Anime Expo 2026にてTRIGGERのパネルが開催され、2026年10月に世界独占配信を迎えるアニメ『サイバーパンク エッジランナーズ2』のトークイベントが行われた。 制作を担当する五十嵐海監督とTRIGGER社長兼脚本担当の大塚雅彦氏が登壇し、新たな主人公4人の制作秘話や詳細な裏設定を明らかにした。
前作から一転、昼のナイトシティを複数視点で描く群像劇へ
最前列に前作『サイバーパンク エッジランナーズ2』の人気キャラクターであるレベッカのぬいぐるみを抱えたファンが陣取るなど、会場が熱気に包まれる中でトークはスタートした。前日に上映された第1話先行プレミアの反響を問われた五十嵐監督は、「いったん受け入れてもらえたのかなと思う。まだ1話なのでこの後の展開を含め10月の配信を見てほしい」と手応えを語り、大塚氏も「あのような大きなスクリーンで上映されて本当にすごかった」と喜びをあらわにした。
続いての話題は、前作と今作の世界観の違いへと展開した。大塚氏によると、前作がおもにデイビッドひとりの視点からナイトシティを描いていたのに対し、今回は視野を広げ、複数の視点から街を見つめる群像劇になっているという。
また、夜のイメージが強かった前作とは対照的に、今作は昼の印象を強めるため背景美術も昼を中心に検討が重ねられた。大塚氏が夜をイメージして書いていた場面が、五十嵐監督によって昼に変わっていたこともあったというこぼれ話も語られた。
五十嵐監督は今作のビジュアル面について、「光を意図的に絵として組み込み、少しスプレーで吹いたような印象の絵になっている」と解説。大塚氏によるとこのような処理は基本的に仕上げのエフェクトの段階で加工されることが多く、美術の時点で組み込まれることは非常に珍しいそうだ。

続いて五十嵐監督はキャラクターデザインに関して、「前作と同じことをやっても仕方がない。街でより外れてしまっている感、もがいている感を出すため、90年代テイストを取り入れて意図的に少しちぐはぐした異質なスタイルにした」と、本作ならではの新たなアプローチを明かした。
復讐を誓うイケメンネットランナー“D”
ここからは新主人公4人の制作秘話をお伝えしよう。
ひとり目の主人公“D”は、自身のクランを壊滅させた犯人への復讐を誓うスネーク族出身のネットランナーだ。

五十嵐監督
Dだけでなく全体的に言えることですが、ロマンを除くキャラクターにはそれぞれ呪いを設定し、その要素をいかに外見へ落とし込むかを考えて作りました。出だしのころから彼をいじめる展開が決定していたため、「いじめるならイケメンでなければ」という意図からイケメンにデザインしています。
大塚氏
Dは監督がもっとも思い入れの強いキャラクターだと思います。シナリオ執筆時はじつは監督のイメージも少し頭に入れながら書いていたので、デザインが上がってきた時はかなりイケメンで驚きました。
映画好きで実在のカメラを愛用する“ロマン・クラックス”
ふたり目は、ブレインダンスが流行する街で真実のフィルムを求める映画好きの少年“ロマン・クラックス”。

五十嵐監督
いちばんフラットな見えかたをしてほしいキャラクターだったので、現在の姿に至るまでもっとも多く画稿を重ねました。カメラのデザインにもこだわっており、実在する“VX2000”(2000年にSONYが販売)というカメラを元ネタに設定しています。作中では、それをナイトシティ風にアレンジしたものを使って撮影している想定です。
大塚氏
最初のころは眼鏡をかけていましたね(ここで会場の女性陣が反応)。ロマンは映画好きという設定ですが、僕自身も映画が好きなのでかなり思い入れのあるキャラクターです。
90年代ヒロインの系譜を継ぐ“タリア”
三人目の“タリア”はメイルストロームに所属する少女。90年代ヒロインによく見られたエアインテーク型の髪型も特徴。

五十嵐監督
デザインラインとしては猫科の動物をイメージしています。三つ編みが尻尾で、特徴的な前髪がエアインテークのような役割ですね。昔のヒロインはよく人を殴るなど暴力的でしたが、私はそういったヒロインが好きで、彼女たちがしがちな髪型を取り入れた側面もあります。タリア発表時からSNSでファンアートが溢れている件は素直にうれしいです。
大塚氏
タリアは、監督にいちばん好きなテイストでデザインしてほしいと頼みました。最初にあがってきたラフを見て「監督の趣味はこれか」と少しおもしろかったのですが、実際に動くと本当に魅力的でさすがだと思いました。
クロームへの未練を残す伝説のエッジランナー“ウィーク・キングスリー”
四人目はかつてキングと呼ばれた伝説のエッジランナーだった初老の男性“ウィーク・キングスリー”。

五十嵐監督
キャラクターに呪いを設定したとお話ししましたが彼はその最たる例です。かつてバリバリ活躍していた人物が、サイバーサイコシスを発症してすべてのクロームを剥奪されてしまう。それでもまだ少しクロームが残っている状態が、彼の未練や呪いを表しています。
大塚氏
彼はCDPR側、とくにシーボル氏の思い入れが強いキャラクターです。おじさんがアニメの主人公になるケースはなかなか珍しいと思うので、個人的にも人気が出てほしいと願っています。
豪華アニメーター陣が彩るOPと今堀恒雄氏による劇伴
イベントの後半では本作のオープニング映像や音楽への強いこだわりについても語られた。
オープニングの絵コンテは前作『サイバーパンク エッジランナーズ』監督の今石洋之氏が担当し、原画には五十嵐監督をはじめ、吉成曜氏、雨宮哲氏、すしお氏といったTRIGGERを代表する豪華アニメーター陣が集結している。
じつは前作のオープニング絵コンテは五十嵐監督が手掛けており、本作ではスイッチした形となっている。
主題歌については詳細は伏せるが、曲をどうするかは自由にしていいとCD PROJEKT REDから提案され、五十嵐監督自身が作風に合うアーティストとして直接指名したものを採用している。
劇伴には『トライガン』などで知られる今堀恒雄氏を起用。こちらも、90年代のマインドを持つ作曲家に依頼したいという監督の強い要望から実現したという。直前に五十嵐監督自身が足を運んだライブでの圧倒的なパフォーマンスが決定打となり、今回のオファーに至った裏話が明かされた。
キャラクターデザインから美術、そして音楽に至るまで、随所に五十嵐監督が愛する“90年代のエッセンス”が散りばめられた『サイバーパンク エッジランナーズ2』は2026年秋にNetflixにて世界独占配信される予定だ。公開に向けて、前作を見返したり『サイバーパンク 2077』をプレイしたりしながら期待を高めて続報を待ちたい。