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新作『クレイジータクシー:ワールドツアー』は初代『クレタク』の生みの親が作っている。変わらない“気持ちよさ”を生み出す秘訣をインタビュー【gamescom 2026】

新作『クレイジータクシー:ワールドツアー』は初代『クレタク』の生みの親が作っている。変わらない“気持ちよさ”を生み出す秘訣をインタビュー【gamescom 2026】
 2026年8月26日~30日でドイツ・ケルンメッセで開催中のgamescom 2026。欧州最大のゲームショウに『クレイジータクシー:ワールドツアー』が出展。
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 ブースにはド派手なオープンカーのイエローキャブが展示され、ドイツステージをプレイできる試遊台が並んでおり、現地のゲームファンも行列をなして本作の試遊を楽しんでいる。

 そんなgamescom会場にて本作のインタビューを実施。クリエイティブプロデューサーの菅野顕二氏に本作の開発、そして初代作の開発秘話を直撃した。

菅野顕二 氏かんの けんじ

『クレイジータクシー:ワールドツアー』クリエイティブプロデューサー。初代『クレイジータクシー』ではディレクター兼ゲームデザイナーを務めていた。初代『クレイジータクシー』の企画・ディレクションを手がけた生みの親。1と2ではほぼすべてのディレクションを担当し、3ではプロデュースワークを担当。(文中は菅野)

初代『クレタク』開発秘話「タイヤが4つついてればいいんじゃない(笑)」

――いま試遊させてもらいましたが、めちゃくちゃ気持ちよくておもしろいですね!

菅野 
ありがとうございます。

――本当に昔のドリームキャスト版の爽快感そのままで、あの味をよくぞここまでできたなと思っていたら、そもそも菅野さんが初代アーケード版の“生みの親”で、その方が直接作ってらっしゃったんですね!?

菅野 
そうなんですよ。ちょっと古い話ですが、そのころの話をすると、『クレイジータクシー』の前に『トップスケーター』というタイトルを作って、アメリカやヨーロッパで人気が出たんですね。

 そのつぎに何をしようか考えたとき、当時のボスと話をして「クルマゲームがいまニーズが高いんじゃないか」という話になったんです。

 で、「クルマだったらタイヤが4つついてればいいんですかね」って聞いたら、当時のボスも「4つついてればいいんじゃない」って言うので、「そうか」と思って。

――当時のセガらしいアバウトさが(笑)。

菅野 
当時はクルマゲームといえば純粋なレースゲームが多くて、「違うUX(ユーザーエクスペリエンス/ユーザー体験)で楽しめるものを提供できたらいいな」と漠然と考え始めたのが最初でした。

 そして僕はプライベートで車に乗るのがすごく好きなんですが、渋滞に巻き込まれたとき、隣のレーンをスイスイ通り抜けていくクルマを見て「こっちに行ってピュッと行ったら気持ちいいだろうな」って思ったんですよ。で、そのレーンにいる人みんなそう思ってるはずだと(笑)。

 そういうカーチェイス的な、ごちゃごちゃな動きをゲームにしたら、みんな喜んでやるんじゃないかというのが最初のひらめきでしたね。

 あのころ映画業界ではカーチェイスのヒット作が本当に多くて、「これを体験したい人がすごくいるはずだ、ゲームにしたら絶対ニーズがある」と確信したのが『クレイジータクシー』のスタートです。

四半世紀ぶりの復活

――『クレイジータクシー3 ハイローラー』から数えると、本作は24年ぶりの新作になります。今回の開発スタートの経緯というのは?

菅野 
じつは3つのタイミングがドンピシャで重なったんですよ。

 ひとつは、僕自身が「また『クレイジータクシー』を新しい形で世に出したい」と思っていて、ちゃんとストーリーを持ったキャンペーンモードを出したいという思いがあったんです。

 もうひとつは、当時のボスが「『クレイジータクシー』を新しく復活させてみようか」と声をかけてくれました。そして、会社としても旧作を復活させる方針で動き出したタイミング。この3つが重なって、「ラッキー! じゃあやりましょう」となったのが今回のスタートです(笑)。
――本作を発表してから今日まで、ファンの反応はいかがでしたか?

菅野 
待っていてくれていたファンの方がこんなに多かったんだというのを改めて強く感じましたね。そういう熱いファンの方々がいてくれたからこそこのプロジェクトを進められたわけで、本当に皆さんに感謝しています。

『クレイジータクシー』のストーリーモードはどんなもの?

――24年ぶりの新作として、もっとも進化した点はどこでしょうか。

菅野 
“進化”という表現が正しいかわかりませんが(笑)、まずいままで描ききれなかったキャラクターのバックグラウンドや世界設定を、キャンペーンモードを通じてちゃんと皆さんに届けられるというのがひとつ。

 過去作のファンなら「あのキャラクター、いたいた!」と感じる懐かしい面もあれば、ストーリーの中でキーパーソンとして登場したりもします。続報が出るまで楽しみにしていてください。

 もうひとつは、1作目を出したときからずっと声が上がっていたマルチプレイです。当時のネットワーク環境は遅延問題もありましたし、このタイトルのゲームデザインでマルチをどう組むかというハードルが非常に高くてなかなか実現できなかったんですが……。

――ドリームキャストはモデム搭載とはいえ、基本的にナローバンドでしたもんね。

菅野 
本作の開発では、アーケードのネットワークゲーム『ボーダーブレイク』を手がけたチームのメンバーが集まっていて、その中核にいた人間がディレクターを務めているんですよ。

 ネットワークに関する最新の知見を持っている彼らとディスカッションを重ねる中で、「これならマルチプレイはいける」というところまでたどり着けた。四半世紀越しにやっと実現できた感じです(笑)。皆さんが「やりたい」と言ってくれていたことをいい形でお返しできる。すごくワクワクしていますし、早く遊んでもらいたいですね。

――ウエストコーストに加え、gamescomに合わせてドイツのマップも発表されました。“ワールドツアー”ということで、世界中を旅する。

菅野 
昨今、クルマゲームはオープンワールドのものも多くなってきていますよね。でも、それとは違うUXをやっぱり提供したくて。

 「世界を股にかけて動く」という体感が新しいUXになるんじゃないかと。5つの都市を巡るというのがワールドツアーのコンセプトで、手のひらで世界中を回っているような感覚を味わってほしいんです。

――全5都市のうち2マップが公開になったわけですが……残りの3都市はまだ言えませんよね?

菅野 
それは楽しみに待っていてください(笑)。バラエティ豊かなラインナップになっていますよ。

――日本はあります? よね?

菅野 
続報を楽しみにお待ちください!(笑)

ラジオに乗ってかっ飛ばす感覚。オフスプ採用のいきさつ

――『クレイジータクシー』といえば音楽の評判がとにかく高いですが、初代の開発時に実在の楽曲を採用した理由を教えてもらえますか。

菅野 
 『クレイジータクシー』では、曲はラジオから聞こえてくるという設定なんですね。そのリズムに合わせてスピードをかっ飛ばす感覚を楽しんでほしかったので、リアルな曲が流れるようにしたというのがまず一点。

 加えて、僕はアクションゲームを作るときは“曲”をいちばん最初に決めるんです。アクションゲームってリズムに対して何らかの障害があって、そのリズムが崩される中でどう対応するかが楽しいというのがベーシックにあると思っていて。

 「このゲームはこのテンポ感で遊んでもらう」というグルーヴ感を、設計のビジョンとしていちばんわかりやすい指針として持ちたかった。だから曲が最初なんです。スタッフも初代のときは曲を聴きながら設計していたくらいで、それだけ親和性が高いんですよ。

――へええ。作曲の際に“詞先”というのは聞いたことがありますが、ゲーム制作で“曲先”というのは初めて聞きました。選曲のプロセスというのは?

菅野 
初代開発のころは、タワーレコードやHMVのCDセールスが賑やかだった時代だったので、渋谷に出向いてサンプル曲を聴きまくって、CDも買い漁りながら「この曲がベストかな」と決めていきました。本作でも100曲以上は聴いていると思いますよ。体感がいちばん重要なので、自分でイメージしている動きを耳で聴きながら判断するタイプです。

――とはいえ、自社で制作するわけではない実在の楽曲だと、権利関係もたいへんですよね?

菅野 
 苦労するのは作り手の使命だと思っているので(笑)。

 ゲームデザインも絵を作ることも時間を要する点では同じで、たとえばそこに楽曲使用の契約をする作業が増えたとしても、どれも同じプロの仕事だと思っています。

 お客さんが手に触れたときに得られる感動体験がもっとも重要で、手数が増えてお客さんが100倍、200倍喜ぶならやるべきことだと。もちろん私ひとりが全部やるなら無理でしょうけど(笑)、社内にもそこに特化したスキルを持った人間がいますし、チーム全体でやれているというのが大きいですね。

――ゲームに曲が採用されることについて、アーティスト側からのリアクションというのはありましたか?

菅野 
2025年に、The Offspringが日本に来日したときに実際にお会いして話をさせていただいたんですけど、僕たちのタイトルへの理解の深さが、自分が想像していたよりもずっともっていてくれたんですよ。

 彼らと組めて本当によかったと感じましたし、単に権利を貸してくれているのではなく、ゲームに使ってくれることで彼ら自身も喜んでいるというのが伝わってきました。それと……今日はまだお伝えできないんですが、音楽まわりでサプライズな要素があるんです。

――おっ。いや、じつは、試遊時に「『All I Want』がたくさん流れるのはうれしいんだけど、この頻度で同じ曲が流れてくるというのは、収録曲数ちょっと少ないのか……?」とかおもったのですが。

菅野 
ふふふ。詳細はもう少しお待ちください。その点に関しては心配がなくなる……と思います!

『クレイジータクシー』の気持ちよさの正体

――今回試遊させていただいて、もうほんっとうに気持ちがいい。でも、この気持ちよさをどう言葉で説明するのか難しいなとは思っていて。“クレイジータクシーの気持ちよさ”に必要なものって何でしょう?

菅野 
クレイジータクシーで大切にしているのは、ゲーム設計として“ポジティブである”ということです。

 うまくいかなかったらマイナスがつく評価システムのゲームもあると思うんですが、僕のポリシーとして、とにかく加点法で評価してほしい。何かを得るためにプレイしたとき、一本道じゃなくて自分なりの正解で達成できるような設計にしてほしいから、よかった点を積み上げていって達成するような設計にしているんです。

――ああ……それはわかります。細かくテクニックを使わなくてもいいんだけど、使うとお客さんがチップをくれる。そうするとうれしい、という。

菅野 
だからミスは、現実的にはミスなんですけど、「加点を得られなかった行為であってミスではない」というイメージをユーザーが持てることが大事で。そうすれば、失敗しても「じゃあつぎ、もう1回やろう」ってなりますよね。そこが、皆さんが気持ちよくプレイできているところにつながっているんじゃないかと思います。

マルチプレイも自信アリ! 8月31日までCNTエントリー中

――マルチプレイは今回の試遊には含まれておらず実際に触れていませんが、ゲーム設計に対する自信のほどはいかがですか?

菅野 
自信があるから出すんですよ(笑)。

――最高の答えです(笑)。

菅野 
内部テストやプレイテストを積み重ねてきていて、その中でも非常にポジティブなコメントが出た遊びでもありますし。不具合が出る部分もあるかもしれませんが、それはそれを見つけて直すためにテストというのはやるわけで(笑)、遊びとしてはすごく体感できるものがあると思うので、ぜひ触っていただきたいですね。

 クローズドネットワークテストは9月13日からで、エントリー募集は8月31日までです。チーム一丸となって良質なものを届けようと、いままさに切磋琢磨しています。“手のひらで世界を巡る”新しいUX、初めてのキャンペーンモードのストーリー展開、そして四半世紀越しにようやく実現するマルチプレイ――その全貌が明らかになる日を、どうかご期待いただければと思います。
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