CEDEC2011“ペラ企画コンテスト〜奇跡の一枚を探せ”審査委員長の遠藤雅伸氏と受賞者のコメントを掲載【インタビュー完全版】

CEDEC2011で行われた“ペラ企画コンテスト〜奇跡の一枚を探せ”。週刊ファミ通2011年9月29日号(9月15日発売)に掲載された、本コンテスト審査委員長の遠藤雅伸氏と、1位と2位の受賞者のコメントの完全版を掲載!

●A4用紙1枚に込められた思いを訊く!

 2011年9月6日〜8日の3日間、神奈川県のパシフィコ横浜・国際会議センターにて開催された、ゲーム開発者の技術交流などを目的としたCEDEC(コンピュータエンターテインメントデベロッパーズカンファレンス)2011。

 今年はCEDEC初の試みとして、“ペラ企画コンテスト〜奇跡の一枚を探せ”が行われた。これは、指定されたテーマに沿ったゲームの企画コンセプトをA4用紙1枚にまとめ、その出来を競うというもの。記念すべき第1回のテーマは“途中下車”。CEDEC参加者であれば誰でも応募可能で、審査委員はCEDECアワードのゲームデザイン部門ノミネーション委員や、ゲームデザイン・プログラミング分野の講演者らが務めた。

 合計で57枚の企画書が応募されたこのコンテストの結果は、CEDEC最終日の9月8日に行われたセッション"CEDEC CHALLENGE:奇跡の一枚はコレだ!〜ペラ企画コンテスト結果発表"にてお披露目になった(詳しくは、こちらの記事で紹介)。ここでは、週刊ファミ通2011年9月29日号(9月15日発売)に掲載された、審査委員長の遠藤雅伸氏と、1位と2位の受賞者のコメントの完全版を掲載する。

■審査委員長の総評
モバイル&ゲームスタジオ取締役会長 遠藤雅伸氏

――CEDECでペラ企画コンテストを開催しようと思った理由を教えてください。
遠藤 プログラム部門やグラフィック部門では、技術者の腕を競い合うコンテストがあるのですが、ゲームデザインで競うチャンスはなかなかありません。なんとか競う形を作りたい、と思ったのがきっかけです。また、CEDEC会期中にできることがいいと思いましたので、ペラ1枚の企画書で勝負する形式にしました。短い時間、A4枚という制限を設けることで、プロとアマが平等に争えるのもおもしろいと思いましたし。

――想定していたものと比べ、応募作品の数・クオリティーはいかがでしたか?
遠藤 応募は50くらいはきてほしいと思っていましたので、ほぼ予想どおりですね。クオリティーも、予想していたぐらいですが……残念だったのは、"途中下車"というテーマを、そのままタイトルに使う人が多かったことですね。少しひねったぐらいがちょうどいいのですが。また、正直に言いますと、内容面で予想以上の驚きを与えてくれる作品はありませんでした。ですが、技術面では最優秀作品に驚かされましたね。応募していたタイミングの早さ、クオリティー、レギュレーションの捉えかたなどがすばらしかったです。レギュレーションの範囲内で、できるだけいいものを作るということもゲームのひとつ。ゲームのルールをいち早く理解して、勝ちに来るという姿勢がすばらしかったですね。

――セッションの手ごたえはいかがでしたか?
遠藤 もっとグダグダになるかと思っていたのですが(笑)、盛り上がってよかったです。参加者どうしが切磋琢磨できる機会になったと思います。

――来年もこのコンテストを行う予定ですか?
遠藤 おもしろいというご意見をいただけるなら、またやってみたいですね。

――最後に、企画担当を志す人へのメッセージをお願いします。
遠藤 チャンスを逃さないこと、そして企画は人に批判されてうまくなるということを忘れないことです。機会を逃さず、どんな段階の企画でも人に見せて、アイデアを磨いていってください。

■1位 受賞作品「私降ります!!」
セガ デザイナー 木村貴信氏

――木村さんのふだんのお仕事を教えてください。
木村 セガで地形、背景のデザインを担当しています。おもに『ソニック』シリーズなどを手掛けています。

――ペラ企画コンテストに応募しようと思ったきっかけは何ですか?
木村 ツイッターでこの企画の存在を知りまして、「おもしろそうだな」と思って応募しました。お祭りに参加するような、気軽な気持ちでしたね。

――1位を受賞してみての感想は?
木村 最初は勝ちにいくつもりはなかったのですが、作っているうちに気分が盛り上がってきまして……。「もしかして、いけるかな?」という気持ちは抱いていました。レギュレーションの中に、"15秒で見てわかるもの"などの指定があったのですが、これはルールであると同時に、「企画書はこうあるべきだ」という教えでもあると感じたんです。その通りに体現してみよう、と努力しましたので、結果1位をいただけてうれしいです。

――企画書の見どころを教えてください。
木村 目を引くような構図、たくさん企画書が貼り出されたときに埋没しないようなレイアウト、ベースカラーの設定……という、デザインの基本的なことはほぼ盛り込んだつもりです。一方、絵自体はぱぱっと描いたものなので、あまり力が入っていません。絵が苦手な人でも、工夫次第で人にアイデアを伝達できる、ということを、この企画書で伝えられたらいいなと思います。

■2位 受賞作品「途中下車推理〜次に降りるのはお前だ!〜」
東京工科大学4年 柳谷達之氏

――柳谷さんはふだんは何をなさっている方なのですか?
柳谷 東京工科大学の4年で、次世代ブロードキャスト研究室に所属しています。ふだんは企画を考えたり、イラストを描いたりしています。もともとゲームは好きで、できれば企画職になりたいと思っているので、今回このような賞をいただけてうれしいです。

――ペラ企画コンテストに応募しようと思ったきっかけは何ですか?
柳谷 コンテストの存在を知ったのがCEDEC1日目が終わるだったのですが、「おもしろそうだから参加しよう」と急いで企画書を準備しました。お祭り気分というのもありましたし、自分の企画力がどのくらいなのか知りたいと思っていましたので。

――2位を受賞してみての感想は?
柳谷 自意識過剰な性格なので、正直自信はありました(笑)。やるからにはいい賞を獲りたかったですし。でもまさか本当に受賞できるとは思っていませんでした。

――企画書の見どころを教えてください。
柳谷 ふだん電車に乗っているとき、誰が降りそうかな、どこの席が空きそうかな、って考えることがありますよね? そういう日常の中におもしろさを見出す、ということを企画にしましたので、見ていただければと思います。また、セリフだけではなく、天気や時間などが絡むシステムを考えましたので、そこも見ていただければと思います。