『Halo 4』に参加する日本人クリエイター、戸島壮太郎氏に独占インタビュー【Halo Fest】

2011年8月26日〜28日(現地時間)、アメリカ・シアトルにて、『Halo』シリーズ10周年を記念してのファンイベント、Halo Festが開催。『Halo 4』のオーディオディレクターとして戸島壮太郎氏が参加していることが明らかにされた。ファミ通.comでは単独インタビューを敢行した。

●気になるおなじみの『Halo』のテーマ曲はどうなる?

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▲こちら『Halo 4』のパネルディスカッション。

 2011年8月26日〜28日(現地時間)、アメリカ・シアトルにて、『Halo』シリーズ10周年を記念してのファンイベント、Halo Festが開催された。会期中には期待作『Halo 4』のパネルディスカッションが開催され、開発陣のお披露目がされたのはご存じの通り(⇒記事はこちら)。日本のゲームファンにとっての注目は、『Halo 4』のオーディオディレクターとして戸島壮太郎氏が参加していること。KONAMI の小島プロダクションで『メタルギア』シリーズのサウンドを手掛けていた戸島氏は、1年半ほど前にアメリカにわたり、『Halo 4』の開発に参加することになった。パネルディスカッションのあとで戸島氏にお話をうかがうことができたので、その模様をお届けしよう。

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――『Halo 4』の開発に日本人のクリエイターさんが参加しているのでびっくりしました!
戸島 1年半ほど前に、英語もほとんどしゃべれないのにアメリカにわたったんです。ほとんどバカですよね。日本語で話しができるとほっとするなあ(笑)。

――戸島さんは『Halo 4』ではサウンド全般を取り仕切っているのですね?
戸島 そうです。音楽と効果音。音声なども担当しています。たとえば、音楽が悪い場合も僕の責任となります。

――もともと『Halo』シリーズはお好きだったのですか?
戸島 はい。シリーズはずっと遊んできましたし、オーディオという意味でもずっと研究の対象でした。とくに初代『Halo』のときの音楽の方向性にはすごい興味があって、マーティ・オコンネルという『Halo』シリーズのコンポーザーとも何回かお会いして話をしたことがあります。マーティとは、いまでもいい友だちです。マーティは、人の印象に残る曲を作るのが本当に上手ですよね。

――そんな『Halo』の音楽を引き継いで、新しいものを積み重ねていくのは、相当プレッシャーがかかるでしょうね?
戸島 そこは、『Halo 4』をやるうえでいちばん難しいところですね。『Halo』の音楽にはファンがたくさんいるし、彼独自の世界観があるので……。今日はあまりしゃべれないのですが、すごいことを考えています。

――あら、それは期待感が膨らみますね。そんなにすごいことを?
戸島 今日は、ミュージックのことは何もしゃべるなと言われていたんですよ(笑)。『Halo 4』はマスターチーフの物語なのですが、これまでの10年を無視する権利は、ぼくらにはないと思っているんですね。ユーザーの方の『Halo』に対する10年の思いも大事にしないといけない。でも、一方でその思いに負けないくらいの何か新しいものも出さないといけない。いま、このふたつの課題に取り組んでいます。

――まあ、クリエイターとして、ご自身の色も出したいでしょうしね。
戸島 それはあります。ありますけど、先人たちが作り上げた偉大なタイトルでもあるので……。ちょっとしゃべりにくいなあ(笑)。まあ、「トジーン(戸島さんの愛称)たちのやりたい音楽は何なんだ? それを見てくれ」とおっしゃってくれるファンの方にも、「これまでの音楽に思い入れがいっぱいあるんだ」というファンの方にも、どちらにも満足してほしいです。

――なるほど。ファンとしては、おなじみの『Halo』のテーマ曲がどうなるか、気になるところだと思うのですが……。
戸島 その質問が、いちばん来ると思って今日は怖かったのですが(笑)、現段階では明言は避けさせていただくということで……。

――『Halo』と言えば“あれ”という人も多いですからね。
戸島 どんなに「オレのほうがすごいものを作る!」と思っても、なじみのある音楽はユーザーさんにとっての思い出ですからね。いかに自信があろうとも、そこを踏み倒してはいけない。過去の思い出を取り出してあげるのは、音楽の大きな仕事のひとつなので、そこは我慢と言えば我慢ですよね。それも、ぼくは『Halo』の音楽が好きなので、気になりません。これが、ぜんぜん嫌いな音楽の続編だったら、抵抗があるのでしょうが……。そういった意味では、僕も『Halo』が大好きなので、僕の解釈で『Halo』をやらせてもらう資格はあるのかなと思っています。過去の音楽を使うか、ということについては今日は明言しませんが、これまでの音楽に対する僕たちなりのリスペクトを何らかの形で示す必要があると思っています。

――ところで、海外に来て仕事をしてみていかがですか?
戸島 ゲームの作りかたがぜんぜん違いますね! 日本にいるときは「アメリカの技術力にはかなわないことはたくさんあるな」と思っていたのですが、こっちに来て思うは、日本のゲーム作りのよさです。もちろん、アメリカにもいいところはたくさんあるのですが、日本のゲーム業界はいいところがいっぱい残っているなと思います。

――外に出て初めて気付くことってありますよね。
戸島 そうですね。日本のよさと言えば、やっぱり手作り感。ハンドメイド感ですね。こっちだとベルトコンベア的なところもあって……。それでも成立させていく技術は、とてもじゃないけど日本が真似できないくらいすごいんですけどね。一方で、単純に「どちらが泣けるのか?」という勝負をしたときに、日本のほうが劣っているのかというと、大いに疑問のあるところです。僕がやりたいのは、こちらに来てアメリカ流のやりかたに染まるのではなくて、日本流のやりかたをどんどん取り入れていって融合させることです。僕のキャリアは小島プロダクションがほとんどなのですが、そこで、学んだものを『Halo 4』の開発現場にぶつけていって、融合させると何が起こるのか……というのを皆さんにお見せしたいです。でも、これだけは言っておきたいのですが、スタッフには本当に恵まれています。

――そんなに優秀な人材が?
戸島 やる気と人間性のあるスタッフが揃っています! 僕は、音響演出にはその人の人柄が出ちゃうと思っているんです。ゲームってやっぱりコミュニケーションじゃないですか。僕が『メタルギア』で学んだのは、ユーザーさんとのコミュニケーション。「ここで感動して!」とか「ここで笑って!」とかいうメッセージが、オーディオに関してもあってしかるべきで、だからこそユーザーさんが「どんな人が作るんだろう?」っていう興味を抱いてくれるんだと思うんです。音に乗ることで初めて、僕自身の価値が生まれたりするので、メッセージというか、魂みたいなものをオーディオチームとして持ちたいんです。もちろん、プロとして開発の効率化を図るのは必要ですが、いちばん大事なのは、ユーザーの方に「こいつらが必要だ!」と言ってもらえることだと思っています。

――音がすごい楽しみになってきました。
戸島 本当に楽しみにしていてください。『Halo』は、ストーリーや世界観やゲーム性など、日本人にももっと受け入れられる要素ってたくさんあると思うんです。いままでのオーディオも世界的に評価が高いのですが、僕らはよりストーリーを魅力的に伝えられるような音を提供していきたいと思っています。ストーリーを伝える、臨場感を伝えるというところでは、日本語版へのローカライズも含めて僕らは大いに進化できる部分があるんじゃないかなと、正直思っています。

――では、最後にファミ通.comの読者にメッセージをお願いします。
戸島 今回『Halo 4』というすごく大きなタイトルをやらせてもらうことになりました。ものすごいプレッシャーを感じるポジションではありますが、『Halo』という世界観とゲームに魅力を感じるからこそ、このプレッシャーのかかる役割に挑戦したいと思いました。これまでの『Halo』ファンの方にも、「もっと!」と期待している日本の方にも、「これならば!」と言える音を絶対に届けるつもりでいますので、ぜひ楽しみにしていてください。