●“トランスファリング”に感じる未来

 本作は、2010年4月29日にプレイステーション・ポータブルで発売された『メタルギア ソリッド ピースウォーカー』をHD化したもの。単刀直入に言えば、ゲームの内容はまったく同じだ。ただ、新しい仕掛けとして、プレイステーション・ポータブル版のセーブデータとプレイステーション3版のセーブデータを共有できる、“トランスファリング”という仕組みが導入されている。これを利用すれば、ハードの制限、つまり遊ぶ場所の制約を極力受けることなく、ゲームの続きが楽しめるわけだ。すばらしい。

 さっそく、メニューまわりを見てみる。非常にシンプルで、プレイステーション・ポータブルへセーブデータを移す“トランスファリング・アウト”、逆にプレイステーション3にデータを取り込む“トランスファリング・イン”、そして“ヘルプ”の3項目しかない。迷いようがないシステムだ。

 現状では、有線でプレイステーション3とプレイステーション・ポータブルを接続する必要があるが、いずれはネットワーク経由で、プレイヤーが意識せずにセーブデータが共有できるようになるのだろう。『メタルギア ソリッド』シリーズを手掛ける小島プロダクションなら、きっと考えているに違いない。こういう、少し先を走っているような仕掛けを見ると、便利だなと感じる前に、その先に見える未来にわくわくしてしまう。ゲーム業界にも、きっとクラウドの波が押し寄せるのだろう。

●震える!!

 何が震えるのかというと、コントローラーが、である。これは、プレイを始めてすぐに気付く。画面の中のスネークがライターに火を点し、タバコを吹かすシーンでも、ブルッ、ブルッと震えるのである。

 とにかく、過去の小島プロダクションの作品はよくコントローラが震えてきた。ポリゴンデモの演出として、そしてときには、お遊び要素として。しかし、プレイステーション・ポータブルに振動機能は搭載されていない。つまり、『ピースウォーカー』は震えないソフトだったのだ。

 これまでのフラストレーションを拭い去るかのように、とにかく本作は震える。震えまくる。振動はぜひオンにして楽しむべきだ。

●コントローラよ、ありがとう!

 本作では、チュートリアルを終えると、3種類の操作形態の中からひとつ選択するようになっている。もちろん、これは後からもオプションで変更が可能で、自分にとって遊びやすいものを選べばいい。その操作形態のひとつが、『メタルギア ソリッド 4』の操作方法にとてもよく似ているのだ。これは本当にうれしい。

 個人的な意見にはなるが、3Dのゲームの多くは、キャラクターを操作するスティックと、カメラを操作するスティック、このふたつは必須だと思っている。なくても遊べなくはないが、このふたつのスティックによる操作を根本から変えるような大発明には、まだ出会えていない。

 コントローラで遊ぶ『ピースウォーカー』は、私にとってもはや別ゲームになってしまった。『メタルギア ソリッド』シリーズで重要な、“周囲への警戒”という行動は、カメラの操作と直結する。抜群に遊びやすくなったのではないかと思う。相変わらず敵に見付かるけれど。

●『ピースウォーカー』は『5』だった!?

 今年の東京ゲームショウの小島プロダクションのステージで、『ピースウォーカー』の開発時のロゴが公開されたのはご存じだろうか? それには、しっかりと『メタルギア ソリッド 5』と書かれていたのだ。いろいろな事情で、このナンバリングはなくなってはしまったが、正統続編として作られていたのは間違いないだろう。

 『ピースウォーカー』は携帯ゲーム機へハードを移したことで、据え置き機の作品を求める従来のファンがあまり遊んでいないとよく耳にする。そんな方たちが、やっと遊ぶ日が来たんだと、本作の登場にうれしく思う。これ以上のお膳立てはない。シリーズのファンはいますぐ遊ぶべし!