●家庭用ゲームは秋以降のタイトルに期待

 2011年8月4日付で、KONAMIの平成24年3月期第1四半期(2011年4月1日から6月30日)の決算が公開されている。売上高は約549億円(前年同期比3.3%増)、営業利益は約70億円で営業利益率は23.2%となっている。

 売上高ベースで見ると、家庭用ゲームやソーシャルゲームなどを含むデジタルエンタテインメント事業(約261億円)とスポーツクラブ運営などを含む健康サービス事業(203億円)が突出しているように見えるが、営業利益ベースで見ると健康サービス事業は3億円でしかなく、デジタルエンタテインメント事業が前年同期の営業利益が23億円のところ、61億円へと大きく伸びているのがわかる。

 このデジタルエンタテインメント事業で特筆すべきは、やはりソーシャルゲームの伸びだろう。コンシューマゲーム(家庭用ゲーム)の売上高が77億円に留まったのに対して、ソーシャルゲームは78億円を記録し、家庭用ゲームを追い越すという現象が起きている。

 もちろんこれは第1四半期のみの比較であって、単純に「KONAMIがソーシャルゲームの会社になりつつある」といったような見方をするのは早計だ。前年同期は全世界で462万本の家庭用ゲームソフトを売り上げ143億円の売上高をあげているのに対して、今年は276万本で77億円に留まっているのは事実であるものの、例えばメタルギアフランチャイズのみを切り取っても、前年同期が127万本の売り上げをあげているのに対して、今年は16万本の売り上げに留まっているわけで、これはタイトルラインアップの違いによるところも大きい。2011年秋から冬にかけては『ワールドサッカー ウイニングイレブン 2012』、『METAL GEAR SOLID HD EDITION』、『METAL GEAR SOLID SNAKE EATER 3D』、『Silent Hill Downpour』といった人気IPの新作が控えているほか、アメリカで『Karaoke Revolution Glee: Volume 3』や『DanceDanceRevolution II』、日本で『NEW ラブプラス』などの発売が予定されているので、巻き返しを期待したい。

 しかしながら、ソーシャルゲームが前年同期(24億円)に対して3倍以上の78億円の売上高を記録し、単純計算で売り上げを54億円増やしているというのは驚くべき点だ。くり返しになるが、デジタルエンタテインメント事業全体の営業利益は61億円なのである。デジタルエンタテインメント事業が、前年同期と比較して、営業利益で38億円、営業利益率で14%近くの成長を見せたのは、ソーシャルゲームの好調によるものだというのは疑いのないところだ。

 決算短信では、昨年9月よりGREE向けに配信している『ドラゴンコレクション』が登録者数300万人を突破し、全体ゲームランキングで37週連続総合1位を記録していること、今年6月にAndroid版、7月にiOS向けの配信を行い、フィーチャーフォンとの対戦や協力プレイ、機種変更時のデータ引き継ぎなども実現し、ハードウェアにとらわれないサービスとなっていることが述べられている。また、今期リリースのタイトルでは、『プロ野球ドリームナイン』の登録者が早くも100万人を突破し、全体ゲームランキングで『ドラゴンコレクション』に次ぐ2位を11週連続で維持しているとのこと。第2四半期以降は、ここにGREE向けのハドソンタイトル『天外魔境』、Mobage向けのハドソンタイトル『ゾンビライフ』(Android版からスタートして、iOS向けにも今後配信予定)、GREE向けの『Jリーグドリームイレブン』などが控えており、引き続き注目だ。