西野秀明氏(にしの ひであき)
ソニー・インタラクティブエンタテインメント 社長 CEO。2000年にソニー入社、2006年にソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)へ。その後、米国でPlayStation Networkを拡大するための事業などを手掛けた後、PS4、PS5の商品企画統括、プラットフォームビジネスCEOなどを歴任し、2025年4月1日より現職。文中は西野。
ゲーム事業が好調で過去最高を更新!
一方コンテンツについても、サードパーティー各社からすばらしいタイトルを多数リリースしていただきました。自社タイトルでは『Ghost of Yōtei』がユーザーの皆さまから高い評価をいただいたほか、『Marathon』も発売され、多くのプレイヤーに楽しんでいただけていると感じています。

――日本においては、“PS5 デジタル・エディション 日本語専用”の登場は、とくに価格面で大きな驚きでした。この製品をリリースした狙いを教えてください。
多言語対応のデジタル・エディションと比較してお求めになりやすい価格設定にすることで、重要なマーケットである日本のゲームコミュニティーや市場の活性化をより図っていきたいと考えています。
――“GO!GO!PS5!”キャンペーンも行われていましたが、5万5000円[税込]というPS5 デジタル・エディション 日本語専用の価格は衝撃的でした。昨今の経済情勢や半導体高騰などの状況から、この価格の実現はかなり困難なのではないかと思いますが……?
――それだけ日本の市場を重視していると?

日本の皆さんの文化や想い、好みをしっかり理解したうえでアプローチをしていきたいと考えており、“State of Play 日本”もその一環として昨年初めて実施しました。
――“State of Play 日本”に西野さんがみずから出演されて、喜んだ日本のファンも多かったと思います。どのような経緯で出演されたのでしょうか?
発売から5年が経ち、新しい価格で提供するときに、PS5について改めてしっかり説明したいと考えて、私みずから出演して説明をする機会を作りました。
――“PS5 デジタル・エディション 日本語専用”を発売した手応えはいかがでしたか?
――続いてはPlayStation Networkに関してですが、3つのTier(プラン)に分化した2022年の大型リニューアルも奏功し、増収増益が続いています。近年の取り組みと、今後の展望について教えてください。
現在のPlayStation Plusは、最上位の“プレミアム”プランにクラウドストリーミングプレイも用意していることもあり、とくに日本においては利用者が想像以上に伸びており、サーバーも増設している状況です。割合で言うと、上位の“エクストラ”と“プレミアム”のユーザーが約40%を占めており、ご好評をいただいています。
また、PlayStation Plusは非常に豊富なコンテンツを提供しており、インディーからAAAまで多様なゲームが揃っていますし、最新作が出るタイミングに合わせて旧作を展開するいった需要喚起も行っています。
たとえば、『バイオハザード レクイエム』の発売に先駆けて、今年の1月に『バイオハザード ヴィレッジ』をゲームカタログに追加し、IP全体の魅力をより広く伝えていくことを目指しました。プレイヤーだけではなく、パブリッシャー各社にとってもプラスのあるサービスを提供できているのではないかと自負しています。
――クラウドストリーミングプレイの利用者が増えているとのことですが、それに関連してか、プレイステーションポータルも好調だとうかがっています。手応えはどのように感じていますか?
たとえば、画面はこの大きさでいいのか。コントローラーは、DualSense ワイヤレスコントローラーとほぼ同じでいいのか。社内でもさまざまな意見があり、外に持っていくならこの形はないよね、でも家の中で遊ぶならこの形でいいよね、などと多くの声が挙がりました。
そうして議論を重ねてできあがった商品ですが、同時にコミュニティーの皆様からもフィードバックをいただき、いっしょに作り上げてきた商品だと感じています。とくにクラウドストリーミング機能に関しては大事にしたいという思いがありますね。実装できたのは2025年11月になりましたが、ユーザーの皆様には安心してご利用いただけているようで、2026年1月の利用者数は2025年12月から1.5倍になるなど、非常にいいスピードで増えていると手応えを感じています。

ライフスタイルの変化に対応しつつ、新しいコンソールを作り続けたい
新作の訴求だけではなく、旧作でもできることを中長期で検討しており、たとえば『原神』ではPS5の新規購入者向けに、ゲーム内通貨が10%オフになるキャンペーンなども実施しました。
また、今年は自社ライブサービスタイトルとして『MARVEL Tōkon: Fighting Souls』の発売も予定しているので、皆さまが楽しんでくれることを期待しています。人気が出てくれるとうれしいですね。

――なるほど。PS5タイトルのPCへの展開については、見直す可能性があるとの報道もありましたが、現時点でのお考えをお聞かせください。
現時点でのおもな方針としては、ファーストパーティーで開発するシングルプレイのゲームに関しては、プレイステーションで提供できるゲーム体験の価値をよりいっそう研ぎ澄ましていく一方で、ライブサービスゲームはオンラインマルチプレイでよりたくさんの方に遊んでいただくことも重要であると考えており、PS5とPCのプラットフォームでの展開を基本として考えています。
どのプラットフォームで展開するにせよ、タイトルの特徴を最大化する最高のプレイ体験であってほしいという考えをベースに判断していきます。
――『Ghost of Yōtei』は、DualSense ワイヤレスコントローラーに特化した操作が多くて印象的でした。
――(笑)。DualSense ワイヤレスコントローラーはPCでも使えますが、PS5ならではの体験だと思いました。

今後もゲーム機を作っていきたい
そうするとありがちなのが、畳の部屋で自分の順番が回ってくるのを待つ……みたいな。先日、任天堂さんのマリオのCM(『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』 劇場用CM)で見かけたような感じでした(笑)。
――あるあるですね(笑)。とくに印象に残っているタイトルは?
――そうでしたね。その後のゲーム体験は?
――『スパルタンX』のほかに、印象に残っているゲームタイトルや思い出などがありましたら教えてください。
私には弟がいて、彼は『ドラクエ』(『ドラゴンクエスト』)や『FF』(『ファイナルファンタジー』)が好きだったのでずっと遊んでいましたが、そうすると、私がゲームを遊ぶ時間がなくなっちゃうんですよ(笑)。
――西野家では、兄弟で1日何時間と決まっていたと。たしかに、RPGをじっくりプレイされると遊ぶ時間がなくなりますよね。
でもいまにして思うと、弟は『ファミスタ』で私と対戦しても勝てないから、RPGに夢中になっていたのかもしれません(笑)。
――なるほど(笑)。
――野球ゲームやアドベンチャーがお好きだったんですね。では、ファミ通の記事や特集、ファミ通から受けた取材など、ファミ通について記憶されていることで、強く印象に残っていることはありますか?
当時はまだインターネットもありませんでしたから、ゲームの情報を得るためにファミ通さんを頼っていた思い出があります。ゲームの最新情報や攻略情報を入手する方法は探しようがなかったので、ゲームの情報を入手するのはファミ通さん頼りでした。

その流れの中で、業界全体を幅広くカバーしながら、包括的にさまざまなゲームを紹介できるのは、ファミ通さんならではの立ち位置なのではないでしょうか。
引き続き引っ張っていただきたいですが、最新情報だけ扱うのではなくて、インタビューなどを通して我々コンソール(家庭用ゲーム機)を作っている人間や、クリエイターの思いをユーザーに届けてほしいですね。今後も我々といっしょにゲーム業界を盛り上げていきましょう!
――ぜひ! 以前のインタビューで、西野さんは2006年にSCE(当時)に入社する前も、初代プレイステーションなどを購入してプレイされていたとお聞きしました。改めて、そのころゲーム業界とプレイステーションに対してどのようなイメージを持っていたかを教えてください。
大学時代は『ウイイレ』(『ウイニングイレブン』)にハマっていました。マルチタップをつなげて、友だちと集まって遊んだ記憶がありますね。
社会人になった後はソニーの人間だったので、プレイステーションはゲーム機というよりも、最先端エンターテインメントマシンだと捉えていました。
私はコンピューター畑の人間でPS3に憧れて入社したこともあって、当時はゲームを超えることに強い興味を持っていました。
――以前のインタビューでは『FFXI』をプレイされていたというエピソードもありましたが、どのような経緯で始めたのですか?
『FFXI』は初めて遊んだオンラインゲームだったこともあり、PS2にプレイステーションBBナビゲーターを入れてインターネットにつなげて遊ぶのは新鮮でしたし、『FFXI』も池のまわりをぐるぐる走りましたが(笑)、すごい世界だということは理解できたので楽しかったですね。
『FFXI』をプレイしたのは会社に入社した後でしたが、けっこう時間を費やしました。
――最近はどんなゲームで遊ばれていますか?
でも、最後のステージがめちゃくちゃ難しくて……。最近は集中力が2時間くらいしか持たないこともあって、最後のステージをクリアーするのに3日かかりましたね。
ニコ(ニコラ・ドゥセ氏。Team ASOBIのスタジオ代表兼ディレクター)に「難しすぎない?」とメッセージを送りました(笑)。

ただ、ひとつ言えるのは、ゲームはリアルタイムで多くの時間を費やすというリスクがありますが、時間を費やすだけの価値のある体験ができるものですし、今後も人間にとって必要な娯楽のひとつであり続けるだろうということです。
――2024年のインタビューでは、「まだまだハードウェアがなくなることはないと考えている」とおっしゃっていましたが、今後のプレイステーション事業も、しばらくはコンソールを主軸に展開するとお考えでしょうか?
先ほどもお話ししたように、ライフスタイルが変わっていく中で、どうやってニーズに応えていくかは深淵なる課題です。将来的にはいろいろな形、さまざまな場所で使える技術を活用しながら新しいゲーム機の体験を考えていくと、おもしろいものが生み出せるのではないでしょうか。
たとえばプレイステーションは、リビングルームのテレビで遊ぶというイメージが強いと思いますが、我々としてはほかの場所でも快適に遊べるようにモニターやスピーカーなども発売を予定しています。プレイステーションポータルもその一環として開発しました。
今後も多様化するライフスタイルに合ったゲーム体験を提供できるように、つねに考えてチャレンジしていきたいです。














