2026年7月2日にKONAMIより発売された『がんばれゴエモン大集合!』。対応ハードはNintendo Switch、プレイステーション5、PC(Steam)。本作は『がんばれゴエモン』シリーズの中期までの作品を一挙にまとめたコレクションタイトルだ。 本記事では『がんばれゴエモン大集合!』プロデューサーを務めた、上野亮作氏へのインタビューをお届け。開発を務めたエムツーとの開発秘話などをたっぷりと訊いた。

上野亮作 氏(うえの りょうさく)
KONAMI所属。『がんばれゴエモン大集合!』プロデューサー。(文中は上野)
最初は6本、気づけば13本+1本
――なぜ2026年のいま、『がんばれゴエモン』シリーズを移植しようと考えたのでしょうか?
上野
『がんばれゴエモン』シリーズは、過去にいくつか移植される機会はありましたが、それでも少なく、かつ現行ハードで遊ぶ手段はありませんでした。いつか移植しないといけないよね……という話は、KONAMI社内でもよく挙がっていたのですが、なかなか機会がなく。
私が関わった2025年発売の『グラディウス オリジン コレクション』が終わったころに企画が浮上しまして。『がんばれゴエモン』40周年ということもあり、40周年記念タイトルとして、コレクションタイトルを作ることになりました。

――そのころには、すでに収録されるタイトルなどは決まっていたのでしょうか?
上野
『グラディウス オリジン コレクション』と同様にエムツーさんが開発を担当することは決まっていて、最初はファミリーコンピュータの2作品、スーパーファミコンの4作品で計6作品があればいいだろうと、コンパクトな形でお届けする予定でした。
ただ、エムツーさんと話すうちに「これも入れちゃいましょうよ!」となりまして、だったらあれもこれも、と。気づいたら13タイトルと隠しタイトル1本を移植することになっていました。
――ええ……。当初の2倍以上の本数なわけですが、そうなるとスケジュールなどは?
上野
圧迫しますね(苦笑)。エムツーさんとしては「ゲームボーイ作品1本を追加移植するなら、2本も3本も同じようなもの!」、という感覚みたいで。いや絶対そんなことはないと思うんですけど(笑)。
まあでも、できそうなのでいいだろうと。もちろん、そのコントロールはたいへんな部分もあったので、思い返すと苦労もあったのですが。ただ、発表後にほかの人やファンの反応を見てから気づきましたが、13本は多すぎたかもしれません(苦笑)。
『グラディウス オリジン コレクション』は7タイトル18バージョンを移植したコレクションだったので、「それくらいの本数ならふつうだよね……?」と、我々も感覚が麻痺していました。

――うれしいですが、多いですよね(笑)。社内から懸念の声などは挙がりませんでしたか?
上野
ありませんでしたね。上野とエムツーがその本数がいいと言うのならそうなんだろう。できるんだよね? みたいな感じだったかも?

――ちなみにゲームボーイの『がんばれゴエモン ~もののけ道中 飛び出せ鍋奉行!~』が入っていないのは、連動機能があるからですか?
上野
そうです。NINTENDO 64の『ゴエモンもののけ双六』と連動した機能があるので、 それが楽しめないのであれば、入れるべきではないなと。かといって、NINTENDO 64タイトルを移植するとなると、さすがにスケジュール的に難しいので、どこかで線引きは必要だろうと判断して、泣く泣くではありますが、今回は入れないことにしました。
――では本当に、エムツーの開発力があったからこそ実現できたコレクションなのですね。
上野
エムツーさんに、『がんばれゴエモン』シリーズをすごく好きな方がいらっしゃって、サポート機能も含めて、考えてくださったおかげでもありますね。やはりエムツーさんは職人気質で、やれることがあればやれる限り、もうギリギリまで全力で取り組んでくれました。

――お話を聞くと、移植作業が簡単だったようにも思えますが、決してそうではないですよね。
上野
スーパーファミコンタイトルはかなり知見も揃っているので、じつはそこまで苦労していません。どちらかというと、ファミコン時代の作品は特殊なチップが使われたソフトが多く、個別に苦労しています。
たとえば、サウンドがちゃんと鳴らなかったりですとか。あと、時代的にどうしても変更しないといけないテキストがあったりしたのですが、文字のチップを並べてテキストにしているので、チップ自体をイジる必要があったりと、予想外の苦労はありましたが、そこもエムツーさんの力ですね。

――便利機能も満載です。ほかのコレクションタイトル同様に、入れることが前提でしたか?
上野
そもそも『がんばれゴエモン』シリーズって、けっこう難しいゲームが多く、途中セーブやロード、巻き戻し機能は必要でした。 また、RPG向けに倍速機能を入れてほしい、というのは私の強い願いでしたね。あとは連打が大事なゲームが多いので、連射機能も必要でした。
ただ、これまでコレクションタイトルを作ってきたこともあり、それらがあるのはもはや当たり前と言いますか、KONAMIとエムツーさんで作るコレクションは、それらの機能を搭載して当然であるブランドみたいなものだと思ったので、基本機能はとくに何も言わずに搭載していましたね。
エムツーさんならではのところもたくさんあって、たとえばミニゲームにボタンふたつを連打するゲームがあるので、それ専用のボタンが交互に入力される連射機能もあります。それでいて、最速連射ではないので、本当にハイスコアを出したかったら自力で連打する必要があるという塩梅になっているのが、よりエムツーさんっぽい調整ですよね。


――たしかに、こだわりを感じますね。
上野
本当はRPG向けだったのに、気づいたら『がんばれゴエモン! からくり道中』などのアクションタイトルにもなぜか倍速機能が付いています(笑)。ハイスピードなアクションゲームとして楽しめますね。

――エムツーとの開発時、とくに印象に残っているエピソードなどはありますか?
上野
本当にゲームが大好きな方々の集まりで、コレクションタイトルでファンがどこに感動するのかですとか、いま遊ぶならこれが必要だと考えてくださったり、クリエイティブの部分で、すごく頼れる方々だと思います。
ただ、以前もお話しましたが、「締切とは何ぞや」、「でも!」、みたいな話にはたまによくなりますね。今回は私のほうからも、「ゴメン、いまからコレをなんとか……」とかもやっちゃいました(笑)。
――何となく察しが付きました(笑)。ですが、結果としては毎回ファンを喜ばせていますね。
上野
そうできているのであればとてもうれしいですね。エムツーの堀井さん(※)と打ち合わせをしているとちょくちょく出てくるのですが、「これが発売された後、自分もずっとこのソフトを遊ぶんだから、この仕様は入れておきたい! これは削りたくない!!」と。
※……エムツーの代表取締役社長、堀井直樹氏。 自分たちも、開発者でありながら、お客さまの立ち位置に入っているんですね。そういう意味では、 今回『がんばれゴエモン外伝 きえた黄金キセル』、『がんばれゴエモン外伝2 天下の財宝』、『がんばれゴエモン 星空士ダイナマイッツあらわる!!』が収録できたのは個人的にとてもうれしかったです。


上野
ターボ機能も実装できたし。RPGの外伝2本を収録するのは、アクションゲームではないから「これはいらないのに~」とか言われないかなという不安もありましたが、いざ発表してみると「待ってた」、「これを遊びたかった!」という声が思いのほか多くて、改めて、『がんばれゴエモン』という作品が持つ魅力と人気を実感しました。

当時のファンに届けたい、がんばれゴエモンコレクション
――初めて遊ぶ人もいるかなと思うのですが、若者向けにアプローチなどは考えていますか?
上野
正直、あまり考えていないんです。当時遊んでいた方々に、お子様といっしょに遊んでほしいなどの気持ちはありますが。ゴエモンが若い人にどう映るのかいまいち想像できなくて、そこは考えずに当時のプレイヤーをターゲットにプロデュースすることを計画しました。
ですので、若者にどう知ってもらうのか、みたいなところはとくに考えなかったです。新しく出たインディーノリのおバカなゲームたちを遊んでもらうくらいの感覚で、楽しんでもらえるといいんじゃないのかなと思っています。


――当時の不具合などは直していますか?
上野
そのまま残しているものもあれば、消したほうがいいものは消しています。また、ハードの制約で起きていた画面やキャラクターのチラつきなどは、軽減するオプションを入れています。チラついたままでいいという人はオフにもできますのでお好みで使ってください。
――ローカル協力プレイはありますが、オンラインへの対応は考えていたのでしょうか。
上野
一応、Steamの機能によるリモート協力プレイには対応しています。ただ、オンラインで完全同期した協力プレイを実現しようとすると、どうしても元データの解析がさらに必要になってしまって、そうなるともう新作タイトルを作るほうがきっと楽なレベルになってしまいます。
――これから始める人に向けて、とくにオススメのタイトルはどれになるのでしょうか?
上野
やはり『がんばれゴエモン ゆき姫救出絵巻』や『がんばれゴエモン2 奇天烈将軍マッギネス』などから始めるのがオススメです。いずれも難度が高い部分がありはしますが、シリーズの魅力が味わいやすいはずです。
とくに『ゆき姫救出絵巻』はお金稼ぎができないとゲームを進めにくかったりしますが、セーブ&ロードや巻き戻しを使うことで楽に稼げたりもするので、スムーズにゲームを進められると思います。
ちなみに全タイトル制作するにあたって、ほとんどのタイトルを何度もクリアーしているのですが、『それ行けエビス丸』だけは難しくて全達成できませんでした。ほかにもたくさんタイトルがあるので、ぜひ遊んでみてください。


なお、週刊ファミ通2026年7月16・23合併号(No.1954/2026年7月2日発売)では本作の発売記念特集を掲載! 開発当時の貴重な資料をたっぷりと掲載しているので、こちらもぜひチェックしてみてほしい。