PCや携帯電話で展開されている無料オンラインゲーム――その中でも、“カジュアルゲーム”と呼ばれるものに変化が起きようとしている。PCで展開され、累計240万人がプレイしたブラウザゲーム『ブラウザ三国志』と、携帯電話やスマートフォンで展開され、約300万の会員数を誇るソーシャルゲーム『しろつく』。これらの人気タイトルが、PlayStation Vita(以下、PS Vita)で産声を上げようとしている。PS Vitaで発売することを決めた理由は? どんな未来を思い描いているのか? 開発者にインタビューを行い、真意を聞いた。

※この記事は、2011年11月10日発売の週刊ファミ通に掲載されたものと同内容です。

PS Vitaが切り開く無料オンラインゲームの新境地――開発者インタビューその2:ケイブ『しろつく(仮題)』_02

しろつく(仮題)
PS Vita ケイブ
発売日未定 価格未定

戦国時代の城主として、城下町に施設を作り発展させていく、箱庭形のシミュレーションゲーム。位置登録機能を利用すると、自分が現在いる場所にゆかりのある特産品や建物がもらえたり、現実での移動距離に応じて小判(ゲーム内のお金)を得ることができる。

すべてのゲームユーザーに新しいゲーム体験を提供

PS Vitaが切り開く無料オンラインゲームの新境地――開発者インタビューその2:ケイブ『しろつく(仮題)』_01
ケイブ 代表取締役副社長兼COO
渡邉幹雄氏(左)

ケイブ 『しろつく(仮題)』ディレクター
佐藤 伸氏(右)

――幅広く展開してきた『しろつく』を、PS Vitaというコンシューマーゲーム機へ進出させようと決めたのはなぜですか?
渡邉幹雄氏(以下、渡邉) それはやはり、PS Vitaというハードに可能性を感じたからです。コンシューマーゲームと、携帯電話やスマートフォンのゲーム。両方の持つメリットを活かし、なおかつ両方の課題を解決できるハード……それがPS Vitaだと考えました。

――とはいえ、まだ発売されていないハードですから、未知数な部分も多いですよね。
渡邉 はい。ですので、しばらく様子を見て、料金体系などを決める予定です。無料配信するのか、アイテム付きのパッケージを販売するのか、両方か。そこはまだ検討中です。

――PS Vita版は、ほかのハードの『しろつく』とはどこが違うのですか?
佐藤伸氏(以下、佐藤) 建物を3Dモデルで作っていますので、さまざまな角度から眺められます。ほかにも、ストーリーや合戦のシステムを充実させようと、いろいろと試行錯誤しているところです。

――他機種版からのデータの引き継ぎはできるのでしょうか?
佐藤 引き継ぎはできませんが、プレイヤーが他機種の『しろつく』の仲間たちと出会えるような仕組みを作れないかを考えています。

――すでに『しろつく』をプレイしている人にとって、PS Vita版を遊ぶメリットとは?
渡邉 ひと言でいえば、“新しいゲーム体験”です。携帯電話のゲームしか知らないプレイヤーが、PS Vita版をプレイしたら、もうものすごいインパクトを受けると思います。また、画面が大きくキレイなPS Vita版は、「ほら見て」と人に見せやすいので、身近なコミュニティーの仲間と遊ぶようになると思います。携帯電話版は全国にいる仲間と、PS Vita版は身近な仲間と……という楽しみかたができます。

佐藤 一方、コンシューマーゲームしか知らない方にも、“仲間とつながって楽しむ”という新しい体験を味わっていただけると思います。このPS Vita版で、ソーシャルゲームに対する固定観念を取り払いたいですね。

――PS Vitaは、両ユーザーにアピールできる可能性を秘めたハードなのですね。
渡邉 はい。ですので、コンシューマー以外のゲームを手掛けている企業が、これからも参入してくると思います。

――基本料金無料のゲームで利益を上げるのは簡単なことではないですよね。
渡邉 プレイヤーに満足していただくために、いかに力を尽くし続けられるかがカギです。前評判を高めることが大事なパッケージビジネスとは別物。パッケージは製造業、無料ゲームはサービス業。この違いがわかることが重要だと感じています。

――今後、各メーカーさんがどのような作品を発表するのかが気になりますね。では、最後にユーザーへのメッセージをお願いします。
佐藤 プレイヤーの皆さんに新しい体験を提供できるものを目指して作っています。もう少しお待ちいただければと思います。

渡邉 待っていただいただけの感動は提供しますので、ご期待ください!