、手首を少し傾けるだけでいい。また、過去作品と大きく違う点は、本作ではアイテム選択の際にゲームが一時停止しないことだ。ゲームの流れを止めず、その状況で必要なアイテムをリアルタイムで瞬時に切り換えていく。しかも、それにはプレイヤーの熟練が大きく影響し、とくにボス戦で味わう緊張感は格別だ。本作では、アイテムの切り換えという行為自体も、重要なアクションのひとつとして機能している。


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▲リンクから見て左側が空いている。素早く剣を振り抜くのだ。

▲闇雲に剣を振っていても、ガードされてしまう。ときには、相手の出かたを待つのも手なのだ。

▲過去作品と異なり、アイテムの選択時でも時間は止まらない。手首を使ってアイテムを簡単に切り換えられる。

●身近な存在として登場するゼルダ

 本作では、『ゼルダ』シリーズでは最古となる、マスターソード生誕の秘密が描かれる。主人公のリンクは騎士学校の生徒として登場し、ゼルダはリンクの幼なじみだ。この設定には、過去作品を知る人ならば、多少の違和感を感じるだろう。というのも、これまでの作品では、リンクは何らかの使命を背負った謎の少年で、ゼルダはお姫様という遠い存在(作品によって立ち位置が異なる場合もある)。物語の展開上、リンクはゼルダを助けにいくことになるのだが、ゼルダの人物像はいまひとつはっきりしないことも多かった。『風のタクト』や『大地の汽笛』といったここ数作では、ゼルダの個性をプレイヤーに伝えるための描写が増えてきているが、本作はその究極と言える。

 物語の序盤は、ゼルダとの幸せな時間が流れる。幼なじみであり、ちょっと恋人のような、こそばゆい感じだ。ゼルダというひとりの女の子のパーソナリティーが見え始めたころ、彼女は行方不明となってしまう。これは強烈な動機づけとなり、かつてないほどの明確な目的を持って、冒険を進めていくことになる。この手法は大成功だと思う。

 伝説の始まりの物語とは何なのか。そして、ゼルダに与えられた過酷な運命とは? ゼルダ、リンク、トライフォース、マスターソード。すべてがつながる本作のストーリーを、見逃す手はないだろう。


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●『時のオカリナ』を超えたのか?

 語弊を恐れずに書くと、今回の『ゼルダ』は、冒険の舞台となる地形は大きく“3つしか”ない。しかし、そのひとつひとつの地形には何度か訪れることになり、行くたびに状況や遊びのルールそのものが変わっていく。つまり、同じ地形を使って、さまざまな遊びを用意しているのだ。世界への理解が進むことで、新たな発見が生まれたり、アクションや謎解きに対してもアプローチが増えてくる。こうしたプレイヤーの熟練も見据えたゲームデザインによって、とてつもなく濃密な世界が作り出されているのだ。

 過去シリーズの中でもよく引き合いに出される作品に、1998年にニンテンドウ64で発売された『時のオカリナ』がある。『スカイウォードソード』の発想は、これとはまさに逆の方向に思える。『時のオカリナ』で実現した3Dの世界は、とてつもなく広いことが魅力だった。その広さがあったからこそ、馬で駆け抜ける楽しさがあったわけだ。今回は、あえて舞台をある程度の広さに限定し、遊びの仕組みで密度を出した。これは、昨今の肥大化するゲームに、何らかのヒントになるのではないかと思っている。

 こうした、新しい可能性の示唆には大きな価値があり、『ゼルダ』はこの先の未来に向けて新しいスタートを切れたのではないだろうか。『時のオカリナ』と『スカイウォードソード』、どっちが上か下か、みたいな単純な話ではないが、本作が過去最高の『ゼルダ』であることは間違いないだろう。

 『ゼルダ』シリーズの原点にあった箱庭的な遊びに立ち返りつつ、リンクのアクションは最新の技術で支えられている、25年目の温故知新の『ゼルダ』。ぜひ、手に取ってみてはいかがだろうか?


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▲最初に訪れる地形となる、フォローネの森。

▲フィローネの森のようだが、水没している!?

▲フィローネの森を使った、サイレンと呼ばれる仕掛け。リンクは攻撃の術を持たず、守護者に見つからないように探索していく。

■筆者紹介 オポネ菊池
週刊ファミ通編集者。初代『ゼルダの伝説』が発売された当時は小学生。セーブデータ選択画面で流れるBGM『大妖精の泉』って名曲ですよね!




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※画面は開発中のものです。