●『FF』ファンも驚くほどの『FF』トーク!
『ファイナルファンタジー零式』(以下、『FF零式』)のテーマソング『ゼロ』を歌うBUMP OF CHICKEN。週刊ファミ通11月3日号では、彼らへタイアップの経緯、『FF』への思い入れなどを伺うインタビューを掲載した。しかし、ゲーム好き、とくに『FF』ファンを公言する彼らの熱い思いは誌面のスペースに留まるようなものではなく、泣く泣く誌面に収まるように一部を削っての掲載となった。そこで、今回はそのインタビューのノーカット版を掲載。単に楽曲を提供するだけではなく、ファンだからこそ叶ったコラボレーションだということがわかる、濃すぎる『FF』トークをお届けする。おもにゲームの内容を補足説明した注釈とともに、『FF』ファンらしさ溢れる内容をお楽しみいただきたい。
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BUMP OF CHICKEN
(左から順に) Bass 直井由文(Yoshifumi Naoi)、Guitar 増川弘明(Hiroaki Masukawa)、Drum 升秀夫(Hideo Masu)、Vocal & Guitar 藤原基央(Motoo Fujiwara) |
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BUMP OF CHICKEN ゼロ
10月19日発売 期間限定盤:CD+DVD/1500円[税込] 通常盤:CD/1050円[税込] |
■メンバーの夢が叶った『FF』とのコラボ
――『FF』とコラボして曲を作ることになった経緯を教えて下さい。
直井 スクウェア・エニックスさんからお話をいただいて、「『FF』の大ファンなので、ぜひやらせてください!」とお答えしました。スタッフを通じて主題歌のお話を聞いたんですが、お話を聞いたうちのスタッフが、どれだけゲームについて詳しいのかわからなかったので、「それ本当に『FF』なの? 『ファイナルファンタジー』の『FF』?」と、どの作品かを確認して(笑)。『XIII』でも複数作品ありましたし。
――それは、『零式』ではなく、『アギトXIII』(※1)というタイトルのころでしょうか?
直井 そうですね。PSPとのことだったので、これは『アギトXIII』だなと。
――本当にお詳しいですね!
直井 『FFXIII』もプレイしていたので、わかりました(笑)。
――今回のコラボレーション以前に、野村哲也氏とお食事をされたと伺っていますが?
藤原 8年ほど前の、『FFVII アドベントチルドレン』の試写会にお邪魔して、それをキッカケにお食事をさせていただきました。
――どのようなお話をされたんですか?
藤原 僕らみんなで、一方的に「好きです!」と(笑)。
升 多勢に無勢で、相当困ってらっしゃいました。
直井 「『FF』はここがいいんだ!」と、ご本人を前に説明して(笑)。でも野村さんは、笑って聞いてくださっていました。
――そのことがあって、今回のコラボに?
藤原 そのお食事のときに、「いつかいっしょにお仕事ができたら」とお話をさせていただいたのですが、それが今回につながったんだと思います。野村さんからも「ぜひ」と言っていただけたんですが、僕らとしては大人の世界の社交辞令かなと思っていたので(笑)、お話をいただいたときは、本当に信じられませんでしたね。
――楽曲制作の過程で、開発スタッフと何度かミーティングを重ねたとのことですが?
藤原 曲に関しては細かい指示がなく、基本的にお任せしていただけました。僕がバンドを代表して、2回ほどひとりでスクウェア・エニックスさんにお邪魔したんですが、完全におのぼりさんですよ。「入り口にスライムがいる!」と興奮して、受付の横に飾られた天野喜孝さんの『FFXI』のイラストを「写メ撮っていいですか!?」って聞いて、メンバーにメールして。「受付にスライムがいました」と(笑)。
直井 そのメールをもらって、「いつか俺たちもスクウェア・エニックスさんに行きたいです」と僕もメールを打ちながら、部屋で「すげー! 藤君(藤原氏のこと)、いいなー!」って大興奮。その後も、細かくメールで実況リポートしてくれました(笑)。
藤原 だから、興奮しすぎて何を話したかあまり覚えていません(笑)。
――(笑)。楽曲制作の参考にしたものは何でしたか?
藤原 開発中の画面や企画書を拝見しました。あと、キャラクターのイラストなどが描かれた資料も。その後に台本などもいただきましたが、曲の手掛かりになったのは、最初にいただいた野村さんのイラストでした。あれをバッと見て、感動して。じっくり見るというより、ファーストインプレッションを大事にして、考えすぎないで作るようにしました。
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※1:『アギトXIII』……もともと『FF零式』は、『FFXIII』を中核に据えた、“ファブラノヴァクリスタリス FFXIII”の1本として『FF アギトXIII』というタイトルで開発されていた。 |
■双方の熱い熱量で作り上げるタイアップ曲
――今回、オープニングでアコースティックバージョンが流れますが、これは開発サイドの要望だったのでしょうか?
藤原 アコースティックバージョンは、田畑さん(ディレクターの田畑端氏)、野村さんと細かく打ち合わせをさせていただきました。『ゼロ』ができて、どこで流すかを決める際に「オープニングでも使いたい」というお話をいただいて、そのときに「バージョン違いを作ることもできます」と伝えたんです。それがどういうものか、そのときはうまく言えなかったのですが、頭の中ではすでにアレンジができていた気がしますね。その日のうちには、クラシックギターのアルペジオ(※2)を使った弾き語りという大筋ができていました。
――期間限定盤に同梱されているDVDには、特別なオープニング映像が入っていますが、こちらの映像はご覧になりましたか?
藤原 はい。観ました。(升さんに向かって)ねえ?
升 え! 最後の? 最後に出すやつってこと?
直井 すみません、こういう奴なんです(笑)。
升 いやいやいや(笑)。映像はたくさん観ているんですが、僕らゲーム自体は遊んで
いないんですよ。
増川 そうなんです。映像は、オープニングバージョンの映像ってこと。
升 ああ(笑)。
――『FF』の映像に合わせて自分たちの楽曲が流れるというのは、いかがでしたか?
升 曲が世界観にマッチしてくれたというのがありつつ、映像を作った方が、曲に対して愛情を持って使ってくれたんだなというのが伝わってきて、感動しましたね。
――これまでにいろいろなタイアップ曲を作られていらっしゃいますが、たとえば原作のセリフを歌詞に使ったりと、どれも原作と深く関わったタイアップになっていると思います。何か、タイアップ曲に対するこだわりはあるのでしょうか?
藤原 まず、ごいっしょする先方に対して、僕らは「この人たちといっしょに何かをしたい」と、自分たちが思えることがいちばん大事だと思っています。そして、先方にも僕らと同じくらいの熱量で、同じように僕らのことを望んでほしいんです。面倒だとは思うんですが(苦笑)。でも、そういう気持ちがないと、いいものにはならないと思うんです。それと、曲に関しては、でき上がった曲が、BUMP OF CHICKENらしい曲であることが重要だと思います。いかにもタイアップというような、ふだん言わないような歌詞や、ふだんやらないようなアプローチの楽曲をやるのではなく、僕らがいまやりたいと自然と思えるような音楽でないと、それは誰も聴きたくないと思いますし、お話をくださった先方にも失礼だと思うんです。先方は、いままでの僕らを見て依頼してくれているので、いままでの僕らを100%出そうと思っています。
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※2:アルペジオ……ギターで和音(コード)を低音から順々に弾いていく技法。 |
■濃すぎる『FF』の話!
――期間限定盤のジャケットが、天野喜孝さんのイラストになっていますが、このジャケットに決まった経緯は?
直井 うちのプロデューサーが、『FF零式』の天野さんの絵を見たときに、「すごくいい」と言い出したんです。もともとプロデューサーはゲームをやらない人なんですが、「この絵は本当にすばらしいな」と、芸術として評価していたんですね。
藤原 でも、僕らとしては、いまさら何を言ってるんだと(笑)。
直井 僕らはもう20年以上いいと思ってるぞと(笑)。それで、プロデューサーが「ジャケットにこの絵を使えないだろうか」と言うんですが、僕らからしたら「この人、何を言ってるんだろう? ダメに決まってるじゃん」って(笑)、ちょっと引いた視点で見ていたんですよね。
藤原 とんでもないこと言ってんなって(笑)。
――『FF』ファンだからこそわかるという(笑)。
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▲BUMP OF CHICKENのメンバーを描いたドット絵。 |
直井 そうそう(笑)。でもせっかくだからってことで、ダメもとで「ジャケットに使いたい」と聞いてみたら、「いいですよ」ってすぐに快諾していただけまして。「いいんかい!」と突っ込みながら実現したわけです(笑)。それに合わせて、僕らとしては『FF』と言えばドット絵のイメージが強かったので、「メンバーをドットで作ることはできませんか?」ってお願いもしてみたんですね。ドットで描かれるのって、みんなの夢じゃないですか。……言いすぎ?(笑) でも、『FF』好きとしてドットになってみたいというのは夢のひとつだったので、お願いしてみたところ、そちらもやっていただけて。しかも、『FF零式』の服を着ているものや、ジョブの服を着ているものなど、いろいろなバージョンを作ってくれたんですね。ちなみに、僕が白魔道士で、秀ちゃん(升氏のこと)が黒魔道士でしたね。
藤原 そのうえ、『FF』と同じタイポグラフィー(字体)で“BUMP OF CHICKEN”と書いたものまで作っていただいて。タイポグラフィーはお願いしていなかったんですよ。でも、「きっと喜ぶ」って思っていただけたんでしょうね。もう完全に見透かされていました(笑)。
直井 僕らもそのジャケットを見て、「これ、すげーーー!」って大喜びするんですけど、そこまでいくと、言い出しっぺのプロデューサーが逆に引いているんですよ(笑)。「あ……、ああ、これそんなにいいのか。確かにカッコいいな」って。「いや、カッコいいとかじゃない! これが最高なんだ!」って、立場が逆転していました(笑)。ドット絵はジャケットの中面に入っていますし、僕らがよく使っているBUMP OF CHICKENのエンブレムもドットになっています。最高の仕上がりになっていますので、『FF』ファンの方にはぜひ見ていただきたいですね。それと、これはさすがにスクウェア・エニックスさんに言えなかったんですが、このドットを使ってアニメーションを作ってほしくなるんです。ゴブリンと戦って、一瞬にして瀕死になっちゃうとか(笑)。もうファンの欲望が止まりません(笑)。
――このドットのキャラクターが『FF』で使われるとしたら、どのようなキャラクターがいいですか?
藤原 まずアビリティが“隠れる”(※3)だけ。
直井 チキンナイフ(※4)装備ね。
藤原 でも、“たたかう”もないからさ、“にげる”と“かくれる”。あと、“思い出す”(※5)とかね(笑)。
直井 昨日のご飯を思い出す(笑)。
――“かくれる”だと、『FFIV』のギルバートみたいですね(笑)。
直井 そうですね。じゃあ、かろうじて“歌う”は……。
藤原 “歌う”はあろうよ!
直井 あろうって、なんだよ(笑)。ほかのメンバーも“奏でる”はあるでしょ?
増川 升くんはドラムだから“叩く”があるでしょ。
升 でも、俺はこの状態じゃ動けないよね(笑)。
藤原 お前は“思い出す”だろう(笑)。
直井 いや、そこは『FF』だから、魔導アーマー(※6)的なイメージでドラムのまま動き出すんだよ!
増川 それか、召喚獣だね。
直井 召喚獣! 秀ちゃん、獣なんだ(笑)。
升 ドラムを叩きまくって去っていくの?
直井 あと、ひとりずつだと弱いけど、4人揃ったときのみ、強くなるとか。
増川 究極魔法“ゼロ”が発動するね!
藤原 それで、自分たちが混乱しちゃうとかね(笑)。
増川 それ、コンフュ(※7)じゃん!
――本当にファンなんですね(笑)。皆さんは、『FF』シリーズの中で、とくにどの作品がお好きですか?
直井 始めに言っておきたいんですが、もちろん全部の『FF』が好きで、どれが好きと選べるものではないんです! でも、あえて選ぶとしたら、『FFVIII』が思い出深いですね。『FFVIII』が出たころは、僕と藤君が東京に出てきていっしょに住み始めたころで、ふたりで同じセーブデータを使って進めていったんです。そして、『FFVIII』で初めて『FF』に主題歌が入って、フェイ・ウォンさんの『Eyes On Me』が流れましたよね。それを聴いたときに、これが俺たちの曲だったらいいなって。僕らも参加できたらいいなって思っていたんです。でも、それは夢物語で絶対叶わないだろうと思っていたら、それが信じられないことに叶ってしまって! だって、ジュリアがバーで歌っていた(※8)のと同じポジションですよ! もうとにかく大興奮ですよ(笑)。とくに『FF零式』は『FFVIII』と同じ学園モノですし、『FFVI』並みに登場キャラクターが多いですし、僕は『FFVIII』と同じくらい『FFVI』も好きなので、その両方が合わさっちゃって、こりゃ参ったなって言いたいくらいです(笑)。
――では、藤原さんはいかがですか?
藤原 僕もやっぱり選べないんですけど、『FF』を自分の意思で初めて手にしたのが『FFIII』だったんです。『FFI』と『FFII』は親が遊んでいて、とくに『FFI』は、小学校2年生くらいだった僕にとっては、大人のゲームという印象だったんですね。回数制の魔法というのもわからなかったし、敵が怖いし。途中で、主人公たちが“ねずみのしっぽ”でクラスチェンジ(※9)して大きくなるのも理解できず……。小学校2年生の頭だと、「キノコ食べて大きくなったのか?」(※10)というイメージになってしまう(笑)。それが、『FFII』では、主人公の名前が決まっていて、ストーリーがなんとなく理解できるようになってきたんですね。名脇役もたくさん出てきますよね。ミンウ(※11)を始めとして、リチャード(※12)、レイラ(※13)、ゴードン(※14)、ヨーゼフ(※15)。それに、オープニングでいきなりバトルになって、しかも全員倒されて。子供心に度肝を抜かれたんです。それに、当時は『ドラゴンクエスト』などでRPGの基本を理解していたので、「レベルないじゃん!」とか「利き腕がある!」といったシステムの斬新さも理解できましたし。とにかく、いろいろな驚きが詰まっていた。自発的に「『FFIII』をやりたい!」と思えたのは、『FFII』のおかげですね。……今日は『FFII』に焦点を当ててみました。
――サブキャラクターを始め、『FFII』のかなり濃いお話が出ましたね(笑)。
藤原 『FFII』がゲームボーイアドバンスでリメイクされたときに、“ソウルオブリバース”(※16)という追加ダンジョンがありましたよね。あれが本当にうれしくて。ああいうリメイクは、ぜひやってほしいです!
直井 (スクウェア・エニックスの広報に向かって)お願いします!
藤原 ふつうにお願いじゃん(笑)。僕は、いま仕事としてしゃべってたから。
直井 僕はいちユーザーとして、ファミ通さんの読者の立場でお願いしてみました(笑)。
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※3 隠れる……『FFIV』のギルバートのアビリティ。戦闘画面から姿を消し、敵の攻撃を回避するコマンド。
※4 チキンナイフ……『FFV』に登場した武器。逃げた回数に応じて攻撃力が高くなる。
※5 思い出す……『FFIV』の魔導師テラのコマンド。ランダムで強力な魔法が発動する。失敗することもある。
※6 魔導アーマー……魔導の力で動くロボット。『FFVI』で初めて登場し、『FF零式』にも登場する。
※7 コンフュ……敵を混乱させる魔法。
※8 ジュリアがバーで歌っていた……『FFVIII』の主人公のひとり、ラグナが通っていたバーでは、そこの歌姫であるジュリアが『Eyes On Me』を歌っていた。
※9 “ねずみのしっぽ”でクラスチェンジ……『FFI』でバハムートに“ねずみのしっぽ”を渡すと、主人公たちがクラスチェンジし、2頭身から頭身の上がった姿に変化する。
※10 キノコ食べて大きくなったのか?……赤い帽子をかぶり、オーバーオールをまとったヒゲがトレードマークのキャラクターのこと。
※11 ミンウ……究極魔法アルテマを入手するために命を落とす。
※12 リチャード……主人公たちを逃がすためにひとりで皇帝と戦い命を落とす。
※13 レイラ……リバイアサンに飲み込まれて一時行方不明に。
※14 ゴードン……兄のスコットを見捨てて祖国から逃亡するが、その後反乱軍を指揮した。
※15 ヨーゼフ……主人公たちを逃がすために、大岩につぶされて命を落とす。
※16 ソウルオブリバース……ゲームボーイアドバンス版『FFI・II』に収録された追加ダンジョン。命を落としたサブキャラクターが主人公の物語。 |
――(笑)。では、升さんは?
升 僕はふだん、あまりゲームをやらないんです。でも、唯一やったのが『FFIII』。藤原君が遊んだものが、10年後くらいに来たんです。
藤原 もはやビンテージと化した僕のソフトがね(笑)。
升 僕は家にゲームがなかったんですが、20歳くらいのときに藤原君の実家に行ったら、なぜか「これ、おもしろいから持っていけ」と、ファミコン本体と『FFIII』と『ドラゴンボール3 悟空伝』(※17)を貸してくれて。
――『FFIII』と『悟空伝』ですか(笑)。
升 はい。『悟空伝』もおもしろかったんですけど(笑)。
直井 それは、秀ちゃんがファミ通さんで連載して語ればいいから。
升 今回は『FF』に焦点を当てて(笑)。それで初めての『FF』にとにかくハマって。でも、やはりよく語られる最後のダンジョンが長くて(※18)。セーブができませんし。それに、ビンテージのファミコン本体が古くて、油断すると電源アダプターが自分の重さで落ちちゃうんです(笑)。それを落ちないように背中で押さえるという、トイレにも行けないような状態で遊んでいたんですが、それでも最後の暗闇のヤツを倒しましたよ!
直井 ヤツって! “雲”くらい言えよ! 同じ字数だよ(笑)。
升 ネタバレになっちゃうかなって。
直井 ファミ通だから大丈夫だよ!(笑)
藤原 最後のジョブは何だったの?
升 ジョブは忍者、忍者、賢者、賢者。主人公が光の4戦士で、僕らも光の4戦士……って呼ばれたことはないけど(笑)。
全員 (笑)。
升 それっぽいところはあるかなって思って、4人にそれぞれの名前を付けて。まあ、最後は僕の名前を付けたキャラクターの尊い犠牲のおかげで世界は救われたんですけどね。あれこそ冒険です。ちなみに、僕と直井君はスピードがあるから忍者、賢そうでスラッとしたギターを弾けるふたりは賢者。
増川 ざっくりした分けかただなあ(笑)
藤原 なんでもいいけど、お前が戦闘不能になるなよ(笑)。
升 でも、ほかのメンバーがやられるんじゃなくてよかった。僕のおかげで世界は救われた(笑)。
――壮絶なドラマがありましたね(笑)。では、増川さんは?
増川 僕もリアルタイムでは遊べなくて、大人になって『FFIX』からやり始めて、それからリメイク版を遊んで。それで自分で買ったハードで遊んだのが『FFX』だったんですが、あれは本当にやり込みました。ナギ平原(※19)に住んでいるって言ってもいいくらいでしたね! とくに『FFX』はボイスが入っていて、すごいドキドキしました。「キミ」とか呼ばれて。
直井 “トタギ”とかね。
増川 アルベド語(※20)ね(笑)。リュック大好きでしたね。あとブリッツボールも最強になるまで遊んでましたし、武器も七曜の武器を取って、限界突破して。スフィア盤のシステムも楽しかったです。
――ちなみに、セカンドアルバムに『グングニル』(※21)という曲がありましたが、『FF』ファンということを想像すると、召喚獣のオーディンの影響などがあるのかと思うんですが……?
藤原 思いっきり影響を受けていますね! まごうことなき、そこからの知識です(笑)。
直井 『FF』を通らずにグングニルを知っていたら頭のいい子ですから(笑)。
藤原 オーディンを使ったときによく出ましたから、「なんだろうな」と思っていたんでしょうね。その後、母親経由で元ネタが北欧神話で、オーディンがいて、スレイプニル(※22)に乗っていて……というのを知るんですが、いや、待てと。『FFIII』で手こずったザコ敵にスレイプニルっていたぞと。しかも、オーディンで真っぷたつにしちゃったぞって思ったことも覚えています(笑)。
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※17 ドラゴンボール3 悟空伝……ファミコンで発売されたゲーム。カードを使ってすごろく状のマップを進んでいく。
※18 最後のダンジョンが長くて……『FFIII』のラストダンジョンは、かなり長く、セーブポイントがないという、いまだに語り草になる存在。
※19 ナギ平原……『FFX』の広大な平原。モンスターの捕獲のために走りまわるプレイヤーが多数。
※20 アルベド語……『FFX』に登場するリュックやシドなどが話す言語。ちなみに“トタギ”は、日本語で“オヤジ”。
※21 グングニル……北欧神話に登場するオーディンが使う武器“グングニルの槍”のこと。BUMP OF CHICKENのセカンドアルバム『THE LIVING DEAD』の2曲目に同名タイトルの曲が収録されている。ライブで盛り上がるナンバー。
※22 スレイプニル……オーディンの愛馬。『FFIII』では敵として登場し、トードなどを使って主人公たちを苦しめた。 |
■『FF零式』はどのように遊ぶ?
――では、『FF零式』で好きなキャラクターは?
直井 体験版を遊んだ感じだと、トリッキーなエースもいいですが、サイスがいちばんカッコイイですね。ストーリーなどもまだ詳しくはわかっていないのに、大好きです(笑)。戦闘スタイルがズバ抜けてカッコよかったですね。
藤原 みんなで「サイス、サイス」って言ってましたね(笑)。
増川 僕は、レムは絶対入れていたなあ。
藤原 それは、恋じゃん!
直井 キングは意外に難しかったですね。2丁拳銃で初心者にちょうどいいのかと思っていたら、意外と手こずりました(笑)。
藤原 秀ちゃんは、まず体験版をね。
升 そうなんです。僕はまだ体験版を遊んでいなくて。
直井 秀ちゃんは、本当にゲームをやらないんですが、PSP本体は持っているんです。でも、メモリースティックの容量が2メガしかないから、システムアップデートすらできない(笑)。僕らの使命としては、彼のメモリースティックの容量を増やしてアップデートするところからかな(笑)。
――メンバーの皆さんでマルチプレイをはされるんでしょうか?
直井 激アツですよね! 絶対やります!
藤原 今度、ライブツアー(※23)があるので。その移動中にやりたいですね。
直井 今回、秀ちゃんも『FF零式』をやると。でも、あまりサポートしすぎない、過保護にならないようにしたいですね。僕らがどれだけサポートできるシステムなのかも、まだわかっていないんですけど。
増川 彼が戦闘不能でいない状態で倒さないように。
升 僕の犠牲で世界守っちゃうからね(笑)。
藤原 そうしたら、「後ろで見てて」って言うから(笑)。
――今度のライブツアーで『ゼロ』を歌う予定はありますか?
直井 やりたいと思っています。ただ、セットリストは毎日変わっていくものなので、
必ずやるとは言えないのですが、ツアー内ではもちろんやりたいですね。
――では、最後に、ファミ通の読者にメッセージをお願いします。
直井 じゃあ、増川くんから代表して。
増川 え!(笑) まだ僕らも『FF零式』をプレイしていないので、ゲーム内で『ゼロ』を聴けるのが楽しみです。もしゲームを遊んで、『ゼロ』がいい曲だなと思ってくださったら、ほかにもいろいろとCDを出していますので、聴いていただけたらなと思います。……えーと、なんだろうな。……そんな感じです。
直井 その前で終わってたよ! 「なんだろうな」からは、いらなかったじゃん(笑)。
増川 サーセン(笑)。
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※23 ライブツアー……2011年12月5日から2012円年1月30日まで日本全国のライブハウスを巡る“GOOD GLIDER TOUR”のこと。詳しくは、BUMP OF CHICKENオフィシャルサイト(http://www.bumpofchicken.com/)を参照のこと。
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Photo:古溪一道
Hair & Make:YOSHIKO (SHIMA)
Stylist:齋藤くみ (Signo)
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