『ほの暮しの庭』は8割が生活シミュレーションで100時間遊べる。ホラー要素は『夜廻』と違い人怖系、“あんしん暮しモード”は本当に安心してプレイ可能【彼ヶ津村 入村体験記】

『ほの暮しの庭』は8割が生活シミュレーションで100時間遊べる。ホラー要素は『夜廻』と違い人怖系、“あんしん暮しモード”は本当に安心してプレイ可能【彼ヶ津村 入村体験記】
 日本一ソフトウェアの完全新作『ほの暮しの庭』は、あの人気ホラー『夜廻』シリーズを手掛けたチームが贈る生活シミュレーションゲームということで、多方面から注目を集めている。同社は2026年7月30日の発売日に先駆けて、メディア向けの試遊会を実施した。本稿では、参加した『夜廻』ファンがビビり散らかしながらもスローライフをエンジョイした模様をお届けする。
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 なお、今回は舞台となる彼ヶ津村(かがつむら)で1年ほど過ごした夏の、家具や農園が充実している環境でプレイしている。また、ゲームの主人公はまだ子どもだが、本稿は“日々の生活に疲れ気味で、入村体験案内にホイホイ乗ってしまった大人”の視点で綴る体験記となっている。

 さらに、記事後半では本作を手掛けた溝上侑氏(企画・ゲームデザイン)と、勝又美桜氏(開発責任者)へのインタビューを掲載する。

彼ヶ津村に行ってきます。帰りは遅くなるかもしれないから、ご飯はチンして食べてね

『ほの暮しの庭』は8割が生活シミュレーションで100時間遊べる。ホラー要素は『夜廻』と違い人怖系、“あんしん暮しモード”は本当に安心してプレイ可能【彼ヶ津村 入村体験記】
「入村体験……?」

 彼ヶ津村というところの観光部 入村体験推進課から封書が届いていた。地方ではよくある、Iターンの移住者を呼び込みたい自治体の農村体験キャンペーンなのだろうか。最近はPCモニターにかじりつく生活だったし、気分をリフレッシュするにはいいかもしれない。そうして、私は彼ヶ津村を訪ねることにした。

 ただ、ちょっと気になったのは、案内状の注意事項に“不可抗力による事故・怪我については責任を負いかねます”と書いてあることと、シミのようなものがあったことだ。インクが飛んじゃったのかな……? 

【1日目】なーんだ、彼ヶ津村っていいところじゃない

 ハッと気づくと、見慣れぬ古い家にいた。囲炉裏にコタツ、小さな神棚……寝ぼけ眼で周りを見回すうちに「そうだった、彼ヶ津村に入村体験しに来たんだった」と思い出してきた。

 ここでの滞在中は、この家を自由に使っていいらしい。ベッドなど家具も揃っているけど、台所はやっぱり土間なんだな。あ、薪もあった。
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夜の写真だが、台所で料理をしてみた。
 まだ外は明るいようだし、周囲の探索でもしてみようと引き戸から表に出ると、立派な木や花々が植えられている。いかにも、いいお家の庭といった風情だ。おまけに小さな田んぼまである。田んぼの中ではアヒルがプリプリと尾を振っていて、そのかわいらしさに思わず駆け寄って撫でてしまった。
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Lボタンを押すと、対象の情報ウィンドウが出るのが便利。売値までわかるのも助かる。動物の場合はお世話の度合いもわかる。
 ふと、向こうに畑が見えたので足を向けてみると、キュウリにナス、トマト、スイカやメロンまでもが実をつけている。広い畑は作物ごとにキレイに区画されていたり、その中央にはスプリンクラーが回っていたりと、丁寧にお世話されているのが見て取れる。
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 さらに畑の裏手には牛や馬、羊といった動物たちが飼育されていた。羊たちも撫でてあげると喜んでくれるようだし、羊毛や牛乳をもらえるのもうれしい。また、その近くには農産物を加工する設備が並んでいた。
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醸造樽から芋焼酎! まさか密造酒じゃない……よね?
 さらにさらに、敷地の奥には温室が! ここではマンゴーやバナナなど南国のフルーツが栽培されていて、テンションが爆上がり。

 正直、彼ヶ津村に来るまでは、もっと寂しく閑散とした場所を想像していたけれど、いやはやどうして、明るく爽やかな農村なんじゃない……?
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 敷地の外はどうかしらと足を延ばしてみると、清流がせせらぐ川に行き当たった。夏の日差しを受けて光る水面、葉を広げた木々の影、心地よい水の音に、鳥や虫の声……「これよこれ! 私が求めていた癒しだわ」と、しばらく眺めていると、だんだんと日が暮れてきた。
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 入村体験の初日だから早めに帰るつもりだったけれど、道を間違えて殺風景な場所に出てしまった。どうやら石切場らしい。「この先はどうなっているんだろう?」と湧き上がる好奇心を抑えられず、そばにあったトロッコに乗ると、あっという間に地下10階に着いてしまった。
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 いきなり村の最深部を見てしまった気がして、「来てもよかったのかな」とソワソワしてきた。しかし、付近には鉱石を含んでいる岩がゴロゴロ転がっている。そのうえ、ちょうどツルハシも持っているとくれば、叩くっきゃない。岩を割る感触に病みつきになっていると、大きな蛾が飛んでいるところまで来てしまった。
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 「見るからにヤバそうな色だけど、所詮、蛾でしょ」とタカをくくっていたら、蛾に触れた瞬間、ザザッと視界が赤くなり、ダメージを受けてしまった。毒蛾だったのだろうか。幸い、大きな怪我ではなかったけれど、これ以上進むのはやめにして家路につくことにした。

 帰宅後、家屋に2階があることに気づく。階段を上がってみると、クラシカルなインテリアで整えられた素敵な部屋だった。こういう和洋折衷な感じ、好みですわ……。グランドピアノまで置かれているのがすごい。試しに触れてみると、ショパンの
『革命のエチュード』みたいな激しい曲を弾けてしまって、めちゃめちゃビックリした。(いろんな意味で) 夜遅くに思いっきりピアノを弾けるのも、近所迷惑を気にしなくていい、村暮らしの特権かもしれない。
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【2日目】えっ……? どうして村から出られないの?

 翌朝、ポストに手紙が入っていた。差出人は村長のリンさん。動物たちと20回触れあったことを褒めてくれて、アドバイスやご褒美まで添えられていた。さすがは村長、気遣いができる人なんだなあ。あれ? でも、どうして私が20回動物と触れ合ったって知っているんだろう。
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 あまり深く考えないようにして、昨日は行けなかった村の中央へ。村にはなかなか立派な時計塔があり、これが時間になると鐘の音で時を報せてくれるようだ。その足もとに行ってみると、村に住むコマコちゃんと、トバリちゃんに遭遇した。ふたりは、なにか人目を気にしているようだけど……?
 こそこそしているということは、もしかして、村の掲示板に貼られていた“村の掟”に反することをするつもりなの……!?
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 だが、見ている限り変わったことは起きていないので、自分は村の散策を続けることにした。気の向くまま歩いていると、村の玄関口にあたる峠のトンネルまで来てしまった。

 掟に“村を出てはならぬ”ともあったけど、ちょっと外へ出たって平気でしょうと、トンネルを先へ先へと進んでみる。
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 内心はおっかなびっくりだったけど、何事もなくトンネルを抜ける。すると、舗装もされていない山道に出た。霧だろうか、すごく視界が悪い。それでも道なりに進んでいくと、辺りが灰色に覆われて……。
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 気がつくと、トンネルの手前で倒れていた。体に異常はないみたいだけど、どうやってここまで戻ってきたんだろう。誰かが運んでくれたなら、こんなところに置き去りにしない……よね? 村の人に聞きたくもなったが、掟を破ろうとしたことが知られるのもマズイと思い直し、このことはグッと飲み込むことにした。
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 気分を変えるために釣りでもしようと“オカミ淵”と呼ばれる大きな池へとやってきた。はっきりと魚影は見えないが、なんとなくここという場所に釣り針を投げて探ってみる。ゆっくりと流れていく浮きをぼんやり眺めるのも、なんだかいい時間に思えてくる。

 そんな矢先、浮きが小さく揺れた後、激しく上下した。すかさず糸を巻くと、魚が大きく跳ねてこちらへ飛び込んできた。釣れたのはカワムツだった。49円という売値からするとありふれた魚のようだが初の釣果はやっぱりうれしい。
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本作の釣りでは、魚がかかるとミニゲームが発生。リズムゲームのように、左から右へ進むバーが黄色いノーツと重なったときにボタンを押そう。レアな魚の場合はノーツの数も多くなる。
 その夜、床に就くと不思議な夢を見た。夢の中で何かが話しかけてくるのだが要領を得ない。何を言いたかったんだろう……?

【3日目】誰? 誰かそこにいるの!? イタズラはやめてよ!

 夢見がよくなかったので、今日は村のかわいい動物たちに癒してもらおう。彼ヶ津村には飼育されている動物だけでなく、野良猫や野鳥もたくさん見かける。

 猫ちゃんによって柄が違うのはもちろんだけど、人懐っこさにも違いがあって、大工のキスケさん家の庭先にいる白猫は撫でさせてくれるけど、時計塔近くを縄張りにしているハチワレは近づくと逃げてしまう。
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 広場には地面をついばむヤマガラっぽい小鳥や、オオルリに似た子がいたり、川に潜る水鳥がいたり……。
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 川べりには、サンショウウオ(?)の姿もあった。思わず二度見してしまった。
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 さらなる動物との触れ合いを求めて、山に入ってみた。さっそく、大きな尻尾を揺らして走るリスに出会えて、心も弾む。さらに山を登っていくと……木の陰からイノシシが飛び出してきた。イノシシの怖さは狩猟モノのマンガで知っている。こちらに向かって一直線に突進してくるのは、もう恐怖でしかない。

 ただ、幸いなことに来た道はつづら折りの坂になっているので、イノシシを誘導し、正面に立たないようにしながら持っていた弓矢でチクチク射っていく。なかなかしぶとかったけれど、なんとか仕留めることができた。
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動物を仕留めると、狩猟証明が得られる。これを狩人詰所に持っていくと解体してもらえる。
 山を下りて村の中心部へ差し掛かると、村の人々が食堂“茶碗亭”に入っていくのが見えた。そういえば、もう夜8時のご飯どき。つられて店内に入ってみると、ほぼ村人が全員集合といった賑わいぶりだった。自分もカウンター席に座り、お品書きを開いてみると、おつまみからカレー、スイーツまで幅広いラインアップ。これは常連になりたいお店……! スイカのように季節のメニューもあるようだ。
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食べるとおにぎりアイコンが点灯。3回食べると料理のレシピが手に入る。
 「お腹もいっぱいになったし、今日はぐっすり眠れそう」なんて思いながら布団に入ると、突然、ドンッと大きな物音がした。村人の誰かが戸を叩いたのだろうか? 急用なら、なんで外から声をかけないんだろう? 恐る恐る外に出てみると、そこには奇妙な、青白い光を発する何かがいた。姿形からして、妖怪の提灯お化けだろうか? そいつはビカビカーっと光りながら近づいて、目前まで来るとフッと消えてしまった。
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 いったい、なんだったの……? そこで我に返って、ハッとした。夜の11時を過ぎているのに、外に出てしまった。村の掟を破ってしまった。さすがに、なにかお咎めがあるんじゃないかと不安がよぎったものの、「出ちゃったものは仕方ない、こうなりゃ深夜徘徊じゃ~!」と開き直って懐中電灯を手に取り駆け出した。

 昼間はイノシシが出てあまり見て回れなかったけど、もしかしたら夜行性の動物に会えるかもしれないと、再び山に足を踏み入れる。イノシシと遭遇したところまで来ただろうか、ふいに懐中電灯の光の中に、何か黒い大きな影が浮かび上がった。
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 動物……ではない、もしゃもしゃのタコさんウィンナーのようなヤツだった。うるさいくらいに心臓がドキドキして、生命の危機を感じる。だけど、ソイツはこっちに向かってくるでもなく、ゆっくりと横移動しはじめた。道が空いたところへ反射的に飛び込むと、今度は沢のほうから紅白の……ツチノコ? 頭部のデカいヘビのようなものが、シャーシャー音を出しながら追ってくる。
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 逃げ切ったと思っても、一難去ってまた一難。いろいろなお化けに追いかけられたが、その道中で昼間には気づかなかった本や勾玉を見つけた。そうして粘り強く朝の6時まで歩き回っていると、急に眠気に襲われてダウンしてしまった。また不思議なことに、目が覚めたら家のベッドにいて……?
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【4日目】あのとき誰がいたか、どうしても思い出せないの……

 昨夜見たものは、なんだったのか。ぼんやり考えながら歩いていると、畑の作物の色鮮やかさが目に入る。そうだ、今日は農作業で汗を流して、頭をスッキリさせよう。実をポン、ポン、ポンと収穫していくのは、なんだかクセになる。空いた畑には、クワを振り下ろして耕していく。再びフカフカの土になるのは見ていても気持ちがいい。収穫した作物は、出荷台に置いておこう。そういえば昨日の出荷額はわりといい稼ぎになっていたな。
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Yボタンで手に持っている道具を扱う。ボタンを押しながら移動することで、狙ったマスをスムーズに耕せる。田んぼは鋤(すき)に持ち替えて。
 畑仕事をした後は、昨日仕留めたイノシシの“狩猟証明”を狩人詰所に出しに行く。すると、すぐに報酬箱にイノシシのお肉と骨が入れられた。(いつの間に解体処理されたんだろう……?)
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 その足で田上雑貨店に立ち寄る。品揃えを見ていると、勾玉を見つけた。昨日の夜に拾ったけど、お店でも売っていたんだ。勾玉は、家の近くの祠にお供えするといいらしい。
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勾玉でスキルツリーを解放することで、作れるものやできることが増えていく。
 道すがらで、コマコちゃんとヨウちゃんが話しているところに通りかかった。キツネさんだとか、誰かがお財布を落としちゃったとか聞こえてきたけど……。あれ、失くしたものを探すのも掟で禁じられているんじゃなかったっけ? 
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 家に戻り、今日は早めに寝ることにした。けれど、また戸を叩く音で起こされる。今夜も提灯おばけかと思いきや、外から声が聞こえてきた。急いで戸を開けたのだが……その後のことは覚えていない。

【5日目】この本に書かれていることって、もしかして……?

 彼ヶ津村に来てからというもの、意識を失ったり、何が起こったか覚えていないことが度々あって、少し不安になる。やはり、掟を破ってしまったからなのだろうか?

 本当に、彼ヶ津村については知らないことばかりだ。そういえば、村の中心部に図書館があったっけ。郷土資料を見れば何かわかるかもしれないと、本棚を探してみる。が、本が1冊もない。ほかのジャンルの本棚はそれなりに埋まっているのに。図書館のカウンターは荒れているし、何かトラブルが起きて本を紛失してしまったのか? 
 紛失……あっ、深夜徘徊中に拾った本はもしかして、ここの本だったのでは? 本を棚に戻してみると、いい感じに収まった。
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 あらためて、本を読んでみると……“誘う灯火”という本は、提灯お化けのお話のようだ。提灯お化けは全国区な妖怪という印象だが、記述にある青白い炎というのが、3日目の夜に現れたアイツと共通している。ということは、ここに収められていた本は、彼ヶ津村のお化けのことを書いたものなのかもしれない。
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 もう1冊回収した本には、鵺(ぬえ)のことが書かれている。つまり、深夜徘徊を続けていれば、鵺を目撃する可能性もあるってこと? 彼ヶ津村の掟や秘密とは直接関係ないのかもしれないけど、こういう文献はオカルト好きとしてはすごく気になる。

 ……まだまだ彼ヶ津村について調べてみたかったけれど、もう入村体験も5日目。そろそろあっちの家に戻らないと。あれ、でもどうやって峠を越えればいいんだっけ……?

入村体験こぼれ話と、ある筋からの情報

 体験記の中で書ききれなかったことや、ゲーム序盤の情報をまとめて掲載! 

さすが『夜廻』チーム、音作りがイイ!

 『夜廻』シリーズも恐怖をあおる音が盛り込まれていたけれど、自然豊かな彼ヶ津村ではさらに音のバリエーションが増えていて、いろんな音が聞こえてきた。鳥や虫の声などの環境音はもちろん、水辺を歩けばパシャパシャ、側溝のフタを踏めばカンカンと、自分が出す音もいろいろ。個人的に、作物を収穫するときの「ポンッ」という音が小気味よくてお気に入りだった。

 それと電柱や電化製品が出す「ブーン……」という、夜に聞くと不気味に感じる音は『夜廻』シリーズでもおなじみ(?)なので、「これこれ」とニヤけてしまった。
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時間でうつろう風景がたまらない

 『ほの暮しの庭』では、約10秒でゲーム内の時間が15分経過する。15分刻みだからなのか、日が暮れていく様がとても滑らかで自然に感じられた。できることなら、美しい景色が刻一刻と色を変えていくのをぼーっと眺めていたかった。

 その一方で、不法投棄されたゴミだとか、キレイなだけじゃない田舎も描写されているのがリアルで意外と好きだった。

序盤では犬と出会い、飼うことになる

 チュートリアルをひと通り終えると、犬を飼えるようになる。犬を指笛で呼ぶことで、自宅にファストトラベルすることも可能だ。『夜廻』シリーズでは犬がかわいそうな目に遭っていたけれど……?

主人公も謎多き存在!?

 序盤では、主人公が村に来た経緯などはとくに描写がなく、家族関係などもわからない。しかし、深夜に戸を叩く何者かが「何も覚えていないのか」、「農業ばかりやって、いなくなった者たちに対して何も思わないのか」などと主人公を責め立てる。主人公もこの村に何らかの因縁があるようだ。

【開発者インタビュー】本気の生活シミュレーション作品として作り上げた『ほの暮しの庭』

 『ほの暮しの庭』をディレクションする溝上侑氏と、プロジェクト進行や一部のイラストも担当されている勝又美桜氏に、本作の気になるあれやこれをぶつけてみた。すると、意外なキーワードが飛び出して!?
『ほの暮しの庭』は8割が生活シミュレーションで100時間遊べる。ホラー要素は『夜廻』と違い人怖系、“あんしん暮しモード”は本当に安心してプレイ可能【彼ヶ津村 入村体験記】
(写真左)溝上侑氏、(写真右)勝又美桜氏

溝上侑 氏みぞかみ ゆう

日本一ソフトウェア 執行役員。『夜廻』シリーズのディレクター、『マッドラットデッド』ディレクターなどを歴任し、2025年3月21日に執行役員に就任。本作では企画・ゲームデザインを担当している。 (文中は溝上)

勝又美桜 氏かつまた みお

本作の開発責任者。過去には『探偵撲滅』や『BAR ステラアビス』などのタイトルも担当。 (文中は勝又)

――イベントシーンで村人たちが“対価”という言葉をよく口にしていますが、この“対価”が本作のテーマのひとつかなと感じています。いかがでしょうか?

勝又
 私からすると、“対価”は溝上のテーマみたいな気がしているんです。いつも「何かしら対価が必要」って言っているイメージなんですね。『夜廻』シリーズでも、お姉ちゃんを助けるために目が失われたり、手がなくなったりしていますよね。ですので、今作ならではのテーマという感じは正直していなくて。「この人(溝上氏)のテーマ」って感じですね(笑)。

溝上
 えーっ、そう?(笑) 自分としては無意識にそうしていたのかもしれません。“対価”はおそらく今後……まだ見ぬ自分の作品にも、きっと入ってくるテーマという感じはしますね。勝又の言うように『夜廻』もそうなんですけど、あれは対価というより……あ、やっぱりやめておきます(笑)。(何か言いかけるも、自主規制という面持ちの溝上氏)

――なんと、溝上作品のテーマだったんですね。では“対価”は、『ほの暮しの庭』のゲームシステムにどう影響しているでしょうか?

溝上
 何かを得るためにお金が必要というのはもちろんありますが、『ほの暮しの庭』は自由なゲームなので、“対価”というより、“自由”だったり“自由意志”みたいなものを描いています。]

――自分の意志で選択し、行動することが結果につながっていくと。

溝上
 そうですね。そこが今作で大事にしている要素であり、『夜廻』にはなかった部分かなと思います。そういった今作ならではのシナリオにもご注目いただけるとうれしいですね。

 今作はとくに、『夜廻』よりも登場人物が増えていますから、少し群像劇っぽい感じにもなっています。自分としても、『夜廻』とはまた違った物語を書けたかなと思っているので、そこもぜひご注目ください。

――今回の体験会で、深夜のお散歩に出たら不思議な存在と遭遇しましたが、彼ヶ津村には何種類くらい生息(?)しているのですか?

勝又
 30種類以上はいますね。

溝上
 そうですね、見飽きないくらいにはいるんじゃないかなと思います。ただ、『夜廻』と違うのが、同じマップでも夜ごとに違うお化けが出てくるという点です。『夜廻』のように固定のお化けがいるわけではないんですね。

 それと、季節や場所によっても出るお化けが変わりますので、「あ、こんなところに初めて見るヤツがいる」といった発見もあります。夜の外出は命の危険をともないますけれど、意外とお散歩しがいがあって楽しめるんじゃないかなと思います。

――ちなみに『夜廻』シリーズから出張してきているような子はいたりしますか?

溝上
 今作は『夜廻』シリーズとは別のIPになりますので、そこはもう明確に分けています。

勝又
 あ、でもセミは彼ヶ津村にもいるよね、セミファイナル。『夜廻』シリーズをプレイされた方はぜひ探してみていただければと思います。

――あっ、セミ……! 怖いですね。ちなみに、お化けのデザインコンセプトやこだわった部分などはありますか?

勝又
 今作のお化けは『夜廻』と少し違っていて、“お化け”というより“妖怪感”を意識しています。詳しい人でしたら、「この妖怪がモチーフなのかな」とわかるかもしれないですね。

 それに、よく見ると愛着が持てそうなやつらが多い気がしますね。最終的にはプレイヤーさんも「お化けちゃんたちもカワイイかも」と思えてくるのではと。

――そういえば、彼ヶ津村の図書館に収めた本に、妖怪のお話が載っていましたね。

勝又
 ええ。そういったお化けや妖怪の話を読むと、ゲームを進めるうえでのちょっとしたヒントにもなるので、ぜひ本を集めてみてほしいですね。

――“あんしん暮しモード”についてもお聞かせください。こちらはゲームスタート時に設定するもので、基本的に掟を破れないようになっているから安心して暮らせるのだそうですね。

溝上
 そうですね。もちろん、通常モードでも、掟を遵守していれば基本的には怖い目に遭わずに済むというわけです。ただ、今作はプレイヤーさんが想像されている怖さというものが、『夜廻』とは違っていると思います。シナリオ面はとくにそうですね。村人どうしが織りなす不穏な空気や、違和感、不気味さといった種類の怖さです。どちらかというと、ミステリーや“人怖(ヒトコワ)”的な恐ろしさに寄っていますね。なので、いわゆるホラーが苦手という人も、シナリオは進められると思うんです。

 それと、ジャンプスケア(突発的な脅かし)は今回できるだけ避けるようにしているので、『夜廻』よりはマイルドになっています。

――深夜に戸を叩かれる音は、かまえていてもビックリしちゃいましたが(笑)。

溝上
 村の掟に“午後11時以降外出禁止”とあるんですが、夜に戸を叩かれても、出歩かずに寝ることもできちゃうんですよ。本当にお化けに追われるのが嫌な人は、寝てしまえば怖いことは起きないので、そういうプレイスタイルも可能になっています。

――“あんしん暮しモード”で掟を破れないということは、シナリオ上で何も解決できず、村に一生取り込まれる……みたいな深読みをしてしまったんですが……。

溝上
 “あんしん暮しモード”は「ホラーはダメだけど、農業はやりたい」という人のために用意したモードです。やはり、シナリオがどうしても掟に絡んでくるので、物語の全容は見られなくなってしまうのですが、農業をひたすら楽しみたいという人には十分満足してもらえる機能になっています。

――本当に、畑仕事をはじめ、いろいろなことができますよね。

溝上
 このゲームは、じつは8割が農場・生活シミュレーションなんです。我々としても、思いのほかシミュレーション部分がよくできたなと思っています。ですので“あんしん暮しモード”でも、他社さんの生活シミュレーションと遜色なく、おそらく100時間くらいはプレイできると思います。ホラーがあるからやめておこうと判断されるのはもったいないので、生活シミュレーション部分だけでも楽しんでいただければと思いますね。

勝又
 そうなんですよね。我々、このプロジェクトの広報でやりすぎたというか……。「本当に生活シミュレーションなんです」とお伝えしても、「いやいや、やっぱり怖いゲームなんでしょ?」と信じてもらえなくて(笑)。

――そういえば、入村体験案内状に血に見えるシミがあったり、つねに不穏さを忍ばせていますよね(笑)。それと、公式SNSで本作では「犬と猫は死にません」という投稿がありましたが、あれは『夜廻』での反省だったり、プレイヤーさんからの反応があったからなのでしょうか?

勝又
 あれは、『夜廻』のことを踏まえてというよりは、皆さんから「本当に?」というツッコミを期待したものでした。

 ただ実際に、本作で犬猫は“死なない”ので、皆さんに警戒されないように事前に言っておくべきだと思ったのも本当です。やっぱり『夜廻』シリーズでやりすぎたせいで、犬猫死なない宣言と同様、「あんしん暮しモードは本当に安心なんですよ」というのがなかなか信じてもらえないという状況です。
――ちなみに、日中の日常生活で怖いこと……例えば畑に恐ろしいものが生えてきたりとか、そういうことはないですよね?

勝又
 あります!

溝上
 恐ろしいというより、キモかわいいかな(笑)。でも、今作のルールとして“掟を破るから、いらんことが起きる”ということなので、掟を破らなければ畑も無事です。別にそれが生えたからといって何かあるわけではないですが、結局、畑に何かが生えるのも、どこかで掟を破った結果なんですよね。それこそ“対価”とか、罰みたいなものでしょうか。自分の行動によって因果関係が生じたり、リンクするということですね。

――ゲーム中で供養が必要なものへの看板を見かけたのですが、もしかして……? ところで、本作はサウンドもすばらしいと感じたのですが、こだわった部分があれば教えてください。

溝上
 環境音を作っているのはチーム『夜廻』のサウンドディレクターなのですが、『夜廻』シリーズから音にはかなりこだわっています。デフォルメされている世界の中で、恐ろしさや説得力を持たせなきゃいけないので、できるだけ音はリアルにしています。

 歩いていて足音の変化を楽しめるように作っていますし、田舎ならではの四季による違いや、時間帯による差も楽しいと思います。場合によってはBGMを消して環境音だけにして、“丁寧な暮らし”みたいな遊び方もできるので、ぜひご期待いただければと思います。

――そういったリアルな音が、そこで暮らしている気分を高めてくれていると感じました。

溝上
 そうですね。本作は、生活シミュレーションとして他社さんの作品も研究しつつ、「ここをこうしたほうがもっとおもしろくなるよね」と改善を重ねながら作ってきたので、触りやすくて質のいい、やりごたえのある生活シミュレーションができたと思っています。そのための“あんしん暮しモード”もありますので、ぜひ怯えずに遊んでいただきたいですね。

『ほの暮しの庭』商品情報

  • タイトル:ほの暮しの庭
  • ジャンル:生活シミュレーション
  • 対応機種:Nintendo Switch 2、Nintendo Switch、PS5、Steam、Windows
  • 発売予定日:2026年7月30日(木)
  • プレイ人数:1人
  • 価格:Switch2/PS5/Steam/Windows版 9020円[税込]、Switch版 7920円[税込]
  • 発売:日本一ソフトウェア
  • 企画・ゲームデザイン:溝上侑
  • 開発責任者:勝又美桜
  • 音楽:高須和也、ZIZZ STUDIO
  • CERO:C(15歳以上対象)
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